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635 報告は大事 3
「ノア、大丈夫か?」
お説教されている大祖父様をスルーしてアークが心配そうに俺に声をかける。たぶん俺がぼーっとしていたからだろう。
俺はアークを安心させるように微笑む。
「大丈夫だよ。ごめんね、油断してたからガッツリ抱き込まれちゃって」
アークよりもむっちりだから埋まっちゃったよ。いや別にアークの胸が物足りないとかじゃなくてね、アークの胸が一番だからね。
そんな何処かの浮気者の言い訳みたいな思考になったせいか、アークにジト目で見つめられて居心地が悪い。
「あっ、それよりも報告しないと。ほら、報連相! それで早く終わらせてアークとの時間を作るんだ」
そのために大祖父様のところまできたんだし。そう思っているとアークが微妙な顔になって呟いた。
「それは嬉しいが、ちょっと最初の目的とはズレてきた気がする。まあやることは一緒か」
「うん?」
「いや、何でもない。じゃあ父上達、その辺にして話を進めましょう。俺も早く終わらせてノアとイチャイチャしたい」
アークがウラノス義父様達に声をかけると、ハッとして頷く。
「そうだった。しかし本当にアークもハッキリ言うようになったな。さすがは新婚ホヤホヤの竜人夫夫」
「そういえばまだまだ新婚だったな。色々ありすぎて濃密すぎる時間で、すでに何年もノアちゃん達と一緒にいる気でいたな」
うんうんと頷きながらそう言い始めた二人は放っておいて。
「大祖父様、あんまり急に抱きつかないでね。俺も驚くし、何よりもアークがキレちゃうから」
「うう……あいわかった。なるべく自制する……できれば」
そこははっきりと自制するって断言してほしかったけど、まあこれだけ長く生きてきて今更気をつけるというのも難しいんだろうな。とにかくワンクッション置いてくれれば俺も対処しやすいから、できるだけ自制をお願いします。
「じゃあサッサと報告と相談です。リオライトおじ様、ウラノス義父様お願いします」
あとは補足でアークがやるので。
え、俺? 俺は彼らに丸投げで、聞くだけだよ。
こうしてようやく落ち着いた室内で、俺は再びお茶とお茶請けをたくさん出して、黙々と消費しながら話を聞く。
「──なるほどのう。ラグナロクの縁者かもしれんと。それで? 儂には報告だけと言うつもりではないのだろう?」
「はい。陛下は二〇〇年前にノアちゃんの父親である古竜の封印に携わった彼の方をご存じでしょう? それで何か情報があればと思いまして」
大祖父様の問いかけにウラノス義父様が応える。
そもそも大祖父様は相当な年月を生きているから、ラグ爺さんと直接的な関わりがなくても何かしらの情報はあるかもしれないと踏んできたんだ。
大祖父様は顎に手を当て、記憶を掘り起こすようにしながら少し黙り込む。
「……そうさのう。儂も多くは知らんが、確か彼には年の離れた弟が一人いたと記憶しておる。彼自身は生涯独身だったようだから、もしかするとそちらの血筋の可能性が高いの」
「ラグ爺さんに弟が? ちっとも知らなかったよ」
ここにきてラグ爺さんの家族関係が分かるとは思わなかった。
「もしかすると兄弟仲はよくなかったのかな。それか年が離れすぎていて関係が薄かったとか」
「うむ、ラグナロクが独り立ちしたあとに生まれた弟ならば、会うこともあまりなかったかもな。そこは憶測でしかないが」
大祖父様も同じように思ったらしく、俺に同調する。あくまでも俺達の勝手な推察でしかないから調査は必要だけど。
「ともかく、これで大賢者殿の弟関係で調査が絞れそうだ。漠然としたものから範囲が狭められたから、幾分か楽だろう」
リオライトおじ様の言葉にウラノス義父様も頷く。確かに範囲が絞られれば労力も少なくてすむ。
「そうだね。では陛下、引き続きヴァルハラ大公家の影を動かしますから、王家の影もお借りしてよろしいですよね?」
「うむ。カイリ達をそのまま引き継がせよう。獣人国の王妃殿関係もルドヴィカの番い関係も一段落しただろうしの。リュウギ、その辺りの采配は任せる」
「畏まりました」
こうして報告と調査の件がすんだので、俺達は大祖父様達にお礼を告げて王城を出た。
来たときの馬車に乗ってヴァルハラ大公家に戻る。そこで着替えをしたら再び獣人国に向かう予定だ。
気づけば何だかんだと陽が傾いてきている。馬車に揺られながら、暗くなる前には獣人国に戻れそうだなとぼんやりと考えていると、アークが耳元で囁いた。
「ノア、獣人国に戻る前にちょっと……な?」
「!?!?」
艶っぽい吐息混じりの声で告げられて、ドキッとする。
──うん、散々イチャイチャ言ってたから、さすがの俺でも分かるよ。
「──うん」
ここは肯定しかないよね。
チラッと向かい側に座っているウラノス義父様を見れば、意味深に微笑んでいる。絶対分かってるよね、これ!
恥ずかしさといたたまれなさで悶えながらも、ヴァルハラ大公家ならばアークとの時間が気兼ねなく取れるなと嬉しくもあるのだった。
お説教されている大祖父様をスルーしてアークが心配そうに俺に声をかける。たぶん俺がぼーっとしていたからだろう。
俺はアークを安心させるように微笑む。
「大丈夫だよ。ごめんね、油断してたからガッツリ抱き込まれちゃって」
アークよりもむっちりだから埋まっちゃったよ。いや別にアークの胸が物足りないとかじゃなくてね、アークの胸が一番だからね。
そんな何処かの浮気者の言い訳みたいな思考になったせいか、アークにジト目で見つめられて居心地が悪い。
「あっ、それよりも報告しないと。ほら、報連相! それで早く終わらせてアークとの時間を作るんだ」
そのために大祖父様のところまできたんだし。そう思っているとアークが微妙な顔になって呟いた。
「それは嬉しいが、ちょっと最初の目的とはズレてきた気がする。まあやることは一緒か」
「うん?」
「いや、何でもない。じゃあ父上達、その辺にして話を進めましょう。俺も早く終わらせてノアとイチャイチャしたい」
アークがウラノス義父様達に声をかけると、ハッとして頷く。
「そうだった。しかし本当にアークもハッキリ言うようになったな。さすがは新婚ホヤホヤの竜人夫夫」
「そういえばまだまだ新婚だったな。色々ありすぎて濃密すぎる時間で、すでに何年もノアちゃん達と一緒にいる気でいたな」
うんうんと頷きながらそう言い始めた二人は放っておいて。
「大祖父様、あんまり急に抱きつかないでね。俺も驚くし、何よりもアークがキレちゃうから」
「うう……あいわかった。なるべく自制する……できれば」
そこははっきりと自制するって断言してほしかったけど、まあこれだけ長く生きてきて今更気をつけるというのも難しいんだろうな。とにかくワンクッション置いてくれれば俺も対処しやすいから、できるだけ自制をお願いします。
「じゃあサッサと報告と相談です。リオライトおじ様、ウラノス義父様お願いします」
あとは補足でアークがやるので。
え、俺? 俺は彼らに丸投げで、聞くだけだよ。
こうしてようやく落ち着いた室内で、俺は再びお茶とお茶請けをたくさん出して、黙々と消費しながら話を聞く。
「──なるほどのう。ラグナロクの縁者かもしれんと。それで? 儂には報告だけと言うつもりではないのだろう?」
「はい。陛下は二〇〇年前にノアちゃんの父親である古竜の封印に携わった彼の方をご存じでしょう? それで何か情報があればと思いまして」
大祖父様の問いかけにウラノス義父様が応える。
そもそも大祖父様は相当な年月を生きているから、ラグ爺さんと直接的な関わりがなくても何かしらの情報はあるかもしれないと踏んできたんだ。
大祖父様は顎に手を当て、記憶を掘り起こすようにしながら少し黙り込む。
「……そうさのう。儂も多くは知らんが、確か彼には年の離れた弟が一人いたと記憶しておる。彼自身は生涯独身だったようだから、もしかするとそちらの血筋の可能性が高いの」
「ラグ爺さんに弟が? ちっとも知らなかったよ」
ここにきてラグ爺さんの家族関係が分かるとは思わなかった。
「もしかすると兄弟仲はよくなかったのかな。それか年が離れすぎていて関係が薄かったとか」
「うむ、ラグナロクが独り立ちしたあとに生まれた弟ならば、会うこともあまりなかったかもな。そこは憶測でしかないが」
大祖父様も同じように思ったらしく、俺に同調する。あくまでも俺達の勝手な推察でしかないから調査は必要だけど。
「ともかく、これで大賢者殿の弟関係で調査が絞れそうだ。漠然としたものから範囲が狭められたから、幾分か楽だろう」
リオライトおじ様の言葉にウラノス義父様も頷く。確かに範囲が絞られれば労力も少なくてすむ。
「そうだね。では陛下、引き続きヴァルハラ大公家の影を動かしますから、王家の影もお借りしてよろしいですよね?」
「うむ。カイリ達をそのまま引き継がせよう。獣人国の王妃殿関係もルドヴィカの番い関係も一段落しただろうしの。リュウギ、その辺りの采配は任せる」
「畏まりました」
こうして報告と調査の件がすんだので、俺達は大祖父様達にお礼を告げて王城を出た。
来たときの馬車に乗ってヴァルハラ大公家に戻る。そこで着替えをしたら再び獣人国に向かう予定だ。
気づけば何だかんだと陽が傾いてきている。馬車に揺られながら、暗くなる前には獣人国に戻れそうだなとぼんやりと考えていると、アークが耳元で囁いた。
「ノア、獣人国に戻る前にちょっと……な?」
「!?!?」
艶っぽい吐息混じりの声で告げられて、ドキッとする。
──うん、散々イチャイチャ言ってたから、さすがの俺でも分かるよ。
「──うん」
ここは肯定しかないよね。
チラッと向かい側に座っているウラノス義父様を見れば、意味深に微笑んでいる。絶対分かってるよね、これ!
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