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連載
閑話 対クリリン用エレフ特製茨の檻の巻(本編には影響ありません)
◇◇◇sideリュウギ
これは本日やらかした竜王陛下ことクリカラ様のちょっとした未来のお話。
竜王陛下の側近の一人であるリュウギは、最近の陛下の暴走具合に頭を痛めていた。
少し前まではヴァルハラ大公家の三男であるアルカンシエル様を溺愛していて、ことあるごとに突進していったり、何でもない日に贈り物を贈ったり(もちろん陛下の私財からだ)していたのだが……
「ノアちゃん、今頃何をしているのかなぁ」
「何処かの迷宮に潜っているんじゃないですか?」
政務の間もノアちゃんノアちゃんと気もそぞろなときが増えた。
ノアちゃんとはアルカンシエル様が最近番った好一対。アルカンシエル様の溺愛もすごいが竜王陛下も彼を大変気に入り、実の孫のような可愛いがりぶりだ。
何かあればいつものように猪突猛進状態で突っ込んでいくので、ノア様は毎回兎のようにぴるぴる震えてアルカンシエル様がブチ切れることが多々あり、これが悩みのタネだったのだが──
《おう、頼まれたモノを持ってきたぞ》
「あ、ありがとうございます、精霊王様!」
本日、ついに対竜王陛下の秘密道具が届いた。
何を隠そう、この前、精霊王様と会う機会があったときにちょっと依頼をしていたのだ。
今、ここにいるダンダリアンを捕らえている茨の檻。それを竜王陛下用に改良してもらったのだ。これがあれば、せめて足止めくらいにはなるはず。
ちょうど休憩時間だと言ってお茶を飲み始めた陛下を確認してから、隣の応接室に精霊王様と移動する。
《一応な、蔓をかなり頑丈にして拘束するスピードも最速にした。あとはクリリンも魔力は相当のものだから、遠慮なく魔力を吸収して魔石に変換するようにしたからな》
「念のためにお尋ねしますが、魔力枯渇で死にかけるなんてことはないですよね?」
さすがに動けなくなるほど疲弊されては困る。ちょっと怠いくらいでいいのだ。
そう聞くと笑って応える精霊王様。
《大丈夫だよ。せいぜいが一日食事抜きで空腹で動けないくらい。まあ微調整できるからいつでも声をかけてくれ》
「分かりました。ありがとうございます」
そんなことを言っている間に休憩時間が終わり、精霊王様と執務室に戻る。
一息ついた竜王陛下のそばに行くと、おもむろに精霊王様が陛下の頭に品種改良した茨の檻の種を乗せた。
「うん? 何じゃ?」
《我からクリリンに贈り物だよ。これからはあまりノアを驚かせるなよ》
「は?」
精霊王様がパチンと指を鳴らすと、種はあっと言う間に蔓を伸ばして陛下の後頭部で縛られた髪留めに絡みついた。
「……精霊王殿、これはもしや……」
《うむ。其方の暴走抑止の魔性植物だよ。これは危険を察知するとダンダリアンのように絡みついて檻になったり魔力を魔石に変換するからの》
「むむ、それはそれで助かるが……これは取り外せないのかの?」
《移動はできるが、基本は離れられん。我が命ずれば離れると思うが》
いやいや、内容を知っても構わないんですか、陛下。いいんですか、それで。我々は助かるが。
「いやなに、風呂や寝るときにここについたままだと洗ったり寝たりしづらいだろう。でもそれならば安心だな」
そう言って何やらその魔性植物に話しかけている陛下。まあ受け入れてもらえてよかったが。
《まあしばらくは様子見で。たまに見に来るからな。ではこれで、またの》
「ありがとうございます」
ひとまずよかった。
精霊王様が還ったあともしばらくブツブツと呟いていた陛下だったが、気が済んだのかにっこり笑って執務を再開したので自分も仕事に戻る。
それからしばらくは平和だったが、何かの用事のついでだとノア様が陛下に会いに来られた。
そのとき以前のように暴走した陛下を茨の檻が蔓で拘束し、これは上手くいったか!? と喜んだのも束の間。
何と陛下は力ずくで蔓を引きちぎった。
「……嘘だろう?」
しかし魔性植物も負けてはいない。驚異の再生力で再び拘束、からの陛下の力技での蔓破壊。
我らが唖然とする中、幾度目かの攻防の末に最終的に魔性植物の方が折れて決着が付いたようである。
「がっはっは! だから言ったであろう。儂の勝ちじゃから拘束はほどほどにするように。代わりに儂の魔力をお主に分け与えよう。それでお主も成長するだろう?」
「いやいや、あんた、何言ってんですか。相手は魔性植物ですよ、意思疎通できないでしょ!?」
「え? 普通に分かるけど?」
「……は?」
聞き間違いかな。私、相当疲れてる?
「こうな、頭の中で会話できとるのよ。さすがは精霊王様の魔性植物! ちなみに愛称はマッショーだ」
「んな訳あるかーい! そんでもって魔性植物だからマッショーってことだろう、安直すぎるわ!!!」
「はっはっは」
「……どうでもいい情報だな」
私の突っ込みは流され、ノア様は興味津々で陛下と魔性植物を見ている。アルカンシエル様は呆れているな。
陛下とノア様は魔性植物ことマッショーの話題で盛り上がり、平和的ではあったからいいのか?
楽しそうな二人と複雑そうな顔のその他の面々を見渡し、暴走抑止のためのもう幾つか別の手段を考えておこうと思う私だった。
※はい、くだらない閑話でした。すみません、疲れてまして、頭が働きません。
笑って流して下さいませ。
これは本日やらかした竜王陛下ことクリカラ様のちょっとした未来のお話。
竜王陛下の側近の一人であるリュウギは、最近の陛下の暴走具合に頭を痛めていた。
少し前まではヴァルハラ大公家の三男であるアルカンシエル様を溺愛していて、ことあるごとに突進していったり、何でもない日に贈り物を贈ったり(もちろん陛下の私財からだ)していたのだが……
「ノアちゃん、今頃何をしているのかなぁ」
「何処かの迷宮に潜っているんじゃないですか?」
政務の間もノアちゃんノアちゃんと気もそぞろなときが増えた。
ノアちゃんとはアルカンシエル様が最近番った好一対。アルカンシエル様の溺愛もすごいが竜王陛下も彼を大変気に入り、実の孫のような可愛いがりぶりだ。
何かあればいつものように猪突猛進状態で突っ込んでいくので、ノア様は毎回兎のようにぴるぴる震えてアルカンシエル様がブチ切れることが多々あり、これが悩みのタネだったのだが──
《おう、頼まれたモノを持ってきたぞ》
「あ、ありがとうございます、精霊王様!」
本日、ついに対竜王陛下の秘密道具が届いた。
何を隠そう、この前、精霊王様と会う機会があったときにちょっと依頼をしていたのだ。
今、ここにいるダンダリアンを捕らえている茨の檻。それを竜王陛下用に改良してもらったのだ。これがあれば、せめて足止めくらいにはなるはず。
ちょうど休憩時間だと言ってお茶を飲み始めた陛下を確認してから、隣の応接室に精霊王様と移動する。
《一応な、蔓をかなり頑丈にして拘束するスピードも最速にした。あとはクリリンも魔力は相当のものだから、遠慮なく魔力を吸収して魔石に変換するようにしたからな》
「念のためにお尋ねしますが、魔力枯渇で死にかけるなんてことはないですよね?」
さすがに動けなくなるほど疲弊されては困る。ちょっと怠いくらいでいいのだ。
そう聞くと笑って応える精霊王様。
《大丈夫だよ。せいぜいが一日食事抜きで空腹で動けないくらい。まあ微調整できるからいつでも声をかけてくれ》
「分かりました。ありがとうございます」
そんなことを言っている間に休憩時間が終わり、精霊王様と執務室に戻る。
一息ついた竜王陛下のそばに行くと、おもむろに精霊王様が陛下の頭に品種改良した茨の檻の種を乗せた。
「うん? 何じゃ?」
《我からクリリンに贈り物だよ。これからはあまりノアを驚かせるなよ》
「は?」
精霊王様がパチンと指を鳴らすと、種はあっと言う間に蔓を伸ばして陛下の後頭部で縛られた髪留めに絡みついた。
「……精霊王殿、これはもしや……」
《うむ。其方の暴走抑止の魔性植物だよ。これは危険を察知するとダンダリアンのように絡みついて檻になったり魔力を魔石に変換するからの》
「むむ、それはそれで助かるが……これは取り外せないのかの?」
《移動はできるが、基本は離れられん。我が命ずれば離れると思うが》
いやいや、内容を知っても構わないんですか、陛下。いいんですか、それで。我々は助かるが。
「いやなに、風呂や寝るときにここについたままだと洗ったり寝たりしづらいだろう。でもそれならば安心だな」
そう言って何やらその魔性植物に話しかけている陛下。まあ受け入れてもらえてよかったが。
《まあしばらくは様子見で。たまに見に来るからな。ではこれで、またの》
「ありがとうございます」
ひとまずよかった。
精霊王様が還ったあともしばらくブツブツと呟いていた陛下だったが、気が済んだのかにっこり笑って執務を再開したので自分も仕事に戻る。
それからしばらくは平和だったが、何かの用事のついでだとノア様が陛下に会いに来られた。
そのとき以前のように暴走した陛下を茨の檻が蔓で拘束し、これは上手くいったか!? と喜んだのも束の間。
何と陛下は力ずくで蔓を引きちぎった。
「……嘘だろう?」
しかし魔性植物も負けてはいない。驚異の再生力で再び拘束、からの陛下の力技での蔓破壊。
我らが唖然とする中、幾度目かの攻防の末に最終的に魔性植物の方が折れて決着が付いたようである。
「がっはっは! だから言ったであろう。儂の勝ちじゃから拘束はほどほどにするように。代わりに儂の魔力をお主に分け与えよう。それでお主も成長するだろう?」
「いやいや、あんた、何言ってんですか。相手は魔性植物ですよ、意思疎通できないでしょ!?」
「え? 普通に分かるけど?」
「……は?」
聞き間違いかな。私、相当疲れてる?
「こうな、頭の中で会話できとるのよ。さすがは精霊王様の魔性植物! ちなみに愛称はマッショーだ」
「んな訳あるかーい! そんでもって魔性植物だからマッショーってことだろう、安直すぎるわ!!!」
「はっはっは」
「……どうでもいい情報だな」
私の突っ込みは流され、ノア様は興味津々で陛下と魔性植物を見ている。アルカンシエル様は呆れているな。
陛下とノア様は魔性植物ことマッショーの話題で盛り上がり、平和的ではあったからいいのか?
楽しそうな二人と複雑そうな顔のその他の面々を見渡し、暴走抑止のためのもう幾つか別の手段を考えておこうと思う私だった。
※はい、くだらない閑話でした。すみません、疲れてまして、頭が働きません。
笑って流して下さいませ。
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