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連載
640 久しぶりの冒険者ギルド
あのあと向かった宿『火の鳥』でちょうどダブルの一室が空いていたので、俺達はとりあえず一週間分を前払いした。
「これからちょっと冒険者ギルドに行ってくるから、夕飯はいらない」
「畏まりました。お気を付けて」
俺達は宿主に声をかけてから冒険者ギルドに向かう。
「ギルドの帰りに食事処に寄るか。時間的にはちょうどいいだろう」
「賛成! 魔人国は暑いから料理も変わってて楽しみなんだよね。前回も色々と食べたけど、ギギ達の実家の果物も美味しくて」
アークの提案に俺は一も二もなく即答する。熱々の料理も美味しいし、スパイシーで辛いけど旨味のある料理も多い。果物も豊富だからか飲み物やデザートなどの甘味もたくさんある。
「今日は顔見せだけでしょ。早く終わらせて美味しいご飯食べに行こうね」
「ふっ、ああ、そうだな」
わくわくしてアークにそう言えば、思わずという感じで笑われた。あれ、もしかして食いしん坊だって思われた? いつもはヴァンに言う台詞だけど今回は置いてきたから、俺の食い意地がバレてる?
「うう、アークに食いしん坊だって笑われた」
そう言って項垂れれば、アークが更に笑う。
「それはまあ、そうなんだけど。いや、いつものノアでホッとしたというか。最近はストレス溜まっていただろう? それが自然体に戻ったという感じがしてよかったなと」
アークにそう言われて、最近は特に自分のことは後回しにしていたなと思い返す。
自分では気づいていなかったけど、周りばかり見ていて自分のことを疎かにしていたんだろう。
確かに色々錬成したり、息つく暇もないくらいたくさんのことがあって。でもそういうことも含めて楽しかったから気づかなかった。
それがこの前の箍が外れた状態のアレで。
あれからちょっと落ち着いて、自分のためにしたいこと、甘えることを思い出してアークにベッタリだったし。
……うおお、思い返すと恥ずかしい!
「もちろん、これからもどんどん甘えて頼ってくれていいんだぜ。そうして最終的に俺なしじゃ生きていけないってなったら最高だな」
「ぅえっ!? や、だから前に監禁はダメって、軟禁くらいにしてって言ったよね!」
「ああ、軟禁は容認してくれるんだっけな」
引き篭もり体質だから軟禁は許すけど、純粋な竜人であるアークが言うとシャレになんないから、監禁は止めてね!
俺がわたわたしているのを見てまた笑うアーク。
俺はアークが好きだから、もうすでにアークなしじゃ生きていけないって思ってるけどね。
だからアーク、「死が二人を別つまで、いや死んでも離さない」って言った言葉の責任は取ってね。
心の中でそう言いつつ、アークと行き慣れた冒険者ギルドへの道を歩いて行くのだった。
……で、着いたわけなんだけど。
「……ここで合ってるよね?」
「合ってる、はずだよな」
着いてすぐに壁に掲げてある看板を二度見三度見したけど、間違いない。冒険者ギルドである。
だけど、外観の色が違う。
前はキツいピンク色の外壁で、前ギルマスの趣味だと聞いた。有事の際に目立った方がいいとか何とか聞いたが、内心で「アレはないわ~」とか思ってたんだよね。
でも今は爽やかなアクアマリン色。冒険者ギルドに似つかわしくない、清潔感溢れる色彩だった。見た目的にも涼しそう。
「カフカの趣味かな?」
「ギルド職員達からのアンケートで決まった色ですよ」
「へーそうなんだ」
建物を見上げながら呟けば、即座に返ってきた応えに俺は棒読みで返す。
「相変わらず反応が薄いですねぇ。揶揄い甲斐のない方々でつまらないです」
「いや、お前の気配分かるし」
「──ッチ」
アークが言った言葉に嫌そうな顔を隠しもせずに舌打ちするラミエルに、俺達は笑う。
「久しぶりだな、ラミエル。カフカはいるか?」
「ええ、執務室でお待ちですよ。ご案内致しますので、どうぞこちらへ」
おそらく俺達の気配を察知して先回りしたんだろうけど、相変わらず影からヌッと現れて驚かそうとするラミエルに笑みが溢れる。
「全く、大概は驚くからそれを楽しみにしているのにこの二人は──」
前回も同じことをしてスルーされてるのに懲りないな。
※遅れました。書き上がったので中途半端な時間ですが更新します。
「これからちょっと冒険者ギルドに行ってくるから、夕飯はいらない」
「畏まりました。お気を付けて」
俺達は宿主に声をかけてから冒険者ギルドに向かう。
「ギルドの帰りに食事処に寄るか。時間的にはちょうどいいだろう」
「賛成! 魔人国は暑いから料理も変わってて楽しみなんだよね。前回も色々と食べたけど、ギギ達の実家の果物も美味しくて」
アークの提案に俺は一も二もなく即答する。熱々の料理も美味しいし、スパイシーで辛いけど旨味のある料理も多い。果物も豊富だからか飲み物やデザートなどの甘味もたくさんある。
「今日は顔見せだけでしょ。早く終わらせて美味しいご飯食べに行こうね」
「ふっ、ああ、そうだな」
わくわくしてアークにそう言えば、思わずという感じで笑われた。あれ、もしかして食いしん坊だって思われた? いつもはヴァンに言う台詞だけど今回は置いてきたから、俺の食い意地がバレてる?
「うう、アークに食いしん坊だって笑われた」
そう言って項垂れれば、アークが更に笑う。
「それはまあ、そうなんだけど。いや、いつものノアでホッとしたというか。最近はストレス溜まっていただろう? それが自然体に戻ったという感じがしてよかったなと」
アークにそう言われて、最近は特に自分のことは後回しにしていたなと思い返す。
自分では気づいていなかったけど、周りばかり見ていて自分のことを疎かにしていたんだろう。
確かに色々錬成したり、息つく暇もないくらいたくさんのことがあって。でもそういうことも含めて楽しかったから気づかなかった。
それがこの前の箍が外れた状態のアレで。
あれからちょっと落ち着いて、自分のためにしたいこと、甘えることを思い出してアークにベッタリだったし。
……うおお、思い返すと恥ずかしい!
「もちろん、これからもどんどん甘えて頼ってくれていいんだぜ。そうして最終的に俺なしじゃ生きていけないってなったら最高だな」
「ぅえっ!? や、だから前に監禁はダメって、軟禁くらいにしてって言ったよね!」
「ああ、軟禁は容認してくれるんだっけな」
引き篭もり体質だから軟禁は許すけど、純粋な竜人であるアークが言うとシャレになんないから、監禁は止めてね!
俺がわたわたしているのを見てまた笑うアーク。
俺はアークが好きだから、もうすでにアークなしじゃ生きていけないって思ってるけどね。
だからアーク、「死が二人を別つまで、いや死んでも離さない」って言った言葉の責任は取ってね。
心の中でそう言いつつ、アークと行き慣れた冒険者ギルドへの道を歩いて行くのだった。
……で、着いたわけなんだけど。
「……ここで合ってるよね?」
「合ってる、はずだよな」
着いてすぐに壁に掲げてある看板を二度見三度見したけど、間違いない。冒険者ギルドである。
だけど、外観の色が違う。
前はキツいピンク色の外壁で、前ギルマスの趣味だと聞いた。有事の際に目立った方がいいとか何とか聞いたが、内心で「アレはないわ~」とか思ってたんだよね。
でも今は爽やかなアクアマリン色。冒険者ギルドに似つかわしくない、清潔感溢れる色彩だった。見た目的にも涼しそう。
「カフカの趣味かな?」
「ギルド職員達からのアンケートで決まった色ですよ」
「へーそうなんだ」
建物を見上げながら呟けば、即座に返ってきた応えに俺は棒読みで返す。
「相変わらず反応が薄いですねぇ。揶揄い甲斐のない方々でつまらないです」
「いや、お前の気配分かるし」
「──ッチ」
アークが言った言葉に嫌そうな顔を隠しもせずに舌打ちするラミエルに、俺達は笑う。
「久しぶりだな、ラミエル。カフカはいるか?」
「ええ、執務室でお待ちですよ。ご案内致しますので、どうぞこちらへ」
おそらく俺達の気配を察知して先回りしたんだろうけど、相変わらず影からヌッと現れて驚かそうとするラミエルに笑みが溢れる。
「全く、大概は驚くからそれを楽しみにしているのにこの二人は──」
前回も同じことをしてスルーされてるのに懲りないな。
※遅れました。書き上がったので中途半端な時間ですが更新します。
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