拾われた俺、最強のスパダリ閣下に全力で溺愛されてます 迷い子の月下美人

エウラ

文字の大きさ
593 / 638
連載

640 久しぶりの冒険者ギルド

あのあと向かった宿『火の鳥』でちょうどダブルの一室が空いていたので、俺達はとりあえず一週間分を前払いした。

「これからちょっと冒険者ギルドに行ってくるから、夕飯はいらない」
「畏まりました。お気を付けて」

俺達は宿主に声をかけてから冒険者ギルドに向かう。

「ギルドの帰りに食事処に寄るか。時間的にはちょうどいいだろう」
「賛成! 魔人国は暑いから料理も変わってて楽しみなんだよね。前回も色々と食べたけど、ギギ達の実家の果物も美味しくて」

アークの提案に俺は一も二もなく即答する。熱々の料理も美味しいし、スパイシーで辛いけど旨味のある料理も多い。果物も豊富だからか飲み物やデザートなどの甘味もたくさんある。

「今日は顔見せだけでしょ。早く終わらせて美味しいご飯食べに行こうね」
「ふっ、ああ、そうだな」

わくわくしてアークにそう言えば、思わずという感じで笑われた。あれ、もしかして食いしん坊だって思われた? いつもはヴァンに言う台詞だけど今回は置いてきたから、俺の食い意地がバレてる?

「うう、アークに食いしん坊だって笑われた」

そう言って項垂れれば、アークが更に笑う。

「それはまあ、そうなんだけど。いや、いつものノアでホッとしたというか。最近はストレス溜まっていただろう? それが自然体に戻ったという感じがしてよかったなと」

アークにそう言われて、最近は特に自分のことは後回しにしていたなと思い返す。
自分では気づいていなかったけど、周りばかり見ていて自分のことを疎かにしていたんだろう。
確かに色々錬成したり、息つく暇もないくらいたくさんのことがあって。でもそういうことも含めて楽しかったから気づかなかった。

それがこの前の箍が外れた状態のアレで。

あれからちょっと落ち着いて、自分のためにしたいこと、甘えることを思い出してアークにベッタリだったし。

……うおお、思い返すと恥ずかしい!

「もちろん、これからもどんどん甘えて頼ってくれていいんだぜ。そうして最終的に俺なしじゃ生きていけないってなったら最高だな」
「ぅえっ!? や、だから前に監禁はダメって、軟禁くらいにしてって言ったよね!」
「ああ、軟禁は容認してくれるんだっけな」

引き篭もり体質だから軟禁は許すけど、純粋な竜人であるアークが言うとシャレになんないから、監禁は止めてね!

俺がわたわたしているのを見てまた笑うアーク。
俺はアークが好きだから、もうすでにアークなしじゃ生きていけないって思ってるけどね。
だからアーク、「死が二人を別つまで、いや死んでも離さない」って言った言葉の責任は取ってね。

心の中でそう言いつつ、アークと行き慣れた冒険者ギルドへの道を歩いて行くのだった。

……で、着いたわけなんだけど。

「……ここで合ってるよね?」
「合ってる、はずだよな」

着いてすぐに壁に掲げてある看板を二度見三度見したけど、間違いない。冒険者ギルドである。

だけど、外観の色が違う。
前はキツいピンク色の外壁で、前ギルマスの趣味だと聞いた。有事の際に目立った方がいいとか何とか聞いたが、内心で「アレはないわ~」とか思ってたんだよね。

でも今は爽やかなアクアマリン色。冒険者ギルドに似つかわしくない、清潔感溢れる色彩だった。見た目的にも涼しそう。

「カフカの趣味かな?」
「ギルド職員達からのアンケートで決まった色ですよ」
「へーそうなんだ」

建物を見上げながら呟けば、即座に返ってきた応えに俺は棒読みで返す。

「相変わらず反応が薄いですねぇ。揶揄い甲斐のない方々でつまらないです」
「いや、お前の気配分かるし」
「──ッチ」

アークが言った言葉に嫌そうな顔を隠しもせずに舌打ちするラミエルに、俺達は笑う。

「久しぶりだな、ラミエル。カフカはいるか?」
「ええ、執務室でお待ちですよ。ご案内致しますので、どうぞこちらへ」

おそらく俺達の気配を察知して先回りしたんだろうけど、相変わらず影からヌッと現れて驚かそうとするラミエルに笑みが溢れる。

「全く、大概は驚くからそれを楽しみにしているのにこの二人は──」

前回も同じことをしてスルーされてるのに懲りないな。










※遅れました。書き上がったので中途半端な時間ですが更新します。
感想 1,584

あなたにおすすめの小説

(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。

キノア9g
BL
気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。 木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。 色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。 ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。 捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。 彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。 少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──? 騎士×妖精 ※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

人気アイドルの俺、なぜかメンバー全員に好かれてます

七瀬
BL
デビュー4年目の人気アイドルグループ「ECLIPSE(エクリプス)」に所属する芹沢 美澄(せりざわみすみ)は、昔からどこか抜けていてマイペースな性格。 歌もダンスも決して一番ではないはずなのに、なぜかファンからもメンバーからも目を離されない存在だった。 世話焼きな幼なじみ、明るく距離の近い同い年、しっかり者で面倒見のいい年上、掴みどころのない自由人、そして無言で隣にいるリーダー——。 気づけば、美澄の周りにはいつも誰かがいて、当たり前のように甘やかされていく。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? 表紙は自作です(笑) もっちもっちとセゥスです!(笑)

『お前の針仕事など誰でもできる』——なら社交界のドレスの裏地を、めくってごらんなさい

歩人
ファンタジー
「地味な針仕事しかできない令嬢は要らない」——公爵家の嫡男にそう言い渡された伯爵令嬢ティナは、 裁縫道具だけを持って屋敷を出た。その翌週、社交界が凍りつく。王妃の夜会服も、公爵令嬢の舞踏会 ドレスも、第一王女の外交用ローブも——仕立てた職人が消えたのだ。しかもティナが十年かけて縫った 全てのドレスの裏地には、二重縫いで隠された署名が残されていて——。 辺境の小さな仕立て屋で穏やかに暮らすティナの元に、王都から使者がやってくる。

異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします

み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。 わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!? これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。 おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。 ※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。 ★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★ ★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!一肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。