拾われた俺、最強のスパダリ閣下に全力で溺愛されてます 迷い子の月下美人

エウラ

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641 おおよそ予想通り

冒険者ギルド内に足を踏み入れると、配置こそ変わらないが中の壁は新緑色に塗り替えられていて、木の温もりが優しい感じのカウンターテーブルや椅子などと合うオシャレなカフェのようになっている。

「お、おお……すごい。冒険者ギルドじゃないみたいだ」

その変わりように呆然とする俺だが、カウンターの受付場所やら解体場所やらには依頼を終えた冒険者達で溢れていて、内装とは真逆で酷く違和感がある。

でもよく見る荒くれ者の冒険者や大騒ぎをする粗野な冒険者などの姿はあまり見かけない。

「これも職員達の意見でか?」
「そうですね。最終決定はもちろんギルマスですが、おおむねこのような系統の色が希望されてました」

アークがラミエルに聞くと、そう返事が返ってきた。

「でも分かる気がする。緑とか青系って心を落ち着かせて冷静にさせる色らしいよ。反対に赤系は攻撃性が増すらしい。気合いを入れるのにはいいかもしれないけど興奮しちゃうと色々とね」
「……ああ、冒険者が興奮すると大変だよな」

ただでさえ攻撃的な冒険者が更にヤバいことになっちゃうもんね。それで言ったら前回のドピンクはやっぱりよくなかったんだな。

「あとはまあ、壁塗り替えの費用がそこそこかかってますので、破損などあったらギルマスが、ね」
「怒らせると怖いよね」

カフカの怖さはこれまでの前ギルマスへの制裁で周知されているからね。睨まれただけで動けなくなりそう。
まあカフカの場合は睨む前に先に手が出るだろうけど。

そんな感じでわりと品行方正な冒険者達の列を縫って進むラミエル。ラミエルも通りがけに避けられているから、こっちも怖い人認知されているんだろう。
ギルドのトップツーが舐められていなくてよかった。

ラミエルはカフカのいるギルマスの執務室に俺達を案内すると、ノックと同時に扉を開く。

「ラミエル、返事を待ってから開けなさい」
「どうせ誰が来たか分かってるんですからいいでしょう」

執務室に書類の山を築いているカフカが顔を上げて溜め息をつく。

「本音と立て前! ──こほん。ようこそいらっしゃいました、アルカンシエル殿にノア殿。どうぞソファにおかけください。本日はフェンリルのヴァン殿はご一緒じゃないので?」
「スラスラと立て前の口上ありがとう。いつも通りにしてくれ。ヴァンは後発隊にいる。あと数日で来るんじゃないかな」

カフカが書類の山の上に今しがた終わらせた書類を置くと、席を立ってこちらに歩いてきて俺達にソファを勧めた。ラミエルはお茶を淹れている。

アークはアルカイックスマイルでサラッと受け流し、普段通りにしろと突っ込む。『箱庭の迷宮』事件で散々素が出てたから、今更だよね。

「まあいい。それで? まどろっこしいのは面倒だし時間の無駄だ。単刀直入に聞く。俺達にどうしてほしいんだ」

カフカが渋い顔で聞いてくる。俺はラミエルが淹れてくれたお茶を飲み、アークはニヤリと笑った。

「どうせ二人で独自に調査しているんだろう? 俺達はその情報がほしい」
「うわ、マジかよ、やっぱりそうじゃん! この間の通信で匂わせといて、俺達に探らせやがって!」

──ん?

「匂わせ?」
「ああ、そうだよ。意味深に言うから、こっちが気になり勝手に情報収集してたんだよ。おかげであらかたの内容は分かった。それが目的だったろう!」

俺が首を傾げるとカフカはブスッとしながらそう言った。アークを見るとにっこり笑うだけで否定も肯定もしない。ということは合ってるんだろう。
やっぱりそういうところはアークが上手いよね。助かる。

俺はにこにこと笑い、ラミエルは貼り付けたような愛想笑いの読めない表情でお茶のお代わりを淹れてくれる。

ヴァンかルドヴィカがいれば『何このカオスな空間』とツッコミが入るだろう。だがあいにくここには誰もツッコミ役はいなかった。

「じゃあ、その情報とやらを教えてもらおうか」

アークは相変わらずニヤリと笑い、カフカは更に渋い顔になる。

「……そちらもきちんと情報を寄越せよ」
「もちろん」

こうして俺達はようやくお互いの情報を教え合うことになる。











※午前中に一話更新済みで、本日二度目の更新です。ご注意ください。
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