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連載
646 ギギルル兄弟 2
あれから二〇分ほど経った頃、俺達の番になった。
「待たせたな、席に案内するぜ」
そう言ってひょこっと顔を出したギギを
しっかりと観察する。
ギギは生成りで襟なしのVネックの半袖シャツに黒い七分丈のパンツ、足元はベージュ色のサンダルを履いている。そして腰から膝上の丈の黒いカフェエプロン姿。
残念、フリルのエプロン姿じゃなかった。
ちょっとガッカリしつつギギのあとを付いていった。アークは俺のテンションがちょっと下がったのに気づいて、苦笑しながら頭をポンポンと撫でてきた。
別にそんなにガッカリしていないよ。大丈夫。あとで何を言われようとフリフリエプロン作って贈っちゃうからね。
「この店、食事は夕方から夜だけしかやってないんだけど、いつも大盛況でさ。ありがたいんだけど忙しくて」
見ると奥の方の四人席が一つ空いていて、そこに案内がてらギギがそう教えてくれる。
「夜だけって、じゃあ昼はこの店、どうしてるの?」
俺が疑問に思って聞いたら、ギギはニカッと笑った。
「昼間は店先でノアの考案したジェラートとかジュースを販売しているんだ。最初は店の中で食べるようにしてたんだけど、やっぱり大変でさ」
「そうなんだよ。従業員も目を回す忙しさで倒れそうだったし。だから昼は売り上げよりも体調第一に余裕を持ってやろうってことになって」
席に着いたとき、ギギのあとからルルが来てそう言った。
「あ、久しぶり、ルル」
「うん、ノアもアークも変わりなくて元気そう。さあ、好きなメニューを頼んで食べていってね」
「うん。まずはオススメを頼んでいい?」
そう言って聞けば、猪豚の煮込み料理がオススメだと言われて一も二もなく注文する。あとは果実のジュース。アークはワインを頼んでいる。
「ギギ達のオススメ料理をいくつか頼む。外まで匂ってきた香辛料の料理も美味そうだ」
「おう、任せとけ! じゃあまたあとでな」
注文を受けてギギルル兄弟が厨房に向かっていくのを見て、その厨房の方にチラッとクルール達が見えて思わず手を振る。
「あっ、クルール達がいる。お手伝いしてるのかな?」
俺に気づいたクルール達が、器用に料理のお皿を風魔法で運びながら近寄ってきた。途中で注文した席にふんわりと置いている。
そして運んでいた料理を全て配膳し終えてから俺達のところにてちてちとやってきて抱きついた。
『お帰りなさい、ママ、パパ』
「──ただいま、紫、黄、緑」
「おう、ただいま。元気そうだな」
ほわああ、可愛いー!
ぎゅってしがみついて『ママ、パパ』なんて呼んでくれて幸せだ!
俺が目を閉じてジーンと感動していると、店内が何やら静まり返っているのに気づく。
「ん?」
目を開けて辺りを見回すと、こっちをガン見して固まっているお客さん達。何?
俺が首を傾げていると、アークが苦笑しながら気にするなと言うのでとりあえず放置する。
そこに飲み物と酒のつまみになりそうな匂いの唐揚げを持ってルルが来た。
「お待ちぃ。とりあえず先にこれね。ノアが以前作ってくれたコカトリスの唐揚げの漬け込みダレにレッドペッパーを加えたもので、ピリ辛だよ」
「おお、そういえばギルファームは香辛料も作っているもんね」
野菜と果物の他にも調味料になりそうな植物もたくさん育てていたっけ。
「そうそう。暑い国だから逆にこう辛いものとか刺激が欲しくなるんだよね。それでパーッと汗かいて酒が進む……ふふふ」
何やらルルが含みのある笑いをしている。あれか、酒と料理の無限ループで儲かるぞってことかな。
まあ実家に利益が出るならいいよね。
「そういえば残りのクルール達、橙と赤は農園の方でお留守番?」
「うん。アッチはアッチで収穫に忙しいからね。でも二人だけでもかなり楽だよ」
それならばよかった。
「とりあえずクルール達も閉店までは頑張って手伝ってくれな。頼りにしてるから」
『あい』
『はい』
『もちろん!』
俺から離れて、ヴィオ、インディ、ヴェルデが片手をあげていい返事をすると厨房の方へ戻っていった。
「ああ……癒しがぁ」
「ノア、あとで俺がたくさん癒してやるから」
「うん」
シュンとする俺を慰めるアークを見てルルが笑う。
「どうせ明日はギルファームに来るんでしょ? 皆で待ってるから、今夜はウチで美味しいもの食べて楽しんで」
「そうだった、うん、明日行くね」
ルルに言われて思い出す。そのために魔人国に来たんだった。
明日行けば、またクルール達にも会えるもんね。
いつの間にか店内にざわめきが戻っていて、次々と運ばれる料理に舌鼓を打ちながら食事を楽しむ。
「美味しかった」
「そうだな。食事も酒も進む味付けで美味かった。じゃあ宿に戻るか」
「うん。ふああ、お腹いっぱいで眠くなってきちゃった」
陽気な空気で美味しいものを食べて気が緩んだかな。
「抱き上げて運んでやろうか?」
「うん、お願いします」
アークがちょうどふざけた調子でそう言うので俺もふざけて言い返したら、アークは嬉しそうに笑って俺をヒョイッと縦抱っこした。
「この調子でいくらでも甘えてくれ」
「ぅ、ガンバリマス」
アークにとっては冗談じゃなかったみたい。
蕩けるような笑みでぎゅうっと抱きしめられて恥ずかしくなった俺は、宿に着くまでずっとアークにしがみ付いて顔を隠していたのだった。
「待たせたな、席に案内するぜ」
そう言ってひょこっと顔を出したギギを
しっかりと観察する。
ギギは生成りで襟なしのVネックの半袖シャツに黒い七分丈のパンツ、足元はベージュ色のサンダルを履いている。そして腰から膝上の丈の黒いカフェエプロン姿。
残念、フリルのエプロン姿じゃなかった。
ちょっとガッカリしつつギギのあとを付いていった。アークは俺のテンションがちょっと下がったのに気づいて、苦笑しながら頭をポンポンと撫でてきた。
別にそんなにガッカリしていないよ。大丈夫。あとで何を言われようとフリフリエプロン作って贈っちゃうからね。
「この店、食事は夕方から夜だけしかやってないんだけど、いつも大盛況でさ。ありがたいんだけど忙しくて」
見ると奥の方の四人席が一つ空いていて、そこに案内がてらギギがそう教えてくれる。
「夜だけって、じゃあ昼はこの店、どうしてるの?」
俺が疑問に思って聞いたら、ギギはニカッと笑った。
「昼間は店先でノアの考案したジェラートとかジュースを販売しているんだ。最初は店の中で食べるようにしてたんだけど、やっぱり大変でさ」
「そうなんだよ。従業員も目を回す忙しさで倒れそうだったし。だから昼は売り上げよりも体調第一に余裕を持ってやろうってことになって」
席に着いたとき、ギギのあとからルルが来てそう言った。
「あ、久しぶり、ルル」
「うん、ノアもアークも変わりなくて元気そう。さあ、好きなメニューを頼んで食べていってね」
「うん。まずはオススメを頼んでいい?」
そう言って聞けば、猪豚の煮込み料理がオススメだと言われて一も二もなく注文する。あとは果実のジュース。アークはワインを頼んでいる。
「ギギ達のオススメ料理をいくつか頼む。外まで匂ってきた香辛料の料理も美味そうだ」
「おう、任せとけ! じゃあまたあとでな」
注文を受けてギギルル兄弟が厨房に向かっていくのを見て、その厨房の方にチラッとクルール達が見えて思わず手を振る。
「あっ、クルール達がいる。お手伝いしてるのかな?」
俺に気づいたクルール達が、器用に料理のお皿を風魔法で運びながら近寄ってきた。途中で注文した席にふんわりと置いている。
そして運んでいた料理を全て配膳し終えてから俺達のところにてちてちとやってきて抱きついた。
『お帰りなさい、ママ、パパ』
「──ただいま、紫、黄、緑」
「おう、ただいま。元気そうだな」
ほわああ、可愛いー!
ぎゅってしがみついて『ママ、パパ』なんて呼んでくれて幸せだ!
俺が目を閉じてジーンと感動していると、店内が何やら静まり返っているのに気づく。
「ん?」
目を開けて辺りを見回すと、こっちをガン見して固まっているお客さん達。何?
俺が首を傾げていると、アークが苦笑しながら気にするなと言うのでとりあえず放置する。
そこに飲み物と酒のつまみになりそうな匂いの唐揚げを持ってルルが来た。
「お待ちぃ。とりあえず先にこれね。ノアが以前作ってくれたコカトリスの唐揚げの漬け込みダレにレッドペッパーを加えたもので、ピリ辛だよ」
「おお、そういえばギルファームは香辛料も作っているもんね」
野菜と果物の他にも調味料になりそうな植物もたくさん育てていたっけ。
「そうそう。暑い国だから逆にこう辛いものとか刺激が欲しくなるんだよね。それでパーッと汗かいて酒が進む……ふふふ」
何やらルルが含みのある笑いをしている。あれか、酒と料理の無限ループで儲かるぞってことかな。
まあ実家に利益が出るならいいよね。
「そういえば残りのクルール達、橙と赤は農園の方でお留守番?」
「うん。アッチはアッチで収穫に忙しいからね。でも二人だけでもかなり楽だよ」
それならばよかった。
「とりあえずクルール達も閉店までは頑張って手伝ってくれな。頼りにしてるから」
『あい』
『はい』
『もちろん!』
俺から離れて、ヴィオ、インディ、ヴェルデが片手をあげていい返事をすると厨房の方へ戻っていった。
「ああ……癒しがぁ」
「ノア、あとで俺がたくさん癒してやるから」
「うん」
シュンとする俺を慰めるアークを見てルルが笑う。
「どうせ明日はギルファームに来るんでしょ? 皆で待ってるから、今夜はウチで美味しいもの食べて楽しんで」
「そうだった、うん、明日行くね」
ルルに言われて思い出す。そのために魔人国に来たんだった。
明日行けば、またクルール達にも会えるもんね。
いつの間にか店内にざわめきが戻っていて、次々と運ばれる料理に舌鼓を打ちながら食事を楽しむ。
「美味しかった」
「そうだな。食事も酒も進む味付けで美味かった。じゃあ宿に戻るか」
「うん。ふああ、お腹いっぱいで眠くなってきちゃった」
陽気な空気で美味しいものを食べて気が緩んだかな。
「抱き上げて運んでやろうか?」
「うん、お願いします」
アークがちょうどふざけた調子でそう言うので俺もふざけて言い返したら、アークは嬉しそうに笑って俺をヒョイッと縦抱っこした。
「この調子でいくらでも甘えてくれ」
「ぅ、ガンバリマス」
アークにとっては冗談じゃなかったみたい。
蕩けるような笑みでぎゅうっと抱きしめられて恥ずかしくなった俺は、宿に着くまでずっとアークにしがみ付いて顔を隠していたのだった。
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