拾われた俺、最強のスパダリ閣下に全力で溺愛されてます 迷い子の月下美人

エウラ

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閑話 ギルファーム直営店『ファームの焔(ほむら)』の客視点

※読まずとも本編に影響はありません。



最近できた『ファームのほむら』という店名の食事処。
店自体はそんなに大きくなくて四人がけのテーブルが一〇とカウンター席に椅子が五脚。薄い水色の壁に真っ白いカーテンが付いた清潔感があり、涼しげな印象のカフェのような内装で、冒険者なんかは足を踏み入れづらい店構えだった。

昼は甘味処になるらしく最初の頃は店内で食べられたが、繁盛しすぎて手が回らなくなり店頭での販売のみに切り替えたらしい。
それでもいつもかなりの行列だが。

時間をおいて夕方五時から夜の一〇時までは食事処として営業する。こちらもスパイシーな料理が多く、大人気だ。ちなみにデザートも注文できる。昼に並んで買うにはちょっと恥ずかしいと、このときに注文して食べるヤツも多い。

夜の営業時間はAランク冒険者のギギルル兄弟が手伝いをしているせいか、爽やかな店内に似つかわしくないむさ苦しい冒険者達も気軽に食べに来ることが増えた。

何でギギルル兄弟が手伝いをしているかっていうと、この店が彼らの実家の果樹農園ギルファームの直営店だからだ。
地元のヤツらには当たり前の情報だが、他所から来た冒険者なんかはそのことを知らないから、何で給仕しているんだとざわつくけどな。

本当はもっと遅くまで営業してほしいんだが、翌日の農園の仕事があるから早く店じまいするんだろう。
それにしてもあの双子はキビキビ動くから客の回転が早くて待ち時間が少ないから助かる。

あとは小っこい猫獣人の子達がひいふう……三人も手伝いをしていて癒される。
まあ、給仕に風魔法をガンガン使っててやってることは全然可愛くないんだけどな。

地元のヤツでもこの子達とギギルル兄弟の関係性が今イチ分からなくて反応に困っていたら──

今日、店に来たノア殿とアーク殿に嬉しそうにてちてちと寄っていって爆弾発言をする猫獣人の子達に店内が静まり返った。

「……なあ、あの子達、今なんて言った?」
「ノアさんにママ、アークさんにパパって言ったように聞こえたが……?」

思わず向かい側に座る冒険者仲間のヤツに聞いてみれば、やっぱり聞き間違いじゃなかった。

「え、どういうこと? というか万が一彼らの子だとして、ギギルル兄弟のところで手伝いしてるのって、何で!?」
「いやいや、どう見ても猫獣人でノアさん達に似てないだろ。もしかして何かで引き取った猫獣人の子供達ってか?」
「それであの兄弟に預けてる? いやあ、まさかあ」

でもその線もあり得そうで俺達はしばらく混乱の渦に巻き込まれていた。
少しして料理を運んできたルル達を見てハッと我に返る。まあ、色々と考えても分からないものは分からない。とりあえず飯の続きだ。

周りもそう思ったのか、またガヤガヤと賑わいが戻った。

そこにまた聞こえた話にギョッとした。

「そういえば残りのクルール達、オランジェとルージュは農園の方でお留守番?」

……クルール? それって虹って意味だよな。そういえばあの子達の名前って色別だった。え、あと二人いるの? いやいや待て待て、虹って七色あるよな? つまり? その二人の他にもまだ二人いるのか?

周りでそれが聞こえたヤツらだけ、再び黙り込んで考えている。しかし結局意味が分からないまま食事を終えた俺達は席を立った。

店を出てからも疑問だらけでスッキリしない。

「なあ、明日、ギルドで職員に聞いてみようぜ」
「そうだな。職員なら何か知っていそうだ」
「極秘の情報とかじゃない……よな?」
「あれだけ人目に触れてるんだ、マズいことなんかないんじゃねえの?」

そんなことを話して仲間と別れ、翌朝、ギルドで聞いてみたところ、あのチビちゃん達はノアさんが錬成したゴーレムだと判明する。

「ノア殿が錬成した……ある意味生みの親ですから、ママと呼ぶのは自然かと」
「そのノア殿の番い様ですから、アルカンシエル殿がパパ呼びなのも当然ですよね」
「あー、うん。納得」

それなら可愛くないほどの魔法を使うのも分かるわ。

「元々はギルファームの収穫作業のお手伝い要員として錬成されたらしいのでギギルルさん兄弟のもとにいるわけです」
「なるほど」

これで疑問が解けてスッキリした。

「まあ、あれだけ繁盛して人手不足ですから。もしかしたらそのうち新しいゴーレムが増えているかもしれないですね」
「言えてる! ノアさんならやりそう」

わはは、うふふと声があがる。

まさかこれがフラグだったとはこのときの俺達は誰も思わなかったんだが──

しばらくして、今度は狼獣人の子達が仲間入りしていて店の防犯も兼ねているなんて聞かされて、俺達は開いた口が塞がらなくなるのだった。

ノアさんいわく、知人の番い夫夫を参考に錬成したゴーレムだとか。
あの猫獣人と同じく一五センチメートルくらいの背で魔法も力も規格外のカッコ可愛い狼獣人の子達。

耳も尻尾ももふもふ。

彼らを幸せそうにモフっているノアさん。それを隠しきれていない嫉妬の目で見つめるアークさんの姿をよく見かけるようになる。

ノアさん、いくら自分で錬成したゴーレムとはいえ、ほどほどにしないと独占欲と嫉妬の塊のアークさんに監禁されちゃいますよ。








※感想欄で頂いた妄想?をネタにしちゃいました。すみません。あと、店名出してませんでした。今更ですね。

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