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連載
653 予想通りの盛り上がり
※調子に乗りまして、本日2回目の投稿です。ご注意ください。
「お前ら、盛り上がるのはいいんだが溶けてるぞ、ジェラート」
アークの呆れた声で我に返る俺とヴィン。見ればカップのジェラートはすっかり溶け、ただのペースト状のママンゴ状態。ジュースもぬるくなってしまっていた。
「あー! せっかく並んで買ったのに……」
「あっ、ごめん。俺のせいだよね。もう一回、ノアの分も買ってくるから!」
「待って、ヴィン」
半分以上も残して無残な姿になったジェラートにしょんもりする俺を見て、ヴィンが慌てて列に並ぼうとするのを制止する。ちなみにヴィンは一口も食べていなかった。
「大丈夫。ちょっと見てて」
俺はヴィンと自分のジェラートのカップを手に取って氷と風の魔法を使う。ジェラート生産魔導具を作る前にやったやつだ。もう一度凍らせて細かく砕いていくと、あっという間にジェラートが元通り。
ついでにジュースも凍らないように気をつけて冷やしておく。
「はい。溶けないうちに食べちゃおう」
そう言ってジェラートを渡すと、ようやく席に着いたヴィンが感動したように呟いた。
「……すごいな。噂では聞いていたけど、ノアの魔法を目の前で見られるなんて──」
「噂?」
噂って何だ? 俺、噂になるようなことしてたっけ?
全く心当たりがなくて首を傾げると、ヴィンが苦笑する。
「本当に自覚ないんだな。『箱庭の迷宮』騒動とか、『ファームの焔』の料理やこのスイーツもノアが貢献しているって聞いてるぜ」
「店の料理とかジェラートはレシピを譲っただけだし、それを作る魔導具は確かに俺が錬成したけど、大したことじゃないし」
頑張って作って売ってるのもギギ達だし、俺はちょっとしか手伝ってない。だからそう言われてもピンとこない。
「……アルカンシエル、ノアっていつもこうなの? 無自覚ぽやぽやで危なくない?」
「俺のことはアークでいい。まあ、終始こんな感じだから諦めた。俺がフォローすればいいからな」
ヴィンの言葉がちょっと酷い。確かにアークにはいつも尻拭いさせていると思うけど。
「だが、こんなノアが好きだからな」
笑ってそう言い切るアークに俺は顔が熱くなる。俺もどんなアークだって大好きだよ。
こんな俺達を見て、ヴィンが眩しそうに目を細める。
「いいなぁ。俺もそんな運命の番いに憧れるよ」
「ヴィン?」
俺が声をかければ、ヴィンは少し寂しそうに呟いた。
「俺の両親はさ、運命の番いではなくて。父親のほうにあとになって運命の番いが見つかって……母は離縁されて俺と一緒に家を追い出されてさ」
「──えっ」
「母はショックでやつれちゃって、何とか魔人国に着いたときには心身ともに衰弱していて危なかったんだ」
「そ、そうなんだ」
ヴィンが急に身の上話をし始めたけど、これはラッキーでいいのか?
でもちょっと待って、内容が重い。母子二人で追い出されたの? それって運命の番いが見つかったら当たり前のことなの?
俺はなんて返せばいいのか分からなくて、困惑しながら相槌を打つに留める。
「それからは母を介護しながら俺は魔人国で冒険者になってがむしゃらに働いて、今、ようやく落ち着いて暮らしているんだけど──」
そこまで話してハッと我に返るヴィン。そんなことを言うつもりはなくて思わず口に出てしまっただけなんだろう。
言い淀んだ後、何でもないように首を振って誤魔化すように笑った。
「それで最近人気のあの店に行ったら、可愛い猫獣人の子達がいてさあ、思わず鑑定したらノアが錬成したゴーレムって分かって興奮した」
再び目をキラキラさせて熱く語り出すヴィンに苦笑する。
「それにジェラートの魔導具もノアの錬成だって聞いて、いつか会えないかなって密かに思ってたから嬉しくて!」
「うん、情熱はよく分かったから、今度こそ溶ける前にジェラート食べようね」
「あ、うん」
──こうして話をしてみると、ヴィンはいたって普通の素直な性格だと思う。苦労していそうだったし、お母さん思いの優しい子のようだし。
年齢は分からないけど、俺よりも年下かもしれない。
そしてとてもじゃないけど、進んで悪巧みをするようには見えない。
これはやっぱり主犯格は別にいて、ヴィンには犯罪に加担せざるを得ない何かしらの事情があるんじゃないか。
「お前ら、盛り上がるのはいいんだが溶けてるぞ、ジェラート」
アークの呆れた声で我に返る俺とヴィン。見ればカップのジェラートはすっかり溶け、ただのペースト状のママンゴ状態。ジュースもぬるくなってしまっていた。
「あー! せっかく並んで買ったのに……」
「あっ、ごめん。俺のせいだよね。もう一回、ノアの分も買ってくるから!」
「待って、ヴィン」
半分以上も残して無残な姿になったジェラートにしょんもりする俺を見て、ヴィンが慌てて列に並ぼうとするのを制止する。ちなみにヴィンは一口も食べていなかった。
「大丈夫。ちょっと見てて」
俺はヴィンと自分のジェラートのカップを手に取って氷と風の魔法を使う。ジェラート生産魔導具を作る前にやったやつだ。もう一度凍らせて細かく砕いていくと、あっという間にジェラートが元通り。
ついでにジュースも凍らないように気をつけて冷やしておく。
「はい。溶けないうちに食べちゃおう」
そう言ってジェラートを渡すと、ようやく席に着いたヴィンが感動したように呟いた。
「……すごいな。噂では聞いていたけど、ノアの魔法を目の前で見られるなんて──」
「噂?」
噂って何だ? 俺、噂になるようなことしてたっけ?
全く心当たりがなくて首を傾げると、ヴィンが苦笑する。
「本当に自覚ないんだな。『箱庭の迷宮』騒動とか、『ファームの焔』の料理やこのスイーツもノアが貢献しているって聞いてるぜ」
「店の料理とかジェラートはレシピを譲っただけだし、それを作る魔導具は確かに俺が錬成したけど、大したことじゃないし」
頑張って作って売ってるのもギギ達だし、俺はちょっとしか手伝ってない。だからそう言われてもピンとこない。
「……アルカンシエル、ノアっていつもこうなの? 無自覚ぽやぽやで危なくない?」
「俺のことはアークでいい。まあ、終始こんな感じだから諦めた。俺がフォローすればいいからな」
ヴィンの言葉がちょっと酷い。確かにアークにはいつも尻拭いさせていると思うけど。
「だが、こんなノアが好きだからな」
笑ってそう言い切るアークに俺は顔が熱くなる。俺もどんなアークだって大好きだよ。
こんな俺達を見て、ヴィンが眩しそうに目を細める。
「いいなぁ。俺もそんな運命の番いに憧れるよ」
「ヴィン?」
俺が声をかければ、ヴィンは少し寂しそうに呟いた。
「俺の両親はさ、運命の番いではなくて。父親のほうにあとになって運命の番いが見つかって……母は離縁されて俺と一緒に家を追い出されてさ」
「──えっ」
「母はショックでやつれちゃって、何とか魔人国に着いたときには心身ともに衰弱していて危なかったんだ」
「そ、そうなんだ」
ヴィンが急に身の上話をし始めたけど、これはラッキーでいいのか?
でもちょっと待って、内容が重い。母子二人で追い出されたの? それって運命の番いが見つかったら当たり前のことなの?
俺はなんて返せばいいのか分からなくて、困惑しながら相槌を打つに留める。
「それからは母を介護しながら俺は魔人国で冒険者になってがむしゃらに働いて、今、ようやく落ち着いて暮らしているんだけど──」
そこまで話してハッと我に返るヴィン。そんなことを言うつもりはなくて思わず口に出てしまっただけなんだろう。
言い淀んだ後、何でもないように首を振って誤魔化すように笑った。
「それで最近人気のあの店に行ったら、可愛い猫獣人の子達がいてさあ、思わず鑑定したらノアが錬成したゴーレムって分かって興奮した」
再び目をキラキラさせて熱く語り出すヴィンに苦笑する。
「それにジェラートの魔導具もノアの錬成だって聞いて、いつか会えないかなって密かに思ってたから嬉しくて!」
「うん、情熱はよく分かったから、今度こそ溶ける前にジェラート食べようね」
「あ、うん」
──こうして話をしてみると、ヴィンはいたって普通の素直な性格だと思う。苦労していそうだったし、お母さん思いの優しい子のようだし。
年齢は分からないけど、俺よりも年下かもしれない。
そしてとてもじゃないけど、進んで悪巧みをするようには見えない。
これはやっぱり主犯格は別にいて、ヴィンには犯罪に加担せざるを得ない何かしらの事情があるんじゃないか。
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