拾われた俺、最強のスパダリ閣下に全力で溺愛されてます 迷い子の月下美人

エウラ

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655 箱庭の迷宮に行こう!(バレンタインデーに合わせて書きましたが閑話でなく本編に組み込みます)

※本日2回目の投稿です。ご注意ください。
バレンタインデー前日ですが、明日も続きを投稿予定ですので読んで頂けたら嬉しいです。閑話の予定でいましたが、迷宮のことを書きたかったので本編に組み込みました。





ヴィンと友達になった翌日の朝。

俺は街中が何か浮かれているような雰囲気を感じて、宿の主人に話を聞いてみた。
すると、今日は好きな人にチョコをプレゼントする日なんだと言われた。

「アーク! 今日はチョコの日なんだって! 好きな人や恋人や旦那様とかにチョコをプレゼントするんだって! ねえねえ、チョコの実が欲しいから箱庭の迷宮に潜ろうよ!」
「別に迷宮に潜るのは構わないが、チョコの実ならギルファームで栽培してるから手に入るんじゃないか?」

アークは俺がわざわざ迷宮に取りに行くということに怪訝そうな顔になった。そうだよね、市場でギルファーム産のチョコの実売ってるもんね。

でもそれじゃダメなんだ!!!

「あのね、小耳に挟んだんだけど、箱庭の迷宮で特別なチョコの実が手に入るんだって! それも超希少レアで幻の実って言われてるんだって!」
「お、おう。そうなんだ」

俺の勢いにちょっとアークが引いている気がするけど、気にしていられない。

「だから今から行こう、さあ行こう!」
「分かった、分かったから慌てるな。迷宮は逃げないぞ」
「だって早く行きたいんだもん!」

こうして朝食を急いで食べて『火の鳥』の部屋を出た俺達は真っ直ぐに迷宮に行き、入り口の職員達への挨拶もそこそこに潜る。

いまの迷宮は、あの事件のあとエレフが魔力を分け与えた『新・箱庭の迷宮』だ。もちろん俺が勝手にそう呼んでいるだけで正式名称は元の『箱庭の迷宮』のままだけど。
でもあれからちょっと変わった薬草やら木の実やらが増えたらしくて、いまだに全容は分かっていない。それで未知の素材を求めて冒険者が殺到しているらしい。

あ、相変わらず幻惑魔法はあるらしいので、楽しい幻惑ならいいけどトラウマものの幻惑を見て挫ける冒険者も一定数いるらしい。
俺は前回で耐性がついたのか、嫌な幻惑は見なかった。楽しいことが大半で、それもすぐにかき消える。それはアークも同様らしかった。

「……どう考えても迷宮の核ダンジョン・コアが忖度してるだろう」
「ん? 何か言った?」
「いや」

アークが渋い顔で何か呟いたから聞き返したら、何でもなかったらしい。

「じゃあレアなチョコの実を探すぞー!」
「おー。ところでそれは普通に木に成っているのか?」

俺の気合いに反して若干棒読みのアークのかけ声という何とも言えない空気の中、アークがそう聞いてきたので俺も考える。

「うーん……情報が少なすぎて分からない。とりあえずそれっぽい木を探してみようと思ってる」

さすがに木の実扱いだよね。

──そう思っていた時期がありました。

「……えーと?」
「……もしかして魔物アレがチョコの実を落とすのか?」

不意に目の前に魔物が現れた。見たことのない魔物だ。俺はとっさに鑑定アナライズした。

【名称:板チョコブラック
品質:B(カカオ含有量五〇%)
備考:苦い。縦一〇〇センチ×横五〇センチ×厚み一〇センチの長方形の板状。カカオ含有量によって品質と硬度が変わる。
他に板チョコホワイト、板チョコピンク、板チョコミルクがいる。
倒すと稀にチョコの実をドロップする。ごく稀にチョコの実EXをドロップする。】

「……うん、チョコの実をドロップするって」

俺は鑑定結果を口にした。アークも自分で鑑定したようで、呆れたような変なキレ方をしていた。

「……アホか!!! これもう、絶対にエレフが魔力を分け与えたせいだろう!!!」

そうだね、俺もそう思うよ。エレフって古の森でも魔性植物をおかしなほうに品種改良してるもんね。

幸いなことに周囲に他の冒険者がいなかったから、アークの叫びは聞かれずにすんだ。

これはちょっと予想外で笑った。

ちなみに他の板チョコも鑑定してみたが、カカオ五〇%以下は全て品質C、カカオ七五%は品質Aでカカオ九五%が品質Sと出た。
あと、色で板チョコの種類は分かるが、カカオ含有量は見た目では分からず、鑑定するのも面倒なのでひたすら倒すことに決定。

たぶん品質が高い方がレアのチョコの実EXをドロップすると見込んで、俺達は遭遇するたびに倒しまくった。

ついでに珍しい薬草やら木の実やらも採取。昼前には迷宮を後にしたのだった。





※チョコの実をカカオの実と書いた部分がありました。正しくはチョコです。修正しました。
板チョコの魔物の登場シーンの会話をちょっと修正しました。
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