拾われた俺、最強のスパダリ閣下に全力で溺愛されてます 迷い子の月下美人

エウラ

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659 ティンバー達がやって来た 2

「お前達ぃ、黙れよぉ」
「ひっ、申し訳ありません!」

俺が困った顔でいるのに気づいたアオが、いつもののんびり口調ながら威圧を込めて二人を制した。
二人はビクッとして姿勢を正す。

普段は大人しい人が怒ると怖いって言うけど、アオもいざというときは豹変するから怖れられているんだろうな。

俺が偽装魔導具探索時のアオを思い出してうんうんと一人納得していると、どうやら心の声が口に出ていたらしくアークに突っ込まれた。

「ノア、それブーメランだからな。神聖なる霊山セイクリッド・リョーゼンとか竜王国でのお前がだったからな」
『そうそう、あのとき魔法騎士団のアホどもを五〇〇人ほど蹂躙しておっただろうが。お前だって十分見た目詐欺だ』
「えっ!?」
「マジっすか!? それこそ意外!」

さらには今まで無言で大人しかったヴァンにも突っ込まれた。そう言われれば確かにそうだけど。
案の定、彼らがせっかく姿勢を正したのにまた驚かせちゃったじゃないか。

「ああうん、マジです。ごめん、俺も人のこと言えなかった」

シュンと項垂れると、アークが頭をヨシヨシしてくれてちょっと気持ちが浮上した。

「えっと、話が進まないからまずはこの二人を紹介してもらえるかな。言葉を交わすのは初めてだよね」
「あっはい。自分はアルフレート・ウルヴルと申します。黒狼の獣人です。第四小隊に所属しております」

ティンバーとアオに言ったつもりなんだけど、なぜか本人が自己紹介を始めたので、俺は黙って聞きながらアルフレートを見つめる。
真っ黒いウルフカットの髪に黒くてピンとした立派なケモ耳。尻尾はふさふさで左右に忙しなく動いているのが見える。ちょっとつり目の瞳は薄い水色で綺麗だ。
竜人の膝抱っこに驚いていたほうの人だな。

「私はゼルダ・ユリィと申します。フェネックの獣人です。ウルヴルと同じく第四小隊に所属しております。以後お見知りおきを」

俺とそんなに背丈の変わらないアルフレートよりも頭一つ分低くて体つきもほっそりしているゼルダは、薄茶色の癖のないミディアムヘアに大きくてくりくりの黒目。それとかなり大きなケモ耳ともふもふでふさふさの尻尾に俺の目は釘付けだ。

うわああ、さ、触りた──いえ、何でもないです。だからアーク、その殺気をしまってくれるかな。
初顔の二人が気絶しそうだよ。俺が悪かった。ごめんなさい。

顔色が真っ青になって震えるアルフレートとゼルダに、俺は慌ててアークのご機嫌取りのために後ろを仰ぎ見て、恥ずかしいけどアークの唇に口付けをする。

途端に殺気が消えて蕩ける笑みで俺をギュッと抱きしめるアークにホッとする。
それを見てカフカが呆れた顔でラミエルと会話をしている。

「相変わらず番いに関しては狭量だな」
「おや、カフカも同じようなものでは?」
「うぐっ、確かにラミエルのことになれば俺も同じか……アルカンシエル殿やノア殿のことを言えないな」

ラミエルに指摘されて渋い顔で呟くカフカに、俺は乾いた笑いをするしかなかった。

「ははは、は」

俺達、どっちもどっちだよね。

ティンバーとアオをチラッと見れば、ティンバーはにこにこと微笑ましげに見ていて、アオは我関せずという感じで腰のポーチ型のマジックバッグからしれっとお茶の入った水筒を出して飲んでいた。

『どうでもいいが、早う情報共有をせい。我はいい加減休みたい』
「おや、ヴァン殿はずっと私のスリングに収まっていましたが、居心地が悪かったですか?」
『いや、居心地はよかったぞ』

ムスッとするヴァンにティンバーがそう言った。それにすかさず返答するヴァン。
うん、ずっとスリングで抱っこされてきたんだな。ティンバーご苦労様。そして気遣いありがとう。
あとヴァン、ずっと楽していたのに疲れてないだろう。

俺とアークがジト目で見れば、ヴァンは気まずそうに目を逸らす。これはただ単にゴロゴロしたいだけだな。
だからティンバーはそんなに心配しなくて大丈夫だからね。





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