拾われた俺、最強のスパダリ閣下に全力で溺愛されてます 迷い子の月下美人

エウラ

文字の大きさ
617 / 641
連載

660 ティンバー達がやって来た 3

というわけで、ようやく本題に入る。

「まず確認をしたいのですが、獣人国からいらした第二騎士団の方々は今回、極秘任務のため表向きは入国したのですよね?」

カフカが外向きの丁寧な口調になってティンバーに話しかける。さっきまで素で騒いでいたのが嘘のようだ。ティンバーとアオは落ち着いて見えるが、アルフレートとゼルダはかなり違和感を覚えているようで尻尾と耳がちょっと揺れている。

「そうです。今回のように、我々は任務によっては騎士という身分を隠さなければいけません。そのため騎士団の規則に則って冒険者登録をし、適度に冒険者ランクを上げています」

ティンバーはカフカの質問にそう答える。するとラミエルがニッコリ笑って続けた。

「申し訳ありませんが、事前にあなた方の冒険者ランクを確認させていただきました。もちろん獣人国の登録拠点である冒険者ギルドに了承を得ています」

その笑みは全く申し訳ないと思っていないものだと思うよ、ラミエル。
案の定、ティンバーも苦笑しながら頷く。

「あ、ええ、何も疚しいことはありませんので問題はないです」

ラミエルはそんな俺の視線をまるっとスルーして続ける。

「騎士団長殿は登録名がティグでAランク、第四小隊長殿はアスでAランク、ウルヴル殿はレトでBランク、ユリィ殿はゼンで同じくBランク。間違いないですか?」
「ええ、皆それぞれ偽名ですがランクも合っています。魔人国に滞在中はその名でお願いしますね」
「分かりました」

確かに本名で登録することが必須ではないから偽名でもいい。それに冒険者になる人の中には、やむを得ない事情や大っぴらにできない過去を持つ人もいるからな。
ただ偽名でも可能だけど、過去の犯罪歴などはチェックされる。指名手配犯とか賞金首とか、重犯罪者を登録するわけにはいかないからギルドもそれは厳しい。

あと冒険者になってから犯罪行為があった場合は、ギルドタグを即剥奪し再登録ができない仕組みだそうだ。
俺はそんな冒険者を見たことはないけど、たまにいるらしい。

冒険者になってからは基本的に自己責任だ。大抵の冒険者は真面目に頑張っているけどね。

「じゃあ俺達もそれぞれその名前で呼ぶね。ティグ、アス、レト、ゼンだね。よろしく。俺のこともノアって呼び捨てでいいよ」
「……あ、はい」

俺がそう言ったら、アオ達は俺の頭の上──アークに視線を向けた。アークが頷く気配があって、それから彼らは返事をした。
……呼び方なんて別に構わないと思うけど、保護者というか番いアークに許可がいるのか。
そこまで嫉妬するのかと、俺は思わず苦笑した。

「さて、確認が終わったところでようやく情報共有の時間ですね。こちらで今日までに分かった事柄を報告書にまとめましたので、まずはそれに目を通してください」
「そのあと、詳しく聞きたいことがあれば私が補足いたします」

カフカの言葉でラミエルが動き、俺達にその報告書を渡す。補足はラミエルがやるらしい。
確かに情報元はラミエルだもんね。

配られた報告書に目を通していくと、思った以上の情報に眉をひそめる。

「……やっぱりヴィンはラグ爺さんの縁戚だったね」
「だが幼少期の家庭環境は最悪だな」

俺の呟きにアークが渋い顔で頷き、そう言った。

「ラグ爺さんの弟、性格悪すぎでしょ」

俺はいくらラグ爺さんの実弟とはいえ、嫌悪感いっぱいでそう言った。







※誤字報告ありがとうございます。
一カ所、獣人国→魔人国に修正しました。書類→報告書に変更しました。
感想 1,589

あなたにおすすめの小説

家族に忘れられていた第五王子は愛され生活を送る

りーさん
ファンタジー
 アズール王国の王宮には、多くの王子や王女が住んでいる蒼星宮という宮がある。  その宮にはとある噂が広まっていた。併設されている図書館に子どもの幽霊が現れると。  そんなある日、図書館に出入りしていた第一王子は子どものような人影を見かける。  その時、父である国王にすら忘れられ、存在を知られていなかった第五王子の才覚が露になっていく。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

家に帰ったら、妻は冷たくなっていた。突然シングルファザーになった勇者パーティーの治癒師は家族を修復したい

八朔バニラ
ファンタジー
勇者パーティーに所属し、魔王討伐した治癒師(ヒーラー)のゼノスは街の人々の歓声に包まれながら、3年ぶりに家に帰った。家族が出迎えてくれると思ったが、誰も出迎えてくれない。ゼノスは不満に思いながら家に入ると、妻の身体は冷たくなっていた。15歳の長男ルミナスはゼノスの代わりに一家の柱として妹を守り抜き、父に深い拒絶のこもった瞳を向けていた。そして、8歳の長女ミリアは父の顔も忘れていた。 ゼノスは決意する。英雄の肩書きを捨て、一人の不器用な父親として、バラバラになった家族の心を繋ぎ合わせることを。 これは世界最強の治癒師が家族を修復する物語である。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!一肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

外れ伯爵家の三女、領地で無双する

森のカフェしっぽっぽ
ファンタジー
十三歳の少女アイリス・アルベールは、人生を決める「祝福の儀」で“ゴミスキル”と蔑まれる《アイテムボックス》を授かってしまう。戦えず、稼げず、価値もない――そう断じた家族は、彼女を役立たずとして家から追放する。さらに、優秀なスキルであれば貴族に売り渡すつもりだったという冷酷な真実まで明かされ、アイリスはすべてを失う。 だが絶望の中、彼女は気付く。この世界が、自分がかつてやり込んだVRMMORPG『メデア』そのものであることに。 そして思い出す―― 《アイテムボックス》には、ある“致命的なバグ”が存在することを。 市場で偶然を装いながらアイテムを出し入れし、タイミングをずらすことで発生する“複製バグ”。それは、あらゆる物資を無限に増やす禁断の裏技だった。 食料も、装備も、資金も――すべてが無限。 最底辺から一転、誰にも真似できないチートを手にしたアイリスは、冒険者として歩み始める。だがその力はやがて、経済を歪め、権力者の目に留まり、そして世界の“仕様そのもの”に干渉していくことになる。 これは―― ゴミと呼ばれた少女が、“世界の裏側”を掌握する物語。

魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした

たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。 死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。