拾われた俺、最強のスパダリ閣下に全力で溺愛されてます 迷い子の月下美人

エウラ

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666 ヴィンの近況報告 1

次にラミエルが配ったのが、現在冒険者活動をしているヴィンと魔導具師として活動するヘクセの報告書だ。

「魔導具師ヘクセは個人で店舗を持ってはいません。魔人国でもどこの工房にも所属せず、懇意にしている店に時々置かせてもらっているくらいです」
「その懇意にしている店主もヘクセの素性は知らないのか?」

ラミエルの説明にアークが聞き返す。それにラミエルは頷いて返す。

「ええ。店主は鑑定で魔導具の質や製作者名を確認しているだけで、本人の素性までは知りません。これは長年の付き合いから問題ないと判断しているようです」

ヴィンの装備を見ても魔導具製作の腕は相当いい。
おそらく店に卸している魔導具の質も高くてトラブルがないんだろう。店主としても益のある魔導具だから下手に詮索して卸してもらえなくなるよりはいいと思ったのかもしれない。それに信頼もあるのだろう。

「魔導具を卸すのは不定期なので、長期間納品がなくても店主に疑問に思われません。なので、その未納品の期間中に獣人国でヘクセとして活動していたようです」
「それに合わせて冒険者ヴィンの活動も休止──と」

アークが合間に確認を入れると、ラミエルも頷く。

「そうなりますね。ただこれは単に身体が一つだからできなかったという理由ではなくて、ヴィンとヘクセが同一人物だとバレないようにだったらしいです」
「──あれか、元父と元祖父から身を隠していたっていう……」

離縁とともに縁切りもしたと言っていたが、もしかして──

「そうです。今回の粗悪な記録媒体魔導具を製作し偽装を原因がその元父なのです」
「あの元父の商会で取り扱っている魔導具関連は、実はヘクセヴィンテルが極秘でたまに修理を請け負っていたんだそうだ」

ラミエルとカフカがそう説明をする。
元父と元祖父が一般の魔導具職人に嫌悪はなくても、自分の身内がラグ爺さんと同じことをやっていたとバレたら罵詈雑言が飛んできそうだ。
それに洗脳されているふりもしていたから、本当に秘密だったんだろう。

「もちろん製作や修理はお抱えの魔導具工房の職人がメインだが、そいつ、どうやら修理の難しいものは極秘で彼に任せていたらしい」
「魔導具職人はヘクセヴィンテルが密かに魔導具を製作していることに気づいていたらしく、試しに修理を頼んだら完璧に直っていたと」
「そこで魔導具製作を公に言えないヘクセヴィンテルの事情を逆手にとって、自分の手に負えない修理をヘクセヴィンテルに押し付けて自分の手柄のように吹聴していたんだとよ」

ラミエルの説明のあとに、カフカが吐き捨てるように続けた。

うわあ、ここにもクズがいた。
何というか、あれだ。悪い意味で『類は友を呼ぶ』ってこういうことなんじゃないのか。

「いやもう、本当にクズの集まりですね」

アルフレートの言葉に皆が頷く。

「──それで言うと、ヘクセヴィンテル追放後にそれなりに影響があったんじゃないのか」
「そうです。修理の質が悪くなり、そこから魔導具職人の嘘がバレて、ヘクセヴィンテルの魔導具師としての腕が白日の下に曝されました」
「魔導具に関するクレームが増えて、それにつられて評判が落ち、商会は一気に傾き始めたそうだ」

ああ、何かこのあとの展開が読めたな。
つまりはこういうことだろう。

伯父ラグナロクと同じことをやっていたことは許せないが、商会のために必要だとか何とか言ってヘクセヴィンテルを探したんじゃないのか」

俺が考えを言うと、どうやら合っていたらしい。ラミエルが頷く。

「その通りです。商会の情報網を使って執拗に探し、最近になってやっと見つけ出したヘクセヴィンテルは、ヘクセという魔導具師としてここ魔人国で細々と暮らしていました」

すでに二〇〇年も経っているのに、執念深いな。というか二〇〇年かかるって、その情報網がお粗末なのかヴィンの認識阻害魔法がすごいのか。

「もちろん接触されてもヘクセヴィンテルは知らんぷりでしたが、ここであのクズ共は母親のセレンを盾に脅迫をします」
「母親の命が惜しければ言うことを聞け、と。もう、コイツっちゃっていいよな」

カフカの言葉に俺達全員、同意した。










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