拾われた俺、最強のスパダリ閣下に全力で溺愛されてます 迷い子の月下美人

エウラ

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671 箱庭の迷宮に行こう 1

あのあと皆が頼んだ料理が運ばれてきて、何とか復活した俺は給仕に来たギギルル兄弟にもヴィンを紹介した。

「おう、うちの飯は美味いか?」
「うん、とっても! 毎日通いたいくらい」

ギギがニカッと笑って聞くと、本当に嬉しそうな声で返事をするヴィン。でも最後はちょっとシュンとした。

「もちろん美味しい上にリーズナブルなんだけど、俺、食べる量がすごいから稼いでも食事代に飛んでいっちゃって」

ヴィンの目の前には、さっき注文した料理がテーブルギリギリに並んでいる。ヴィンの隣が空いててよかったね。

「ああ、確かにその体格で一度に食べる量ではないかもね。もしかしてこれでも足りない?」
「あーうん。もう少しほしいけど、懐具合が……」

ルルの言葉にへにょっとした雰囲気で応えるヴィン。認識阻害魔法で表情は分からないのに、口調で心情がバレバレだ。
そこであることを閃いた俺はヴィンに提案する。

「あ、ねえ、それなら『箱庭の迷宮』に一緒に潜らない? あそこで好きなだけ食材手に入れてさ。俺、料理してあげるよ」
「え、本当に!? 俺、いつもソロだから薬草とか魔導具とか錬金用の素材収集ばっかりで。魔物を倒すの億劫であんまりドロップアイテム拾えないんだよ」

ああ、自分にも覚えがある。俺もソロだったとき、魔物はほしい素材のドロップのためならいくらでも倒すけど、それ以外のときは面倒臭いって思ってた。
今は錬金用以外にも食材をドロップするならいくらでも倒せる。

「じゃあさ、明日はどう? ティ達とも一緒に潜りたかったから、八時頃に冒険者ギルドに集合して、皆で行かない?」

俺がティンバー達にも聞くと頷き返された。そこにギギルル兄弟が待ったをかける。

「おいおい、それなら俺達も久しぶりに冒険者稼業をしたいから加えてくれよ」
「そうだよ。昼間なら時間に余裕があるからさ。俺達もたまには動かないと身体が鈍るから」

そう言って力こぶを作る二人。どうみても鈍ってはいなさそうだけど。でも俺も久しぶりに二人とも一緒に潜りたい。

「そういうことなら、ヴィンもいい?」
「もちろん! むしろノア達と一緒に潜れて楽しそう」
「じゃあ決まり!」
「よかったな、ノア」

こうして明日の予定を決めた俺達は料理に舌鼓を打ち、ホクホクで店を出て別れた。

ヴィンが完全に人混みに消えたのを見てから、ティンバー達がポツリポツリと話し出す。

「いやあ、まさかのマルタイからの接触に吹き出したわ」
「まさかねって感じだった」
「認識阻害魔法、すごいねぇ。俺達、かろうじて気配を察知したくらいで気づかなかったよぉ」

アルフレートとゼルダ、アオが小さく息をつく。あの魔法の強度は確かにすごいよね。

「でも、彼に悪意が全くないのも分かったし、ノアと錬金術や魔導具で盛り上がるのも納得な気がする。あれはノアと同類だ」
「それねぇ」

ティンバーは獣人国でのリンクスとの盛り上がりを知っているから、あれと同じだと感じたんだろうな。

「とりあえず、明日はヴィンとギギルル兄弟も交えて、大人数での迷宮探索に行くぞー!」
「おー!」

俺の気合いの掛け声にアルフレートだけが元気に応えてアーク達は笑っているだけ。
ヴァンはお腹が膨れてスリングで爆睡している。

「ティはこのままヴァンのお世話係で大丈夫?」
「ああ、構わない。道中もずっと一緒だったしな」
「じゃあ引き続きお願いね。また明日」
「また明日な」

雑談をしながら歩き、俺達の泊まる『火の鳥』に着いたので部屋の前で別れる。

「楽しみだな。眠れるかな」
「そうだな。だがウキウキして寝られないようなら俺が──」
「いえいえ! 大丈夫です!」

興奮気味な俺にアークが艶っぽい雰囲気を出して押し倒そうとしてきたので、俺は慌てて押し返す。
この流れでシちゃったら絶対に八時には間に合わないからね。

「ふっ、冗談だ」

アークが思わずという感じで噴き出す。もう、からかったな!

結局、そのあとのお風呂でギリギリまで愛撫されてイった俺はそのまま夢の中へ。

そのおかげか翌朝は早い時間にすっきりと目が覚めた。
アークに上手いことお世話されてるなぁと、改めて竜人すごいって再認識させられたのだった。

アークはもちろん俺よりも早く起きていて準備万端だったよ。








※669話の冒頭にティンバー達の宿の状況を追加しました。忘れてました。
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