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連載
673 箱庭の迷宮に行こう 3
全員揃ったところで『箱庭の迷宮』に出発。
朝からすでにかなりの冒険者達が列をなしていて、入口のギルド職員が忙しそうにギルドタグを確認している。
俺達は周りの迷惑にならない程度の音量で雑談しながら待つ。
「この迷宮、この前久しぶりに潜ったら変わった魔物や薬草、果実なんかあって面白かったよ」
俺がこの前の話をしたらルルとギギが反応した。
「ああ、潜ったのか。あれからいろいろとおかしな具合になってて面白いよね」
「ちなみにノア達のときにはどんな変わったやつに遭遇したんだ?」
ギギに笑いながら聞かれたので教えてあげる。
「板チョコシリーズ。チョコの実をドロップするやつ。まさか魔物のドロップアイテムとは思わなかった」
「ああ、あれか。え、もしかしてわざわざ倒しに行ったのか? チョコの実ならうちの果樹農園でも栽培してるのに」
うん、そうだよね。アークにも聞かれたもんね。
「あれのチョコの実EXがほしくて」
そう言ったらギギはピンときたらしい。途端にニヤニヤ笑い出した。
「あれか、確か超レアで媚薬効果があるとかっていう。うんうん、それでアークとお楽しみだったん──あだっ!? 何だよルル!」
「こんなところで下世話な話をするんじゃないよ、バカお兄!」
ギギのあけすけな言葉に俺はあのときのことを思い出してしまい、顔を赤くする。そこに気を利かせたルルがギギに突っ込んで制止してくれた。
ありがとう、ルル。
「え、ノア、あの魔物からチョコの実EXをドロップさせたのか!? いいなあ、俺もドロップさせたい。食べてみたい。今日は出るかな?」
ヴィンも興味があったんだな。そりゃあ錬金術師ならどんなものが錬成できるのかって気になるよね。
「俺、ドロップするまで倒すの手伝おうか?」
「いいの? ぜひお願い。そういえばルルのあれからって、どういう意味?」
ヴィンに討伐の手伝いを申し入れれば喜んでくれたので、ヴィンのために頑張る所存だ。でもそのあとの言葉に俺は首を傾げた。
「あれ、知らない? 『箱庭の迷宮』って少し前に問題があって一時封鎖されてたんだけど、俺達とアークの祖父達のSランク冒険者で調査したの」
「あー、噂で聞いたな。俺、ちょうどその頃、魔人国にいなかったんだよね」
そうか、そのときにはすでに獣人国で記録媒体魔導具の粗悪品を作らされていたのか。そういえば魔人国に戻ったのってひと月ほど前って聞いたな。
「なるほど。まあいなくてよかったかもな。あのときは魔人国の存亡の危機だったもんな」
「竜王陛下御自ら乗り込んできたもんね」
「え? 何で?」
本当に分かっていないらしいヴィンに、俺は簡単に説明をする。
「あのとき、俺がちょっとヘマしちゃって。それと問題の元凶が俺絡みだったもんで竜王陛下や大公家が激怒しちゃって」
「……何でそんなすごい人達が激怒するんだ?」
うん、ヴィンの疑問はもっともだよ。
「ヴィン。俺の番いのアークは竜王国の大公家の三男で、竜王陛下は大祖父様なんだ。だから番いの俺も彼らの親戚なわけ」
「それとノアは彼ら王族に溺愛されているからな」
「……は?」
そんな呆然とした声が聞こえた。たぶんフードの下で目を丸くしているだろう。
わりと知られていると思っていた俺の情報を、ヴィンは本当に知らなかったんだな。
俺に負けず劣らずの引き篭もりか。もしくは好きなこと以外にあまり興味がないのかもしれない。
「え、は? ノアとアークってそんな身分の人なのか? それで、え? こんな普通に接してていいの?」
「うん」
「同じ冒険者同士、気にするな」
ものすごく戸惑いながらそう言うヴィンに俺は端的に頷き、アークも笑ってそう言った。
「そうそう、気にするだけ無駄だよ」
「ノアなんか特に非常識の塊だから、気にしてたら心臓がいくつあっても足りないぞ」
「えええ? うーん、今更か。じゃあいっか」
ギギルル兄弟がついでとばかりにそう言うのを聞いたヴィンは、戸惑いつつも気持ちを切り替えたらしい。
うん、前向きでとてもいいと思うよ。でもギギは俺のことをそう思っていたんだな。なるべく常識を学ぶようにしよう。
朝からすでにかなりの冒険者達が列をなしていて、入口のギルド職員が忙しそうにギルドタグを確認している。
俺達は周りの迷惑にならない程度の音量で雑談しながら待つ。
「この迷宮、この前久しぶりに潜ったら変わった魔物や薬草、果実なんかあって面白かったよ」
俺がこの前の話をしたらルルとギギが反応した。
「ああ、潜ったのか。あれからいろいろとおかしな具合になってて面白いよね」
「ちなみにノア達のときにはどんな変わったやつに遭遇したんだ?」
ギギに笑いながら聞かれたので教えてあげる。
「板チョコシリーズ。チョコの実をドロップするやつ。まさか魔物のドロップアイテムとは思わなかった」
「ああ、あれか。え、もしかしてわざわざ倒しに行ったのか? チョコの実ならうちの果樹農園でも栽培してるのに」
うん、そうだよね。アークにも聞かれたもんね。
「あれのチョコの実EXがほしくて」
そう言ったらギギはピンときたらしい。途端にニヤニヤ笑い出した。
「あれか、確か超レアで媚薬効果があるとかっていう。うんうん、それでアークとお楽しみだったん──あだっ!? 何だよルル!」
「こんなところで下世話な話をするんじゃないよ、バカお兄!」
ギギのあけすけな言葉に俺はあのときのことを思い出してしまい、顔を赤くする。そこに気を利かせたルルがギギに突っ込んで制止してくれた。
ありがとう、ルル。
「え、ノア、あの魔物からチョコの実EXをドロップさせたのか!? いいなあ、俺もドロップさせたい。食べてみたい。今日は出るかな?」
ヴィンも興味があったんだな。そりゃあ錬金術師ならどんなものが錬成できるのかって気になるよね。
「俺、ドロップするまで倒すの手伝おうか?」
「いいの? ぜひお願い。そういえばルルのあれからって、どういう意味?」
ヴィンに討伐の手伝いを申し入れれば喜んでくれたので、ヴィンのために頑張る所存だ。でもそのあとの言葉に俺は首を傾げた。
「あれ、知らない? 『箱庭の迷宮』って少し前に問題があって一時封鎖されてたんだけど、俺達とアークの祖父達のSランク冒険者で調査したの」
「あー、噂で聞いたな。俺、ちょうどその頃、魔人国にいなかったんだよね」
そうか、そのときにはすでに獣人国で記録媒体魔導具の粗悪品を作らされていたのか。そういえば魔人国に戻ったのってひと月ほど前って聞いたな。
「なるほど。まあいなくてよかったかもな。あのときは魔人国の存亡の危機だったもんな」
「竜王陛下御自ら乗り込んできたもんね」
「え? 何で?」
本当に分かっていないらしいヴィンに、俺は簡単に説明をする。
「あのとき、俺がちょっとヘマしちゃって。それと問題の元凶が俺絡みだったもんで竜王陛下や大公家が激怒しちゃって」
「……何でそんなすごい人達が激怒するんだ?」
うん、ヴィンの疑問はもっともだよ。
「ヴィン。俺の番いのアークは竜王国の大公家の三男で、竜王陛下は大祖父様なんだ。だから番いの俺も彼らの親戚なわけ」
「それとノアは彼ら王族に溺愛されているからな」
「……は?」
そんな呆然とした声が聞こえた。たぶんフードの下で目を丸くしているだろう。
わりと知られていると思っていた俺の情報を、ヴィンは本当に知らなかったんだな。
俺に負けず劣らずの引き篭もりか。もしくは好きなこと以外にあまり興味がないのかもしれない。
「え、は? ノアとアークってそんな身分の人なのか? それで、え? こんな普通に接してていいの?」
「うん」
「同じ冒険者同士、気にするな」
ものすごく戸惑いながらそう言うヴィンに俺は端的に頷き、アークも笑ってそう言った。
「そうそう、気にするだけ無駄だよ」
「ノアなんか特に非常識の塊だから、気にしてたら心臓がいくつあっても足りないぞ」
「えええ? うーん、今更か。じゃあいっか」
ギギルル兄弟がついでとばかりにそう言うのを聞いたヴィンは、戸惑いつつも気持ちを切り替えたらしい。
うん、前向きでとてもいいと思うよ。でもギギは俺のことをそう思っていたんだな。なるべく常識を学ぶようにしよう。
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