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連載
674 迷宮探索 1
自分達の番が来て、皆それぞれ職員にギルドタグを見せて迷宮に足を踏み入れる。
すると直後、箱庭の迷宮特有の幻惑魔法が発動した。
俺達は一瞬にして幻惑に囚われる。しかし耐性が付いたのか俺とアークはすぐにパチリと目が覚める。隣にいたアークと目を合わせてからヴィンとギギルル兄弟、ティンバー達を見る。
ギギルル兄弟はそれから間もなく元に戻り、ヴィンもそのあとすぐに意識が俺達に向いたのが分かった。
ティンバー達は初めての体験だからか幻惑魔法が消えるまで時間がかかったようで、先にティンバーとアオが幻惑から抜けたがアルフレートとゼルダはなかなか戻ってこられなかった。ただ二人ともそのときの様子が楽しそうに見えたので、きっといい幻だったんだろう。
ヴィンはどんな幻惑だったのだろう。フードで表情が全く分からないけど、幸せそうなものだったならいいな。
そんな中、ティンバーのスリングから顔を出したヴァンが元の三メートルサイズに戻りながら言った。
『いやあ、美味いものをたらふく食う幻で幸せだったが、所詮は幻よ。ううむ、何か余計に腹が減った気がするわ!』
「ああそう。うん、ヴァンはそう言う幻獣だよね」
「相変わらず食いしん坊イッヌだな。というか幻獣なのに幻惑魔法効くんだ」
速攻でギギルル兄弟に突っ込まれたヴァンが何を言うのかと思えば。
「ふふん。面白いからわざと効くようにレジストを止めているのだ」
そう言ってドヤ顔をした。うん、さすがヴァン。そんなくだらないことのためにレジスト止めるって、おかしいからね。
案の定、ヴィンを始めとした全員が爆笑した。
そうしてしばらく笑った後、何とはなしに広い迷宮を彷徨きだす。
俺とアークとヴィン、ギギルル兄弟、ティンバー達という三グループになり、それぞれ好きに移動する。
ただ時間と待ち合わせ場所を決めておかないと合流が大変なので、最初に目に入った目立つ建物を目印にした。
「あれさ、以前はなかったと思うんだけど、四阿みたいな建物あるでしょ。あそこにお昼に集合でいい?」
「おう、いいぜ。ちょうど休憩所みたいだもんな」
「俺達も構わない」
ギギ達もティンバー達も了承したので、お昼までは各自自由行動に決定した。
「じゃあお昼まで好きに探索してね。何かあれば声をかけてくれていいから」
「おう、おかしな魔物に遭遇したら呼ぶわ」
「薬草とかも見つけたらノアのために採取しておくよ」
「ありがとう。そういえばヴァンはどこについていくんだ?」
ギギ達に返事をしつつ、ヴァンにも聞く。すっかり
ヴァンの存在を忘れていた。図体デカいのに、気配がないからね。
まあ聞いてはみたものの、どうせティンバー達と一緒だろうと思っていたんだけど。
『我は一人で好き放題に駆けずり回る』
ルンルンした声でそう言うヴァンに、俺がかけられる言葉はあまりない。
「うん、他の冒険者達を蹴散らさないように、自分の食い扶持を狩って来てね」
『おう、もちろんよ!』
そう言うと、あっという間に駆けていって小さくなってしまった。それを見送るティンバーの背中がちょっと寂しそうで、アークと苦笑する。
「親の心子知らず?」
「親がティグで子がヴァンか。言い得て妙だな」
「いやいや、ティグが過保護なんじゃねえの?」
「そうそう。親離れしないとね」
俺達の会話にギギ達も乗ってきてそんなことを言うけど、実際、ティンバーとヴァンの関係性は何なんだろう。
「……想い人に通じていないんじゃ?」
「両片想いってやつじゃあないのぉ?」
「ああ、なるほど。恋愛って難しいんだな」
ゼルダとアルフレートとアオがそんなことを言っている。そういう関係か。幻獣と恋愛が成立するのかはともかく、上手くいくといいな。
俺がそう言ったら──
「おそらく今のノアの心境を親心というんじゃないか」
「はっ……ティじゃなくて俺がヴァンのお母さんだった!?」
「ブッ! 確かにノアはお母さんっぽいよね。俺の面倒見もいいし」
アークの言葉にハッとした俺。そこにアークに同意するようにヴィンもそう言うから、また皆で大笑いするのだった。
──そこの冒険者達、チラチラとこっちを盗み見していかないで。騒がしくてごめんね。
すると直後、箱庭の迷宮特有の幻惑魔法が発動した。
俺達は一瞬にして幻惑に囚われる。しかし耐性が付いたのか俺とアークはすぐにパチリと目が覚める。隣にいたアークと目を合わせてからヴィンとギギルル兄弟、ティンバー達を見る。
ギギルル兄弟はそれから間もなく元に戻り、ヴィンもそのあとすぐに意識が俺達に向いたのが分かった。
ティンバー達は初めての体験だからか幻惑魔法が消えるまで時間がかかったようで、先にティンバーとアオが幻惑から抜けたがアルフレートとゼルダはなかなか戻ってこられなかった。ただ二人ともそのときの様子が楽しそうに見えたので、きっといい幻だったんだろう。
ヴィンはどんな幻惑だったのだろう。フードで表情が全く分からないけど、幸せそうなものだったならいいな。
そんな中、ティンバーのスリングから顔を出したヴァンが元の三メートルサイズに戻りながら言った。
『いやあ、美味いものをたらふく食う幻で幸せだったが、所詮は幻よ。ううむ、何か余計に腹が減った気がするわ!』
「ああそう。うん、ヴァンはそう言う幻獣だよね」
「相変わらず食いしん坊イッヌだな。というか幻獣なのに幻惑魔法効くんだ」
速攻でギギルル兄弟に突っ込まれたヴァンが何を言うのかと思えば。
「ふふん。面白いからわざと効くようにレジストを止めているのだ」
そう言ってドヤ顔をした。うん、さすがヴァン。そんなくだらないことのためにレジスト止めるって、おかしいからね。
案の定、ヴィンを始めとした全員が爆笑した。
そうしてしばらく笑った後、何とはなしに広い迷宮を彷徨きだす。
俺とアークとヴィン、ギギルル兄弟、ティンバー達という三グループになり、それぞれ好きに移動する。
ただ時間と待ち合わせ場所を決めておかないと合流が大変なので、最初に目に入った目立つ建物を目印にした。
「あれさ、以前はなかったと思うんだけど、四阿みたいな建物あるでしょ。あそこにお昼に集合でいい?」
「おう、いいぜ。ちょうど休憩所みたいだもんな」
「俺達も構わない」
ギギ達もティンバー達も了承したので、お昼までは各自自由行動に決定した。
「じゃあお昼まで好きに探索してね。何かあれば声をかけてくれていいから」
「おう、おかしな魔物に遭遇したら呼ぶわ」
「薬草とかも見つけたらノアのために採取しておくよ」
「ありがとう。そういえばヴァンはどこについていくんだ?」
ギギ達に返事をしつつ、ヴァンにも聞く。すっかり
ヴァンの存在を忘れていた。図体デカいのに、気配がないからね。
まあ聞いてはみたものの、どうせティンバー達と一緒だろうと思っていたんだけど。
『我は一人で好き放題に駆けずり回る』
ルンルンした声でそう言うヴァンに、俺がかけられる言葉はあまりない。
「うん、他の冒険者達を蹴散らさないように、自分の食い扶持を狩って来てね」
『おう、もちろんよ!』
そう言うと、あっという間に駆けていって小さくなってしまった。それを見送るティンバーの背中がちょっと寂しそうで、アークと苦笑する。
「親の心子知らず?」
「親がティグで子がヴァンか。言い得て妙だな」
「いやいや、ティグが過保護なんじゃねえの?」
「そうそう。親離れしないとね」
俺達の会話にギギ達も乗ってきてそんなことを言うけど、実際、ティンバーとヴァンの関係性は何なんだろう。
「……想い人に通じていないんじゃ?」
「両片想いってやつじゃあないのぉ?」
「ああ、なるほど。恋愛って難しいんだな」
ゼルダとアルフレートとアオがそんなことを言っている。そういう関係か。幻獣と恋愛が成立するのかはともかく、上手くいくといいな。
俺がそう言ったら──
「おそらく今のノアの心境を親心というんじゃないか」
「はっ……ティじゃなくて俺がヴァンのお母さんだった!?」
「ブッ! 確かにノアはお母さんっぽいよね。俺の面倒見もいいし」
アークの言葉にハッとした俺。そこにアークに同意するようにヴィンもそう言うから、また皆で大笑いするのだった。
──そこの冒険者達、チラチラとこっちを盗み見していかないで。騒がしくてごめんね。
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