拾われた俺、最強のスパダリ閣下に全力で溺愛されてます 迷い子の月下美人

エウラ

文字の大きさ
59 / 641
連載

125 迷宮踏破と収束

※この場合の収束は『混乱が落ち着く』という事です。




奥からずずずっと這いずってきたのは、全長10mはあろうかという毒蛇だった。

ボス部屋は20m四方のサイズだが、さすがにその巨体は圧迫感があった。

「アーク、状態異常無効化の魔法付与エンチャントかけるよ。毒は効かないからね。それ以外も効かないけど」
「サンキュ!」

アークと自分にエンチャントする。

「爬虫類って変温動物だよな。だったら寒さに弱いかな?」
「だと思うが・・・フェンリルヴァンが何度も倒してるって言うんだ、氷系の魔法は効くんだろう」
『はは、気付いたか』
「そもそもお前は氷の幻獣だろうが。他に魔法が使えるのか?」
『失礼な。これでも風魔法も使えるぞ・・・・・・少しだが』

最後は尻すぼみになって、アークに大笑いされた。

「仲が良いねえ」
『そうだろう!』
「何処が?!」
「・・・そういうところ」

内容はともかく、反応が一緒なんだもの。
きっと長い付き合いなんだろうなあ。

「ノア、凍らせて動きを止めてくれ」
「了解『ダイアモンドダスト』」

ノアの魔法であっと言う間に部屋の温度が氷点下まで下がった。

ミドガルズオルムの動きが鈍くなった。
ソレに合わせて尻尾の先から霜が付いてきて、徐々に氷になり固まっていく。

体の半分ほどが凍り付いて動かなくなった。

残る上半身は凍るまではいかないにしても、かなり動きが緩慢としていた。

そうなると、ただデカいだけの魔物。

毒を大量に吐き出してもアーク達はひょいひょいと避けていて当たらない。
まあ、エンチャントで当たっても無効化されるが。

最後は二人して、大剣とバスタードソードで細切れにしてお終い。

ぱあっと消えて、討伐の報酬が残された。

「ミドガルズオルムの鱗と牙、うわ、毒袋もあるな。後は大量の蛇肉・・・美味いのか?」
「鱗と牙は武器や防具の他に錬金術の材料にもなるし、毒袋も解毒薬にも毒薬にもなるよ。肉は淡白な白身で蒲焼きとか良いねえ・・・滋養強壮にもなるって。薬にもなりそう」

ノアがほくほくで鑑定をしている。
それを聞いていたアークは、内心でガッツポーズをした。

---滋養強壮・・・またたび酒的なヤツじゃないか?
これでもっとノアを抱き潰せる可愛がれるな・・・。

アークの思考を何となくヴァンは察したが、ノアは全く気付いていなかった。

『・・・やれやれ。リンドヴルムの子は天然か』

呆れながらも愛おしそうに見つめていたのだった。



「さて、一段落ついた。これで一応は間引きが完了したわけだ」
「そうだね。戻らないと、皆、心配しているよね。・・・・・・ところで、ヴァンはどうするの?」

アークとノアはヴァンに向き合った。
ヴァンはキョトンと首を傾げる。

---いや、ノアの真似したって可愛くねえ。
---ヴァン、可愛い---!

お互い、相反する反応を見せた。

ソレに噴き出した(ように見える)ヴァンは魔法で自身を仔狼サイズに変化させてアークの肩に乗ると言った。

『当然、お主らについて行くに決まっておろうが』
「「だよな・・・」」

アークは溜息を吐き、ノアは興奮で鼻息を荒くして言った。


その後、転移魔法陣に乗って地上一階層に戻ったのは、払暁ふつぎょう(空が白み始める頃)の時間だった。

迷宮を出てすぐにノアが出入り口を氷壁アイスウォールで固めて魔物が出られないようにした。

少し待って、出て来ないことを確認して。
思わず深い溜息を吐いた。

「・・・・・・ああ、長かったような短かったような・・・・・・」
「・・・・・・なんか、精神的なモンで疲れたな」
『お疲れさん、だな』
「---今回の原因はお前じゃないのか?」
「・・・え?」
『・・・・・・何の事かの?』

しれっと視線を逸らすヴァンに半目で睨むアーク。
疑問符を浮かべるノア。

「---まあ、良い。とりあえず帰ろう。ノア、翔ぶぞ」
「あ、うん」

そう言って二人して翼を顕現して翔んだ。
ヴァンはアークの肩にくっついたままだ。

『やはりその翼は彼奴のモノだが・・・・・・何か凄い魔力モノも混じっておるな・・・?』
「---ああ、精霊王の魔力だな」
『ほほう、精霊王の---ハア?!』
「俺達、精霊王の義息子むすこなんだ」
『へえっ?!』
「---ふはっ、お前のその驚きようでちょっと溜飲が下がったわ」
『・・・お前ら一体何なんだ---?!』

翔びながらわちゃわちゃしている二人・・・と一匹?を遠目で見ながらルドヴィカは思った。

---アイツら何やってんだ? と。



こうして朝日が昇る頃、てんやわんやだったスタンピードも漸く落ち着きを見せたのだった。






感想 1,589

あなたにおすすめの小説

家族に忘れられていた第五王子は愛され生活を送る

りーさん
ファンタジー
 アズール王国の王宮には、多くの王子や王女が住んでいる蒼星宮という宮がある。  その宮にはとある噂が広まっていた。併設されている図書館に子どもの幽霊が現れると。  そんなある日、図書館に出入りしていた第一王子は子どものような人影を見かける。  その時、父である国王にすら忘れられ、存在を知られていなかった第五王子の才覚が露になっていく。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

家に帰ったら、妻は冷たくなっていた。突然シングルファザーになった勇者パーティーの治癒師は家族を修復したい

八朔バニラ
ファンタジー
勇者パーティーに所属し、魔王討伐した治癒師(ヒーラー)のゼノスは街の人々の歓声に包まれながら、3年ぶりに家に帰った。家族が出迎えてくれると思ったが、誰も出迎えてくれない。ゼノスは不満に思いながら家に入ると、妻の身体は冷たくなっていた。15歳の長男ルミナスはゼノスの代わりに一家の柱として妹を守り抜き、父に深い拒絶のこもった瞳を向けていた。そして、8歳の長女ミリアは父の顔も忘れていた。 ゼノスは決意する。英雄の肩書きを捨て、一人の不器用な父親として、バラバラになった家族の心を繋ぎ合わせることを。 これは世界最強の治癒師が家族を修復する物語である。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!一肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

外れ伯爵家の三女、領地で無双する

森のカフェしっぽっぽ
ファンタジー
十三歳の少女アイリス・アルベールは、人生を決める「祝福の儀」で“ゴミスキル”と蔑まれる《アイテムボックス》を授かってしまう。戦えず、稼げず、価値もない――そう断じた家族は、彼女を役立たずとして家から追放する。さらに、優秀なスキルであれば貴族に売り渡すつもりだったという冷酷な真実まで明かされ、アイリスはすべてを失う。 だが絶望の中、彼女は気付く。この世界が、自分がかつてやり込んだVRMMORPG『メデア』そのものであることに。 そして思い出す―― 《アイテムボックス》には、ある“致命的なバグ”が存在することを。 市場で偶然を装いながらアイテムを出し入れし、タイミングをずらすことで発生する“複製バグ”。それは、あらゆる物資を無限に増やす禁断の裏技だった。 食料も、装備も、資金も――すべてが無限。 最底辺から一転、誰にも真似できないチートを手にしたアイリスは、冒険者として歩み始める。だがその力はやがて、経済を歪め、権力者の目に留まり、そして世界の“仕様そのもの”に干渉していくことになる。 これは―― ゴミと呼ばれた少女が、“世界の裏側”を掌握する物語。

魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした

たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。 死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。