拾われた俺、最強のスパダリ閣下に全力で溺愛されてます 迷い子の月下美人

エウラ

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208 竜王陛下への奏上 3

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そうして掻い摘まんで簡潔に、アークが話したことを淡々と報告するウラノス。

竜王陛下以下、その場に同席した者は報告が進むにつれ、顔を険しくし、呻った。

だいぶ端折ったとはいえ、ノアの半生はかなり苛酷なモノがあった。
生まれる前から、そして生まれてからも・・・。

「・・・何と、本当に・・・生きていてくれてありがとう。感謝する」

不意に竜王陛下が頭を下げてそう言ったので、ギョッとした。
もちろんノアだけでなくアークもウラノスも側近も近衛騎士もこれには慌てた。

「へ、陛下! お止め下さい!!」
「陛下のせいではありませんよ!」
「そうです。頭を上げて下さい!!」

ノアも叫ぶように言った。

「お、私は、アルカンシエルに出逢うまで、不幸と思ったことはありません。確かに天涯孤独でしたが、育ての親のラグ爺さんには愛されていたし、街の人は冷たかったけど冒険者ギルドでは親切にして貰ってたし、アルカンシエルと番ってからは幸せで・・・あの、その後も、両親の事とか知れて、愛されてたって・・・」
「・・・・・・ノア」
「今は、こんなに家族が出来て、嬉しいんです。だから、平気です。ありがとうございます、陛下」

竜王陛下はそれを聞いてジーンときた。

「ノア、そうじゃ、儂らはもう家族なんじゃ! だから陛下なんて堅っ苦しいのは無しじゃ!」
「---ええと?」
「公では仕方ないが、プライベートではと呼んでおくれ」
「・・・・・・大祖父様?」
「おお、ノアはいい子じゃ」

ノアがちょっと引きながら希望通りにそう言うと、相貌を崩してニカッと笑った。

その顔が亡くなったラグ爺さんを思い起こさせて・・・。

思わず泣き笑いの顔になったノアを、大きな体に似合わない優しさでふわりと抱き締める竜王陛下。

それを何処か懐かしい気持ちでぎゅっと抱き返すノアを嫉妬の表情を隠しもせずに堪えるアークと、それを押さえるウラノスと側近達というカオスな現場となった。

「・・・・・・コホン。それともう一つ」

そういって仕切り直すウラノスに、独占欲丸出しのアークにぎゅうぎゅうと抱き締められているノア、鼻の下を伸ばす竜王陛下と呆れる側近達が、一応、聞く姿勢に戻った。

「古竜の封印場所について」

そう言ったウラノスの言葉に、周りの空気がピリッとしたのが分かった。

「・・・・・・この場ではウラノス以外は承知している、ということで良いのかな? アークとノアはヴァンから聞いて知っているのだろう?」
「「はい」」

二人して頷く。
竜王陛下は一つ頷くと神妙な顔で告げた。

「ではココでウラノスに教えないのはフェアではないな。良かろう。ウラノス、儂のスキルに異空間収納魔法があるのは知っているのだろう?」
「ええ。有名ですよね?」
「ああ、そこに封印しているのだ」

サラッと言われたことに困惑するウラノス。

「・・・・・・異空間収納魔法は生きているものは入れられないはずでは」
「普通はな。だが儂のは特殊で、入れられるのよ。酷くゆっくりと時間は経つがな。それ故、封印の際、ラグナロクとフェンリルが彼奴と中に入り、封印を終えて出て来たら200年経っていたという訳だ。彼奴らにしたら数日の死闘が数百年規模で驚いていたがな」

はっはっはっと軽く笑っているが、笑い事か、それ?!

「というわけで、もし儂が死ねばこの異空間収納魔法は古竜共々この世界から消える。・・・・・・出来れば正気に返って、この世界でまた暮らして欲しいがな・・・せっかく息子忘れ形見が無事に生きているのだ。なあ?」

誰ともなしにそう呟くと、話は以上だとお開きになった。

「そうそう、ノアももう立派な王族の一員なのだから何時でもおいで。これでも忙しい身での、すぐに会えぬやもしれんが、気軽に大祖父様に会いに来るといい。美味しいお茶菓子を用意しておくよ」
「ありがとうございます、大祖父様」
「もれなく俺もついてきますよ」
「願ってもない! ほっほっほ」

そういって私室をあとにした。

「私達も帰ろうか」

帰り際、従者の案内で城を出るときも周りの目が鬱陶しかったが、来るときよりは気にならなかった。

「・・・ふふふ、凄い人が大祖父様になっちゃった」
「そうだな。気さくな方だったろう?」
「うん。記録媒体の手紙でたまに見かけたけど。本当におじいちゃんって感じで、思わずラグ爺さんを思い出しちゃった」
「・・・良かったな」
「うん、本当にありがとう、アーク。義父様も」
「「どういたしまして」」

二人が息ぴったりで、さすが親子とぷっとアークと思わず笑うノアだった。


その光景を見た王宮勤めの使用人達がその後、あっと言う間に噂を広めていたことには気付かないまま。

アルカンシエルとウラノスはしっかりとチェックしていたが・・・。



一波乱起きそうな予感がした。





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