拾われた俺、最強のスパダリ閣下に全力で溺愛されてます 迷い子の月下美人

エウラ

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265 眠り姫の目覚め 1(sideアルカンシエル


時は少し遡り、ノアがアークに襲いかかってきた後・・・。

ギギ達から離れたところでノアとアークはひたすら刃を合わせていた。



ノアからのもの凄い手数の剣戟をアークは大剣で往なし、合間に飛んでくる無詠唱の攻撃魔法を躱し、時にその大剣の斬撃で消す。

---相変わらずえげつない魔法だな!
味方の時は頼もしかったのに、敵に回した途端にって感想しか出て来ねえ。

さっきのあの野郎の様子じゃ、自分はだと思い込まされているようだ。
の時のような手加減セーブは期待できないだろう。

魔法騎士団の時や冒険者ギルドの時のようにはいかない。
俺も番いノアが相手とはいえ、加減なんてしてられねえ。
ガチンコで行かねえとお互いヤバいってもんだ。

---まあ、俺の方は全力でいってもノアに傷一つつけられそうもないくらい戦力に差があるんで、自分のためと言いつつなんだけどな。

正気に戻ったノアが、自分のせいで俺が傷付いたと知ったら泣く。
絶対に自分を責めて泣く未来しか見えねえ。

そんなの、俺が許すわけ無いだろう。

そんなわけで、余所見をする余裕もないまま戦闘しているため周りがどんな状況なのか今イチ把握していなかったんだが・・・。

ふと、剣戟の嵐が落ち着き、殲滅魔法もろくに飛んでこなくなって気付く。

「---うわ、酷えな・・・」

チラッと見えた迷宮内は、ほとんどがノアの魔法のせいだろう、地面は抉れてそこら中クレーターが出来ていた。
深いところだと十何メートルあるのか・・・。
それが至る所にあって、かなり離れたところにもボコボコと・・・。

更には斬撃で切り裂かれた地面や小高い丘・・・。

インフェルノで焼け爛れた岩やアブソリュート・ゼロで凍てついた木々・・・。

それに巻き込まれたであろう魔物達だったモノ。
すでにドロップアイテムと化している。

---アイツら、拾っといてくれねえかなあ・・・?

なんて現実逃避をしてしまったアーク。
(※半分は自分のせい、とは思っていない)


この時の二人はお互い竜化していて、瞳孔は縦に割れてるし、翼を顕現して空中戦を繰り広げていたのだが。

ふと目の前のノアを見ると、手数が減ったときに気付いていたが、ガラス玉だった瞳に少しずつ揺らめきが浮かんできていた。

太刀筋に躊躇いが出始め、明らかに魔法の威力も減っている。
ノアは精霊王のおかげで魔力切れが無いから、そういった理由で魔法の質が落ちることが無い。

---ということは、ノアの自我が戻ってきている証拠だ。

---アイツは、ノアの洗脳にだいぶ苦労したと言っていた。
おそらく魔法で無理やり押さえつけているんだろう。
それが上手くいかなくなった・・・というところか。

「それならば好機!!」

ノアは俺の好一対番いだ。
項の咬み痕はガッツリ残っていて消えることは無い。

ノアに接触さえ出来れば、呪縛は解けるはず。

---散々、抱き潰して覚え込ませた俺の事を体が、心が忘れるはずはねえ!!

「ノア---っ!!」
「---っ」

アークの突然の雄叫びにビクッとしたノア。
その一瞬を見逃さずにノアの間合いに踏み込み、懐に飛び込んだアーク。

ノアは硬直して動かない。

アークはギュッと抱き締めて、ノアの後頭部を押さえつけると噛み付くように口付けをした。

「---っ」

ノアは銀の瞳をこれでもかと見開いて震えると、手に持っていたバスタードソードを消して震える手をアークの背中にそろそろと回し、涙を零した・・・。

その瞳にはしっかりとアークが映っていた・・・。










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