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連載
269 オトシマエ 2
《コレが元凶の夢魔だよ》
そう言って精霊王が無造作にテーブルに転がした蔓の檻の中では、ゴロゴロとひっくり返る夢魔・・・ダンダリアンが見えた。
何か喚いているようだが口をパクパクしているだけで聞こえない。
「・・・あ、『沈黙』の魔法をかけてたっけ」
「それもそうだが、小さくてよく見えないな」
「え、老眼---っげふん!」
「・・・お兄・・・・・・」
学習しないギギをひと睨みしてからシェイラが精霊王に声をかける。
「精霊王様、もう少し大きくお願いします。あとノア、『沈黙』の解除を・・・でも音小さく出来る?」
《ふむ、テーブルに乗るくらいにしようかの》
「音を小さく、ね? じゃあ『小音』(※この場合のミュートは最小限の音を表します。管楽器に嵌めるミュートピース的な意味)」
シェイラの願い通りにしてくれた二人に礼を言って、改めてダンダリアンを見る。
「この夢魔・・・ダンダリアンと名乗っていたが、コレが200年ほど前にあの迷宮に棲み着いて最近まで寝ていたそうだ」
レオニードがザッとあらましをカフカ達に話す間も小さくなった声でピーピーとさえずっているダンダリアン。
「ああ、ソレでノア殿の髪が金色なんですね? 時間が経てば影響力は無くなると思いますが・・・元に戻るでしょうか?」
「そこは俺が戻す。何としてでもな」
アークがムッとして言った。
・・・どうやるのか何となく察したレオン達。
ノアはキョトンとしていたが。
飽きもせずにずーっと喚いていたダンダリアンだったが、レオニードの話が終わる頃には魔力切れになってきたのか、ぐったりと青い顔になっていた。
見ると一つ、ドぎついピンク色の花が咲いていた。
「・・・・・・コレは何ですか?」
さすがに気になったカフカが尋ねると、いい笑顔で精霊王が応えた。
《此奴の魔力を吸って咲くのだ。魔石の実が成るから、有効活用してくれ》
「---それは凄いですね!」
《そうであろう! 今度、罪人に使ってみるか? 特別にこれの種をやるぞ。育ててみるか?》
「よろしいのですか?!」
「---おーい、取りあえず話を戻そうぜ?」
アークが脱線しそうな話を元に戻す。
カフカも精霊王もハッとした。
「・・・・・・コホン、失礼しました。では、コレの処罰はこちらで対応してよろしいですか?」
「ああいや、ノアの両親の事情に絡んだ、いわば元凶だったので竜王国としてもコレの処遇を検討したいのだが・・・」
「・・・では後日、魔人国の国王陛下と竜王国の国王陛下とで話し合いの場を設けましょう。そこでお互いの国の妥協案を探りましょうか」
レオニードの言葉にカフカは少し考えてからそう言った。
「そうだな。ではその様に兄王に話を通しておくとしよう」
「こちらも魔人国の国王に伝えて日程の調整を致します。---お疲れ様でした。数日はゆっくり出来ると思いますよ」
「助かる。さすがに色々疲れた。暫くゆっくりしたい」
レオン達もさすがに疲弊していた。
一安心して気が抜けたからかもしれない。
カフカがテーブルの蔓の檻を指差してレオニードに聞いた。
「ソレ、こちらのギルドでお預かりしてもよろしいですか?」
「・・・良いですか、精霊王様?」
念の為、精霊王にお伺いをたてるレオニードに快く応える精霊王。
《ああ、構わんよ。邪魔だからもう少し小さくしておこう。何、絶対に破れない檻だから心配無い。何かあればノアとアークに言ってくれればすぐに召喚されてやるから遠慮するな》
「ありがとうございます。では皆様お疲れ様でした」
がやがやと去って行くアーク達を見送ったあと、執務室に結界を張り直すカフカとラミエル。
二人ともダンダリアンをジッと睨んでいたが、やがてラミエルが塵芥を見る目で言った。
「---コレが私と同じ種族かと思うと反吐が出ますね」
「ラミエルはそんなヤツと同じじゃ無いでしょう?」
「それでも、こんなヤツ一人のせいで、一族全員がそう思われるのは我慢ならない」
「私は分かっていますよ」
そう言ってカフカはラミエルをギュッと抱き締めた。
「それにラミエルは私以外に手は出さないでしょう?」
---一途だものね。
そう囁いて口付けるカフカ。
ラミエルも抱き締め返し口付けを返そうとしているとダンダリアンが喚いた。
「---ちょっと! アンタ、同族っていうなら助けなさいよ!」
「今の話、聞いてなかったのか? 耳が遠いんだな、この年増」
「---ハア?! 誰が年増よ! アタシは永遠の20歳・・・って・・・・・・ん? アンタ、見たことあるような・・・?」
「昔、お前に殺されかけた出来損ないだよ」
「---っ? ええ?! あ---っ!! アンタあの時のガキ!! な、何で生きてんのよ?!」
「私が助けたからだよ、クズ野郎。散々迷惑かけやがって・・・ただで済むと思わないことだ」
「カフカ、口汚い」
「あ、すまない」
「ちょっと---!! 何よ、イチャイチャ見せつけてんじゃないわよ!!」
「煩い。『沈黙』」
「****---!!」
ラミエルが『沈黙』で静かにさせて、カフカは漸くラミエルと久しぶりの口付けを交わす。
コイツのせいで忙しくて最近ご無沙汰だったのだ。
後始末を考えるとまだまだ忙しくなりそうだが、だからこそ、ほんの一時だけでも触れ合いたい二人だった。
ギルド職員が声をかけるまで、暫く口付けを堪能していたのだった。
※二人のイチャコラは需要があれば書こうと思います(イチャコラはともかく閑話の予定はあります)。
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