拾われた俺、最強のスパダリ閣下に全力で溺愛されてます 迷い子の月下美人

エウラ

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305 クリリン御一行の忍べてないお忍び


「どうやら上手く纏まったようだの」

離宮に残してきた護衛騎士の一人、ウルズからの通信を切った後、クリカラはそう言ってニカッと笑った。

その声に全員がワッと湧いた。

ここは魔人国の城下街。
お忍びで散策中の竜王陛下御一行様だ。
・・・・・・全く忍べてないが。

いや、軽装とはいえ、コレだけ有名人と一緒にいれば目立つもの。
地元では有名人のギギルル兄弟に先の『箱庭の迷宮』での騒動で知れ渡ったノアとアーク、レオニードとシェイラ達Sランク冒険者。

そこに私服とはいえ護衛騎士の二人と魔法騎士団三人も加わって、如何にも身分の高そうなご老人や美中年達を護るように囲んでいるのだ。

この大所帯が誰であるかはおおよそ想像できるというもの。

数日前、飛来した多くのを目撃したなら尚更だ。

そんな団体様が広場の休憩所で屋台料理を堪能中に入った通信の後、我がことのように喜びに溢れる様に、周りの者達は何事かとザワついた。

「いやあ良かった。心配はしていなかったが、無事に番いになって貰えるそうだ」
「じゃあこれから彼等は・・・いや、野暮ですね」

つい口に出してから、リュウギは口を押さえた。

「滞在期間をぎりぎりまで延ばしてから帰国しようかの」

クリカラがニヤニヤして言う。
それにウラノスが思案顔で呟いた。

「・・・あと三日ほどで済みますかね?」
「そこは仕方ないから一時的にでも終わらせて貰わないと。さすがに置いては帰れませんよ」
「道中長いからなあ・・・片道一週間かかるんだが、その間、どうする?」

などなど、下世話な話をしているクリカラ・・・今はクリリン達。
呆れたように見つめながらノアに給餌するアークがぽそっと呟いた。

「精霊王に転移して貰えば?」

それに皆がハッとした。

「・・・確かに。精霊王なら生きてるモノを問題なく転移できるんだよね」
「・・・・・・そういえばそう言ってたな。実際、迷宮で転移させてたし。だが人数的にはどうなんだ? あと、距離的にも」

ギギルル兄弟がそう言うと、ノアはなんてことないように言った。

「問題無いと思うけど、本人に聞こうか?」
「え、ここで? 今?!」
《はいはーい、喚んだ?》
『喚んでない』
《え---?! ノアに喚ばれたよね?!》
「うーん、喚んだ?かな? 喚ぼうかって言ってはいたけど・・・?」
「だから、ホイホイ湧いてくるな!」
「自由すぎるよ、精霊王様・・・」

ノアの声にアークがあっと思う間もなく金色の魔力を撒き散らして精霊王が召喚された・・・いや、勝手にやってきた。

ヴァンが召喚を否定したが、精霊王は何処吹く風でノアに抱き付き、ノアは曖昧に笑った。
それにギギルル兄弟は通常運転でツッコミを入れる。

クリカラ達は笑いに包まれたが、周りの住人達はまたしても困惑顔で呆然としていたのだった。

《それで何用だ?》

そういえば、と思い出してアークが精霊王に聞いてみる。

「ここから竜王国までこの人数、最低12人、転移できるか?」
《当然。何の問題も無い。何だ? 今すぐにでも送ってやるが?》
「いや、りゅ、クリリン達が帰る日に転移して欲しい。良いか?」
《構わぬ。その時はまた喚べ。ついでにアレの事も向こうで済ませておこう》
「精霊王殿、よろしく頼みますぞ」
《用はそれだけかな? ではまたな》

そう言ってキラキラと還って行った精霊王に、皆が苦笑した。

「ただでさえ目立つのに・・・」
「今のでめちゃくちゃ目立った」
『今更だな。それよりも我に早う美味い飯を食わせろ』
「はいはい、ヴァンも大概自由だよな」
「精霊王と似た者同士」

再びわいわいと賑やかに食べ始まった目立つ集団を気にしつつも何事もなかったように人々が動き出す。

暫く食事に舌鼓を打ったあと、冒険者ギルドに突撃訪問をしてギルド内を大混乱の渦に落とし、カフカ達が頭痛を堪える場面が多々あったらしいとだけ、付け加えておこう。

自由人なのは竜王陛下も一緒だった。


護衛騎士も苦労してるんだなと思う一日だった。













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