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302 閑話 ヴェルザンティの嫁取り作戦 2
粛々とお茶会の場が整えられて、あっと言う間に約束の時間になった。
離宮の入り口でヴェルザンティが待っていると、侍従を連れたエクシア殿下が現れた。
ヴェルザンティは思わず駆け出したくなるのを何とか堪えて、人好きしそうな微笑みで出迎える。
「今日はお招きありがとうございます、グウィン殿」
「こちらこそ、急なお招きにもかかわらずお越し下さってありがとうございます、殿下。どうか私の事はファーストネームのヴェルザンティとお呼び下さい」
「・・・では、私の事もエクシアと」
「---畏まりました、エクシア様。ではこちらへどうぞ」
ほんのり頬を染めてヴェルザンティにエスコートされるエクシア殿下を、セッティングされたテーブルの近くの生垣越しに覗き見る影が・・・四つ。
その内の二つは言わずもがな、ウルズとスクルドなのだが・・・。
『・・・何故貴方方がココにいらっしゃるのですか、王太子殿下、第2王子殿下?』
『そんなの、エクシアが心配だからに決まっているだろう!』
そう、そこには何故か、王太子ドミリオと第2王子ヴァルタスがウルズ達と同様にこっそり隠れていたのだった。
『暇なんですか?』
思わずそう言ったスクルドに吠えるドミリオ。
『そんなわけあるか! 大体お前達も何故ここにいる!』
『え、そりゃあヴェルザンティの暴走を止めるためですけど?』
『そうですね』
『『・・・は?』』
ポカンとするドミリオとヴァルタスに、不敬と思いつつも深い溜息を吐くウルズ。
『いやいや、ヴェルザンティが暴走した時に殿下達で止められるとでも? 竜人ですよ? 無理ですよね。だから我々がいるんです』
やれやれとばかりにそう言うスクルド。
ソレに文句を言う余裕もなく焦ったように言うドミリオとソレを難しい顔で黙って聞いているヴァルタス。
『いやいや、暴走するのか? 私達は父である宰相から何かあればエクシアを護れと言われていて・・・え? そういう意味での護れ?!』
『竜人の番い至上主義、分かってます? アレでもヴェルザンティはかなり自制してますよ。何時キレてもおかしくないくらい堪えてますよ。下手したら軟禁、いや監禁まっしぐらですって』
『---マジか』
『マジです』
『・・・・・・兄上、言葉遣いが悪いですよ』
黙って聞き役に撤していたが言葉が崩れた兄に思わずヴァルタスがツッコむ。
『ああ、スマン、つい』
『素はソッチですか。お父上に似てらっしゃいますね』
『・・・取り繕うのも面倒だから良いか。とにかく、襲われないように見張ってろと言われたのでな』
『ああ、よく分かってますね。さすが宰相殿』
ウルズが納得とばかりに頷く。
外野がそうこうしている内に何やらテーブルで動きがあったようだ。
ガタンと席を立ったヴェルザンティがもの凄い勢いでエクシア殿下の元へ近付き、手をガシッと掴んだかと思ったら次の瞬間、エクシア殿下を思いっきり抱き締めた。
そして何やら顔を近づけておそらく口付けをしようと・・・?!
「---あ、マズい!」
「あっ、おい!!」
こそこそ話していたが、マズい雰囲気になりそうで、慌てて飛び出すウルズとスクルド。
秒でヴェルザンティの頭と横っ腹を殴り付けると思いっきり引き剥がした。
それこそベリッと音が出るほどに。
「スミマセン、王子殿下」
「・・・あ、いえ・・・・・・その・・・・・・大丈夫?」
スクルドが和やかに笑って謝罪すると、戸惑い引きながらも殴られたヴェルザンティを案じたエクシア殿下に手応えを感じたウルズ達。
「大丈夫ですよ。竜人は頑丈ですから」
「・・・・・・も、申し訳ありません。堪えきれずに・・・つい・・・」
ヴェルザンティが謝罪していると、漸く生垣から現れたドミリオ達がやって来た。
何故隠れて覗き見していたかのツッコミは無しで、という視線をエクシアに向ける。
「・・・・・・エクシア、大丈夫か? イヤならもう帰るぞ」
「あ、いえ・・・・・・あの、兄上達も同席して良いなら、もう少し、お話を」
「え!! 是非、お願いします!!」
「・・・・・・必死だな」
エクシアの言葉に被せるように叫ぶヴェルザンティに思わずドミリオがそう言うと、ヴェルザンティが真剣な顔で告げた。
「一生に一度の、たった一人の最愛ですから」
そう言ってニコッと笑ったのだった。
「---ッ」
そんなヴェルザンティに頬を朱に染めてうるうるする様が、どう見ても猫の逃げた魔王陛下にそっくりで・・・・・・。
兄王子達はほっこりして、ウルズ達はやっぱりチョロインだなと思ったのだった。
※嫁取り作戦の話では出ないかと思いますが、誰もツッコまずに自分も忘れてた(笑)ので念の為、竜王陛下の護衛騎士5人の内の2人の出番が今まで無かったのですが、今は竜王陛下のお忍びにくっついて行ってます。
後で別視点の閑話で名前とか出ます。忘れててスミマセン。
アレ、護衛騎士5人だったよな?と今思い出して焦りました。晩餐会では3人しかいないし紹介してないって(笑)。
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