258 / 641
連載
324 閑話 自由人・精霊王様が行く 2
※大公家に現れた精霊王。
竜王国の王城を賑わせた精霊王は、当初の予定通り2日滞在の後、古の森へと一旦還っていった。
それから日を待たずに、今度はヴァルハラ大公家に出没した。
《ノア達はおるかの?》
「---せ、精霊王様・・・いらっしゃいませ。急にどうなさったんです?」
《うむ、暇でな・・・。遊びに来た》
なんてことないようにそう言ってサロンの椅子に座る精霊王に、執事長のアヴィールがお茶を出しながら様子を窺う。
「ノア様達は、この間こちらに帰ってすぐに発情期に入ってしまわれて、ただいまはお部屋に巣篭もり中でございますので、生憎とお会いにはなれないかと・・・」
《おや、それならば邪魔は出来ないね。じゃあどうしようかな・・・》
思案顔の精霊王。
その時、ちょうど仕事の区切りがついたウラノスがレーゲンと共にやって来た。
どうやら影から連絡が入った模様。
「精霊王様、いらっしゃい。ノアちゃんに会いに来たのですか?」
《うむ。だが会えないのでどうしようかなと思っていたのだ》
「ウチも特段、珍しいモノなどないですからねえ・・・。ああ、そういえば王宮の庭園が大変なことになっていたようですね?」
その原因が精霊王にあることはヴァルハラ大公家でも知っている。
面白いので放置されていることも。
《刺激があって良かろう?》
いや、日常にそんな刺激は要らないでしょ。
レーゲンとアヴィールは密かに心の中で思った。
《ここにも作ってやろうか?》
「いやいや、ここにはそんな大層な庭はありませんので、遠慮しますよ」
ニタリと笑う精霊王に笑えないウラノスはそう言って断った。
《何だ、つまらん。じゃあ、古の森で遊んでいるか・・・。ノア達が巣篭もりを終えたらまた来るかな。邪魔したな》
「いえ、お構いもしませんで。ではまた後ほど」
キラキラを撒き散らして還っていった精霊王に皆がホッとひと息つく。
「彼の方もこちらの常識など通用しない方だからなあ」
「ノア様達がお部屋から出る頃にまた来るみたいですよね。・・・精霊王様のお部屋を御用意しますか?」
頭が痛いとばかりのウラノスにそうレーゲンが言った。
確かに・・・。
「今回の件で、精霊王がちょくちょく訪ねてきそうだから、あった方が良いだろうな。アヴィール、その様に手配してくれるか?」
「畏まりました」
そうして部屋を整えた後、ノア達が発情期明けで部屋から出てきたタイミングで再び精霊王がやって来た。
「精霊王、ウラノス義父様がこの邸に精霊王のお部屋を一つ用意してくれたんだって!」
《そうらしいの。助かる》
「部屋は自由に模様替えして良いが、あまりヘンなことはするなよ?」
アークも王宮の庭園の騒ぎを聞いたのだろう。
ウチではやるなよ、と釘を刺していた。
《やらないよ、そんなには・・・》
「・・・・・・」
《ほどほどに・・・?》
「---・・・・・・はあ・・・。部屋以外に被害は出すなよ?」
《もちろん、結界張るから!》
「頼むよ?」
もはやどちらが大人か分からないやり取りを二人がしているのを見守る大公家の人達。
この後、嬉々として与えられた部屋を魔改造する精霊王の姿が見られた。
その様子をチラリと覗いたノアとアークはこう言った。
「めちゃくちゃ可愛らしい」
「・・・子供部屋だな」
どうやら至るところで集めてきた可愛い玩具や絵本、ぬいぐるみなどを飾っているようだ。
《せっかくあるんだから、飾って使って貰おうと思って》
「・・・え?」
《何時かは其方らにも子が出来よう? その時にでも使っておくれ。部屋の中に状態保存の魔法をかけておくのでな》
何時でも良いぞ、と微笑む精霊王に呆気にとられる二人。
「・・・ありがとう」
「・・・・・・何時か、その時は・・・」
ノア達はそう言って御礼を言った。
ヴァルハラ大公家の皆はその話を聞いて嬉しくて大号泣していたそうだ。
「王宮の庭園みたいになるかと思ってたよ!」
「良かったねえ!」
《失礼な。我とて時と場所をちゃんと考えておるわ》
そう言いながら、またそのうちな、と還っていった。
それからちょくちょく訪ねてきては、自由に邸の内も外もふらふら歩き、厨房で菓子や料理をつまみ食いし、庭園の一部をやはり王宮の庭園のように弄ってしまい、たまにやって来る不法侵入者が知らずに捕獲されていた。
「---平和だねえ」
「・・・ソーデスネ」
いい加減、邸の皆は慣れたようで、そこかしこに精霊王が出没しても動じなくなった。
しかし、こんなに来ていて古の森は大丈夫なのかと少々心配なウラノス達だった・・・。
竜王国の王城を賑わせた精霊王は、当初の予定通り2日滞在の後、古の森へと一旦還っていった。
それから日を待たずに、今度はヴァルハラ大公家に出没した。
《ノア達はおるかの?》
「---せ、精霊王様・・・いらっしゃいませ。急にどうなさったんです?」
《うむ、暇でな・・・。遊びに来た》
なんてことないようにそう言ってサロンの椅子に座る精霊王に、執事長のアヴィールがお茶を出しながら様子を窺う。
「ノア様達は、この間こちらに帰ってすぐに発情期に入ってしまわれて、ただいまはお部屋に巣篭もり中でございますので、生憎とお会いにはなれないかと・・・」
《おや、それならば邪魔は出来ないね。じゃあどうしようかな・・・》
思案顔の精霊王。
その時、ちょうど仕事の区切りがついたウラノスがレーゲンと共にやって来た。
どうやら影から連絡が入った模様。
「精霊王様、いらっしゃい。ノアちゃんに会いに来たのですか?」
《うむ。だが会えないのでどうしようかなと思っていたのだ》
「ウチも特段、珍しいモノなどないですからねえ・・・。ああ、そういえば王宮の庭園が大変なことになっていたようですね?」
その原因が精霊王にあることはヴァルハラ大公家でも知っている。
面白いので放置されていることも。
《刺激があって良かろう?》
いや、日常にそんな刺激は要らないでしょ。
レーゲンとアヴィールは密かに心の中で思った。
《ここにも作ってやろうか?》
「いやいや、ここにはそんな大層な庭はありませんので、遠慮しますよ」
ニタリと笑う精霊王に笑えないウラノスはそう言って断った。
《何だ、つまらん。じゃあ、古の森で遊んでいるか・・・。ノア達が巣篭もりを終えたらまた来るかな。邪魔したな》
「いえ、お構いもしませんで。ではまた後ほど」
キラキラを撒き散らして還っていった精霊王に皆がホッとひと息つく。
「彼の方もこちらの常識など通用しない方だからなあ」
「ノア様達がお部屋から出る頃にまた来るみたいですよね。・・・精霊王様のお部屋を御用意しますか?」
頭が痛いとばかりのウラノスにそうレーゲンが言った。
確かに・・・。
「今回の件で、精霊王がちょくちょく訪ねてきそうだから、あった方が良いだろうな。アヴィール、その様に手配してくれるか?」
「畏まりました」
そうして部屋を整えた後、ノア達が発情期明けで部屋から出てきたタイミングで再び精霊王がやって来た。
「精霊王、ウラノス義父様がこの邸に精霊王のお部屋を一つ用意してくれたんだって!」
《そうらしいの。助かる》
「部屋は自由に模様替えして良いが、あまりヘンなことはするなよ?」
アークも王宮の庭園の騒ぎを聞いたのだろう。
ウチではやるなよ、と釘を刺していた。
《やらないよ、そんなには・・・》
「・・・・・・」
《ほどほどに・・・?》
「---・・・・・・はあ・・・。部屋以外に被害は出すなよ?」
《もちろん、結界張るから!》
「頼むよ?」
もはやどちらが大人か分からないやり取りを二人がしているのを見守る大公家の人達。
この後、嬉々として与えられた部屋を魔改造する精霊王の姿が見られた。
その様子をチラリと覗いたノアとアークはこう言った。
「めちゃくちゃ可愛らしい」
「・・・子供部屋だな」
どうやら至るところで集めてきた可愛い玩具や絵本、ぬいぐるみなどを飾っているようだ。
《せっかくあるんだから、飾って使って貰おうと思って》
「・・・え?」
《何時かは其方らにも子が出来よう? その時にでも使っておくれ。部屋の中に状態保存の魔法をかけておくのでな》
何時でも良いぞ、と微笑む精霊王に呆気にとられる二人。
「・・・ありがとう」
「・・・・・・何時か、その時は・・・」
ノア達はそう言って御礼を言った。
ヴァルハラ大公家の皆はその話を聞いて嬉しくて大号泣していたそうだ。
「王宮の庭園みたいになるかと思ってたよ!」
「良かったねえ!」
《失礼な。我とて時と場所をちゃんと考えておるわ》
そう言いながら、またそのうちな、と還っていった。
それからちょくちょく訪ねてきては、自由に邸の内も外もふらふら歩き、厨房で菓子や料理をつまみ食いし、庭園の一部をやはり王宮の庭園のように弄ってしまい、たまにやって来る不法侵入者が知らずに捕獲されていた。
「---平和だねえ」
「・・・ソーデスネ」
いい加減、邸の皆は慣れたようで、そこかしこに精霊王が出没しても動じなくなった。
しかし、こんなに来ていて古の森は大丈夫なのかと少々心配なウラノス達だった・・・。
あなたにおすすめの小説
家族に忘れられていた第五王子は愛され生活を送る
りーさん
ファンタジー
アズール王国の王宮には、多くの王子や王女が住んでいる蒼星宮という宮がある。
その宮にはとある噂が広まっていた。併設されている図書館に子どもの幽霊が現れると。
そんなある日、図書館に出入りしていた第一王子は子どものような人影を見かける。
その時、父である国王にすら忘れられ、存在を知られていなかった第五王子の才覚が露になっていく。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
家に帰ったら、妻は冷たくなっていた。突然シングルファザーになった勇者パーティーの治癒師は家族を修復したい
八朔バニラ
ファンタジー
勇者パーティーに所属し、魔王討伐した治癒師(ヒーラー)のゼノスは街の人々の歓声に包まれながら、3年ぶりに家に帰った。家族が出迎えてくれると思ったが、誰も出迎えてくれない。ゼノスは不満に思いながら家に入ると、妻の身体は冷たくなっていた。15歳の長男ルミナスはゼノスの代わりに一家の柱として妹を守り抜き、父に深い拒絶のこもった瞳を向けていた。そして、8歳の長女ミリアは父の顔も忘れていた。
ゼノスは決意する。英雄の肩書きを捨て、一人の不器用な父親として、バラバラになった家族の心を繋ぎ合わせることを。
これは世界最強の治癒師が家族を修復する物語である。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!一肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
外れ伯爵家の三女、領地で無双する
森のカフェしっぽっぽ
ファンタジー
十三歳の少女アイリス・アルベールは、人生を決める「祝福の儀」で“ゴミスキル”と蔑まれる《アイテムボックス》を授かってしまう。戦えず、稼げず、価値もない――そう断じた家族は、彼女を役立たずとして家から追放する。さらに、優秀なスキルであれば貴族に売り渡すつもりだったという冷酷な真実まで明かされ、アイリスはすべてを失う。
だが絶望の中、彼女は気付く。この世界が、自分がかつてやり込んだVRMMORPG『メデア』そのものであることに。
そして思い出す――
《アイテムボックス》には、ある“致命的なバグ”が存在することを。
市場で偶然を装いながらアイテムを出し入れし、タイミングをずらすことで発生する“複製バグ”。それは、あらゆる物資を無限に増やす禁断の裏技だった。
食料も、装備も、資金も――すべてが無限。
最底辺から一転、誰にも真似できないチートを手にしたアイリスは、冒険者として歩み始める。だがその力はやがて、経済を歪め、権力者の目に留まり、そして世界の“仕様そのもの”に干渉していくことになる。
これは――
ゴミと呼ばれた少女が、“世界の裏側”を掌握する物語。
魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした
たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。
死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。