拾われた俺、最強のスパダリ閣下に全力で溺愛されてます 迷い子の月下美人

エウラ

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326 閑話 ヴァンと愉快な仲間達 2


朝早く。

空が白んで陽光が差し込み始めた頃に目が覚めたヴァン達は、早めの就寝だった事もあり、すっきりとしていた。

---コレからあの迷宮に潜ると思うとギギルル兄弟は少々テンションが下がったが。

まあ苦手なのはあのボスだけだ。
いや、倒すのはそこまで大変じゃないんだ。
見た目がなあ・・・。

「・・・あのキショいの、今日は何回拝むのかなあ・・・」
「---ああ、ノアの時は何回だっけ・・・もう二桁いったときに数えるの止めたっけな・・・」
「ヴァンは何回行く気かなあ・・・」

はあーっと朝から重い空気になった二人だったが、ヴァンはウッキウキだった。

『早う、朝御飯食べて行くのだ!』
「はいはい」
「今日は俺達は付き添いな。ヴァンはボスも殺ってくれるんだよな?」
『当然よ! そこまでがワンセットじゃ!』
「イッヌだけに?」
「ウケる」

ギギ達の呟きは今のヴァンには聞こえなかったようだ。


こんな朝早くでも、冒険者の宿だけに朝食もしっかりと用意されていて、ヴァン達は軽く食べてから宿をチェックアウトした。

今日は夕方まで潜ったら竜王国に戻るからだ。

迷宮に行く前に冒険者ギルドに顔出しだけしてから、件の迷宮に向かった。

「おはようございます。・・・あれ、ギギさんルルさん達・・・と、ヴァン殿? 珍しい組み合わせですね」

門の前に待機しているギルド職員がギギ達を覚えていて声をかけてきた。

「おはよう、この前の職員さんか。うん、今日はヴァンのお守りだよ」
『何でもいいのだ! 早く潜るのだ!』
「・・・の出来ないイッヌなんだよねぇ」
「・・・なるほど、ご苦労様ですね。もしかして今日は、ノア様のように周回コースですか?」
「「『おう!』」」
「が、頑張って下さいね」

気合いの入った声が返ってきたが、ギギルル兄弟はヤケクソに聞こえた。

ギルド職員達は苦笑しながら見送るのだった。

「---ノア様達の時は一日で15回潜ってたなあ。後半は潜ってから出てくるまで、一時間かかってなかったもんねえ・・・」
「ボス戦、瞬殺だったらしいよね」
「伝説だよな」
「ヴァン殿、何かイヌっぽくなかった?」
「少し見なかったら、何か丸くなった?」
「・・・それって体型が? 性格が?」
「・・・・・・えっと、両方?」
「まあ、うん、そーだね」

運動不足解消で来たのかもしれないな・・・と苦笑する職員達だったが、実際半分はそうなので当たらずとも遠からずだった。


さてさて、朝から元気一杯のヴァンと精神的にお疲れ気味のギギルル兄弟。

本日一回目の踏破に向けて、一・・・二・・・三!

「「『GO---!!』」」

かけ声と共にヴァンは枝から枝へと飛び移り、どんどん上を目指す。
ルルは魔法でギギと共に浮かんで翔んで行く。

「競争しなくても良いんじゃねーの?」
「そうだけど、今回は俺達お守りっていうかお目付役?だから、ほっとけないじゃん」
「あーうん。トラブルになったら面倒臭いな」
「俺達はさ、ヴァンの邪魔にならない程度に狩って採取しながら行こうよ」
「そうだな。途中休憩・・・って、ヴァンは腹が減るまでしなさそうだな・・・」
「・・・・・・ああ、そうだね」

あの巨体で軽々と跳び上がって行くヴァンを追いかけながら、溜息を吐く二人だった。

案の定、最速で頂上のボス戦に挑み、相変わらずたくさんの頭とうごうごするたくさんの腕に二人がドン引きしていると、ヴァンは氷魔法で一瞬にして氷漬けにしたあと爪の斬撃で砕いて呆気なく倒していた。

その様子に、何時もは加減してたんだなと苦笑した。

周りが規格外過ぎて感覚が麻痺し、もはや驚かなくなっている二人だったが、ボス戦後に迷宮前の門に転移してきたギギ達を見て、目が落ちるかと思うほど驚いていたギルド職員達の様子にふと思った。

「・・・・・・やっぱりコレって普通じゃないんだね」
「もう、何が普通か分からなくなったぜ」
『ほれ、お主ら早くせい!! また行くぞ!』
「「・・・・・・はいはい」」

やれやれと言いながら再び門に入っていくヴァン達をポカンと見送り、少しして我に返るとざわざわとする職員達。

「・・・・・・めっちゃ早くないか?!」
「前回のノア様達よりハイペースだよね!」
「今日は記録更新しそうだよな」
「チェックしとこう! 交代の時も引き継ごう!」

そんなことをワクワクしながら話していた。



---結局その日、ヴァン達は19回周回をしたそうだ。

「---あーもう、当分入りたくない」
「さすがに疲れたわ・・・」
『我は満足満足!』

好きなだけ暴れて好きなだけノアの料理を貪りご満悦なヴァンと違って、ぐったりしているギギルル兄弟。

あの後、竜王国まで翔んで戻って来たギギルル兄弟はヴァンを大公家に送り届けた後、宿泊したままの宿に戻り、シャワーを浴びてからベッドに寝転んだ。

「もー、久々に魔力が限界・・・」
「おー、すまんな。助かったがずっと翔びっぱなしだったからな・・・」
「もう動きたくない・・・」
「・・・・・・俺も」

そんなことを言いながら、いつの間にか二人とも寝落ちしていた。

迷宮に潜ってこっそり様子を窺っていた大公家の影がぽそりと『お疲れ様でした』と思わず労いの言葉を盛らすくらいにはハードな一日だった。


元気一杯なのはヴァンだけである。



『次は何をしようかの・・・!』



・・・・・・勘弁して下さい。






※寝落ちてしまい、ようやく書き上がりました。遅くなりました。










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