拾われた俺、最強のスパダリ閣下に全力で溺愛されてます 迷い子の月下美人

エウラ

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381 古竜の宝 2


のんびり歩いていたが、皆が大柄なので足のリーチが長く、思った以上に早く目的地であるその林に着いた。

そこにはレインが告げたように、一人で住むにはちょっと大きいが家族で暮らすにはやや小さい印象の、いわゆる管理人小屋のような役割を持つだろう素朴な外見の建物があった。

周りの野花や木々に上手く溶け込んでいて、思ったよりも可愛らしいデザインでレインに良く似合っていた。

「長いこと使われているようだな。家までの道がちゃんと出来てる」
「日常的に通ってる跡だね」
「うん。僕が住むよりも前からこうだったよ。だから僕がここに来たとき、迷わずにこの家に辿り着けたんだ。おかげで助かったの」

アークとノアが言った後に、レインもそう言った。
途端に、僅か5歳足らずで置いていかれた当時のレインをアルジェント達が想像してしまい、皆、心を痛めた。

「家の中はどうなってる?」
「ああ、うん、見て貰った方が早いかな? どうぞ、中に入って」

初めてのお客様だ、なんてはにかみながら告げるレインが可愛い。
もう可愛いしかでない語彙力に内心苦笑いのアーク達であった。

「お邪魔します」

ノア達がそう言って足を踏み入れると、中はよくある一般的な造りだった。

コレといって特筆すべき所は無さそうだ・・・と思っていたら、ノアがキッチンのとある箱に反応した。

「---コレは、どういう仕組みなんだ?!」
「・・・ノア? どうした?」

怪訝そうにアークが尋ねると、上擦った声でノアが応えた。

「コレ!! 魔導具なんだけど、中に必要な材料が入っていればソレを使って自動的に料理が出来上がって何時でも取り出せるんだよ! 凄くない?! どうなってるんだろう?!」

珍しく興奮気味に叫ぶノアに、アーク達があちゃあ、という顔をした。

「ねぇアル? ノア、どうしたの?」

レインが今イチ分かっていないようで、戸惑いながらアルジェントに聞く。
アルジェントは苦笑してレインに応えた。

「ノアちゃんはね、魔導具が凄く好きでね、アレがとんでもなく凄い魔導具だから興奮しちゃったんだよ。普段は物静かだから驚くだろう?」
「---うん? ノアは割と最初から元気な人だったような・・・? 何時もは違うの?」

瀕死の後にレインが目を覚ましたときには、ノアはすでに薬の効果を確認して興奮状態だったし、その後もレインの可愛さにテンションが上がったままだったので、逆に普段のノアの様子を知らなかったらしい。

「あー・・・。多分レインと出会ったときから興奮気味だったんだな。何時もは人見知りでしょっちゅうぴるぴる震えて無表情なんだよ。最近はだいぶ表情豊かになってきたんだけど」

そう言うとノアを優しげに見つめたアルジェント。

「・・・・・・そんな風に見えないね」

思わずレインがそう言うと、アルジェントは優しい笑みのまま今度はレインを見つめた。

「ノアちゃんもね、アークと出逢うまではレインみたいに独りぼっちだったんだよ。人付き合いが苦手でね。だから無口で無愛想になったらしいよ」
「・・・・・・そういえば会った最初にそんな事を言ってた。僕と似たような感じだったって。・・・ノアも寂しい思いをしてたんだね」

独りぼっちの寂しさは僕もよく分かるな、としんみりしてしまったレイン。
アルジェントはそんなレインの頭をそっと撫ぜた。

「でも今はアークの番いで、私達家族がいるから寂しくないと思うよ。もちろんレインも家族だからね」
「・・・うん。嬉しい」

一気に家族が増えて、皆優しい。
戸惑うことばかりだけど、嬉しい気持ちは本物だから。

「・・・・・・所で、アレが見せたいモノだった?」

ちょっと迷うようにレインに尋ねるウラノスの言葉にハッとするレイン。

「ええと、アレじゃ無くて・・・・・・」
「・・・だよねぇ。ノアちゃんは興奮してるけど、凄いのは分かるけど・・・」

めちゃくちゃテンション上がってるノアには悪いが、アレじゃ無い。

「見せたいモノは、倉庫にあるんだ。・・・倉庫の中には色んなモノがもの凄くたくさん入ってるんだけど・・・たった一つだけ、ちゃんと別に保管されてて、とても大切に扱われているんだなって分かるモノがあるんだ」

そう言って、その倉庫にアルジェントに抱っこされたまま向かうと、幾分か落ち着いた・・・アークに宥められたノアとその御一行も着いてきた。


可愛らしい素朴な小屋に似つかわしくない重厚な扉がドンと鎮座している。

小屋の奥の一室が倉庫らしいのだが、どう見ても王城の宝物庫並みの厳重さだった。

魔法も物理も無効化する魔法が付与された、オリハルコン製の魔導具の扉。

「---いやいや、何サラッとオリハルコン使ってるの?! これ、倉庫なんだよね?!」

さすがにウラノス達も狼狽える。
稀少な鉱石を惜しげも無く使いまくっている部屋は、どう考えてもとは言いにくい。

「えーと、僕が勝手に倉庫呼びしてるだけだけど・・・マズかった?」
「いいや、レインは何にもマズいことは言ってない。レインが倉庫というならコレは誰がなんと言おうと倉庫だ!」
「・・・・・・アルジェント・・・・・・ソレはさすがに無理が・・・・・・」
です!」
「---・・・・・・はぁ・・・・・・うん。もう倉庫で良いよ」

レインが困った顔をしたのでアルジェントがなんでもないように肯定し、反論しようとしたウラノスを良い笑顔で言い切って封じる。
ウラノスは早々に白旗をあげた。
他のメンバーも苦笑している。

さすが番い至上主義。

「アルジェントは番いレイン全肯定のちょっとヤバい方に行きそうだな・・・」
「レインをしっかり教育して、手綱を握って貰おう」
「アルジェント、結構過激派だったんだな」
「相手がレインである意味助かったな」
「うんうん。傾国の悪人じゃ無くて良かった」

ボソボソと酷い言い草だがレインには聞こえていなかった。
しかしながらアルジェントには当然聞こえており、内心では「失礼な」とムッとしていたのだったが・・・。

「---じゃあ、開けるねぇー」

微妙な空気の中、気を取り直したレインが気の抜けるような口調で扉に手をかざすと、重厚な扉はゆっくりと動き出したのだった・・・。





※お待たせしております。
色々落ち着くまで!もう少しお待ち下さいませ。







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