拾われた俺、最強のスパダリ閣下に全力で溺愛されてます 迷い子の月下美人

エウラ

文字の大きさ
335 / 641
連載

399 獣人国からの招かれざる使者


ウラノスからの威圧を初めて浴びたのだろう。

威圧と言ってもほんの一瞬ピンポイントでエレンに当てただけなのだが、蝶よ花よと育てられた温室育ちのお坊ちゃまには途轍もない恐怖だったのだろう。

廊下にへたり込んでガクガク震え、声も出ないようだった。

「この件は竜王陛下に奏上致しますので、与えられた貴賓室にて待機をお願い致します。追って沙汰が御座います故。では。---衛兵、彼等をお連れしろ」
「「「はっ!」」」

いつの間にか周りに待機していた衛兵達にパーシヴァルが指示を出すと、迅速な対応であっと言う間に連れ去っていった。

お付きの侍従だけはスミマセンスミマセンとひたすら頭を下げていった。

---うん、彼は侍従なのに良く頑張ったと思う。
せめて彼にはあまり酷いお咎めが無いと良いなあ。

そんな目でノアが見つめていたので、アークはパーシヴァルに目配せしてやった。
これで少しは彼の処罰が軽くなるだろう。

そして何もなくなったところでアルジェントがレインに囁く。

「立ち止まってしまって済まなかった。可愛いレインを見ようと集まった輩は、父上が排除してくれたからな。さあ、行こうか」
「・・・うん。大丈夫、アルしか見てなかったから・・・平気」

そう言ってイチャつく二人にルドヴィカはニヤニヤ笑う。

「おーおー。お熱くて、参ったね、こりゃ!」
「黙れ」
「馬に蹴られるよ?」

すかさずアークとノアにツッコまれるルドヴィカ。
全く堪えていないようだ。

「何処まで付いてくる気だ?」
「えー? そりゃあ、謁見まで?」
「えー? マジ?」
「邪魔」

アークとノアに散々言われた上に、アルジェントにもツッコまれた。

「酷えっ」
「まあ、役には立ちそうだから居て貰おうか」
「えー? ウラノス様まで、あんまりな扱い」

嘆くのルドヴィカにウラノスが助け船を出す・・・と思いきや、結局散々な言われよう。

それでもめげないルドヴィカはやっぱり陽キャだと思う。

「ところでさっきまで気配消してたよな?」
「そりゃあねえ。面白そうだったからさ。でももういいや。さっきみたいなのが湧いてきても面倒だし、普通に威圧しておくわ」
「・・・さっきのアレ、お前、何か知ってそうだったな?」

アークがルドヴィカに声をかける。
ルドヴィカは最初から意図して気配を消していたようだ。
相変わらず面白いことになりそうだと思うと嬉々として首を突っ込んでくるな。

しかしさっきの獣人国の貴族の子息を『クソガキ』と言っていたことから、何かワケありかと確認を取る。
気配も隠すのを止めたし、さっきも珍しく怒っていた。

「あー、うん。・・・俺も直接顔を合わせるのはさっきが初めてだったんだけどさ。半月ほど前から王宮に滞在している獣人国の貴族の子供なんだが・・・」

頭をガシガシとかいて言い辛そうなルドヴィカにアークが聞き返す。

「さっきの子供、スーラ侯爵家と名乗っていたな。どうして獣人国から竜王国ココに来たんだ?」
「ココに来るのだって相当距離があると思うんだけど。そもそも竜王国に来るには翔ばないとだし?」

ノアも疑問に思ってツッコんできた。
それにルドヴィカは、人伝に聞いた話だから詳しくはないが、と前置きして言った。

「そこはどうやら獣人の身体能力を駆使して、体力自慢の種族に運んで貰ったり、翼を持つ獣人に翔んで貰ったりしたらしいよ」
「・・・そこまでしてココに来る理由が有ったって事か? ・・・だがアレは子供だ。どう見ても使者ではないな。ということはアレは親の用事に付いてきたという訳か」
「そうらしい。で、さっきの様子で分かったろうが貴族らしからぬ言動で周りを振り回していて、王宮のヤツもソイツの親も注意してるが、全く言うことを聞かないそうで、皆、手を焼いているんだと」

ハア---ッと溜息を吐くルドヴィカ。

獣人国の使者らしい貴族、か。
何やら嫌な予感がするな、とアーク達も溜息を吐く。

「・・・父上は当然ご存知だったんですよね?」
「---ぁー、うん。すまないね、今日の謁見には関わりが無いと油断していたよ。こんなことなら最初から情報を伝えておくべきだったね。だがまあ、とりあえず謁見が先だから、悪いが後でね」
「・・・分かりました」
「うん。今はレインとアル義兄様優先で!」

ウラノスとレーゲンも苦笑いだった。
二人もアレは予想外だったんだろう。

ともかく、無事に謁見が終わるといいな、と全員が思ったのだった。










感想 1,589

あなたにおすすめの小説

家族に忘れられていた第五王子は愛され生活を送る

りーさん
ファンタジー
 アズール王国の王宮には、多くの王子や王女が住んでいる蒼星宮という宮がある。  その宮にはとある噂が広まっていた。併設されている図書館に子どもの幽霊が現れると。  そんなある日、図書館に出入りしていた第一王子は子どものような人影を見かける。  その時、父である国王にすら忘れられ、存在を知られていなかった第五王子の才覚が露になっていく。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

家に帰ったら、妻は冷たくなっていた。突然シングルファザーになった勇者パーティーの治癒師は家族を修復したい

八朔バニラ
ファンタジー
勇者パーティーに所属し、魔王討伐した治癒師(ヒーラー)のゼノスは街の人々の歓声に包まれながら、3年ぶりに家に帰った。家族が出迎えてくれると思ったが、誰も出迎えてくれない。ゼノスは不満に思いながら家に入ると、妻の身体は冷たくなっていた。15歳の長男ルミナスはゼノスの代わりに一家の柱として妹を守り抜き、父に深い拒絶のこもった瞳を向けていた。そして、8歳の長女ミリアは父の顔も忘れていた。 ゼノスは決意する。英雄の肩書きを捨て、一人の不器用な父親として、バラバラになった家族の心を繋ぎ合わせることを。 これは世界最強の治癒師が家族を修復する物語である。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!一肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

外れ伯爵家の三女、領地で無双する

森のカフェしっぽっぽ
ファンタジー
十三歳の少女アイリス・アルベールは、人生を決める「祝福の儀」で“ゴミスキル”と蔑まれる《アイテムボックス》を授かってしまう。戦えず、稼げず、価値もない――そう断じた家族は、彼女を役立たずとして家から追放する。さらに、優秀なスキルであれば貴族に売り渡すつもりだったという冷酷な真実まで明かされ、アイリスはすべてを失う。 だが絶望の中、彼女は気付く。この世界が、自分がかつてやり込んだVRMMORPG『メデア』そのものであることに。 そして思い出す―― 《アイテムボックス》には、ある“致命的なバグ”が存在することを。 市場で偶然を装いながらアイテムを出し入れし、タイミングをずらすことで発生する“複製バグ”。それは、あらゆる物資を無限に増やす禁断の裏技だった。 食料も、装備も、資金も――すべてが無限。 最底辺から一転、誰にも真似できないチートを手にしたアイリスは、冒険者として歩み始める。だがその力はやがて、経済を歪め、権力者の目に留まり、そして世界の“仕様そのもの”に干渉していくことになる。 これは―― ゴミと呼ばれた少女が、“世界の裏側”を掌握する物語。

魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした

たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。 死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。