拾われた俺、最強のスパダリ閣下に全力で溺愛されてます 迷い子の月下美人

エウラ

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472 役に立つフェンリルと精霊王 1


ココはいにしえの森の裾野。
冒険者や、少ないが一般人も立ち入れる数少ない森の浅いところだ。

今ヴァンがいる場所は獣人国の王都付近の森だ。
連日この王都付近の森を駆けずり回ってとなった草を探していた。
───自慢の鼻を頼りに。

しかし、コレが思った以上に難しかった。
いかなフェンリルの嗅覚でも、精製された毒と草に含まれる微量の臭いを嗅ぎ分けるのとでは難易度が違った。
それに浅いところだといえどもその範囲は広大で、例えるならば、それこそ山盛りの砂地に落ちた砂粒サイズの砂金を探すようなモノ。

精霊王エレフの住処に帰るたび、しょげかえるヴァンをノアが慰める日々が続いていた。

『ええい! いい加減我も手がかりの一つも、ノアに持ち帰らねば! 幻獣フェンリルの矜持が折れそうだ。それにノアに褒めて貰いたい!』

気を取り直して歩き出したヴァンは、ふと、何時もとは違う匂いを感じて首を傾げた。

『向こうは、最初の頃に見廻って以降、気にしていなかったな』

ヴァンは一番最初に、冒険者達が良く足を踏み入れるその場所を調査していたが、幾ら嗅いでもあの毒の臭いがしなかったため早々に切り上げていたのだ。

しかし今、微かにも感じる。

『確認が必要だな』

そう言って向かった先には、やはり覚えのある臭いが微かに残っていた。
ヴァンが鼻を地面に擦り付けるくらい近づけると、間違いなく臭った。

『───ココで何かあったな?』

ヴァンが辺りを見回すと、不自然に千切られた草が目に入った。
臭いを嗅ぐと、やはり微かに臭う。

『───っ! コレか』

素早く鑑定アナライズをすると、一見何もおかしな所の無い草だったが---。

『コレじゃあ気付かんわ・・・・・・』

ガックリ、というように項垂れるヴァンは、少ししてガバッと頭をあげると前脚で丁寧に土を掘り起こし、千切れた草と綺麗な状態の草を採取してマジックバッグに収納した。

そして改めて周りの状況を確認する。

『・・・・・・キッカケは分からんが、どうやらがこの草を食って吐き戻したんだろう。浄化から僅かに漏れたモノが我の嗅覚に引っかかったんだな』

おかげで見つけられた。
ソイツには申し訳ないが感謝だな。

この先の森を出た辺りの場所に視線を送ると意味深に笑った。
そしてヴァンは古の森のノアの元へといそいそと帰って行くのだった。

ヴァンが思った通り、そこはカガシとチャリオンが薬草採取に訪れた場所だった。
そこでチャリオンが誤ってあの草を口にし、その場でカガシに処置をされて移動。
そして森の外れのテントで今まさに追加のを施されている真っ最中であった。

さて、ウキウキでノアの元へと駆けていったヴァンは早速あの草を取り出し、見つけた経緯をザッと話した。

「なるほど。そりゃあさすがに全部の草に鑑定をする訳にいかないモンねえ。でも凄い偶然。良かったね、ヴァン。良く頑張った。偉い偉い!」
『うむ。我、頑張った! ノアが喜んでくれて嬉しいぞ!』

ノアはヴァンの首筋にぎゅっと抱き付いてすりすり。
ヴァンは土埃が舞うほど尻尾をバッサバッサと振り回した。

「・・・・・・お前ら、マジで飼い主とイッヌだな」

何時もヤキモチ妬いてヴァンから引き剥がすアークも、いい加減諦めつつあるようだ。

「・・・・・・良いの? アレ」

一人で短時間だがソファに座れるくらいには体力の戻ったメーレが心配そうにアークに声をかけた。
竜人の番い至上主義を知っているからだろう。
だがアークの返事は意外なモノだった。

「あー、アレね。最近は慣れた。最初は目くじら立てて怒ったが、あのもノアの精神安定剤だから番いの為に諦めた」
「・・・・・・ふふふ。結局はノアの為、なんだね」

若干納得いかない顔のアークにクスクスと笑うメーレ。
だいぶ顔色が良くなってニコニコ笑うようになった。
コレにはノアもアークもホッと一安心した。

「アーク! これで薬の事が捗りそうだよ!」

ウキウキワクワクなノアに、アークは苦笑した。

「また寝食忘れて没頭するなよ?」
「えっ?! えーと、気を付けマス」
「アーク、しっかり見ててあげないとね」
「え、メーレまで?!」

わいわいがやがやと騒いでいると、精霊王が姿を現した。

《楽しそうだの。うん? ヴァン、珍しいな。もう戻ったのか?》
『おう! 例のアレ、やっと見つけたのよ!』
《おお、アレか。その事で朗報があるぞ》

エレフも何やらワクワクしている。
どうしたのだろうかと皆が注目した。

《我の所の精霊がな、珍しい獣人を見つけたのよ》
「珍しい獣人?」

ノアが首を傾げて、アークも怪訝な顔になった。

《うむ。蛇獣人なのだがね、どうやら体内で色んな薬を生成出来るスキル持ちらしい。精霊がその現場をちょうど覗いていたようで、その時は解毒薬を作っていたそうだよ》

それを聞いたノアは、先程のヴァンからの情報と併せてピンときたようだ。

「その解毒薬って、あの草の毒のヤツだよね、たぶん」
「───おそらく。しかしそんなスキル持ちなんて聞いたこと無いな。・・・・・・父上に調べて貰うか」

それが本当なら色々とヤバい事になるだろう。
現にノアは瞳をキラキラさせている。
コレは絶対、興味持ったな。

アークは頭を抱えて深く溜息を吐いた。






※長らくお待たせいたしました!
ぼちぼち再始動します。また滞るかもしれませんが気長にお付き合い下さいませ。






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