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509 いざ本番 2
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「───という訳でちょっと俺の品質がオカシイらしくて」
どんな品質かは伏せて、さっきまで俺がここでやっていたことをざっくりとセオドアに説明すると何やら頭を抱えた。
「大丈夫?」
「・・・・・・大丈夫です。ノア殿がオカシイのはあのとき頂いたコレで分かっているのでいいんですが」
「あ、いいんだ? ていうか分かるんだ?」
「・・・・・・無自覚が過ぎることに頭が痛い」
セオドアはそう言いながら頭から手を離して、左の手首に嵌まる腕輪を皆に見えるように袖を捲った。
うん? それって以前試しに錬成してくれって言われて錬成したヤツだよね? 護りの魔法付与をして置き土産にしてったヤツ。
それが何か?
意味が分からず俺が首をコテンとさせると、あちらこちらで『ぐふっ』とか『げふんっ』とか聞こえたけど、どうした?
振り向いたけど誰も視線を合わせてくれない。何故だ?
「アーク?」
「気にするな」
アークに聞いても苦笑するだけなので、まぁいいか。
「・・・・・・ノア殿。この腕輪がどれだけ凄いか、皆が鑑定すればよく分かるってもんです」
そうセオドアが言って腕を差し出した途端、そこにいる人達で鑑定魔法が使える者は一斉に鑑定をしだした。
うん、ランクの違いはあれど全員使えるみたい。もちろん下級スキルの鑑定では大した情報は出ないが、それでも品質や製作者、付与魔法の有無くらいは分かる。
そしてそれぞれ、興奮したり顔を青ざめさせたりと反応はそれぞれ。
リオネルやリンクスは興奮する方で側近達は青ざめる方だった。
「───何です、あれ? 【品質:S】はまだいいんですけど、護りの付与魔法がオカシイ」
そう言ったのはリオネルの側近のギンカ。
「護りのレベルは百歩譲っていいでしょう。でも説明がヘンですよね?」
コレはオウラン。眉間を指でぐりぐりして顔を顰めている。
「【頑丈な結界の護りを施した魔導銀の腕輪。竜の息吹も防ぐ】」
「そんなこと出来るのか?」
「有り得ない」
「竜の息吹を防げる強度の護りって何?」
呆然と鑑定結果を棒読みするオウランの側近のパンテラに同じく呆然と呟く護衛騎士の三兄弟。
薬師長や医師長達は言葉もない。
反対にリオネルとリンクスは瞳をキラキラさせて興奮気味だ。まるで珍しい玩具を見つけた幼児のよう。
「何をどうしたらそんなものが作れるんだ?」
「あの! 是非ともそんな錬成を実演して見せて下さい!」
グイグイ来るのが嬉しいやら困惑やら、ちょっと戸惑う俺。
セオドアは皆の反応にうんうん頷いている。
「ね? 普通はこうなんです。その辺りよーく覚えておいて下さいね? ね、アーク殿!」
「・・・・・・分かってるよ」
だから何で俺じゃなくてアークに念押しするのさ。
俺が一人ムッとしている中、俺に言われたとおりに例の材料を揃えて難なく錬成を始めたセオドア。
ぱあっと光が消えて錬成されたモノを小瓶に入れて鑑定すると、ニコッと笑った。
「ノア殿、普通の【品質:A】が出来ました」
そう言われて鑑定すれば、確かに普通のAだった。コレだよコレ!
「セオドア、ありがとう! こういうのが欲しかったんだよ!」
実際に錬金術師ギルドでどのくらいの品質だったのかは分からないが、おそらくセオドアの方がモノはいいと思う。
ともかく普通の錬金術師で作れることが証明された訳だ。
「・・・・・・コレで俺はお役御免かな?」
喜んでいたところにセオドアが言い辛そうに声をかけてきて、ハッとした。
「そういえば二人は今ちょっとだけ許可を貰ってエイダンの街からきて貰ってたんだよ」
「今日は急だったから店も臨時休業したんだ」
「儂は元々腰痛で臨時休業だったがな!」
アークもハッとして、セオドアとフェレスもそう言った。いや腰痛って、ピンピンしてない?
「セオドアの錬成した薬で一発よ!」
ああ、そういうことね。納得。
「そういうわけで二人をエイダンに送り届けてくるわ」
「うん、忙しなくてごめんね。また何かあれば呼ぶかもしれないけど・・・・・・」
「いくらでも駆け付けるぞい!」
「アンタはいい!」
俺が何かのときは呼ぶと言うとフェレスが返事をした。セオドアは頭を抱えて叫んだ。うん、元気でいいね。
「じゃあエレフ、またよろしくね。すぐに戻ってきてね?」
《うむ。速攻帰る!》
キリッとそう言ったエレフは椅子の上に爆睡中のヴァンを下ろすと、アークと店主達を連れてあっという間に転移してしまった。
「・・・・・・嵐のようだったな」
「凄いですよね」
「セオドア殿の腕、エイダンで腐らせておくのはもったいないな」
「───で───では?」
「・・・・・・うむ、そうだな・・・・・・」
ポカンとしたあと何やらこそこそ内緒話をするリオネルとリンクスに疑問符を浮かべながら、俺はちょっと試したいことを考えていた。
───この香水の元の精製物とアレを合わせたらどうなるかな?
気になることは実際にやらないとね?
───アークが帰ってきたあとにどうなるかなんて頭からまるっと消えてしまった俺は、このあとやらかして酷い目を見る羽目になることを考えもしなかった。
※何とか書けたので!
最初のセオドアのセリフで「いいんですが」が抜けてたので加筆しました。すみません。
どんな品質かは伏せて、さっきまで俺がここでやっていたことをざっくりとセオドアに説明すると何やら頭を抱えた。
「大丈夫?」
「・・・・・・大丈夫です。ノア殿がオカシイのはあのとき頂いたコレで分かっているのでいいんですが」
「あ、いいんだ? ていうか分かるんだ?」
「・・・・・・無自覚が過ぎることに頭が痛い」
セオドアはそう言いながら頭から手を離して、左の手首に嵌まる腕輪を皆に見えるように袖を捲った。
うん? それって以前試しに錬成してくれって言われて錬成したヤツだよね? 護りの魔法付与をして置き土産にしてったヤツ。
それが何か?
意味が分からず俺が首をコテンとさせると、あちらこちらで『ぐふっ』とか『げふんっ』とか聞こえたけど、どうした?
振り向いたけど誰も視線を合わせてくれない。何故だ?
「アーク?」
「気にするな」
アークに聞いても苦笑するだけなので、まぁいいか。
「・・・・・・ノア殿。この腕輪がどれだけ凄いか、皆が鑑定すればよく分かるってもんです」
そうセオドアが言って腕を差し出した途端、そこにいる人達で鑑定魔法が使える者は一斉に鑑定をしだした。
うん、ランクの違いはあれど全員使えるみたい。もちろん下級スキルの鑑定では大した情報は出ないが、それでも品質や製作者、付与魔法の有無くらいは分かる。
そしてそれぞれ、興奮したり顔を青ざめさせたりと反応はそれぞれ。
リオネルやリンクスは興奮する方で側近達は青ざめる方だった。
「───何です、あれ? 【品質:S】はまだいいんですけど、護りの付与魔法がオカシイ」
そう言ったのはリオネルの側近のギンカ。
「護りのレベルは百歩譲っていいでしょう。でも説明がヘンですよね?」
コレはオウラン。眉間を指でぐりぐりして顔を顰めている。
「【頑丈な結界の護りを施した魔導銀の腕輪。竜の息吹も防ぐ】」
「そんなこと出来るのか?」
「有り得ない」
「竜の息吹を防げる強度の護りって何?」
呆然と鑑定結果を棒読みするオウランの側近のパンテラに同じく呆然と呟く護衛騎士の三兄弟。
薬師長や医師長達は言葉もない。
反対にリオネルとリンクスは瞳をキラキラさせて興奮気味だ。まるで珍しい玩具を見つけた幼児のよう。
「何をどうしたらそんなものが作れるんだ?」
「あの! 是非ともそんな錬成を実演して見せて下さい!」
グイグイ来るのが嬉しいやら困惑やら、ちょっと戸惑う俺。
セオドアは皆の反応にうんうん頷いている。
「ね? 普通はこうなんです。その辺りよーく覚えておいて下さいね? ね、アーク殿!」
「・・・・・・分かってるよ」
だから何で俺じゃなくてアークに念押しするのさ。
俺が一人ムッとしている中、俺に言われたとおりに例の材料を揃えて難なく錬成を始めたセオドア。
ぱあっと光が消えて錬成されたモノを小瓶に入れて鑑定すると、ニコッと笑った。
「ノア殿、普通の【品質:A】が出来ました」
そう言われて鑑定すれば、確かに普通のAだった。コレだよコレ!
「セオドア、ありがとう! こういうのが欲しかったんだよ!」
実際に錬金術師ギルドでどのくらいの品質だったのかは分からないが、おそらくセオドアの方がモノはいいと思う。
ともかく普通の錬金術師で作れることが証明された訳だ。
「・・・・・・コレで俺はお役御免かな?」
喜んでいたところにセオドアが言い辛そうに声をかけてきて、ハッとした。
「そういえば二人は今ちょっとだけ許可を貰ってエイダンの街からきて貰ってたんだよ」
「今日は急だったから店も臨時休業したんだ」
「儂は元々腰痛で臨時休業だったがな!」
アークもハッとして、セオドアとフェレスもそう言った。いや腰痛って、ピンピンしてない?
「セオドアの錬成した薬で一発よ!」
ああ、そういうことね。納得。
「そういうわけで二人をエイダンに送り届けてくるわ」
「うん、忙しなくてごめんね。また何かあれば呼ぶかもしれないけど・・・・・・」
「いくらでも駆け付けるぞい!」
「アンタはいい!」
俺が何かのときは呼ぶと言うとフェレスが返事をした。セオドアは頭を抱えて叫んだ。うん、元気でいいね。
「じゃあエレフ、またよろしくね。すぐに戻ってきてね?」
《うむ。速攻帰る!》
キリッとそう言ったエレフは椅子の上に爆睡中のヴァンを下ろすと、アークと店主達を連れてあっという間に転移してしまった。
「・・・・・・嵐のようだったな」
「凄いですよね」
「セオドア殿の腕、エイダンで腐らせておくのはもったいないな」
「───で───では?」
「・・・・・・うむ、そうだな・・・・・・」
ポカンとしたあと何やらこそこそ内緒話をするリオネルとリンクスに疑問符を浮かべながら、俺はちょっと試したいことを考えていた。
───この香水の元の精製物とアレを合わせたらどうなるかな?
気になることは実際にやらないとね?
───アークが帰ってきたあとにどうなるかなんて頭からまるっと消えてしまった俺は、このあとやらかして酷い目を見る羽目になることを考えもしなかった。
※何とか書けたので!
最初のセオドアのセリフで「いいんですが」が抜けてたので加筆しました。すみません。
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