拾われた俺、最強のスパダリ閣下に全力で溺愛されてます 迷い子の月下美人

エウラ

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537 再調査と魔導具 10

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結局その日は一度もテントの外には出ずに、のんびりと過ごして、二人でただ抱きしめ合って眠った。

俺の体力がまだ戻りきっていなかったし、獣人国のこともあまり後回しにできないから、これ以上ヤるわけにいかないし。
それにしても、体力はある方の俺が珍しく回復が間に合わないくらい抱き潰されたってことに、若干、戦慄を覚えた。
あれでもし、まだ本気出してないとか言われたら、腹上死もありえるかも、なんて戦々恐々とする。
まあ、あのアークがそんなことをするわけないだろうけどな。

こうして翌日の朝にはスッキリと目覚めて、テントの外に出て伸びをする。

「あら、おはよう、ノア」
「あ、おはよう、メーレ」

伸びをしたまま、ぽけっと空を眺めていると、今テントを出てきたらしいメーレに声をかけられた。

「ずいぶんとお楽しみだったのね」
「うえっ、いや、それは初日だけで、昨日はほとんど爆睡していたけど!」
「ふーん。そんなに疲れるほど盛ってたんだ?」
「え、あ、いや、あう……」

にっこり笑ったメーレに、朝には似つかわしくないセリフを言われて動揺する。慌てて言い訳をしたら、それが失言だったせいでさらに突っ込まれて、俺は顔を真っ赤にして言葉に詰まる。

「おはよう、メーレ。その辺にしてやってくれないか。ノアの可愛い姿は俺だけが見られればいいんだから」
「アーク!」
「あらあら、相変わらずの独占欲だね。愛されてるねぇ、ノアは」
「当然だ」

テントから出てきたアークが助け船を出してくれて、思わず抱きつく。
メーレは面白そうにアークをからかうが、それにドヤ顔で返すアークに呆れている。

「はいはい、ご馳走様。ところで獣人国にまた行くの?」
「うん、リンクスと錬金術の話で盛り上がるんだ。彼、頑張ればきっとすごい錬金術師になるよ」

まつりごとよりも向いてそう。本当は一国の王子がそれではいけないんだろうけど。
まあ、あの国には王子がたくさんいるし、一人くらいそういう人がいてもいいんじゃないかな。本人はやる気満々みたいだし。

「あー、確かにリンクスも私に似て、好きなことにのめり込むタイプだね。まあ、本人がいいなら私は応援するだけだよ。それにノアを見ていると、錬金術ってすごいなって思うし」
「そうだよね、錬金術ってすごいし、面白いんだよ! メーレ、よく分かってる」
「おいノア、近い」

錬金術のことを褒めてくれるメーレに、嬉しくて思わず前のめりに突っ込んでしまって、速攻でアークに引き離される。メーレは呆気にとられたあと笑って、畑を見に行ってしまった。
俺も興奮すると、つい距離感がおかしくなるから気をつけないと。

「ひとまず朝ご飯を食べて、家に向かおうぜ。連絡はまだないけど、日程の調整は済んでいそうだし」
「そうだね。裏事情がアレだから、早い方がいいよね」

アークの言葉に一旦落ち着いた俺は、朝ご飯を済ませると、古の森と繋がって魔境と化したヴァルハラ大公家の庭園へと移動したのだった。









※区切りいいのと体調不良もあって、短いです。
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