月の至高体験

エウラ

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本編

143 遠足と言う名のサバイバル? 2

※本日二回目です。ご注意ください。


あれからまた数日後。

今朝のホームルームで先生から遠足の詳しい説明があると言われて、僕はわくわく。スオウやクラスメイト達に微笑ましい目で見られたがちっとも気にならない。

午前中は説明とグループ分けをするそうだ。

「まず、この遠足はただの遠足ではない。上級生に兄弟とかいる者は知っているだろうが、一年生のみのサバイバル訓練と思ってくれ」

クラスの中には僕のように事前にある程度知っている人もいるらしく、驚いてる人はあまりいなさそう。
皆は静かに続きを聞く。

「場所は夏休み前の野外学習で一泊したところがメインだ。お前達、道は覚えているか?」
「はい」
「しっかり把握しています」
「うん、よろしい。記憶の怪しい者は分かっている者に確認をしておけ。事前準備は大事だぞ」

僕も含め、先生の言葉にしっかり頷く生徒達。Sクラスは問題行動をする生徒がいないから、こういうときは先生も助かるだろうな。

「ところで何故貴族がほとんどのこの学園でこんなことをするのかという疑問があると思うが、それは高貴なる者の義務ノブレス・オブリージュを理解してもらうためだ」

ようするに貴族は優遇されたりいい生活をしているけど、それは領民達が頑張って働いてくれているから。
だから上に立つ者として、税を納めてくれる領民や平民に利益を還元したり福利厚生を手厚くして生活を守ってやるなどの義務が発生する。

それがゆくゆくは国のためになるのだ。
帝国はたぶんこういうところが徹底しているんだろう。だからいい国なんだろうな。

ジパング皇国はよくも悪くも貴族第一主義的なところがあって、領民達を見下げているところがあると思う。うん、とくに皇公爵家とかね。
燈夜皇帝陛下はともかく貴族のトップがアレだと下も倣うじゃん。悪循環だよね。

「貴族はとくに、皇族方や領民達のために盾にならなければならないときがある。そういうときに戦い、生き残る力がなければ、私達よりも力のない民達を守れない」

うんうん、その通り。

「そのためのサバイバル訓練だ。だから私達教師は同行はするが、最低限の助言しかしない。皆で考え、行動し、協力して生き残るための知恵を付けて欲しいと思う」

任せてください、先生。そういうの、僕は得意です、バッチリです。一人でも生きていけます!
そう思っているとスオウが胡乱げな目で見てきたので、ちょっと気まずげに視線を逸らす。うん、もう一人で生きていくなんて思わないから。ごめんなさい。

そうして先生の話が一区切りついたとき、委員長のエルネスト君が拍手をして、それにつられるように皆が拍手をする。もちろん僕もキラキラした目で拍手をしていた。
先生の言葉は僕達に貴族のなんたるやを改めて認識させてくれた。

「あ、おお……何か照れるなぁ。こんなこと初めてなんだが……」

そう言ってものすごく照れている先生が珍しくて、教室内には笑いが溢れる。

そのあと一グループ五人でグループ分けをして、僕は野外学習のときと同じスオウとエルネスト君とウィル君とアンディ君。他もおおよそ野外学習のグループ分けと同じだった。
うん、サバイバルって聞いたらね、前のときと同じで連係も上手くいく方が危険が少ないもんね。

ところで一つ疑問が──

「獲物を狩るのはいいんだけど、解体はどうするの? 僕やスオウは捌けるど、エルネスト君達は?」

そう聞いたら、当然のように首を横にブンブンと振られた。うん、できないよね、さすがにやったことないよね。

他の人もそれに思い至ったのか、「え、どうする?」とか「君、できる?」「無理」ってあちこちで聞こえてきた。
野外学習のときは捌いたあとの食材が配られて、それを調理したからね。

これは確認事項だね。

「先生、狩った獲物の解体はどうするんですか?」

僕は先生に質問する。すると先生は「あっ」と声を上げて応えた。

「すまん、言い忘れていた。この遠足はクラス関係なく、一年生全員で協力しながら問題を解決することが求められる。よって、解体ができる者は他の者の分も解体をしてほしい」

それを聞いた僕は先生に確認をする。

「ということは、例えば狩りが得意な人は狩りを、料理が得意な人は料理をしたりとか?」
「そういうことだな。それぞれ誰がどういう能力を持つのか確認して、適材適所に役割分担をするという判断も大切なことだ」
「なるほど、分かりました」

先生の言葉で皆は色々と話をし、誰が何が得意か、何ができないかを確認して当日の分担を決める。

こうしてサバイバルの準備は着々と進んで行くのだった。

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