月の至高体験

エウラ

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本編

26 Sクラスの寮の管理人さん(side影)

本日、入学式当日の朝になって、漸く皇朔夜様が寮にいらっしゃった。

ギリギリに到着すると、寮の門で待っていた私に、言葉少なに荷物を預け、入学式の会場まで颯爽と歩いて行かれました。

荷物はこれだけ?とか、侍従は?とか、ここまでどうやって来たのです?とか色んな疑問を解消できずに、オクタヴィア家の他の影に連絡を取りました。

そう、私は実はオクタヴィア家の影の一人。
今回、坊ちゃ・・・次男のスオウ様が御入学されるのに先駆け、管理人という立場にたってスオウ様をサポートする役目を負っているのです。

スオウ様は言わずもがな、幼き頃より類い稀な才能を発揮し、神童との呼び名が高いお方。
僻み妬みを向けるのも烏滸がましいほどの方ですが、どこにでも馬鹿はいるもの。

そんな輩を排除し快適な学園生活を送って頂くべく我ら影がいるのですが・・・。
大抵、いや、ほとんどご自分で解決なさるので我らの出番は余りありません。
しくしく(涙)。

そんな中、スオウ様よりも推薦入試結果が上の方がいらっしゃると聞き、オクタヴィア家の皆が呆然と致しました。

あのスオウ様が次席ですよ!
その上って、首席ですよね?!
しかも満点合格って・・・・・・。

推薦入試とは、各国で数人、この人こそは!という方を、国の代表として送り出し受験させるもので、一般入試とはかけ離れた難易度の問題ばかりです。
落ちても成績によっては一般枠でS、Aクラスに入れるので、皆、こぞって受けますが。

それを満点合格って。

その方はジパング皇国の皇弟の公爵家嫡男様とのことですが、事前情報が全く出てきません。
かろうじて、5歳のお披露目では体調不良で顔を見せず、その後も全く姿を現さないとの情報のみ。

そんな方が推薦入試で満点合格ですから、警戒も強くなろうもの。

どんな化け物かはたまた横柄な高位貴族か。



そんな思いで日々入寮を待っていましたが、それを嘲笑うかのようにすんでの所での入寮。

スオウ様よりは少し背の低いすらりとした中性的な美女、違った! 美男子。
腰まである漆黒の髪をポニーテールにして、黒水晶の涼しげな瞳。

「皇朔夜と申します。時間がないので、荷物だけ預けます。すみませんが、詳しくは帰寮時に」

そう無表情で言って綺麗な45度の角度のお辞儀をして去って行ったのです。
高位貴族がこんな管理人に頭を下げてるんですよ。
唖然呆然としてしまったのは仕方ないでしょう?!

耳元のイヤーカフを外し、繋ぎの影に渡す。記録媒体の魔導具だ。確実に情報が渡せる。

・・・・・・アレを見ることになるオクタヴィア家の面々の表情がすっごい気になるが。

私と同じ気持ちを味わうがいい。





その後、スオウ様と戻られたサクヤ様は何故かスオウ様と恋人繋ぎで手を繋いで管理人室にいらっしゃった。

思わず繋いだ手を凝視すると、視線を感じたサクヤ様はキョトンと(雰囲気で)していらっしゃる。

・・・・・・もしや、恋人繋ぎをご存知ないのでは?

・・・スオウ様はウキウキとしていて、これは大丈夫な案件だな、と胸を撫で下ろす。
スオウ様の人となりを見る目は確かだからだ。

軽く説明をして、去って行く後ろ姿をうかがっていると、先程から気になっていた魔力の花が更に増えて飛び散っては消えていた。

サクヤ様、相当嬉しいんだな。
恐らくは初めての感情なんだろう。
魔力操作の未熟な子供が制御出来ずによくやることだ。

・・・スオウ様、制御を教えてあげないんですか?


何となくほっこりとして見守ってしまったのは仕方ない。


そして、先に渡した記録媒体を見て案の定、オクタヴィア家の面々が唖然呆然としていたのを戻った繋ぎの影に聞かされて、一人笑いを堪えていた。



さっきのスオウ様とのやり取りを見て、オクタヴィア家の面々が再び唖然とするのはこの後すぐ・・・。
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