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7 魔力検査 1
「ええと、こんにちは」
「こんにちは、ムツキさん」
午後、軽く昼食をミリィの部屋で二人で摂ったあと案内された応接室でササナギ様達と面会した。
二人ともすでに俺の状態を知っているんだろう。恥ずかしい。
ササナギ様は素知らぬ顔でいてくれたが、ナツメ様は生暖かい目で俺を見ていて何かいたたまれなかった。
「何か見違えましたね!」
「え? ・・・・・・ああ、髪の毛ですよね」
そう。
昼食前に起きた俺の伸び放題で目が隠れている前髪とボサボサの後ろ髪。
一年間ほったらかしで艶のない痛んだ毛。
それをミリィが前もって理容師に頼んでくれていたようでサッパリと切り揃えて貰ったんだ。
後ろもショートカットからそのまま伸びっぱなしで揃っていなかったから、今はミディアムくらいに揃えて貰ってる。
ナツメ様みたいなストレートヘアじゃなくてちょっと癖っ毛で猫っ毛だから長いと絡まるし手入れが大変なんだ。短すぎてもくるくるしちゃうからちょうどいい長さが難しくて。
他の奴隷の人は皆魔法もそこそこ使えたらしくて自分の身体は『洗浄』っていう魔法で綺麗にしてたけど、俺は使えないから井戸の水で適当に汚れを流すだけで。
でもさすがに奴隷の人達にも汚いと思われてたらしくて二、三日に一度、交代で俺にも魔法を使って綺麗にしてくれた。
まあ、髪の毛は汚れが取れるだけで絡まったりしてるのは直らないんだけどね。
だから昨日襲ったときも後ろは適当に一つに括っていてボサボサだった。
しかも二日間も駆けっぱなしで汚れたままだし。
痛んだ毛も切って貰ってだいぶ短くなったら、コレから伸ばそうねっていい笑顔でミリィに言われて、俺は頷くしかなかった。
まあ、自分が手入れするんじゃないならいいか、と気にしないことにしたけど。
それにしてもよく考えたら酷く汚い格好で顔もよく見えないボサボサ頭の不審者によくあんな丁寧な対応をしてくれたよね、国王陛下も。
やはり親子なんだなって思い出して笑ったのは内緒。
「綺麗なお顔と黒曜石のような瞳がハッキリ見えて素敵です。こうしてみるとムツキさんもちょっと童顔・・・・・・?」
「あー、そうかもしれないです。年齢より若く見られることが多いですね。よく高校生? って言われましたし」
ナツメ様にも童顔って言われて苦笑する。ナツメ様こそ童顔だよね。
「コーコーセー?」
「あっ、ええと向こうの俺の国で主に一六から一八歳の男女が通う高等教育の学生のことを言うんです」
「ということはそれくらいの年齢に見られるってこと?」
「ナツメ様もけっこう年下に見られそうですよね」
さっき思ったことを思いきって言ってみたらやっぱり自覚があるらしく苦笑した。
「うん、まあ・・・・・・小さいしね。それより昨日友達になったんだから、様とかつけないで敬語もなしにしよう? ね?」
ナツメ様からの提案に嬉しくなるけど、相手は次期侯爵夫人だからと気になってミリィを見つめた。
「・・・・・・いいんで───いいのかな?」
「私達なら気にしなくていいよ。どうせはとこの間柄なんだし。まあ公の場ではちょっと無理だろうけど。それにムツキはすでに侯爵位を持っててなおかつ私の婚約者で準王族だから文句は言わせない」
そう言われたのでふんふんと納得して。
「へえ、じゃあいいか───って、え? 婚約者? え? いつ!?」
「昨日の陛下との面会のときから」
「はあ?」
サラッと流しそうになったけど、待って。
え、それって最初からだよね? あのあと色々あって納得してオッケーしたけど、その前にすでに決まってたの!?
思わずミリィを凝視すると耳を赤くして早口で言った。
「───だって一目惚れだったんだ。しかも異世界転移者で、コレはもう私が囲わないとって。ムツキが他所のヤツらのモノになる可能性を確実に消したかったから」
───すまないって呟くミリィが大型犬がシュンってしてるみたいで、思わず抱き付いてしまった。
「ううん。ありがとう。俺はミリィが婚約者になってくれて嬉しい」
「・・・・・・大切にするからな」
そうしてギュッと抱きしめ合っていたらササナギ様が溜め息を吐いた。
「おい、もうそろそろいいか? 目の前で身内のイチャイチャをいつまでも見ていたくないんだが」
「・・・・・・お前も毎回こうなの分かってるか?」
「・・・・・・フン」
ミリィにツッコまれてちょっと不機嫌そうなササナギ様に苦笑するナツメ様───ああいや、さっき許可が出たからササナギとナツメ呼びだね。
ササナギの言動に対するミリィの言動。
俺、こういうのなんて言うか知ってる。ブーメランって言うんだよね。
俺達も気をつけないと。今度から似た者同士なんだからこっちにもブーメランだよ。
ナツメと目が合って、お互い顔を赤くしながら苦笑した。
「こんにちは、ムツキさん」
午後、軽く昼食をミリィの部屋で二人で摂ったあと案内された応接室でササナギ様達と面会した。
二人ともすでに俺の状態を知っているんだろう。恥ずかしい。
ササナギ様は素知らぬ顔でいてくれたが、ナツメ様は生暖かい目で俺を見ていて何かいたたまれなかった。
「何か見違えましたね!」
「え? ・・・・・・ああ、髪の毛ですよね」
そう。
昼食前に起きた俺の伸び放題で目が隠れている前髪とボサボサの後ろ髪。
一年間ほったらかしで艶のない痛んだ毛。
それをミリィが前もって理容師に頼んでくれていたようでサッパリと切り揃えて貰ったんだ。
後ろもショートカットからそのまま伸びっぱなしで揃っていなかったから、今はミディアムくらいに揃えて貰ってる。
ナツメ様みたいなストレートヘアじゃなくてちょっと癖っ毛で猫っ毛だから長いと絡まるし手入れが大変なんだ。短すぎてもくるくるしちゃうからちょうどいい長さが難しくて。
他の奴隷の人は皆魔法もそこそこ使えたらしくて自分の身体は『洗浄』っていう魔法で綺麗にしてたけど、俺は使えないから井戸の水で適当に汚れを流すだけで。
でもさすがに奴隷の人達にも汚いと思われてたらしくて二、三日に一度、交代で俺にも魔法を使って綺麗にしてくれた。
まあ、髪の毛は汚れが取れるだけで絡まったりしてるのは直らないんだけどね。
だから昨日襲ったときも後ろは適当に一つに括っていてボサボサだった。
しかも二日間も駆けっぱなしで汚れたままだし。
痛んだ毛も切って貰ってだいぶ短くなったら、コレから伸ばそうねっていい笑顔でミリィに言われて、俺は頷くしかなかった。
まあ、自分が手入れするんじゃないならいいか、と気にしないことにしたけど。
それにしてもよく考えたら酷く汚い格好で顔もよく見えないボサボサ頭の不審者によくあんな丁寧な対応をしてくれたよね、国王陛下も。
やはり親子なんだなって思い出して笑ったのは内緒。
「綺麗なお顔と黒曜石のような瞳がハッキリ見えて素敵です。こうしてみるとムツキさんもちょっと童顔・・・・・・?」
「あー、そうかもしれないです。年齢より若く見られることが多いですね。よく高校生? って言われましたし」
ナツメ様にも童顔って言われて苦笑する。ナツメ様こそ童顔だよね。
「コーコーセー?」
「あっ、ええと向こうの俺の国で主に一六から一八歳の男女が通う高等教育の学生のことを言うんです」
「ということはそれくらいの年齢に見られるってこと?」
「ナツメ様もけっこう年下に見られそうですよね」
さっき思ったことを思いきって言ってみたらやっぱり自覚があるらしく苦笑した。
「うん、まあ・・・・・・小さいしね。それより昨日友達になったんだから、様とかつけないで敬語もなしにしよう? ね?」
ナツメ様からの提案に嬉しくなるけど、相手は次期侯爵夫人だからと気になってミリィを見つめた。
「・・・・・・いいんで───いいのかな?」
「私達なら気にしなくていいよ。どうせはとこの間柄なんだし。まあ公の場ではちょっと無理だろうけど。それにムツキはすでに侯爵位を持っててなおかつ私の婚約者で準王族だから文句は言わせない」
そう言われたのでふんふんと納得して。
「へえ、じゃあいいか───って、え? 婚約者? え? いつ!?」
「昨日の陛下との面会のときから」
「はあ?」
サラッと流しそうになったけど、待って。
え、それって最初からだよね? あのあと色々あって納得してオッケーしたけど、その前にすでに決まってたの!?
思わずミリィを凝視すると耳を赤くして早口で言った。
「───だって一目惚れだったんだ。しかも異世界転移者で、コレはもう私が囲わないとって。ムツキが他所のヤツらのモノになる可能性を確実に消したかったから」
───すまないって呟くミリィが大型犬がシュンってしてるみたいで、思わず抱き付いてしまった。
「ううん。ありがとう。俺はミリィが婚約者になってくれて嬉しい」
「・・・・・・大切にするからな」
そうしてギュッと抱きしめ合っていたらササナギ様が溜め息を吐いた。
「おい、もうそろそろいいか? 目の前で身内のイチャイチャをいつまでも見ていたくないんだが」
「・・・・・・お前も毎回こうなの分かってるか?」
「・・・・・・フン」
ミリィにツッコまれてちょっと不機嫌そうなササナギ様に苦笑するナツメ様───ああいや、さっき許可が出たからササナギとナツメ呼びだね。
ササナギの言動に対するミリィの言動。
俺、こういうのなんて言うか知ってる。ブーメランって言うんだよね。
俺達も気をつけないと。今度から似た者同士なんだからこっちにもブーメランだよ。
ナツメと目が合って、お互い顔を赤くしながら苦笑した。
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