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8 魔力検査 2
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「まあまあ、とにかく魔力検査しようよ、ミリィ」
「そうだよ、ナギ。どんどん予定がズレちゃう。早くしようよ」
中々終わらなさそうな会話を切るべくそう声をかけるとナツメも加勢してくれた。
おかげで二人ともピタッと口を閉ざした。
「ところで、どこでその、魔力検査っていうのをやるの?」
たぶん移動するんだよね?
そう思ってミリィに聞いたら、それはナツメに聞いてくれと言われたので俺はナツメを見た。
「えっとね、僕が入団した王立魔導師団ていう職場でやるんだ。でね、魔導師団長の立ち会いで検査するから今からそっちに移動するよ」
なるほど。そういえば昨日の自己紹介で魔導師団員になったって言ってたな。
───ということは仕事の予定を変更させちゃった!?
だって今日、午前中に来たって言ってたよね!?
心配になって聞くと一日予定を空けてるから大丈夫って言われてホッとする。
「検査自体はそういうのを調べる魔導具があって危険なことは何もない。あるとすれば魔法の発動とかでの暴走とか暴発かな?」
・・・・・・ミリィ、そういうのをフラグって言うんだよ。
四人で移動しながら(後ろには警備の近衛騎士達が大勢ついてきてるけど気にしたらダメだ)大まかな説明を受ける。
そうこうしていると渡り廊下になり、綺麗に整えられた庭が見えて、その先に二階建ての大きな校舎のような建物が見えた。
「あれが王立魔導師団の職場で、その奥にあるのが団員達の宿舎。本当は僕もそこに入る予定だったんだけど───」
「アレは独身者用だからな。入団前に既婚者になったから入ることはない」
「・・・・・・ははは」
ナツメの説明に被せるようにササナギがそう言って、ナツメが苦笑していた。
何かあったのかと思って首を傾げるとミリィが耳元でコソッと教えてくれた。
「アイツね、学園の卒業式のあとにナツメとの婚姻届を私に出してきてね。その場で承認して夫夫になった経緯があるんだ」
・・・・・・ん? でもナツメは宿舎に入る予定だったって───。
「えっ? それってナツメは───」
「もちろん知らされてなかったよ。あのときのナツメのポカンとした顔が可愛くて───」
「───おい、着いたぞ」
更に詳しく教えようとしたミリィを遮るようにササナギが声をかけた。
うん、余計なことは聞きません。言いません。
「はいはい。じゃあサッサと済ませ───」
「───ようこそいらっしゃいました! ミリオネア王太子殿下並びにクサカベ侯爵様、エンドフィール次期侯爵夫夫様。お待ちしておりました!」
ミリィが出入り口の扉を近衛騎士に開けさせる前に、ミリィの言葉を遮るように内側からババンッと勢いよく扉が開いた。
ナツメは反応が遅くてぶつかりそうになったのをササナギにヒョイと抱き上げられた。
俺?
俺は暗殺訓練の賜物でだいぶ前に気配を察知していたから事前にミリィの背中に引っ付いて気配を消していたよ。
ミリィとササナギも強いから同じように気付いていたので安心だ。
「相変わらずの変人め。もう少し大人しく出来ないのか? ティメール師団長」
「いやだなあ、ササナギ殿。変人なんて褒め言葉」
「褒めてない」
ササナギの言葉からどうやら魔導師団長らしい。
ティメールと呼ばれたこの人は、スカイブルーの瞳に緩い癖毛で目の覚めるような金髪を腰まで伸ばし、左目にいわゆるモノクルと呼ばれる片眼がねを付けた、これまた妖艶な美人で細身の男の人。
歳は二十代後半くらいかな?
濃い紫色のローブを纏っている。
そして若干、いやかなり目を充血させてギラギラさせてるアブナイ感じの人だった。
「いやあ自分生まれて初めてこんな素晴らしい出来事に関われるなんて嬉しくて夕べは一睡も出来なかったんですよー!」
・・・・・・ノンブレスで言い切ったよ、この人。
テンション高いな。徹夜なの?
大丈夫なのかな・・・・・・?
俺はすでに不安しかないんだけど。
「そうだよ、ナギ。どんどん予定がズレちゃう。早くしようよ」
中々終わらなさそうな会話を切るべくそう声をかけるとナツメも加勢してくれた。
おかげで二人ともピタッと口を閉ざした。
「ところで、どこでその、魔力検査っていうのをやるの?」
たぶん移動するんだよね?
そう思ってミリィに聞いたら、それはナツメに聞いてくれと言われたので俺はナツメを見た。
「えっとね、僕が入団した王立魔導師団ていう職場でやるんだ。でね、魔導師団長の立ち会いで検査するから今からそっちに移動するよ」
なるほど。そういえば昨日の自己紹介で魔導師団員になったって言ってたな。
───ということは仕事の予定を変更させちゃった!?
だって今日、午前中に来たって言ってたよね!?
心配になって聞くと一日予定を空けてるから大丈夫って言われてホッとする。
「検査自体はそういうのを調べる魔導具があって危険なことは何もない。あるとすれば魔法の発動とかでの暴走とか暴発かな?」
・・・・・・ミリィ、そういうのをフラグって言うんだよ。
四人で移動しながら(後ろには警備の近衛騎士達が大勢ついてきてるけど気にしたらダメだ)大まかな説明を受ける。
そうこうしていると渡り廊下になり、綺麗に整えられた庭が見えて、その先に二階建ての大きな校舎のような建物が見えた。
「あれが王立魔導師団の職場で、その奥にあるのが団員達の宿舎。本当は僕もそこに入る予定だったんだけど───」
「アレは独身者用だからな。入団前に既婚者になったから入ることはない」
「・・・・・・ははは」
ナツメの説明に被せるようにササナギがそう言って、ナツメが苦笑していた。
何かあったのかと思って首を傾げるとミリィが耳元でコソッと教えてくれた。
「アイツね、学園の卒業式のあとにナツメとの婚姻届を私に出してきてね。その場で承認して夫夫になった経緯があるんだ」
・・・・・・ん? でもナツメは宿舎に入る予定だったって───。
「えっ? それってナツメは───」
「もちろん知らされてなかったよ。あのときのナツメのポカンとした顔が可愛くて───」
「───おい、着いたぞ」
更に詳しく教えようとしたミリィを遮るようにササナギが声をかけた。
うん、余計なことは聞きません。言いません。
「はいはい。じゃあサッサと済ませ───」
「───ようこそいらっしゃいました! ミリオネア王太子殿下並びにクサカベ侯爵様、エンドフィール次期侯爵夫夫様。お待ちしておりました!」
ミリィが出入り口の扉を近衛騎士に開けさせる前に、ミリィの言葉を遮るように内側からババンッと勢いよく扉が開いた。
ナツメは反応が遅くてぶつかりそうになったのをササナギにヒョイと抱き上げられた。
俺?
俺は暗殺訓練の賜物でだいぶ前に気配を察知していたから事前にミリィの背中に引っ付いて気配を消していたよ。
ミリィとササナギも強いから同じように気付いていたので安心だ。
「相変わらずの変人め。もう少し大人しく出来ないのか? ティメール師団長」
「いやだなあ、ササナギ殿。変人なんて褒め言葉」
「褒めてない」
ササナギの言葉からどうやら魔導師団長らしい。
ティメールと呼ばれたこの人は、スカイブルーの瞳に緩い癖毛で目の覚めるような金髪を腰まで伸ばし、左目にいわゆるモノクルと呼ばれる片眼がねを付けた、これまた妖艶な美人で細身の男の人。
歳は二十代後半くらいかな?
濃い紫色のローブを纏っている。
そして若干、いやかなり目を充血させてギラギラさせてるアブナイ感じの人だった。
「いやあ自分生まれて初めてこんな素晴らしい出来事に関われるなんて嬉しくて夕べは一睡も出来なかったんですよー!」
・・・・・・ノンブレスで言い切ったよ、この人。
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大丈夫なのかな・・・・・・?
俺はすでに不安しかないんだけど。
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