【完結】暁の騎士と宵闇の賢者

エウラ

文字の大きさ
6 / 40

6 休暇初日 2

※前半セラータ、後半アルヴァ視点。



「ほらセラ、起きてあーんして」
「・・・・・・うう、あーん」
「まずスープな」

うつらうつらしているうちにいつの間にかソファにアルヴァの膝上に横抱きで座っていて、アルヴァに言われるままに半目のまま口をパカリと開いた。

そこに適温に冷ましたコーンポタージュのスープがスプーンで一匙入れられる。反射的にパクッと口を閉じてもぐもぐゴクンと飲み込む。

「おいし」
「よかったな。ほらもう一口」
「あーん」

そうやって雛鳥よろしく給餌されて、時折口端をナフキンで拭われながらサンドイッチも平らげた。
食後の紅茶はさすがに自分で飲んだけど、半分くらい夢の中で、こくりこくりと頭が傾いているのを感じる。
目はすでに瞑っていて開きそうにない。危ないと思ったのかアルヴァに手の中のカップを取り上げられた。

「ほら、ご馳走様。ベッドに横になるか? ソレともこのままか?」
「・・・・・・んー、このまま・・・・・・アルのトコがいい・・・・・・安心する・・・・・・」
「───っそうか。ウン、いいぞ。ゆっくり休め」

目を瞑っているから表情は分からないけど、アルヴァの声が嬉しそうに聞こえる気がした。
出会った最初から世話焼きだったから頼られると嬉しいんだろうか・・・・・・?

うん、ただの幼馴染みでも、これくらい当たり前だったし、いいよね?

そんなことを思いながら、俺は夢の中へ旅立った。

   ◇◆◇

膝の上で頭を俺の胸に預けて無防備に眠るセラータを見る。

穏やかな、安心した表情だ。

「アルヴァ様に介助して頂けて助かりました。あのままではおそらく一口二口で眠ってしまわれたでしょう」
「あー、うん。本当に起きてるのかと思うほどぼんやりしていたな」

何時もの凜とした雰囲気がなくて幼さが前面に出てる感じで可愛らしい。
いや見た目が可愛らしいのでキリッとしててもあまり変わらないのだが、仕事の時は近寄りがたい空気があるんだよな。

もしかすると自衛のためにワザとそういう雰囲気を作っていたのかも。でないとバカなヤツらが大勢集ってきそうだ。

「セラータ坊ちゃまはどうも甘え下手らしく、普段は大人びておりますが、お酒が入ったり寝惚けておりますと途端に先程のようになりますよ」

お可愛らしいことです、とサイモンは食器を片づけるとほのほのと部屋をあとにした。セラータにしっかりブランケットをかけて。

「私共は席を外しますが、用件がございましたら何時でもお申し付け下さいませ。アルヴァ様もどうぞごゆっくり」
「助かる」

そうしてセラータの寝息以外聞こえない静まり返った部屋で、俺は騎士団入団の頃のことを振り返った。


───俺とセラータはお互い10歳になった年に同時にそれぞれ騎士団と魔導師団に入団した。
年齢を考えるとまだまだ子供だが、俺は竜人で即戦力になるだけの実力があったし、何よりセラータが早く魔導師団に入団したがったために、なるべく離れたくなくて俺も合わせたのだ。

その頃は今まで通り幼馴染みの関係で気さくに付き合いがあったが、年に三度の深淵の森討伐任務を熟していくウチに妙な噂が出回るようになった。

『魔導師団のダスク家の子息って、ビッチなんだって?』
『俺も聞いた。何でも討伐の時は魔法をもの凄く使うから魔力供給のためにヤリまくるらしい』
『来る者拒まずって話だぜ』
『魔力供給っていうんじゃなくて普段から誘ってるらしいし』
『あんな子供みたいな身体で欲情できんのか?』
『いやいや、ヤったら凄いらしいぜ』

そんな下品で下世話な噂話がいつの間にか王宮内で広まっていった。

確かに魔力回復には体液、特に精液に多く含まれるので粘膜摂取が効率がいいということは知っているが・・・・・・。

そんな、まさか・・・・・・?

一度浮かんでしまった疑念はそう簡単に払拭出来ず、気付けばあからさまにセラータを避けるようになっていた。

セラータは噂を気にしていないのか知らないのか、はたまた真実だからと否定しないのか・・・・・・。

お互い顔を合わせて話すこともなくなってはや二年ほど経った今回の討伐任務でのドラゴン襲撃というイレギュラー。

セラータが魔力枯渇寸前になるのを見たのはこれで二度目だった。
一度目は養子になってすぐの魔力循環訓練中の暴走。
俺も一緒に付き合っていてその場にいたが、俺はあまりの衝撃に固まってしまい、何も出来ずにただ呆然としていただけだった。

あのときセラータを護れるように強くなると誓ったのに、セラータを信じて護るどころか噂を鵜呑みにして突き放しただけだった。

今思えば、セラータは俺を見るときは何時も切なそうな瞳だった・・・・・・。

「───これからは、俺が必ず護るからな」

そう囁いてセラータの唇に口吻を贈った







感想 64

あなたにおすすめの小説

【完結】ダンスパーティーで騎士様と。〜インテリ俺様騎士団長α×ポンコツ元ヤン転生Ω〜

亜沙美多郎
BL
 前世で元ヤンキーだった橘茉優(たちばなまひろ)は、異世界に転生して数ヶ月が経っていた。初めこそ戸惑った異世界も、なんとか知り合った人の伝でホテルの料理人(とは言っても雑用係)として働くようになった。  この世界の人はとにかくパーティーが好きだ。どの会場も予約で連日埋まっている。昼でも夜でも誰かしらが綺麗に着飾ってこのホテルへと足を運んでいた。  その日は騎士団員が一般客を招いて行われる、ダンスパーティーという名の婚活パーティーが行われた。  騎士という花型の職業の上、全員αが確約されている。目をぎらつかせた女性がこぞってホテルへと押しかけていた。  中でもリアム・ラミレスという騎士団長は、訪れた女性の殆どが狙っている人気のα様だ。  茉優はリアム様が参加される日に補充員としてホールの手伝いをするよう頼まれた。  転生前はヤンキーだった茉優はまともな敬語も喋れない。  それでもトンチンカンな敬語で接客しながら、なんとか仕事をこなしていた。  リアムという男は一目でどの人物か分かった。そこにだけ人集りができている。  Ωを隠して働いている茉優は、仕事面で迷惑かけないようにとなるべく誰とも関わらずに、黙々と料理やドリンクを運んでいた。しかし、リアムが近寄って来ただけで発情してしまった。  リアムは茉優に『運命の番だ!』と言われ、ホテルの部屋に強引に連れて行かれる。襲われると思っていたが、意外にも茉優が番になると言うまでリアムからは触れてもこなかった。  いよいよ番なった二人はラミレス邸へと移動する。そこで見たのは見知らぬ美しい女性と仲睦まじく過ごすリアムだった。ショックを受けた茉優は塞ぎ込んでしまう。 しかし、その正体はなんとリアムの双子の兄弟だった。パーティーに参加していたのは弟のリアムに扮装した兄のエリアであった。 エリアの正体は公爵家の嫡男であり、後継者だった。侯爵令嬢との縁談を断る為に自分だけの番を探していたのだと言う。 弟のリアムの婚約発表のお茶会で、エリアにも番が出来たと報告しようという話になったが、当日、エリアの目を盗んで侯爵令嬢ベイリーの本性が剥き出しとなる。 お茶会の会場で下民扱いを受けた茉優だったが……。 ♡読者様1300over!本当にありがとうございます♡ ※独自のオメガバース設定があります。 ※予告なく性描写が入ります。

貴族軍人と聖夜の再会~ただ君の幸せだけを~

倉くらの
BL
「こんな姿であの人に会えるわけがない…」 大陸を2つに分けた戦争は終結した。 終戦間際に重症を負った軍人のルーカスは心から慕う上官のスノービル少佐と離れ離れになり、帝都の片隅で路上生活を送ることになる。 一方、少佐は屋敷の者の策略によってルーカスが死んだと知らされて…。 互いを思う2人が戦勝パレードが開催された聖夜祭の日に再会を果たす。 純愛のお話です。 主人公は顔の右半分に火傷を負っていて、右手が無いという状態です。 全3話完結。

ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学時代後輩から逃げたのに、大人になって再会するなんて!?

灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。 オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。 ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー 獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。 そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。 だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。 話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。 そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。 みたいな、大学篇と、その後の社会人編。 BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!! ※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました! ※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました! 旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」

神子様のお気に入り!

荷稲 まこと
BL
異世界に召喚された主人公、百瀬瑠衣。 そこは女性が存在しないBLゲームの世界だった。 『神子様』と呼ばれイケメンたちにちやほやされる瑠衣であったが、彼はどうも不満そうで…。 長編の合間の息抜きに書きました。 ふわっと設定なのでふわわっと読んでください。 すけべシーンには※が付いてます。

【完結】一生に一度だけでいいから、好きなひとに抱かれてみたい。

村松砂音(抹茶砂糖)
BL
第13回BL大賞で奨励賞をいただきました! ありがとうございました!! いつも不機嫌そうな美形の騎士×特異体質の不憫な騎士見習い <あらすじ> 魔力欠乏体質者との性行為は、死ぬほど気持ちがいい。そんな噂が流れている「魔力欠乏体質」であるリュカは、父の命令で第二王子を誘惑するために見習い騎士として騎士団に入る。 見習い騎士には、側仕えとして先輩騎士と宿舎で同室となり、身の回りの世話をするという規則があり、リュカは隊長を務めるアレックスの側仕えとなった。 いつも不機嫌そうな態度とちぐはぐなアレックスのやさしさに触れていくにつれて、アレックスに惹かれていくリュカ。 ある日、リュカの前に第二王子のウィルフリッドが現れ、衝撃の事実を告げてきて……。 親のいいなりで生きてきた不憫な青年が、恋をして、しあわせをもらう物語。 ※性描写が多めの作品になっていますのでご注意ください。 └性描写が含まれる話のサブタイトルには※をつけています。 ※表紙は「かんたん表紙メーカー」さまで作成しました。

生まれ変わったら知ってるモブだった

マロン
BL
僕はとある田舎に小さな領地を持つ貧乏男爵の3男として生まれた。 貧乏だけど一応貴族で本来なら王都の学園へ進学するんだけど、とある理由で進学していない。 毎日領民のお仕事のお手伝いをして平民の困り事を聞いて回るのが僕のしごとだ。 この日も牧場のお手伝いに向かっていたんだ。 その時そばに立っていた大きな樹に雷が落ちた。ビックリして転んで頭を打った。 その瞬間に思い出したんだ。 僕の前世のことを・・・この世界は僕の奥さんが描いてたBL漫画の世界でモーブル・テスカはその中に出てきたモブだったということを。

歳上公爵さまは、子供っぽい僕には興味がないようです

チョロケロ
BL
《公爵×男爵令息》 歳上の公爵様に求婚されたセルビット。最初はおじさんだから嫌だと思っていたのだが、公爵の優しさに段々心を開いてゆく。無事結婚をして、初夜を迎えることになった。だが、そこで公爵は驚くべき行動にでたのだった。   ほのぼのです。よろしくお願いします。 ※ムーンライトノベルズ様でも投稿しています。

俎上の魚は水を得る

円玉
BL
前作「釣った魚、逃した魚」の番外・後日談です。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/546817982/116507482  番外編なのに長くなりそうなので別タイトルでアップすることにしました。   本編を読んでないと、伝わりきらないところが有ると思います。 厳密に言えば、後日談と言っても本編のラストシーンよりは少し前に遡ります。 建国の儀の翌年となります。 二人の生活を楽しんでいた召喚神子・三倉貴史(タカ)と護衛騎士であり伴侶のマクミラン。 マクミランがうっかり漏らした神子の誕生日を耳にした王家が、それを放っておくはずも無く。 『神子様生誕祭』を執り行うことに。 次第に大仰になっていく事に引き気味だったが、王家の計らいで温泉地が貰えることになったタカは、俄然発奮することに。 ただひたすらラブ語りなだけで、さほどの危機が訪れることもなく、メリハリ的には薄目です。 どちらかと言えばコメディ寄りかなと思います。 本編「釣った魚、逃した魚」は終始マクミラン目線(攻目線)でしたが、 本作では、神子様・タカ目線(受目線)になります。 本編「釣った魚、逃した魚」では崇拝恋慕しているマクミラン目線だったので、大分神子様が神秘的に美化されています。 今回、神子様本人目線なので、所詮は今時の日本人。そこそこ俗です。 あと、一応、今回も調子に乗らないように文字数2300以下の縛りを設けてみました。 ですが、連載回数を30話で締めたかったので、 ラスト近くの回から、文字数2300を越えてしまいました。 予約投稿にて、毎日更新します。 ムーンライトさんにも投稿しています。