【完結】暁の騎士と宵闇の賢者

エウラ

文字の大きさ
9 / 40

9 不穏な休暇明け


一週間の休暇という名の静養を主にアルヴァとでろ甘に過ごして完全回復した休暇明け。

久しぶりだなとアディスと共に馬車で出仕すると、馬車の昇降場に何故かアルヴァが待ち受けていた。

「おはようございます、ダスク師団長殿、副師団長殿」
「ああ、おはよう」
「・・・・・・おはようございます、ドーン副団長殿。あの、どうしてここに?」

職場なので一応他人行儀な言葉遣いで挨拶を交わし、何か用事でもあったのかと思って俺が尋ねると、ニコニコしながらアルヴァが言った。

「ただの出迎えです。副師団長殿に会いたかったので」
「・・・・・・お前ね、昨日もセラにギリギリまでくっ付いてたろうが。全く、この一週間で変わりすぎ。───そうだ。今日さぁ、午後イチで合同訓練やろうってソリュ-ン団長に言っといて」
「・・・・・・はい。予定を調整しておきます」

そんなアルヴァに対し冷たい半目で睨みながら今日の予定にはなかった午後の合同訓練をむりくりツッコむアディス。
なんなん?
アルヴァが若干顔色悪くなったけど大丈夫?

アルヴァの後ろをアディスとついて歩いて職場となる魔導師団の本部に行く。
何時もはいやらしい視線や下世話な噂話をコソコソするのが聞こえるんだけど、今日は全くない。
パタリと消えている。
・・・・・・ホントになんなん?

まあ、うっとうしいのがなくなって俺は気分がいいから気にしなーい。

チラッと後ろを振り向き、俺を見て目を細めるアルヴァに俺もにっこり笑い返した。ついでにアディスにもにっこり。アディスもニコニコ。

うん、今日はいい一日になりそうだな!

そうして魔導師団の副師団長室に篭もり、休暇中にそこそこ溜まっていた俺がサインしないといけない書類などを捌いているとお昼の休憩時間になった。

「セラ! 御飯行こー!」

ノックと共にアディスとカーティス補佐官が副師団長室に入ってくる。
おーい、俺の返事待ってから入ってよ。

「・・・・・・むかーし、アルヴァがやったようなことしていいの? マナー違反でしょ」
「いーのいーの、父親が息子に会うのに許可なんて取らなくていいのー」
「・・・・・・いや、ここ職場だからね? 家ん中なら、まあ・・・・・・いいのか?」
「師団長はこういう方ですからねぇ」
「・・・・・・大変ですね、カーティスさん」

ケロッとしてるアディスに全くです、とわざとらしく溜息を吐くカーティス補佐官に思わず笑う。
苦労が滲み出てるよ。頑張れ。

ちなみに俺には補佐官はいない。まあ必要ないってのもあるけど、一番はアディスが許可しないからだった。
その理由を聞いたところ『セラータにヘンなヤツを近づけさせたくない!』だった。
はぁ? ってなったね。

実際募集をしたところ、例の噂が広まった頃には下心アリアリのバカが集まってきて全て却下となり、生真面目なヤツは逆に離れていった。

さすがに有事の際には魔力補給が必要になる魔導師達でも誰彼構わずのビッチはそうそういない。せめて恋人とか割り切った関係の人が一人とか二人・・・・・・。
だから噂通りなら俺はかなりヤバいヤツってことで遠巻きにされてた。

そんな訳で『おいゴラァ、誰のおかげで討伐任務遂行出来てると思っとるんじゃー!』って、わりかしガチめに憤ってたけど早々に諦めたよね。

まさに『触らぬ神に祟りなし』状態で孤立してたから。副師団長なのにこれでいいんかいってな。鼻で笑っちまうぜ! はっ!

そんな訳で俺に補佐官はいない。もう別に要らない。一人でやる流れが出来ちゃってるからかえって邪魔。
だからアディス父様、今更釣書っぽく履歴書を持ってこないでくれますか?

これ、知らん人が見たらぱっと見お見合いの釣書にしか見えないんですけど───!!

ちなみに今いるここは王城内にある魔導師・騎士達専用の大食堂ですよ。俺達のような役職付きは特別室があるんだけど今日は何故かココだった。

アディス、何か企んでる?













感想 64

あなたにおすすめの小説

最悪の婚姻から始まるただ一つの愛

統子
BL
最悪の婚姻だった。 皇太子の正室として迎えられながら、 与えられたのは祝福ではなく、冷たい部屋と拒絶だけ。 触れられることすら恐ろしく、 ただ静かに時間が過ぎるのを待つしかなかった。 けれど—— 差し出された手は、思っていたものとは違っていた。 無理に触れない。 急がない。 ただ、こちらの様子を確かめるように、少しずつ距離を縮めてくる。 気づけば、隣に座ることが当たり前になり、 言葉を交わす時間が、夜の習慣になっていた。 触れられるたびに怖さは消え、 代わりに残るのは、離れがたい温もり。 これは、最悪の婚姻から始まった関係が、 やがて“ただ一人”へと変わっていく物語。 望まれなかったはずのはじまりが、 いつしか、何よりも大切なものになるまでの—— 静かで、優しい、溺れるような愛の記録。

神子様のお気に入り!

荷稲 まこと
BL
異世界に召喚された主人公、百瀬瑠衣。 そこは女性が存在しないBLゲームの世界だった。 『神子様』と呼ばれイケメンたちにちやほやされる瑠衣であったが、彼はどうも不満そうで…。 長編の合間の息抜きに書きました。 ふわっと設定なのでふわわっと読んでください。 すけべシーンには※が付いてます。

【完結】ダンスパーティーで騎士様と。〜インテリ俺様騎士団長α×ポンコツ元ヤン転生Ω〜

亜沙美多郎
BL
 前世で元ヤンキーだった橘茉優(たちばなまひろ)は、異世界に転生して数ヶ月が経っていた。初めこそ戸惑った異世界も、なんとか知り合った人の伝でホテルの料理人(とは言っても雑用係)として働くようになった。  この世界の人はとにかくパーティーが好きだ。どの会場も予約で連日埋まっている。昼でも夜でも誰かしらが綺麗に着飾ってこのホテルへと足を運んでいた。  その日は騎士団員が一般客を招いて行われる、ダンスパーティーという名の婚活パーティーが行われた。  騎士という花型の職業の上、全員αが確約されている。目をぎらつかせた女性がこぞってホテルへと押しかけていた。  中でもリアム・ラミレスという騎士団長は、訪れた女性の殆どが狙っている人気のα様だ。  茉優はリアム様が参加される日に補充員としてホールの手伝いをするよう頼まれた。  転生前はヤンキーだった茉優はまともな敬語も喋れない。  それでもトンチンカンな敬語で接客しながら、なんとか仕事をこなしていた。  リアムという男は一目でどの人物か分かった。そこにだけ人集りができている。  Ωを隠して働いている茉優は、仕事面で迷惑かけないようにとなるべく誰とも関わらずに、黙々と料理やドリンクを運んでいた。しかし、リアムが近寄って来ただけで発情してしまった。  リアムは茉優に『運命の番だ!』と言われ、ホテルの部屋に強引に連れて行かれる。襲われると思っていたが、意外にも茉優が番になると言うまでリアムからは触れてもこなかった。  いよいよ番なった二人はラミレス邸へと移動する。そこで見たのは見知らぬ美しい女性と仲睦まじく過ごすリアムだった。ショックを受けた茉優は塞ぎ込んでしまう。 しかし、その正体はなんとリアムの双子の兄弟だった。パーティーに参加していたのは弟のリアムに扮装した兄のエリアであった。 エリアの正体は公爵家の嫡男であり、後継者だった。侯爵令嬢との縁談を断る為に自分だけの番を探していたのだと言う。 弟のリアムの婚約発表のお茶会で、エリアにも番が出来たと報告しようという話になったが、当日、エリアの目を盗んで侯爵令嬢ベイリーの本性が剥き出しとなる。 お茶会の会場で下民扱いを受けた茉優だったが……。 ♡読者様1300over!本当にありがとうございます♡ ※独自のオメガバース設定があります。 ※予告なく性描写が入ります。

名もなき花は愛されて

朝顔
BL
シリルは伯爵家の次男。 太陽みたいに眩しくて美しい姉を持ち、その影に隠れるようにひっそりと生きてきた。 姉は結婚相手として自分と同じく完璧な男、公爵のアイロスを選んだがあっさりとフラれてしまう。 火がついた姉はアイロスに近づいて女の好みや弱味を探るようにシリルに命令してきた。 断りきれずに引き受けることになり、シリルは公爵のお友達になるべく近づくのだが、バラのような美貌と棘を持つアイロスの魅力にいつしか捕らわれてしまう。 そして、アイロスにはどうやら想う人がいるらしく…… 全三話完結済+番外編 18禁シーンは予告なしで入ります。 ムーンライトノベルズでも同時投稿 1/30 番外編追加

いきなり有能になった俺の主人は、人生を何度も繰り返しているらしい

一花みえる
BL
ベルリアンの次期当主、ノア・セシル・キャンベルの従者ジョシュアは頭を抱えていた。自堕落でわがままだったノアがいきなり有能になってしまった。なんでも「この世界を繰り返している」らしい。ついに気が狂ったかと思ったけど、なぜか事態はノアの言葉通りに進んでいって……?

歳上公爵さまは、子供っぽい僕には興味がないようです

チョロケロ
BL
《公爵×男爵令息》 歳上の公爵様に求婚されたセルビット。最初はおじさんだから嫌だと思っていたのだが、公爵の優しさに段々心を開いてゆく。無事結婚をして、初夜を迎えることになった。だが、そこで公爵は驚くべき行動にでたのだった。   ほのぼのです。よろしくお願いします。 ※ムーンライトノベルズ様でも投稿しています。

政略結婚のはずが恋して拗れて離縁を申し出る話

BL
聞いたことのない侯爵家から釣書が届いた。僕のことを求めてくれるなら政略結婚でもいいかな。そう考えた伯爵家四男のフィリベルトは『お受けします』と父へ答える。 ところがなかなか侯爵閣下とお会いすることができない。婚姻式の準備は着々と進み、数カ月後ようやく対面してみれば金髪碧眼の美丈夫。徐々に二人の距離は近づいて…いたはずなのに。『え、僕ってばやっぱり政略結婚の代用品!?』政略結婚でもいいと思っていたがいつの間にか恋してしまいやっぱり無理だから離縁しよ!とするフィリベルトの話。

生まれ変わったら知ってるモブだった

マロン
BL
僕はとある田舎に小さな領地を持つ貧乏男爵の3男として生まれた。 貧乏だけど一応貴族で本来なら王都の学園へ進学するんだけど、とある理由で進学していない。 毎日領民のお仕事のお手伝いをして平民の困り事を聞いて回るのが僕のしごとだ。 この日も牧場のお手伝いに向かっていたんだ。 その時そばに立っていた大きな樹に雷が落ちた。ビックリして転んで頭を打った。 その瞬間に思い出したんだ。 僕の前世のことを・・・この世界は僕の奥さんが描いてたBL漫画の世界でモーブル・テスカはその中に出てきたモブだったということを。