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番外編 アディス・前世 愛縁奇縁
※アディスの前世回です。若干、怪我や死人の話が出るので苦手な方は自衛をお願いします。前世の名前等はあえて出しませんので悪しからず。
今回は何度目の魔物討伐任務だったろうか。
もう回数も忘れるほど行っている討伐任務で、慣れたモノだった。
だがそれがいけなかったのだろう。
───私はその日、致命傷を負って、この世を去った。
お腹に宿っていた子とともに、最愛の番いを残して───。
過去の話をしよう。
私は魔物討伐任務を専門に行う魔導師団員の父と騎士団員の母(ちなみに普通に女性だ)という両親を持つ。
そして一人称が「私」で可愛い顔をしている(らしい)が自分はれっきとした男だ。
可愛いという自覚はない。普通だろう。
だが両親が可愛いを連呼して一人称を私に徹底したので、もうクセになっていて普段から自分のことは私呼びになっている。死んでも変わらないんじゃないかな?
両親とも平民の人族だが珍しく魔力が高く、どう見ても二十代くらいの見た目だった。
私自身も魔力、武力共に二つの団員の中でも上位に入るくらいの能力を持っていて、二人のいいとこ取りをしたのか両親よりもどちらも突出していた。
そのおかげか成長は緩やかで、今の私は17歳だというのに見た目は10歳くらいで小柄だった。
父譲りの紅色に橙色が混じる髪は主に炎系の魔法が得意で、母譲りの紺色の瞳にはどうやら魔法を発動するときにキラキラと橙色が散るらしい。
うーん、自分じゃ見えないから分からない。
私は魔法よりも物理で戦う方が好きだったため、12歳で騎士団に入団して研鑽を積んでいた。
このときの見た目は7歳くらい。周りに同じくらいの見た目の子供はおらず、団員達に可愛がられた。
ボコボコにされたという意味ではなく、主に愛玩的な方で。もしくは我が子のような?
母親が騎士団の中でも団長クラスの強さがあったから、もしかしたら一目置かれていたのもしれないが、それでも皆が親しげに構ってくれて楽しかった。
入団して5年ほど経った頃、年に三回の討伐任務以外で魔物の被害が多く出て、特別に少数精鋭の討伐隊が組まれ、その中に両親も選ばれた。
今回は緊急事態ということで私は留守番組だ。
『気を付けて、父さん、母さん』
『ああ、行ってくる』
『心配しないで。貴方も訓練に励みなさい』
『はい』
そう言葉を交わして両親達を見送った。
───それが二人との最後の言葉だった。
討伐に向かった先で邂逅した魔物はマンティコアという、人面の頭部に獅子の身体、背中には蝙蝠の羽、尾はサソリの毒針だという生き物だったそうだ。
ソイツは一頭でも厄介なのに、あろうことか三頭もいたらしい。
少数精鋭の討伐部隊とはいえ、さすがに三頭も同時に相手にするなど想定外だった。
父が結界と炎系の魔法で攻撃を食い止め、母が前に出て斬りかかり時間を稼ぐ。
ソコに魔導師達が全力で殲滅魔法を放ち、何とか深淵の森に押し戻して結界を張り直した。
ほぼ全員瀕死の状態になりながらも近くの安全な砦に向かい、常駐していた兵達の手当てで一命を取り留めたが・・・・・・。
『ご両親は、立派に最後まで・・・・・・剣となり盾となりながら我々を守って・・・・・・!』
今回の討伐任務の隊長をそれぞれ務めていた両親。
元々、誰かのために命をなげうつような性質だったから、別に不思議ではない。
彼らのおかげで他の団員は一人も欠けることなく帰ってこられたのだから。
自分が一緒に行っていれば、なんて自惚れた言葉は言わない。私がいたところできっと何も変わらなかった。
両親だって、冷たくはなっていたけど五体満足で、ちゃんと私の元に帰ってきてくれた。
───だから、コレは、いいことのはずなんだ。
教会で葬送の儀を行い、二人の魂を輪廻の輪に送り出して、教会に併設された一般人用の墓場に埋葬して貰った。
『二人とも、次の生で、また仲良く・・・・・・結ばれてね』
誰もいなくなった石碑の前でそう呟き、嗚咽を堪えて泣いた。
私は、独りになった。
少しして、国王陛下から亡き両親に褒章が贈られることになった。
もちろん贈られる本人達がいないので私が謁見して受け取ることになった。
騎士団の正装を身に纏ってはいても見た目が十二歳くらいの私を見て、何か同情というか憐れみのような視線をあちこちから感じている中、一つだけ、異様に熱の篭もった視線があった。
謁見の間に足を踏み入れた瞬間から気付いてはいたが、今は陛下の御前だとスルーして褒章を受け取る。
そのあと何故か人払いがされて、謁見の間には陛下と陛下の護衛の近衛騎士二人、宰相閣下、そして私のみが残された。
国王陛下と宰相閣下は人族のはず。でも自分みたいに魔力が高くて成長が遅いって聞いた。
近衛騎士達はぱっと見、人族に見えるけど関わり合いが全くないから分からないな。
でも何で人払いしたんだろう、と顔には出さずに疑問に思っていると陛下が楽にして受け答えをするように言って話し出したので、聞く姿勢になる。
『此度は、其方の両親のおかげで多くの命が救われた。このような形で褒章くらいしか授けられずに申し訳なかったな』
『いえ、とんでもございません。討伐任務に就くことは死もあると覚悟の上です。誰の責もありません。・・・・・・両親は、幸いにも二人とも同じ墓に一緒に入れたのです。きっとあちらでも仲良くしていると思います』
そう言って微笑んだ。だってあの両親は、息子の私を前にいつもいちゃいちゃしていたのだ。
今頃、呑気にラブラブしていると断言できる。
そう言うと微笑ましそうに顔を綻ばせる陛下にこちらもまたにっこりした。
『そうか。仲がよかったのだな。それならばもう何も言うまい。だが何か不都合があれば遠慮せずに何時でも言うがよい。あー、それでだな───』
『陛下、もうよろしいでしょう?』
『───そう急くでない。まだ彼に何も話しておらんだろうが』
『そうですよ、ドーン近衛騎士団長。もう少しお待ち下さ───』
『無理に決まってるでしょう!』
私が両親の思い出を頭に思い浮かべている間に何やらあちらでゴタゴタしている模様。何だろう?
そう首を傾げた次の瞬間、陛下の護衛の一人、おそらく宰相閣下が近衛騎士団長と言った方が目の前にいて、私をぎゅうっと抱きしめた。
『ぐえっ』
思わず潰れた蛙のような声が出た。
おいおい、ちょっと待て!
コレ、常人じゃあ一撃で死ぬレベルのシメ堕とし! さすが近衛騎士団長!
───じゃねえよ!
私は急に鯖折りされる意味が分からず、殺されては堪らないと一瞬で全身に身体強化魔法を張り巡らせた。
そしてグッと手を突っ張り近衛騎士団長と自分の間にむりくり隙間を作ると、近衛騎士団長の腹を殴り飛ばした。
ちなみに何故腹かというと、単に身長差で頭には届かないからである。
『ぅぐへえっ!?』
『『『はっ!?』』』
近衛騎士団長がマヌケな声を出し、陛下と宰相閣下ともう一人の護衛の近衛騎士が驚きの声を上げた。
咄嗟の割に綺麗に鳩尾にクリティカルヒットしたらしく、近衛騎士団長は陛下の左側の方の壁に吹き飛んでめり込んだ。
もう一人の近衛騎士が立っていた側だった。
あっぶね!
咄嗟に吹き飛ばす方向を変えたけど下手したら陛下の御身に傷が・・・・・・!
不敬罪どころの話じゃない。コレ、詰んだ!?
ハッと我に返りサーッと血の気が引くのが分かった。
『『『・・・・・・・・・・・・』』』
『・・・・・・っ痛ぇ・・・・・・』
むくりと起き上がり、再び私にロックオンした近衛騎士団長が凄まじい速さで迫って来たのを、恐怖で咄嗟に回し蹴りした。
それはまた絶妙なタイミングで首にクリティカルヒットし、今度は右側の壁に激突してめり込んだ。
『───あ』
ヤベえでござる、とまた顔を青くしたところでさすがに待機していた他の近衛騎士達にドーン近衛騎士団長が押さえ付けられていた。
『・・・・・・すまんの、其方は何も悪くないから気にせずともよいぞ』
絶望的な心境だったが陛下のその言葉に首の皮一枚で繫がった心地だった。
───その日、謁見の間は使い物にならなくなり、修復に最低一ヶ月はかかるという話が王城内に飛び交った。
原因は、番い(仮)を見つけて暴走したドーン近衛騎士団長がいきなり番い(仮)に抱き付き、驚いた番い(仮)が彼の団長を殴り蹴り飛ばして謁見の間を破壊したから。
───そう。あの熱い視線を送っていたのが実は近衛騎士団長で、彼は竜人で、私は彼の番い(仮)なんだそうです。
何故(仮)なのかというと、私が番い認識していないから。だからとりあえず仮定にして貰った。
・・・・・・人族って、番い感じ取れない種族だから、思わず死ぬと思ってつい反射的に手ぇ出しちゃったけど。
いや、初邂逅、最悪じゃね?
陛下の御前で思わず平民の粗野な言葉がぼろっと出るくらいには衝撃的な出来事だった。
ちなみに、吹っ飛んだ近衛騎士団長はさすが竜人だけあって無傷でケロッとしてたけどね。
でも鳩尾の部分の鎧は見事に凹んでいたけど。・・・・・・てへ?
───で、無傷じゃなかったのは謁見の間と宰相閣下曰くの修復費用らしい。
・・・・・・うん、謁見の間は国の顔だもんね。体裁ってもんがありますよね、お高いですよね?
『・・・・・・修復費用はドーン公爵家に請求しますからね』
『ええー、別にいいけど・・・・・・』
いいんだ!? さすが公爵家、お金持ち!
『そもそも貴方がきちんと待てをしていれば何も問題はなかったのですよ! 聞いてます!?』
『はいはい、聞いてる聞いてる』
『・・・・・・すみません』
軽い声で返事をするドーン近衛騎士団長。駄犬かよ。いいのか近衛騎士がそんなんで。
しかし壊れたのは私のせいでもあるのでココは殊勝な態度で謝っておく。
だって請求されたら絶対死ぬまでに払えない。私、平民。つい最近、家族を失い独りになったばかり。
いくら魔力のおかげで長生き出来そうとはいえ、騎士団のお給料だけじゃたぶん一生かかっても払えないと思う。
『いえいえ貴方は全く悪くないです。心配しないでいいんですよ! 大体、ドーン近衛騎士団長が───』
『ねえ、もういいでしょ? 修復費用は払うから終わりにして下さい。番いといちゃいちゃしたい』
宰相閣下がお話してる途中で遮る近衛騎士団長。凄えな。いちゃいちゃって、真顔で言うことじゃないと思うけど。
それを苦い顔で溜息吐いてこめかみを押さえる宰相閣下。
・・・・・・ご苦労様です。苦労人ですね。胃薬要ります?
『・・・・・・・・・・・・はぁ・・・・・・もういいです。ですが、きちんと話して説明して了承を得てから番うんですよ!? 分かりました!?』
『はいはいはい』
『はい、は一回!』
『はーい』
『・・・・・・』
ホント、躾の出来てない駄犬かよ。
私の偏見? めちゃくちゃデキるスパダリのイメージだったんだけど?
・・・・・・・・・・・・この会話中ずっと、私はドーン近衛騎士団長にバックハグで腕の中に抱きしめられて、私の頭の上には彼の端整で美人な顔が乗っている。
このとき、私は17歳(見た目は12歳)でドーン近衛騎士団長はおよそ300歳(見た目は20歳くらい)だったらしい。
それを聞いてちょっとショタコンを疑った私は悪くないと思う。
・・・・・・カオス。
※シリアスドコ行った? 書いてたら終わらなかった。おかしい。こんなに長くなったのにまだ半分・・・・・・終わらない。次話に続く。
更新は遅れるかもしれません。
今回は何度目の魔物討伐任務だったろうか。
もう回数も忘れるほど行っている討伐任務で、慣れたモノだった。
だがそれがいけなかったのだろう。
───私はその日、致命傷を負って、この世を去った。
お腹に宿っていた子とともに、最愛の番いを残して───。
過去の話をしよう。
私は魔物討伐任務を専門に行う魔導師団員の父と騎士団員の母(ちなみに普通に女性だ)という両親を持つ。
そして一人称が「私」で可愛い顔をしている(らしい)が自分はれっきとした男だ。
可愛いという自覚はない。普通だろう。
だが両親が可愛いを連呼して一人称を私に徹底したので、もうクセになっていて普段から自分のことは私呼びになっている。死んでも変わらないんじゃないかな?
両親とも平民の人族だが珍しく魔力が高く、どう見ても二十代くらいの見た目だった。
私自身も魔力、武力共に二つの団員の中でも上位に入るくらいの能力を持っていて、二人のいいとこ取りをしたのか両親よりもどちらも突出していた。
そのおかげか成長は緩やかで、今の私は17歳だというのに見た目は10歳くらいで小柄だった。
父譲りの紅色に橙色が混じる髪は主に炎系の魔法が得意で、母譲りの紺色の瞳にはどうやら魔法を発動するときにキラキラと橙色が散るらしい。
うーん、自分じゃ見えないから分からない。
私は魔法よりも物理で戦う方が好きだったため、12歳で騎士団に入団して研鑽を積んでいた。
このときの見た目は7歳くらい。周りに同じくらいの見た目の子供はおらず、団員達に可愛がられた。
ボコボコにされたという意味ではなく、主に愛玩的な方で。もしくは我が子のような?
母親が騎士団の中でも団長クラスの強さがあったから、もしかしたら一目置かれていたのもしれないが、それでも皆が親しげに構ってくれて楽しかった。
入団して5年ほど経った頃、年に三回の討伐任務以外で魔物の被害が多く出て、特別に少数精鋭の討伐隊が組まれ、その中に両親も選ばれた。
今回は緊急事態ということで私は留守番組だ。
『気を付けて、父さん、母さん』
『ああ、行ってくる』
『心配しないで。貴方も訓練に励みなさい』
『はい』
そう言葉を交わして両親達を見送った。
───それが二人との最後の言葉だった。
討伐に向かった先で邂逅した魔物はマンティコアという、人面の頭部に獅子の身体、背中には蝙蝠の羽、尾はサソリの毒針だという生き物だったそうだ。
ソイツは一頭でも厄介なのに、あろうことか三頭もいたらしい。
少数精鋭の討伐部隊とはいえ、さすがに三頭も同時に相手にするなど想定外だった。
父が結界と炎系の魔法で攻撃を食い止め、母が前に出て斬りかかり時間を稼ぐ。
ソコに魔導師達が全力で殲滅魔法を放ち、何とか深淵の森に押し戻して結界を張り直した。
ほぼ全員瀕死の状態になりながらも近くの安全な砦に向かい、常駐していた兵達の手当てで一命を取り留めたが・・・・・・。
『ご両親は、立派に最後まで・・・・・・剣となり盾となりながら我々を守って・・・・・・!』
今回の討伐任務の隊長をそれぞれ務めていた両親。
元々、誰かのために命をなげうつような性質だったから、別に不思議ではない。
彼らのおかげで他の団員は一人も欠けることなく帰ってこられたのだから。
自分が一緒に行っていれば、なんて自惚れた言葉は言わない。私がいたところできっと何も変わらなかった。
両親だって、冷たくはなっていたけど五体満足で、ちゃんと私の元に帰ってきてくれた。
───だから、コレは、いいことのはずなんだ。
教会で葬送の儀を行い、二人の魂を輪廻の輪に送り出して、教会に併設された一般人用の墓場に埋葬して貰った。
『二人とも、次の生で、また仲良く・・・・・・結ばれてね』
誰もいなくなった石碑の前でそう呟き、嗚咽を堪えて泣いた。
私は、独りになった。
少しして、国王陛下から亡き両親に褒章が贈られることになった。
もちろん贈られる本人達がいないので私が謁見して受け取ることになった。
騎士団の正装を身に纏ってはいても見た目が十二歳くらいの私を見て、何か同情というか憐れみのような視線をあちこちから感じている中、一つだけ、異様に熱の篭もった視線があった。
謁見の間に足を踏み入れた瞬間から気付いてはいたが、今は陛下の御前だとスルーして褒章を受け取る。
そのあと何故か人払いがされて、謁見の間には陛下と陛下の護衛の近衛騎士二人、宰相閣下、そして私のみが残された。
国王陛下と宰相閣下は人族のはず。でも自分みたいに魔力が高くて成長が遅いって聞いた。
近衛騎士達はぱっと見、人族に見えるけど関わり合いが全くないから分からないな。
でも何で人払いしたんだろう、と顔には出さずに疑問に思っていると陛下が楽にして受け答えをするように言って話し出したので、聞く姿勢になる。
『此度は、其方の両親のおかげで多くの命が救われた。このような形で褒章くらいしか授けられずに申し訳なかったな』
『いえ、とんでもございません。討伐任務に就くことは死もあると覚悟の上です。誰の責もありません。・・・・・・両親は、幸いにも二人とも同じ墓に一緒に入れたのです。きっとあちらでも仲良くしていると思います』
そう言って微笑んだ。だってあの両親は、息子の私を前にいつもいちゃいちゃしていたのだ。
今頃、呑気にラブラブしていると断言できる。
そう言うと微笑ましそうに顔を綻ばせる陛下にこちらもまたにっこりした。
『そうか。仲がよかったのだな。それならばもう何も言うまい。だが何か不都合があれば遠慮せずに何時でも言うがよい。あー、それでだな───』
『陛下、もうよろしいでしょう?』
『───そう急くでない。まだ彼に何も話しておらんだろうが』
『そうですよ、ドーン近衛騎士団長。もう少しお待ち下さ───』
『無理に決まってるでしょう!』
私が両親の思い出を頭に思い浮かべている間に何やらあちらでゴタゴタしている模様。何だろう?
そう首を傾げた次の瞬間、陛下の護衛の一人、おそらく宰相閣下が近衛騎士団長と言った方が目の前にいて、私をぎゅうっと抱きしめた。
『ぐえっ』
思わず潰れた蛙のような声が出た。
おいおい、ちょっと待て!
コレ、常人じゃあ一撃で死ぬレベルのシメ堕とし! さすが近衛騎士団長!
───じゃねえよ!
私は急に鯖折りされる意味が分からず、殺されては堪らないと一瞬で全身に身体強化魔法を張り巡らせた。
そしてグッと手を突っ張り近衛騎士団長と自分の間にむりくり隙間を作ると、近衛騎士団長の腹を殴り飛ばした。
ちなみに何故腹かというと、単に身長差で頭には届かないからである。
『ぅぐへえっ!?』
『『『はっ!?』』』
近衛騎士団長がマヌケな声を出し、陛下と宰相閣下ともう一人の護衛の近衛騎士が驚きの声を上げた。
咄嗟の割に綺麗に鳩尾にクリティカルヒットしたらしく、近衛騎士団長は陛下の左側の方の壁に吹き飛んでめり込んだ。
もう一人の近衛騎士が立っていた側だった。
あっぶね!
咄嗟に吹き飛ばす方向を変えたけど下手したら陛下の御身に傷が・・・・・・!
不敬罪どころの話じゃない。コレ、詰んだ!?
ハッと我に返りサーッと血の気が引くのが分かった。
『『『・・・・・・・・・・・・』』』
『・・・・・・っ痛ぇ・・・・・・』
むくりと起き上がり、再び私にロックオンした近衛騎士団長が凄まじい速さで迫って来たのを、恐怖で咄嗟に回し蹴りした。
それはまた絶妙なタイミングで首にクリティカルヒットし、今度は右側の壁に激突してめり込んだ。
『───あ』
ヤベえでござる、とまた顔を青くしたところでさすがに待機していた他の近衛騎士達にドーン近衛騎士団長が押さえ付けられていた。
『・・・・・・すまんの、其方は何も悪くないから気にせずともよいぞ』
絶望的な心境だったが陛下のその言葉に首の皮一枚で繫がった心地だった。
───その日、謁見の間は使い物にならなくなり、修復に最低一ヶ月はかかるという話が王城内に飛び交った。
原因は、番い(仮)を見つけて暴走したドーン近衛騎士団長がいきなり番い(仮)に抱き付き、驚いた番い(仮)が彼の団長を殴り蹴り飛ばして謁見の間を破壊したから。
───そう。あの熱い視線を送っていたのが実は近衛騎士団長で、彼は竜人で、私は彼の番い(仮)なんだそうです。
何故(仮)なのかというと、私が番い認識していないから。だからとりあえず仮定にして貰った。
・・・・・・人族って、番い感じ取れない種族だから、思わず死ぬと思ってつい反射的に手ぇ出しちゃったけど。
いや、初邂逅、最悪じゃね?
陛下の御前で思わず平民の粗野な言葉がぼろっと出るくらいには衝撃的な出来事だった。
ちなみに、吹っ飛んだ近衛騎士団長はさすが竜人だけあって無傷でケロッとしてたけどね。
でも鳩尾の部分の鎧は見事に凹んでいたけど。・・・・・・てへ?
───で、無傷じゃなかったのは謁見の間と宰相閣下曰くの修復費用らしい。
・・・・・・うん、謁見の間は国の顔だもんね。体裁ってもんがありますよね、お高いですよね?
『・・・・・・修復費用はドーン公爵家に請求しますからね』
『ええー、別にいいけど・・・・・・』
いいんだ!? さすが公爵家、お金持ち!
『そもそも貴方がきちんと待てをしていれば何も問題はなかったのですよ! 聞いてます!?』
『はいはい、聞いてる聞いてる』
『・・・・・・すみません』
軽い声で返事をするドーン近衛騎士団長。駄犬かよ。いいのか近衛騎士がそんなんで。
しかし壊れたのは私のせいでもあるのでココは殊勝な態度で謝っておく。
だって請求されたら絶対死ぬまでに払えない。私、平民。つい最近、家族を失い独りになったばかり。
いくら魔力のおかげで長生き出来そうとはいえ、騎士団のお給料だけじゃたぶん一生かかっても払えないと思う。
『いえいえ貴方は全く悪くないです。心配しないでいいんですよ! 大体、ドーン近衛騎士団長が───』
『ねえ、もういいでしょ? 修復費用は払うから終わりにして下さい。番いといちゃいちゃしたい』
宰相閣下がお話してる途中で遮る近衛騎士団長。凄えな。いちゃいちゃって、真顔で言うことじゃないと思うけど。
それを苦い顔で溜息吐いてこめかみを押さえる宰相閣下。
・・・・・・ご苦労様です。苦労人ですね。胃薬要ります?
『・・・・・・・・・・・・はぁ・・・・・・もういいです。ですが、きちんと話して説明して了承を得てから番うんですよ!? 分かりました!?』
『はいはいはい』
『はい、は一回!』
『はーい』
『・・・・・・』
ホント、躾の出来てない駄犬かよ。
私の偏見? めちゃくちゃデキるスパダリのイメージだったんだけど?
・・・・・・・・・・・・この会話中ずっと、私はドーン近衛騎士団長にバックハグで腕の中に抱きしめられて、私の頭の上には彼の端整で美人な顔が乗っている。
このとき、私は17歳(見た目は12歳)でドーン近衛騎士団長はおよそ300歳(見た目は20歳くらい)だったらしい。
それを聞いてちょっとショタコンを疑った私は悪くないと思う。
・・・・・・カオス。
※シリアスドコ行った? 書いてたら終わらなかった。おかしい。こんなに長くなったのにまだ半分・・・・・・終わらない。次話に続く。
更新は遅れるかもしれません。
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『神子様生誕祭』を執り行うことに。
次第に大仰になっていく事に引き気味だったが、王家の計らいで温泉地が貰えることになったタカは、俄然発奮することに。
ただひたすらラブ語りなだけで、さほどの危機が訪れることもなく、メリハリ的には薄目です。
どちらかと言えばコメディ寄りかなと思います。
本編「釣った魚、逃した魚」は終始マクミラン目線(攻目線)でしたが、
本作では、神子様・タカ目線(受目線)になります。
本編「釣った魚、逃した魚」では崇拝恋慕しているマクミラン目線だったので、大分神子様が神秘的に美化されています。
今回、神子様本人目線なので、所詮は今時の日本人。そこそこ俗です。
あと、一応、今回も調子に乗らないように文字数2300以下の縛りを設けてみました。
ですが、連載回数を30話で締めたかったので、
ラスト近くの回から、文字数2300を越えてしまいました。
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