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指環の加護 2
しおりを挟む〈はいはーい! もちろんだよ-!〉
神殿内に響き渡った声。
アルカエラ神だ。
こんな気軽な感じで良いのかな?
〈いいのいいの。ルカだから〉
「・・・あ、ありがとうございます」
「アルカエラ神、御光臨ありがとうございます」
〈うんうん、堅苦しくなくて良いよ。えっと、指環の効果についてでしょ?〉
「はい。なんとなく僕達を護ってくれている感じはするのですが、詳しくは分からないので、もしもの時に困るかと思いまして・・・」
やっぱり、知らないことは怖いから。
〈うん。あの時は詳しい説明をしなかったからねえ、ごめんね? 指環の効果は大まかに二つ。一つはルカが気付いたように護りの効果。悪意や物理、魔法などから身を護ってくれる。状態異常無効化もあるから安心してね〉
ふんふん。やっぱり。
そして、無理やりじゃなくても他人には指環は外せないようです。
〈で、もう一つの方がルカには大事な事じゃあないかな?〉
「僕にとって大事な事、ですか?」
〈うん。自分の魔力が役に立たないって哀しんでなかったかい?〉
「思ってました。魔法は別に使えなくてもいいけど、無駄にある魔力が勿体ないって・・・」
僕はヒューズに幸せにして貰ってるのに何も返せないのかなって。
〈だからね、ルカとヒューズが愛し合えばルカの魔力がヒューズに流れるようになってる〉
「・・・・・・うん?」
〈だから、ルカとヒューズがエロい事すれば〉
「---うわあああ---!!」
それって、今朝感じた違和感。
単にエッチで気怠いのかと思ってたヤツ-!
「---?!」
ヒューズが驚愕の顔を真っ赤に染め上げた。
「次の日の朝、もの凄く力が漲って溌剌としていたのはルカを愛したせいだけではなかったのか!」
「ぅうわあああぁ---!! ヒューズの馬鹿ぁ---!!」
人前でなんて事口走ってるの?!
信じられない!
僕には人並みに羞恥心があるんだよぅ!
〈・・・・・・ふむ。仲が良いのは良きことかな。とにかく、口づけだろうと手を繋ぐ事だろうと魔力を譲渡出来るようにしてあるから。もちろん君達限定だよ。あぁ、ヒューズからルカにも譲渡出来るから〉
「え、そうなのですか? 万が一ルカが魔力枯渇して危険な状態になっても私がいれば安心ということですね! ありがとうございます」
〈うんうん。性交が一番譲渡の効率が良いから、励んでね。ルカの魔力は無尽蔵だから。後、譲渡に慣れたら生活魔法くらいは使えるようになるよ。頑張ってね!〉
じゃあそろそろ帰るねえ、と去って行ったアルカエラ神を呆然と見送り、神殿内に静寂が戻った。
この後のルカとヒューズのあれやこれやの大騒動は推して知るべし。
神様特典なのかヒューズが凄いのか分からないけど、多少の魔法が使えるようになるのは嬉しいかな!
アルカエラ神様。
ありがとうございます!
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