【完結】水と夢の中の太陽

エウラ

文字の大きさ
12 / 90
第一章 フォレスター編

家庭教師でっす

なんか俺、コッチの世界に戻った反動で半ば意識不明だっだっぽい。

昼御飯の後に倒れるように寝たのって、赤ちゃんが御飯の最中に寝落ちしちゃうようなモンかと思ってたよ。子供かって。

実は魔力が体に馴染もうとした結果、体が耐えられずに休息を求めたんだとか。

あれか、ワクチンの副反応か。
って事を家庭教師さんに言ったら、??な顔になって固まった。
スミマセン。分からないですよね。発言に気を付けます。

そう。家庭教師。
この間目を覚ましてから、大事をとって1週間。どうやら家族総出で家庭教師を探してきてくれた。俺に必要な知識を与えてくれる人を厳選したらしい。

魔法はクレイン兄ちゃんが教えてくれようとしたけど、王都に戻らなくちゃなので、却下。

仕事して下さい。



そんなこんなで、まず魔法の先生が来てくれました。
名前はフェイさん。ここ『イース』の街にある冒険者ギルド所属の魔導師さんで、Aランクの凄い人。ギルマスのお墨付き。
ちなみにここのギルマスもクラビスの親戚でした。ダルクさん。ザインさんの弟でした。クラビスのお父さんは三人兄弟ですって。

そう言えば、クラビスのお父さんにはまだお目にかかってないな。
そのうち紹介してくれるのかな?
なんてったって、よ、嫁だしな!

・・・・・・『息子さんを下さい』って言えばいいのか?

「ん?」
クラビスが首を傾げる。
はっ、違う違う。脱線した!
「ええと、フェイさん。フェイ先生? よろしくお願いします」
「呼び方は好きにして下さい。ふふふ、可愛らしいですね」
「あの、敬語でなくて大丈夫です。それと、俺、もういい大人なので、可愛いはないです」
「・・・・・・」
フェイが笑顔で固まった。
「・・・・・・大人?」
「はい(キリッ!)」
フェイがギギギ、といいそうな感じでクラビスの方を見た。

デジャブ。

クラビスが肩で笑っている。ヲイコラ!
「そう。もうじきハタチ」
「---クラビス?!  お前ってヤツは! 分かってて!!」
・・・クラビスってS属性なのかも。
「でも、そんな年頃のご子息なんて、フォレスター家の身内にいたか?!」
「ははは、スマン。---アルカス様だ」

フェイさんがビックリした後、俺を見てクラビスを見て、
「・・・まさか、見つかったのか?!」
あれ?フェイさんもうちの関係者?
クラビスの知り合いかな?

「それならそうと・・・。フォレスター家のご子息の魔法教師と勝手に思ってたから、てっきりクロウ様のご子息だとばかり・・・」
「ん?」
そして聞き捨てならない言葉再び。
「クロウお兄ちゃんの子供って、俺の甥だよね?・・・・・・7歳だって聞いたけど」
「・・・・・・あ」
フェイが『やばっ』て顔をした。クラビスは笑いを堪え・・・きれてない。

「俺ってホントに幾つに見られてんの」
溜息しか出なかった。
そもそも、甥っ子は今は王都の学園に通っててココにはいないよ。

結局、今日は顔合わせぐらいだったので、雑談をして過ごした。

あっ、異世界から戻ってきたことも話しておいた。『俺の常識、非常識』だから、知らないと困るでしょ。

そうそう、フェイはやっぱりクラビス関係だった。

フェイはクラビスとよくパーティーを組んで討伐依頼を熟すが、基本ソロだそう。
「でも魔導師って、後衛のイメージ。呪文唱えてる間に攻撃されないように剣士とかタンクとか要るんじゃないの?」
「よく知ってるね。普通はそうだよ」
「うん、魔法って存在しなかったけど、物語やゲーム、ええと、娯楽の玩具みたいなので架空の不思議な力として出てきたから」
「へえ、凄いな」

年齢のくだりから、もうタメ口オッケーになったので、ガンガン話す。

「だから、フェイさんがソロって想像できなくて」
俺よりもちろん背は高いけど、見た目儚げ美人。腰までの長い銀髪に碧い瞳で、女っぽくはないけど、線が細いし。

「他の人は無理だけど、俺は基本無詠唱だからタイムラグないし、こう見えてもけっこうガッシリしているんだよ? 腹筋だって、けっこう割れてる。・・・見てみる?」
面白そうにシャツを捲り上げかけて、ピタッと止まった。何?

「・・・・・・冗談だって、クラビス。分かったから殺気をしまえ」
えっ?!
「・・・分かればよろしい」
「? 殺気?」
思わずクラビスを見たが全然分からなかった。
「狭量だな。お前、そんなんだったか?」
眉間の皺を指で揉みつつ、フェイが溜息を吐く。
「アルカスにだけだ。『嫁』だし」
「は?・・・・・・『嫁』? え? よめぇ?!」
「・・・・・・嫁です。ヨロシクオネガイシマス」

思わず片言になっちまったよ。

「はあ、もうお前ら何なの?! 新婚か蜜月かもうヤる事ヤったのか?!端から見たら犯罪臭な夫夫だなおい大丈夫か?!」
フェイがノンブレスで言い切った。お疲れっす!
そして一応、まだ清いカラダです!!

だって、暫く眠ってた上に、今もちょこちょこ、昼夜問わず寝落ちするから、そんな状況にならないし。

確かに、この世界でも未成年者への性犯罪は厳しく取り締まられている。
しかし俺は『合法ショタ』なのでオッケーです。同意の上で嫁だし!

・・・・・・自分で言ってて悲しい。
ヤメロ! そんな憐れみの目で俺を見るな、フェイさん!!

「・・・まあ、とりあえず常識をだな、閨も含めて学んでいかないと。それからゆっくり愛を確かめ合っていけばいいんじゃないか?」

とりあえず俺の仕事は魔法関係だし。聞かれれば答えるけどね。だって。

「じゃあ、とりあえず明日から座学を交えて勉強しようか」

そう言って帰って行った。



なんか疲れた・・・・・・。

「年齢のくだり、毎回やるの?」
「あはは、ゴメン。反応がよくってつい。あいつは幼い頃からの腐れ縁だから。たぶんこの後の先生は大丈夫だよ。前もって話してあるし」
「うへえ。えーと、次の先生は一般常識を教えてくれるんだっけ?」

言いながらソファにずりずり倒れて横になる。行儀悪いけど、許して。
「ん・・・クラビス、ゴメン。・・・・・・眠い。お腹空いたけど、眠くて・・・」
「ああ、大丈夫だよ。目が覚めたら食事をしようか」
「・・・う、ん・・・」
ダメだ、瞼がくっつく。
「・・・・・・」
「おやすみ」
いつものようにキスをされて、意識は途絶えた。




結局、目が覚めたのは午後のお茶の時間の頃で、次の先生との顔合わせは軽食を取りながらとなった。

「アルカスです。ヨロシクお願いします」
「ウィステリアと申します。よろしくお願い致します」

今度の先生も、フェイに負けず劣らず、美形さんだった。
クラビスより濃い、長い金髪に翡翠の瞳。何より耳が。

「エルフは初めてですか?」
「っあ、すみません、不躾でした!」
慌てて頭を下げる。先生に失礼だった。
てか、やっぱりエルフ。長い耳。ビックリした。

「構いませんよ。事情は伺っていますから。他にも獣人やドワーフもおりますよ。ただ、私は気にしませんが、他は気にされる方もいらっしゃるでしょうから、あまり凝視しないことをおすすめします」
お茶目にウインクして言った。
「はい。ありがとうございます」

そうして、お茶を飲みながら話をした。
先生はハイエルフなので、見た目はめちゃくちゃ若いけど、もう300年くらい生きているそうだ。
そしてお兄ちゃん達のみならず父さん達も教え子なんだって!

絶賛食事中の俺は相づちしか打てない(首を振るしか出来ない)ので、クラビスが代わりに質問をしてくれて、返事もしてくれた。俺の聞きたいことを聞いてくれて尚かつ適切な返事をする。

ホントに凄いなクラビス。至れり尽くせり、痒いところに手が届く。もうクラビスなしじゃ生きていけない体にされてる?!

クラビス、恐ろしい子!!

何て考えが分かったのか、素晴らしくいい笑顔をいただきました。

顔を真っ赤にした俺を見て、ウィステリアも温かい目をしてた。孫を見る目のようでした。

「じゃあ、またね」
そう言って頭を撫でてから帰って行った。
確かにウィステリアからしたら俺は孫どころかひ孫(物理的サイズも)だろう。
でもまあ、彼にならそんな扱いもイヤじゃないな。


心の中で『お爺ちゃん』と呼ぶことにした。

そう思ったのは、クラビスに秒でバレて大笑いされてしまった。

いいじゃん、別に。

夕御飯の後、日課になっている王都との定期連絡(伝達魔導具)で、父さん達に今日のことを話しているうちに唐突に寝落ちしたらしく、後で聞いたら、また大騒ぎしてお義姉ちゃんがゴスッとやったらしい。


学習しないね・・・。


俺も早く馴染んで、ぶっ倒れないようになりたいなあ・・・。







感想 4

あなたにおすすめの小説

異世界唯一のオメガ、恋を選ぶまでの90日

秋月真鳥
BL
――異世界に「神子」として召喚されたのは、28歳の元高校球児、瀬尾夏輝。 男性でありながらオメガである彼は、オメガの存在すら知られていない異世界において、唯一無二の「神に選ばれし存在」として迎えられる。 番(つがい)を持たず、抑制剤もないまま、夏輝は神殿で生活を共にする五人のアルファ候補たちの中から、90日以内に「番」となる相手を選ばなければならない。 だがその日々は決して穏やかではなく、隣国の陰謀や偽の神子の襲撃、そして己の体に起きる変化――“ヒート”と呼ばれる本能の波に翻弄されていく。 無口で寡黙な軍人アルファ・ファウスト。 年下でまっすぐな王太子・ジェラルド。 優しく理知的な年上宰相・オルランド。 彼らが見せる愛情と執着に、心を揺らしながら、夏輝は己の運命と向き合っていく。 ――90日後、夏輝が選ぶのは、誰の「番」としての未来か。 神の奇跡と恋が交錯する異世界で、運命の愛が始まる――。

《本編 完結 続編 完結》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか
BL
24歳の英雄公爵✕29歳の日本に帰りたい異世界転移した青年

処刑エンドの悪役公爵、隠居したいのに溺愛されてます

ひなた翠
BL
目が覚めたら、やり込んだBLゲームの悪役公爵になっていた。 しかも手には鞭。目の前には涙を浮かべた美少年。 ——このままじゃ、王太子に処刑される。 前世は冴えない社畜サラリーマン。今世は冷徹な美貌を持つ高位貴族のアルファ。 中身と外見の落差に戸惑う暇もなく、エリオットは処刑回避のための「隠居計画」を立てる。 囚われのオメガ・レオンを王太子カイルに引き渡し、爵位も領地も全部手放して、ひっそり消える——はずだった。 ところが動くほど状況は悪化していく。 レオンを自由にしようとすれば「傍にいたい」と縋りつかれ、 カイルに会えば「お前の匂いは甘い」と迫られ、 隠居を申し出れば「逃げるな」と退路を塞がれる。 しかもなぜか、子供の頃から飲んでいた「ビタミン剤」を忘れるたび、身体がおかしくなる。 周囲のアルファたちの視線が絡みつき、カイルの目の色が変わり—— 自分でも知らなかった秘密が暴かれたとき、逃げ場はもう、どこにもなかった。 誰にも愛されなかった男が、異世界で「本当の自分」を知り、運命の番と出会う—— ギャップ萌え×じれったさ×匂いフェチ全開の、オメガバース転生BL。

2度目の異世界移転。あの時の少年がいい歳になっていて殺気立って睨んでくるんだけど。

ありま氷炎
BL
高校一年の時、道路陥没の事故に巻き込まれ、三日間記憶がない。 異世界転移した記憶はあるんだけど、夢だと思っていた。 二年後、どうやら異世界転移してしまったらしい。 しかもこれは二度目で、あれは夢ではなかったようだった。 再会した少年はすっかりいい歳になっていて、殺気立って睨んでくるんだけど。

【完結】あなたのいない、この異世界で。

Mhiro
BL
「……僕、大人になったよ。だから……もう、───いいよね?」 最愛の人に先立たれて3年。今だ悲しみから立ち直れず、耐えられなくなった結(ゆい)はその生涯を終えようとする。しかし、次に目が覚めたのは、生命を見守る大樹がそびえ立つ異世界だった。 そこで亡き恋人の面影を持つ青年・ルークと出会う。 亡き恋人への想いを抱えながらも、優しく寄り添ってくれるルークに少しずつ惹かれていく結。そんなある日、ある出来事をきっかけに、彼から想いを告げられる。 「忘れる必要なんてない。誰かを想うユイを、俺はまるごと受け止めたい」 ルークの告白を受け入れ、幸せな日々を送る結だったが、それは突然終わりを迎える。 彼が成人を迎えたら一緒に村を出ようと約束を交わし、旅立つ準備を進めていた矢先、結は別の女性と口づけを交わすルークの姿を目撃してしまう。 悲しみの中で立ち止まっていた心が、異世界での出会いをきっかけに再び動き出す、救済の物語。 ※センシティブな表現のある回は「*」が付いてますので、閲覧にはご注意ください。   ストーリーはゆっくり展開していきます。ご興味のある方は、ぜひご覧ください。

【完結】Restartー僕は異世界で人生をやり直すー

エウラ
BL
───僕の人生、最悪だった。 生まれた家は名家で資産家。でも跡取りが僕だけだったから厳しく育てられ、教育係という名の監視がついて一日中気が休まることはない。 それでも唯々諾々と家のために従った。 そんなある日、母が病気で亡くなって直ぐに父が後妻と子供を連れて来た。僕より一つ下の少年だった。 父はその子を跡取りに決め、僕は捨てられた。 ヤケになって家を飛び出した先に知らない森が見えて・・・。 僕はこの世界で人生を再始動(リスタート)する事にした。 不定期更新です。 以前少し投稿したものを設定変更しました。 ジャンルを恋愛からBLに変更しました。 また後で変更とかあるかも。 完結しました。

【完結】奇跡の子とその愛の行方

紙志木
BL
キリトには2つの異能があった。傷を癒す力と、夢見の力。養親を亡くしたキリトは夢に導かれて旅に出る。旅の途中で魔狼に襲われこれまでかと覚悟した時、現れたのは美丈夫な傭兵だった。 スパダリ攻め・黒目黒髪華奢受け。 きわどいシーンはタイトルに※を付けています。 2024.3.30 完結しました。 ---------- 本編+書き下ろし後日談2話をKindleにて配信開始しました。 https://amzn.asia/d/8o6UoYH 書き下ろし ・マッサージ(約4984文字) ・張り型(約3298文字) ----------

【完結】健康な身体に成り代わったので異世界を満喫します。

白(しろ)
BL
神様曰く、これはお節介らしい。 僕の身体は運が悪くとても脆く出来ていた。心臓の部分が。だからそろそろダメかもな、なんて思っていたある日の夢で僕は健康な身体を手に入れていた。 けれどそれは僕の身体じゃなくて、まるで天使のように綺麗な顔をした人の身体だった。 どうせ夢だ、すぐに覚めると思っていたのに夢は覚めない。それどころか感じる全てがリアルで、もしかしてこれは現実なのかもしれないと有り得ない考えに及んだとき、頭に鈴の音が響いた。 「お節介を焼くことにした。なに心配することはない。ただ、成り代わるだけさ。お前が欲しくて堪らなかった身体に」 神様らしき人の差配で、僕は僕じゃない人物として生きることになった。 これは健康な身体を手に入れた僕が、好きなように生きていくお話。 本編は三人称です。 R−18に該当するページには※を付けます。 毎日20時更新 登場人物 ラファエル・ローデン 金髪青眼の美青年。無邪気であどけなくもあるが無鉄砲で好奇心旺盛。 ある日人が変わったように活発になったことで親しい人たちを戸惑わせた。今では受け入れられている。 首筋で脈を取るのがクセ。 アルフレッド 茶髪に赤目の迫力ある男前苦労人。ラファエルの友人であり相棒。 剣の腕が立ち騎士団への入団を強く望まれていたが縛り付けられるのを嫌う性格な為断った。 神様 ガラが悪い大男。