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3 国外追放という名の自由 1
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※加筆してます。
そうしてソマール伯爵家に戻るとすでに義父母が玄関前でお出迎え。
そうですか、やはり貴方方も一枚噛んでたんですねえ。もうどうでもいいですけど。
一足先に連絡があったらしくニヤニヤしながら、馬車を降りた私に言った。
「やはりお前は偽物だったか! 国外追放だそうだな。では即刻邸を出て行け。お前はもうソマール伯爵令嬢ではない。ただの孤児だ。いいか、この邸の物は何一つ持ち出すな。その身一つで出て行け!」
「無論そのつもりですが、着替えくらいはよろしいでしょうか」
私がそう言うとニタリと笑う伯爵夫妻。
「ああ、サッサとそのドレスも着替えて使用人のお古の服でも着ていくんだな」
「ああ、これでリリアナが王子妃に!」
「……ありがとうございます。今日までお世話になりました」
うん、よかったね。私も心底嬉しいよ。
もはや聞く気もない二人に形式的に挨拶を告げて、私付きの侍女に着替えを手伝って貰いドレスを脱ぐと化粧を落とし、着古して黄ばんだようなシャツとズボンを身につけ、ボロいブーツを履いた。
もちろん荷物はなく手ぶらだ。
着替え終わるとお付きだった侍女にも一応礼を言い、サッサと使用人通路から邸を出た。
私の部屋の物はそっくり残ってるし元々私物もないから大丈夫だろう。
荷物がなくて大丈夫かって?
この世界には魔法があるんだよ。聖女認定されてから物凄く練習して当然異空間収納魔法、つまりインベントリも使える私は、いつこうなってもいいようにそこに必要なものを入れておいた。
もちろん使えることは内緒にしているから邸や王家も気付いていない。
「あー、すっきりしたー!」
一人でサクサク歩いて街道沿いの森に逸れると、長くて邪魔な髪を鷲掴んで肩辺りの長さになるように適当にナイフで切り落とした。髪はその辺に捨てるわけにはいかないのでインベントリにツッコんでおく。
黄ばんだようなシャツ類を脱いでインベントリから出した防御力の高い衣服に着替え、冒険者装備一式を身に着けると、髪紐を取り出してハーフアップに括る。うん、サイドの髪もこれですっきりした。
「これでもう女のふりしなくて済む。ああ、楽ちんだ! 長い髪もドレスも重いんだよなー」
そう、実は私──いや俺は男。
何でか聖女は代々女だってんで、俺は引き取られたときから女装して生活してたんだ。だからあの邸の連中は義父以外は俺のお付きの侍女や数人の使用人しかこのことを知らない。
どのみちあの王子と女と偽って婚姻なんて無理な話だった。バレたらどうするつもりだったんだ。
「まあもういいけど。あとはあんたらで好きにやってくれ」
俺はようやく解放された聖女という役割にホッとして、今日中に国境を越えるべくテクテクと歩いて行くのだった。
あれから早歩きで一時間ほど歩いていると国境の壁が見えてきた。隣国にはさすがに行ったことがないのでコレが初めての国境かとちょっと感動していると、国境警備の騎士が俺に気付いて手招きしてきた。
周りをぐるっと見渡すが、俺以外誰もいない。思わず自分を指差すとコクコクと頷かれた。
ちなみに国境警備の騎士は隣国イリヤの騎士でセイウーチ国は誰も常駐していない。いいのか、そんなザルな警備で。
まあ聖女の力でどうとでもなると思ってるのだろう。俺にとっちゃあその方が逃げるのに楽でよかったけど。
で、その隣国の騎士が俺を呼んでいるわけだが、何だ? どこか変か?
ちょっと自分の格好を見てみるが、どこからどう見ても普通の冒険者の装いだと思うけどな。
ちなみに身分証はアイツらの目を盗んで変装して邸を抜け出し、こっそり冒険者ギルドに登録して作ってあるしちゃんとレベリングも熟してレベルアップしてるから疚しいことはない。もちろん名前は偽造している、というか元の名前で登録しているけど。
冒険者ランクは下はFから上はSまであって、俺はAランクだ。
うん、このときのために俺、めちゃくちゃ頑張った。
「おい、どうしたんだ。子供がこんな夜更けにこんなところに何の用だい?」
あ、未成年と思われてた。どうやら親切心からの行動だったようだ。
「え、いや成人してます。冒険者です。ギルドマスターから隣国の冒険者ギルドに頼まれごとで」
「ああ冒険者か。そういえば装備もちゃんとしてるな。冒険者ギルドのタグは?」
「はいこれです」
腰のポーチからギルドタグを取り出して見せる。インベントリはあまり知られたくないからダミーとしてポーチ型のマジックバッグを使っている。
これは伯爵家一軒がまるっと入る容量があって時間停止付きのかなり高性能なものだ。
以前、マジックバッグを製作できる旅の魔導具師と冒険者ギルドの依頼先で偶然知り合い、詳しくは割愛するがお礼だと言って俺のために製作して俺専用の所有者登録をしてくれたもの。
あとで市場価格を知って目玉が飛び出るほど高額商品だと知って慌てたが、『何かあれば連絡をくれ』と連絡先を俺に教えてサッサと去って行ってしまったので礼もろくに言えてない。
そのためだけに彼に連絡するのは何か違う気がして結局そのままだ。
──そんな風に回想中に、いつの間にか騎士がタグを確認していたらしい。
「お、Aランク? 凄いな、若いのに。ヨシ、通っていいぞ。気を付けてな」
「はい、ありがとうございます」
そういって入国させてくれたが、今の時刻は夜の九時頃。化粧もしてないと童顔ぽくて見た目子供の俺がこんな時間に来れば確かに怪しまれるな。
るんるんウキウキでうっかりしてたぜ。でもサッサとセイウーチ国を出たかったからなー。
それにしても実際にギルドマスターに頼み込んで紹介状を書いて貰っててよかった。いやあ、いろいろ手を打っといたあのときの俺、ナイス!
「ようこそイリヤ国へ」
「っはい。お世話になります」
「ふっ、何だ、ずっとこの国にいるような口調だな」
「まあ、当分はお邪魔します、かな」
「おお、歓迎するよ、サエ殿」
「ありがとうございます」
国境警備の騎士の言葉にちょっと違和感を覚えたけど、ウキウキしていた俺はすぐに忘れて人気の少なくなった街中を冒険者ギルドを目指して歩いて行くのだった。
「……お帰りなさいませ」
そんな騎士の呟きはウキウキの俺の耳に届かなかった。
そうしてソマール伯爵家に戻るとすでに義父母が玄関前でお出迎え。
そうですか、やはり貴方方も一枚噛んでたんですねえ。もうどうでもいいですけど。
一足先に連絡があったらしくニヤニヤしながら、馬車を降りた私に言った。
「やはりお前は偽物だったか! 国外追放だそうだな。では即刻邸を出て行け。お前はもうソマール伯爵令嬢ではない。ただの孤児だ。いいか、この邸の物は何一つ持ち出すな。その身一つで出て行け!」
「無論そのつもりですが、着替えくらいはよろしいでしょうか」
私がそう言うとニタリと笑う伯爵夫妻。
「ああ、サッサとそのドレスも着替えて使用人のお古の服でも着ていくんだな」
「ああ、これでリリアナが王子妃に!」
「……ありがとうございます。今日までお世話になりました」
うん、よかったね。私も心底嬉しいよ。
もはや聞く気もない二人に形式的に挨拶を告げて、私付きの侍女に着替えを手伝って貰いドレスを脱ぐと化粧を落とし、着古して黄ばんだようなシャツとズボンを身につけ、ボロいブーツを履いた。
もちろん荷物はなく手ぶらだ。
着替え終わるとお付きだった侍女にも一応礼を言い、サッサと使用人通路から邸を出た。
私の部屋の物はそっくり残ってるし元々私物もないから大丈夫だろう。
荷物がなくて大丈夫かって?
この世界には魔法があるんだよ。聖女認定されてから物凄く練習して当然異空間収納魔法、つまりインベントリも使える私は、いつこうなってもいいようにそこに必要なものを入れておいた。
もちろん使えることは内緒にしているから邸や王家も気付いていない。
「あー、すっきりしたー!」
一人でサクサク歩いて街道沿いの森に逸れると、長くて邪魔な髪を鷲掴んで肩辺りの長さになるように適当にナイフで切り落とした。髪はその辺に捨てるわけにはいかないのでインベントリにツッコんでおく。
黄ばんだようなシャツ類を脱いでインベントリから出した防御力の高い衣服に着替え、冒険者装備一式を身に着けると、髪紐を取り出してハーフアップに括る。うん、サイドの髪もこれですっきりした。
「これでもう女のふりしなくて済む。ああ、楽ちんだ! 長い髪もドレスも重いんだよなー」
そう、実は私──いや俺は男。
何でか聖女は代々女だってんで、俺は引き取られたときから女装して生活してたんだ。だからあの邸の連中は義父以外は俺のお付きの侍女や数人の使用人しかこのことを知らない。
どのみちあの王子と女と偽って婚姻なんて無理な話だった。バレたらどうするつもりだったんだ。
「まあもういいけど。あとはあんたらで好きにやってくれ」
俺はようやく解放された聖女という役割にホッとして、今日中に国境を越えるべくテクテクと歩いて行くのだった。
あれから早歩きで一時間ほど歩いていると国境の壁が見えてきた。隣国にはさすがに行ったことがないのでコレが初めての国境かとちょっと感動していると、国境警備の騎士が俺に気付いて手招きしてきた。
周りをぐるっと見渡すが、俺以外誰もいない。思わず自分を指差すとコクコクと頷かれた。
ちなみに国境警備の騎士は隣国イリヤの騎士でセイウーチ国は誰も常駐していない。いいのか、そんなザルな警備で。
まあ聖女の力でどうとでもなると思ってるのだろう。俺にとっちゃあその方が逃げるのに楽でよかったけど。
で、その隣国の騎士が俺を呼んでいるわけだが、何だ? どこか変か?
ちょっと自分の格好を見てみるが、どこからどう見ても普通の冒険者の装いだと思うけどな。
ちなみに身分証はアイツらの目を盗んで変装して邸を抜け出し、こっそり冒険者ギルドに登録して作ってあるしちゃんとレベリングも熟してレベルアップしてるから疚しいことはない。もちろん名前は偽造している、というか元の名前で登録しているけど。
冒険者ランクは下はFから上はSまであって、俺はAランクだ。
うん、このときのために俺、めちゃくちゃ頑張った。
「おい、どうしたんだ。子供がこんな夜更けにこんなところに何の用だい?」
あ、未成年と思われてた。どうやら親切心からの行動だったようだ。
「え、いや成人してます。冒険者です。ギルドマスターから隣国の冒険者ギルドに頼まれごとで」
「ああ冒険者か。そういえば装備もちゃんとしてるな。冒険者ギルドのタグは?」
「はいこれです」
腰のポーチからギルドタグを取り出して見せる。インベントリはあまり知られたくないからダミーとしてポーチ型のマジックバッグを使っている。
これは伯爵家一軒がまるっと入る容量があって時間停止付きのかなり高性能なものだ。
以前、マジックバッグを製作できる旅の魔導具師と冒険者ギルドの依頼先で偶然知り合い、詳しくは割愛するがお礼だと言って俺のために製作して俺専用の所有者登録をしてくれたもの。
あとで市場価格を知って目玉が飛び出るほど高額商品だと知って慌てたが、『何かあれば連絡をくれ』と連絡先を俺に教えてサッサと去って行ってしまったので礼もろくに言えてない。
そのためだけに彼に連絡するのは何か違う気がして結局そのままだ。
──そんな風に回想中に、いつの間にか騎士がタグを確認していたらしい。
「お、Aランク? 凄いな、若いのに。ヨシ、通っていいぞ。気を付けてな」
「はい、ありがとうございます」
そういって入国させてくれたが、今の時刻は夜の九時頃。化粧もしてないと童顔ぽくて見た目子供の俺がこんな時間に来れば確かに怪しまれるな。
るんるんウキウキでうっかりしてたぜ。でもサッサとセイウーチ国を出たかったからなー。
それにしても実際にギルドマスターに頼み込んで紹介状を書いて貰っててよかった。いやあ、いろいろ手を打っといたあのときの俺、ナイス!
「ようこそイリヤ国へ」
「っはい。お世話になります」
「ふっ、何だ、ずっとこの国にいるような口調だな」
「まあ、当分はお邪魔します、かな」
「おお、歓迎するよ、サエ殿」
「ありがとうございます」
国境警備の騎士の言葉にちょっと違和感を覚えたけど、ウキウキしていた俺はすぐに忘れて人気の少なくなった街中を冒険者ギルドを目指して歩いて行くのだった。
「……お帰りなさいませ」
そんな騎士の呟きはウキウキの俺の耳に届かなかった。
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