追放聖女の華麗なる転身(ショートから移動しました)

エウラ

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8 捕獲された元聖女 1 ※少し加筆してます

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──何でこうなった?

現在時刻は深夜零時を迎えようかというところ。
俺が婚約破棄と国外追放されてからまだ六時間も経っていない。それなのに知らないうちになぜ元護衛騎士のアルフォンスに拉致られているんだろうか。

俺は宿の一室でぐっすり眠っていたはずだ。なのに気付いたときには初めて見る天蓋付きのふっかふかのベッドに横になっていて、アルフォンスの端正な顔が至近距離にあった。

「ようやく捕まえたよ、サエ」
「……へ?」

混乱していた頭では間抜けな声しか出せなかった。

──時を遡ること約二時間前。

国外追放アレからサッサと隣国に移動した俺は、その日はもう夜遅くて移動は無理だと宿を取ることにした。
時間も時間だから大した宿は取れないだろう。下手すれば空いてるところもないかも、と内心で心配しながらひとまず冒険者ギルドに向かった。

もちろんセイウーチ王国の冒険者ギルドのギルマスに融通してもらった手紙を渡すためだ。
手紙には俺について詳しい詮索はしないことと生活の最低限の地盤ができるまで面倒を見てくれるように頼む主旨が書いてあった。

冒険者ギルドに着いて名前を告げるとすぐ執務室に案内された。セイウーチのギルマス、すでに俺のことを連絡済みだったのかな。対応が早い。

執務室で対面したイリヤ国冒険者ギルドのギルマスはソエルという名の元Sランク冒険者だそうだ。
燃えるような短い赤髪に紺色の瞳で四十代には見えない逆三角形の筋肉モリモリのワイルドイケオジだった。

「やあ初めまして。君のことは聞いているよ。だから詮索することはないから安心してくれ」
「それのどこに安心する要素が?」

つまりは全部知ってるから聞く必要がないって意味だろ。あんのくそギルマス、個人情報筒抜けかよ。いや、そりゃあこの世界にプライベート保護法なんてないけどさあ。

俺は無表情な顔のまま殺気立った。それに気付いたソエルが苦笑する。

「あー、落ち着け。向こうのギルマスからは君の言うとおり『冒険者のサエ』としての情報しか貰ってない。他はこちらが独自に持っている情報だ。もちろん他言無用だ」
「……どうやってそれを信用しろと?」

俺が元聖女で女のフリしてたことが漏れたらマズいなんてものじゃないっていうのに。それなのに簡単に信用なんて出来るか。

するとソエルは少し考えたあとニヤリと笑って言った。

「うーん、それもそうか。じゃあとっておきの切り札を切らせて貰おうかな」
「切り札?」

俺が信用せざるを得ないくらいの何かがあるっていうのか。

「そう。これを聞けば君はこちらを信用してくれるだろうが、しかし同時に逃げられなくなる。──どうする?」

ソエルの言い分は選択肢を俺に選ばせているようで、その実一択しかない気がするんだが。

「アホなの、それとも確信犯? 普通なら俺は断る一択だけど、でも今のこの状況じゃ選ぶ以外の選択肢はないよな」

ブスッとふて腐れたように言うとソエルはいい笑顔になった。

「ふふ、理解が早くて助かるよ。じゃあ信用して貰うために教えよう」

不意に真剣な顔になったソエルの切り札に俺は唖然とした──と同時になるほどと納得もした。

俺って捨てられた直後から前世の記憶があって、そのせいか生まれたときの記憶もしっかり残っててさ、ソエルが出した切り札のにもしっかり見覚えがあったんだよな。
実は生まれたときに抱き寄せられた母親らしき人ののを一度見てたんだ。

ソエルが出したものはネックレスに通された紋章エンブレムだったけど、それはこの国イリヤの国章だ。
それに俺もこの国章を毎日のように見て知っている。なぜなら──。

「君の左足の裏にもこの紋章の痣があるはずだ」
「……」

無表情で知らんぷりでいたが、さすがにバレてるか。

うん、そりゃそうだ。だって今ソエルから聞いた話だと、俺はイリヤ国王の殿らしいから。産まれたときに痣は確認済みなんだと。

ソエルの言うことによれば、この国の王族の血を引く者は身体のどこかに国章が痣のように浮かび上がるんだって。
それが俺の場合は左足の裏だったわけだ。

そのおかげで俺はいい意味でも悪い意味でも身分がバレずに今まで過ごせていたわけだ。

いやあ、まさか自分がイリヤの王族だったとは思わなかった。王族特有のものだなんてさすがに知らないし、イリヤ国でも秘匿情報なんじゃねえの?

これがソエルのいう切り札。
確固たる証拠があるから信用に値するが、同時に面倒な身分が付随されてしまった。

そう、まさに逃げられなくなったわけだ。

俺の夢見た自由な冒険者ライフはどこへ行った!












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