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16 王都にドナドナ 4(sideアビス)
エヴァンス達は俺とノヴァのものよりも装飾の少ない馬車に荷物を載せて後ろをついてくる。
そんなんで護衛がキースだけって大丈夫なのかってことだが、実は王族を警護する近衛騎士団の第一部隊が密かに俺とノヴァの護衛として数日前から辺境の街に滞在して準備をしていたのだ。
もちろん近衛騎士団の騎士服ではなく一般の騎士服にしている。変に騒がれたくないのとノヴァが遠慮したり気を遣わないようにという配慮からだ。
これも辺境の街の領主や冒険者ギルドのギルマス達は承知している。
そんな彼らが隊列を組んで馬に騎乗し馬車の周りを警護し、キースも騎乗して俺とノヴァの乗る馬車に並走する。
そういうわけで馬車に乗り込む前に、護衛の騎士達にウトウトしているがノヴァの顔見せをする。見せたくはないが護衛対象の周知は大事だ。彼らは間近でノヴァを見るのは初めてだからな。
「皆、この方がノヴァだ。くれぐれも護衛の任、よろしく頼むぞ」
「はっ」
「んーなぁに? んん……えと、よろしくぅ?」
寝惚け眼のノヴァを驚かせないように言った騎士達の控えめな返事に、ぼんやりとして間延びした口調で微笑みながらそんなことを言うノヴァ。
その光景におそらくここにいる騎士全員が心臓を打ち抜かれた。
こちらでは凄く珍しい黒髪黒目の色彩で神秘的なのに天使のような微笑み。
「命に代えましてもお守りいたします」
そう言う第一部隊長にノヴァは眉を下げて言った。
「命に代えちゃだめだよぉ。誰一人、怪我なく生きてないとねぇ」
俺の両親のようになっちゃイヤだ──寝惚けているからこそ本音が出たんだろう。そう小さく呟くノヴァは酷く辛そうで……。
その様子と言葉に皆、誰一人としてかすり傷一つ負うことのないようにと改めて気を引き締めるのだった。
そんなノヴァは言うだけ言うと再び夢の中に行ってしまい、思わず笑った。
「そういうわけだから、誰一人欠けることも傷を負うこともなく無事に王都まで帰ること」
「はい」
そうして馬車に乗り込み、俺の膝の上に頭を乗せて横になったノヴァをそっと撫ぜる。
「可愛いノヴァ。このままずっと、こうして俺のそばにいて」
やがて朝日が昇り、座面で横になって寝ていたノヴァのお腹からくうくうと空腹を訴える音が小さく聞こえてきた。
そのタイミングでノヴァの目蓋がゆっくり開き、ぼーっと何度か瞬きをしたあと固まった。
「おはよう、ノヴァ」
「──おおおお、お、はよう? え、あれ? 俺、何で……え?」
「明け方にエヴァンスに起こされて支度されたことは覚えてる? あのあと寝惚けてて危ないからって、俺がお姫様抱っこで運んだんだけど」
微笑みながらそう言ったら、ノヴァはハッとして顔を赤くしながらガバッと上半身を起こした。
危ない、顔がごっつんこするところだった。
「おおお、ええええと、覚えてる、覚えてるから……うわあ、恥ずかしいー!」
顔を両手で覆って耳まで真っ赤なノヴァにまたニヤける。意識されてこんなに嬉しいことはない。
「それよりお腹空いたでしょ。この先に休憩所があるからそこで朝食を摂ろう」
「うん、ハイ。お願いします」
「ふふふ、ノヴァ可愛い」
「うううううるさい! 可愛くない!」
あたふたしながらそう言うツンデレなところも照れ隠しで可愛いんだよね。嫌われたくないから本人には言わないけど。
そんなんで護衛がキースだけって大丈夫なのかってことだが、実は王族を警護する近衛騎士団の第一部隊が密かに俺とノヴァの護衛として数日前から辺境の街に滞在して準備をしていたのだ。
もちろん近衛騎士団の騎士服ではなく一般の騎士服にしている。変に騒がれたくないのとノヴァが遠慮したり気を遣わないようにという配慮からだ。
これも辺境の街の領主や冒険者ギルドのギルマス達は承知している。
そんな彼らが隊列を組んで馬に騎乗し馬車の周りを警護し、キースも騎乗して俺とノヴァの乗る馬車に並走する。
そういうわけで馬車に乗り込む前に、護衛の騎士達にウトウトしているがノヴァの顔見せをする。見せたくはないが護衛対象の周知は大事だ。彼らは間近でノヴァを見るのは初めてだからな。
「皆、この方がノヴァだ。くれぐれも護衛の任、よろしく頼むぞ」
「はっ」
「んーなぁに? んん……えと、よろしくぅ?」
寝惚け眼のノヴァを驚かせないように言った騎士達の控えめな返事に、ぼんやりとして間延びした口調で微笑みながらそんなことを言うノヴァ。
その光景におそらくここにいる騎士全員が心臓を打ち抜かれた。
こちらでは凄く珍しい黒髪黒目の色彩で神秘的なのに天使のような微笑み。
「命に代えましてもお守りいたします」
そう言う第一部隊長にノヴァは眉を下げて言った。
「命に代えちゃだめだよぉ。誰一人、怪我なく生きてないとねぇ」
俺の両親のようになっちゃイヤだ──寝惚けているからこそ本音が出たんだろう。そう小さく呟くノヴァは酷く辛そうで……。
その様子と言葉に皆、誰一人としてかすり傷一つ負うことのないようにと改めて気を引き締めるのだった。
そんなノヴァは言うだけ言うと再び夢の中に行ってしまい、思わず笑った。
「そういうわけだから、誰一人欠けることも傷を負うこともなく無事に王都まで帰ること」
「はい」
そうして馬車に乗り込み、俺の膝の上に頭を乗せて横になったノヴァをそっと撫ぜる。
「可愛いノヴァ。このままずっと、こうして俺のそばにいて」
やがて朝日が昇り、座面で横になって寝ていたノヴァのお腹からくうくうと空腹を訴える音が小さく聞こえてきた。
そのタイミングでノヴァの目蓋がゆっくり開き、ぼーっと何度か瞬きをしたあと固まった。
「おはよう、ノヴァ」
「──おおおお、お、はよう? え、あれ? 俺、何で……え?」
「明け方にエヴァンスに起こされて支度されたことは覚えてる? あのあと寝惚けてて危ないからって、俺がお姫様抱っこで運んだんだけど」
微笑みながらそう言ったら、ノヴァはハッとして顔を赤くしながらガバッと上半身を起こした。
危ない、顔がごっつんこするところだった。
「おおお、ええええと、覚えてる、覚えてるから……うわあ、恥ずかしいー!」
顔を両手で覆って耳まで真っ赤なノヴァにまたニヤける。意識されてこんなに嬉しいことはない。
「それよりお腹空いたでしょ。この先に休憩所があるからそこで朝食を摂ろう」
「うん、ハイ。お願いします」
「ふふふ、ノヴァ可愛い」
「うううううるさい! 可愛くない!」
あたふたしながらそう言うツンデレなところも照れ隠しで可愛いんだよね。嫌われたくないから本人には言わないけど。
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