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113 観光&情報収集 3
あまりの煩さに思わず顔をしかめる。だって真横からの大声に加えて厨房からも店内のあちこちからも大声で叫ばれたら鼓膜が破れる。
さすがのナハトも咄嗟に防げなかったようで、あからさまなしかめっ面で僕の耳を擦っている。
エルフの耳って感度がいいから些細な音でもよく拾えるんだよ。だから気をつけていないと雑音だらけで頭が痛くなる。まあ前の世界で訓練してたから切り替えや調整もできるけど、煩いものは煩いよ。
「……ふーん、伝説級、ねえ」
「何が伝説級なのか分からん」
「たぶん、吸血鬼の真祖だとかSランクだとかのせいじゃない? あ、あとはアムリタで引きこもり爺だったからお目にかかれたらラッキー! みたいな?」
「……」
最後の方が合ってる気がするけど。ナハトはイヤそうな顔で黙り込む。あれ、お爺ちゃんっていうのがイヤだった? でも実際にお爺ちゃんだしなぁ。
そんなことを考えつつも唐揚げを食べ終えてしまい、次の料理を注文する。
「おじさん、次は何がある?」
「え、お? ああ、ボア肉のステーキとかシチューとか美味いぞ。え、お前さん、まだ食べるのか?」
「じゃあそれ全部ちょうだい。パンも欲しいな。あー、果実水美味しい」
レモン水みたいなさっぱり柑橘系で揚げ物にピタりだよ。次が来るまで飲んでよう。
「……マジか。ほら、シチューとパン。肉は焼けるまで待て。あんなにあった唐揚げ、食べちまったよ」
よく煮込まれたシチューと一般的なちょっと茶色い丸パンを籠に山盛り。パンは食べ放題?
目線で気づいたおじさんが笑って頷いた。
「パンは好きに食べていいぞ。足りなきゃ、また追加する……足りるよな?」
最後の心配そうな声はスルーして。だってたべてみないと分からないもん。
「いただきます! シチュー、ホロホロだ。パン浸けて食べよう」
「ゆ、ユラ君、よく食べるなぁ。何処にそんなに入るの?」
バクバク食べてるとエリオンが驚きながら聞いてくるので、口の中の食べ物を飲み込んでから応える。
「え? そりゃあ当然、お腹の中でしょ」
「それはそう──って、いやいや、お腹ぺちゃんこじゃん。さっきの唐揚げは何処に消えたんだよ」
「ユラの身体を無遠慮に見るな」
「はいはい、ナハト、威圧しない」
確かにお腹が膨れてポッコリとかしないね。食べたそばから魔力変換されて吸収されてるのかな?
エリオンが僕のお腹を見てそう言ったからか、ナハトが不機嫌になって威圧するせいで周りも顔が青ざめてしまっている。
僕は楽しく美味しく食べたいんだから、止めようね。
まあ、騒がしかった店内が静かになったからちょうどいいけど。
「ほい、ステーキ。いやあ、しかし美味しそうに平らげてくれて料理人としては嬉しいねえ。何かそちらさんがすごい冒険者だって気にならないくらい」
「そうだな、Sランクだとかより、ユラ君の胃袋の方が衝撃的だよ」
威圧から復活したエリオン達は、今度は静かに話し出す。うん、これくらいの音量なら大丈夫。
「ナハトさんはずっとアムリタにいたのかい?」
「ああ、そもそもSランクの依頼なぞそう頻繁にあるわけじゃないから、出歩く用件がなかった」
「頻繁にあったらそれはそれで困るけどね」
そう言ったらエリオンが苦笑した。
「そりゃあそうだ。でもじゃあ、どうしてヘルフォートに?」
「僕が行ったことないから、新婚旅行を兼ねた観光。それで今日は美味しい食事処とかオススメのお店とか聞いて来たんだ」
「なるほど。じゃあおじさんも色々と教えちゃおうかな」
「おお、よろしくお願いします」
こうして料理を平らげている間、エリオンが雑談をしてくれた。ミスティから聞いたお店も出てきて、やはり人気なんだなと納得。
ただ最後に一つだけ、コソッと声をひそめて教えてくれたことが──
──大通りの北にあるスラム、あそこの更に奥には近づくな。
「まあ、あとは行った先でまた聞くんだな。小さいけどすごい店とかもたくさんあるし、屋台もいろんな味を楽しめる」
「うん、ありがとう。ご馳走さまでした。美味しかった」
「おう、しばらくいるなら、またおいで」
「うん」
結局僕だけ食べて終わっちゃったけど。一人で食べる量じゃなかったよね。でも皆気にせず、最後は手を振りあって店を出た。
「美味しかった。いいお店だった」
「そうだな」
いいお店過ぎてまともな人ばかりだったから、大した情報はなかったけど。でもエリオンの忠告には何かありそうだった。
「まあ、とりあえず次に行こっか」
情報収集を兼ねたお店巡りをね。
さすがのナハトも咄嗟に防げなかったようで、あからさまなしかめっ面で僕の耳を擦っている。
エルフの耳って感度がいいから些細な音でもよく拾えるんだよ。だから気をつけていないと雑音だらけで頭が痛くなる。まあ前の世界で訓練してたから切り替えや調整もできるけど、煩いものは煩いよ。
「……ふーん、伝説級、ねえ」
「何が伝説級なのか分からん」
「たぶん、吸血鬼の真祖だとかSランクだとかのせいじゃない? あ、あとはアムリタで引きこもり爺だったからお目にかかれたらラッキー! みたいな?」
「……」
最後の方が合ってる気がするけど。ナハトはイヤそうな顔で黙り込む。あれ、お爺ちゃんっていうのがイヤだった? でも実際にお爺ちゃんだしなぁ。
そんなことを考えつつも唐揚げを食べ終えてしまい、次の料理を注文する。
「おじさん、次は何がある?」
「え、お? ああ、ボア肉のステーキとかシチューとか美味いぞ。え、お前さん、まだ食べるのか?」
「じゃあそれ全部ちょうだい。パンも欲しいな。あー、果実水美味しい」
レモン水みたいなさっぱり柑橘系で揚げ物にピタりだよ。次が来るまで飲んでよう。
「……マジか。ほら、シチューとパン。肉は焼けるまで待て。あんなにあった唐揚げ、食べちまったよ」
よく煮込まれたシチューと一般的なちょっと茶色い丸パンを籠に山盛り。パンは食べ放題?
目線で気づいたおじさんが笑って頷いた。
「パンは好きに食べていいぞ。足りなきゃ、また追加する……足りるよな?」
最後の心配そうな声はスルーして。だってたべてみないと分からないもん。
「いただきます! シチュー、ホロホロだ。パン浸けて食べよう」
「ゆ、ユラ君、よく食べるなぁ。何処にそんなに入るの?」
バクバク食べてるとエリオンが驚きながら聞いてくるので、口の中の食べ物を飲み込んでから応える。
「え? そりゃあ当然、お腹の中でしょ」
「それはそう──って、いやいや、お腹ぺちゃんこじゃん。さっきの唐揚げは何処に消えたんだよ」
「ユラの身体を無遠慮に見るな」
「はいはい、ナハト、威圧しない」
確かにお腹が膨れてポッコリとかしないね。食べたそばから魔力変換されて吸収されてるのかな?
エリオンが僕のお腹を見てそう言ったからか、ナハトが不機嫌になって威圧するせいで周りも顔が青ざめてしまっている。
僕は楽しく美味しく食べたいんだから、止めようね。
まあ、騒がしかった店内が静かになったからちょうどいいけど。
「ほい、ステーキ。いやあ、しかし美味しそうに平らげてくれて料理人としては嬉しいねえ。何かそちらさんがすごい冒険者だって気にならないくらい」
「そうだな、Sランクだとかより、ユラ君の胃袋の方が衝撃的だよ」
威圧から復活したエリオン達は、今度は静かに話し出す。うん、これくらいの音量なら大丈夫。
「ナハトさんはずっとアムリタにいたのかい?」
「ああ、そもそもSランクの依頼なぞそう頻繁にあるわけじゃないから、出歩く用件がなかった」
「頻繁にあったらそれはそれで困るけどね」
そう言ったらエリオンが苦笑した。
「そりゃあそうだ。でもじゃあ、どうしてヘルフォートに?」
「僕が行ったことないから、新婚旅行を兼ねた観光。それで今日は美味しい食事処とかオススメのお店とか聞いて来たんだ」
「なるほど。じゃあおじさんも色々と教えちゃおうかな」
「おお、よろしくお願いします」
こうして料理を平らげている間、エリオンが雑談をしてくれた。ミスティから聞いたお店も出てきて、やはり人気なんだなと納得。
ただ最後に一つだけ、コソッと声をひそめて教えてくれたことが──
──大通りの北にあるスラム、あそこの更に奥には近づくな。
「まあ、あとは行った先でまた聞くんだな。小さいけどすごい店とかもたくさんあるし、屋台もいろんな味を楽しめる」
「うん、ありがとう。ご馳走さまでした。美味しかった」
「おう、しばらくいるなら、またおいで」
「うん」
結局僕だけ食べて終わっちゃったけど。一人で食べる量じゃなかったよね。でも皆気にせず、最後は手を振りあって店を出た。
「美味しかった。いいお店だった」
「そうだな」
いいお店過ぎてまともな人ばかりだったから、大した情報はなかったけど。でもエリオンの忠告には何かありそうだった。
「まあ、とりあえず次に行こっか」
情報収集を兼ねたお店巡りをね。
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ナハトさんの吸血鬼の真祖だとか、Sランクだとか、そんな些細な?ことは
ユラくんの食欲の前には吹っ飛んでしまった皆さん🤣
うん、それだけ食べてるのにお腹ぽんぽこりんにならないの、うらやましいよねぇ~www
特にエリオンさんはともかく、他の冒険者じゃないおじさん達はお腹の出てくる年頃だったら気をつけてね(笑)
で、エリオンさん。さっそく黒よりのグレーゾーンの場所教えてくれました。お話して良かった。
そしてここのお店のご飯、ユラくんはお気に召したようです☺
ナハトは恐れ多いがユラは親しみやすい(子供っぽい)から、色々と心配になって忠告しちゃうw
普通は食べた分お腹が出ますけどね、不思議w
あと、何だかんだ言ってもたくさん料理を出してくれる店主もユラに気に入られたと思います😆 アッチのラヴァみたいなw
一斉にあがる大声……いやぁ、見事に声が揃いましたねw
おかげで耳の良いユラくんにはうるさかったです🤣
そしてお約束、未成年に見られるw
小柄で童顔気味なユラくん、可愛くキレイな顔立ちもあって若く見えますからね(笑)……ずーっと老けないけどw
エリオン、人当たり良い人ですね。この人はこの街での情報かれるかしら?
そして名前聞いて驚いた人達、そのうち閑話的に誰かの目線入りそう🤭
ナハトは今日も安定の溺愛です♡
囮?捜査もしつつ観光開始。まずはお腹を美味しいもので満たしましょう♡
ラノマ商会は顧客情報は漏らさない優良商会です❣️
ユラにとっては初めての街で、ナハトにとってはかなり久しぶりな街で。
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まずは腹ごしらえです。腹が減っては戦はできぬって言いますしね😆
ユラくん、もしかしてもしかしたら、デカ盛りメニューとかいけちゃうのかしら?
けっこう食べるようだし、魔力も多いし、ポテンシャル充分。
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お揃いの食器とか雑貨を番で使うのも楽しそうですよね。
割れなければ旅にも持っていけそう( *´艸`)💕
たぶんお店の方に『この身体のどこに入るんだ!?』と驚かれるでしょうw
そして生活感全くなしのナハトの家には徐々に調理器具や食器が増えてますが、やっぱりペアのマグカップとか欲しいなと思うユラ😄
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ナハトはそういうのこだわりないのでユラがやりたい放題の気がします😄