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2 誰も僕を知らない世界 1
ゆらゆらと気持ちいい。
母親の胎内ってこんな感じなのかなとどうでもいいことを思った。
───このまま生まれ変わって、誰もいない世界で生きてみたい。
死ぬんだろうなと思ったが、不思議と怖くはなかった。何故か苦しくはなかったし。
でも呑気にそんなことを考えていたら急激に意識が途絶えて、次に目が覚めたら見たことのない森の中の湖畔だった。
今は朝か昼か夕方か分からないが、湖畔は拓けているから陽射しがあって明るい。
その奥の森はめちゃくちゃ薄暗いんだけど。
左の頬に冷たく固い石の感触がある。
目線を動かすと綺麗な角の丸い玉砂利みたいなところに濡れた身体を横たえていて、何なら足元は水に浸かっていた。
「・・・・・・どこだ、ここ?」
普段から感情が揺れ動かないように、常に冷静沈着であるように訓練されてるからそんなに顔には出ていないと思うけど、さすがの僕も動揺してる。
何なら昨日の後継者指名のときよりも驚いている。
・・・・・・いや昨日かどうかも分からないな。どのくらい気を失っていたのか定かじゃない。数時間なのか数日なのかも分からない。
何故なら今の僕はそういった類いの、日にちや時間が分かるモノを身に着けていなかったから。
今の僕の身に着けているモノは、シンプルな白い半袖のTシャツにカーキ色のカーゴパンツ。それと足首を覆う高さの黒いワークブーツ。コレにはかかとやつま先に仕込みナイフが付いてるので履いててよかったと思う。
カーゴパンツのポケットやベルト部分に着けている小ぶりなポーチにも、目立たないように特殊加工された暗器が収納されていたはずだからあとで要確認だな。
ザッと手で触れた感じ、何かしらは残ってるっぽい。
・・・・・・銃がないのは痛いな。ダブルショルダーホルスターを身に着けてたんだけど。
上着のパーカーも見当たらないから、一緒に脱げて流されたか。
身に着けていた貴重品で無事だったのは首から下げているドッグタグくらい。
片面に藤花と僕のコードネームであるWisteriaという言葉がが刻まれ、もう片面には僕の名前である唯颯を英語表記したYuraが刻まれている。
これは僕が五十嵐家の裏家業の一員だという身分証だ。万が一警察関係者に疑われても見逃される、免罪符。
それだけ五十嵐家は裏で影響力のある家柄だということだ。
「波に攫われる前は腕時計も着けてたけどないし、スマホも・・・・・・まあどのみち海中にいたから壊れてるか」
さて、ザッと状況を把握したところで起きるとしよう。
この湖周辺に人や危険そうな動物などの気配は今のところ感じられない。
僕がごそごそ動き出しても大丈夫だろう。
だがまずは濡れた服をどうにかしないとな。その辺の枯れ枝を集めて火を熾すか。今は陽光もあって春のように暖かいけど、夜はどうなるか分からない。
───どう見ても今までいた日本ではないよな。
大体、海に落ちたのに目覚めたら森の中って有り得ないよな。まさか巷で流行の小説なんかの異世界転移だったり・・・・・・?
それとも夢を見てるのか。でもこの濡れて肌寒い感覚が夢とは思えない。緑の青臭さも、辺りの土の匂いも。
「は、まさかそんな馬鹿な・・・・・・」
そんなことを呟きながら枯れ枝と枯れ葉を集めて、ポケットの一つを探ると防水仕様のファイアーライターがあった。
「・・・・・・長時間海水に浸かってたうえに水圧とか心配なんだけど、付くかな?」
まあ、水圧云々言ったら僕の身体も普通は耐えられないけどね。
とりあえず使ってみると、カチッと軽い音がして火が付いた。
「おお、無事だ。凄いな。助かった」
さすがに木を擦って熾すなんてキツいからな。
ライターの火で枯れ葉を燃やすと、あっという間に炎が大きくなった。太い枝を加えて消えないようにしたところで、さすがに寒くなったので濡れた服を脱いで、木と木の間に張ったワイヤーに引っかけて乾かす。
ちなみにコレもポケットに入っていた携帯型のリール式のワイヤーだ。
まさしく備えあれば憂いなしってヤツだな。これだけはサバイバルを仕込んでくれてありがとうって感謝するね。
さすがに素っ裸は周りに誰もいなくても気が引けるからパンツは履いてる。いわゆるボクサーパンツだけど。
さて、今のうちに所持品の確認をしておこうかな。
※例によって突発的に終わりの決めていない話を書き出してしまいました。
短編予定ではありますが・・・・・・。
よかったら読んで下さい。最初は説明が多いです、すみません。
更新時間などは安定しません。出来たら更新します。
母親の胎内ってこんな感じなのかなとどうでもいいことを思った。
───このまま生まれ変わって、誰もいない世界で生きてみたい。
死ぬんだろうなと思ったが、不思議と怖くはなかった。何故か苦しくはなかったし。
でも呑気にそんなことを考えていたら急激に意識が途絶えて、次に目が覚めたら見たことのない森の中の湖畔だった。
今は朝か昼か夕方か分からないが、湖畔は拓けているから陽射しがあって明るい。
その奥の森はめちゃくちゃ薄暗いんだけど。
左の頬に冷たく固い石の感触がある。
目線を動かすと綺麗な角の丸い玉砂利みたいなところに濡れた身体を横たえていて、何なら足元は水に浸かっていた。
「・・・・・・どこだ、ここ?」
普段から感情が揺れ動かないように、常に冷静沈着であるように訓練されてるからそんなに顔には出ていないと思うけど、さすがの僕も動揺してる。
何なら昨日の後継者指名のときよりも驚いている。
・・・・・・いや昨日かどうかも分からないな。どのくらい気を失っていたのか定かじゃない。数時間なのか数日なのかも分からない。
何故なら今の僕はそういった類いの、日にちや時間が分かるモノを身に着けていなかったから。
今の僕の身に着けているモノは、シンプルな白い半袖のTシャツにカーキ色のカーゴパンツ。それと足首を覆う高さの黒いワークブーツ。コレにはかかとやつま先に仕込みナイフが付いてるので履いててよかったと思う。
カーゴパンツのポケットやベルト部分に着けている小ぶりなポーチにも、目立たないように特殊加工された暗器が収納されていたはずだからあとで要確認だな。
ザッと手で触れた感じ、何かしらは残ってるっぽい。
・・・・・・銃がないのは痛いな。ダブルショルダーホルスターを身に着けてたんだけど。
上着のパーカーも見当たらないから、一緒に脱げて流されたか。
身に着けていた貴重品で無事だったのは首から下げているドッグタグくらい。
片面に藤花と僕のコードネームであるWisteriaという言葉がが刻まれ、もう片面には僕の名前である唯颯を英語表記したYuraが刻まれている。
これは僕が五十嵐家の裏家業の一員だという身分証だ。万が一警察関係者に疑われても見逃される、免罪符。
それだけ五十嵐家は裏で影響力のある家柄だということだ。
「波に攫われる前は腕時計も着けてたけどないし、スマホも・・・・・・まあどのみち海中にいたから壊れてるか」
さて、ザッと状況を把握したところで起きるとしよう。
この湖周辺に人や危険そうな動物などの気配は今のところ感じられない。
僕がごそごそ動き出しても大丈夫だろう。
だがまずは濡れた服をどうにかしないとな。その辺の枯れ枝を集めて火を熾すか。今は陽光もあって春のように暖かいけど、夜はどうなるか分からない。
───どう見ても今までいた日本ではないよな。
大体、海に落ちたのに目覚めたら森の中って有り得ないよな。まさか巷で流行の小説なんかの異世界転移だったり・・・・・・?
それとも夢を見てるのか。でもこの濡れて肌寒い感覚が夢とは思えない。緑の青臭さも、辺りの土の匂いも。
「は、まさかそんな馬鹿な・・・・・・」
そんなことを呟きながら枯れ枝と枯れ葉を集めて、ポケットの一つを探ると防水仕様のファイアーライターがあった。
「・・・・・・長時間海水に浸かってたうえに水圧とか心配なんだけど、付くかな?」
まあ、水圧云々言ったら僕の身体も普通は耐えられないけどね。
とりあえず使ってみると、カチッと軽い音がして火が付いた。
「おお、無事だ。凄いな。助かった」
さすがに木を擦って熾すなんてキツいからな。
ライターの火で枯れ葉を燃やすと、あっという間に炎が大きくなった。太い枝を加えて消えないようにしたところで、さすがに寒くなったので濡れた服を脱いで、木と木の間に張ったワイヤーに引っかけて乾かす。
ちなみにコレもポケットに入っていた携帯型のリール式のワイヤーだ。
まさしく備えあれば憂いなしってヤツだな。これだけはサバイバルを仕込んでくれてありがとうって感謝するね。
さすがに素っ裸は周りに誰もいなくても気が引けるからパンツは履いてる。いわゆるボクサーパンツだけど。
さて、今のうちに所持品の確認をしておこうかな。
※例によって突発的に終わりの決めていない話を書き出してしまいました。
短編予定ではありますが・・・・・・。
よかったら読んで下さい。最初は説明が多いです、すみません。
更新時間などは安定しません。出来たら更新します。
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