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4寄り道

4-2 ほうじ茶

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「ソラは恋人を見つけるまではお化けでいるって言ってますけど……」

アカリさんに伝えるとアカリさんは困ったような顔をした。

「あのね、ソラが交通事故にあったのって、ソラが道の向こうに母親の姿を見つけて、突然道路に飛び出したことが原因なんだ。ソラをはねてしまった車もそんなにスピードは出していなかったのにタイミング悪くソラをボンネットの上にはね上げてしまったんだって。ソラは手首を骨折したけれど、それももうほぼ治っていて、でも意識だけが戻らない。運転していた若い女性は毎日のようにお見舞いに来ているんだって。それから 母親も自分が道の向こうに居なければって嘆き続けているらしいよ。ソラはその二人のためにも身体に帰った方がいいと思うよ」

ソラは一度俯いたけれど

「今のぼくはその”母親”のことを覚えていないし……運転していた人にも悪いと思うけれど……」
「ソラが帰らないと、ソラの身体は生き返らないんですよね?」
「多分、そうなるよね」

ため息をつきそうになった時に、突然障子が開いた。

「話は聞かせてもらったぞ!」

オニイサンが入ってきたのにソラが驚いて、アカリさんの後ろに隠れる。

「兄さん!」

アカリさんが珍しく怒った顔をしてオニイサンを睨んだ。

「すまんな、お茶のお替りが居るかと持って来たんだけどね、面白い話が聞こえて来たからさ 思わず聞いてしまった次第」
「話を聞くために お茶のお替りを持ってきたんでしょ?!」

アカリさんの意見にワタシも一票!

「そんな事はないよ ほら ほうじ茶」

オニイサンは確かに、大振りの急須とお茶碗がのった手つき盆を持っている。

アカリさんのハアというため息に オニイサンは目を細めて笑うと机の上に白いお湯のみを4つ並べた。ん?4つ?

「気分だ 気分 な、生霊くん?」

オニイサンがアカリさんの背後に声をかける。さすが、お祓いの名手(?)

「ソ、その霊のこと視えているんですか?」

危ない、ソラって言っちゃうところだった。なんとなくだけど、ソラの名前は知られない方がいいような気がする。

「アカリがしばらく前から懐かれている影でしょ?」
「生霊って今言いましたけど?」
「ああ、日赤に意識不明の入院患者とか居ないかって聞いて欲しいって言われた時にピンと来たんだよね。明星に憑いている影は生霊で、本体は日赤だなって」

「あの時に?」
「私も気になっていたんだよね~。明星に憑いている影、祓っていいものかどうか」

オニイサンがまたソラを見ると、ソラはますますアカリさんの背中に隠れようとする。

「まあなあ。家族や加害者が生き返ることを願っているんだから そんなに簡単に祓うわけにはいかないんだよなあ」

そうですよね、オニイサンが日赤に聞いてくれたんだから、ソラが小学生だって知ってますしね。

「もちろん 明星に害を成すなら、子供でも容赦はしないけどね」

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