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1 おとぎばなしの王子様

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僕は、生まれた時から王子だった。
おとぎ話の王子サマ。そして、前世の記憶なのかよく分からないけれど、ここがおとぎの世界だと理解していたし、受け入れていた。
まだ 魔法使いに会ったことはないけれど、この世界のどこかにはきっと魔法使いも居るんだと思う。

僕は絵本の挿絵の様なお城に挿絵の様な王様とお妃様を両親として挿絵の様なお姫様の姉と一緒に住んでいる。

「王子様は何不自由なく暮らしていました」とでも書いてあるのか、僕の暮らしに不自由はない。


でもさ、おとぎ話の主役といえば、お姫様、だよね?
ってことは、僕が主役になる事は無いのかな?それならそれで、ここでのんびりと生きて行こうと思うんだ。

「王子、のんびりとしていては、国は治められません。しっかりお勉強もして頂かないと」

ソファに寝転がったぼくの所に 執事のボブが本を持って来た。

「はいはい」

転生者チートなのか、王子さまチートなのか、ぼくの外見は5歳児くらいだけど、ボブが持ってくるような本はスラスラ読めるし理解できる。見たところ幼児向けの本では無いんだけどね……

ボブは様子を見ながら、ぼくが九割の力で理解できる本を持ってくる。ぼくの事をよく理解している優秀な執事なのだと思う。だって、全部を理解できるのって楽しいから、ちょっとだけ背伸びしてもいいかなって気になって一割ぶんだけ難しい本も読んでみる事になる。


本を読んだら、外に遊びに出る。王子と言えども子供なんだから遊ばなくちゃね!
そうだ!昨日、姉上が父上に綺麗な毬を貰っていたよね?あれを借りて、あれで遊ぼうっと。


トントントン

ノックするけれど、返事は無い。
居ないのかな? そっとドアを開けて見ると、姉上は机に突っ伏して眠っている。

うーん、まさに童話のお姫様そのものだね。
何のお話のお姫様になるのかな?このお城に住んでいるんだから、人魚姫じゃないことは確かだね


あ!毬、みーつけ

「姉上 毬をお借りしますよ」

ぼくは姉上にささやいて、毬を持って姉上の部屋を出た。
本当は姉上と一緒に遊びたかったけれど、お休みになっているのだから仕方がないね。


♪あんたがたどこさ …… 

こんな歌だったかな? そう思った時に手がそれて毬がコロコロと転がっていく。慌てて追いかけたけれど、毬は
池の中に落ちちゃった!

ええええ 池なんてあったっけ?
いや 現にあるんだから、しょうがないよね?

でもって、毬…… まずいデスヨ。

♪昨日、姉上があ 父上からあ 頂いたばっかりのマリい ♪

池に浮かぶ毬から 目をそらせて即興の歌を歌って 口笛を吹いてみるけど、状況は変わらない……
ヤバいよ 怒られるよ …… 「お借りします」って言ったけどさ 言ったけど ダメだよね?


「毬、取ってやろうか?」



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おとぎ話の国に転生するコトだってありますよね?ライトノベルや乙女ゲームとどっちがハードかわかりませんけど

推敲しだい投稿していきます。気になる方は”お気に入り”して下さい m(__)m

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