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12-1.ルーカス
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刹那、爆発音と共に扉が吹き飛んだ。
その先に、そびえ立つようなシルエットが見える。反射的に振り返ったトビーが、挑発的な笑みを浮かべた。
「なんだ、意外と早かったね。もっとあんたのペットと遊んでやろうと思ってたのに」
「こんだけ魔力ダダ漏れさせて、隠れる気もなかったんだろ。俺を誘き寄せるために、そいつまで拉致してご苦労なことだ」
黒いマントを羽織ったルーカスの、刺すような視線が向けられる。僅かに眉間に皺が寄っていた。
「う……ぐっ」
トビーに鎖を引き上げられ、シェルの首が絞まる。トビーが勝ち誇ったように顎を上げた。
「こいつのこと、随分可愛がってるみたいだね。でも、後ろを僕がいじってやったらヒイヒイ喜んでたよ。あんたに満足できなかったんじゃないの、ルーカス」
違うと頭を振りたかったが、首が絞められ続けてそれも叶わない。息が吸えず苦しい、目の前が白くなってくる。
「もちろん、大事なペットなんだから返してあげるよ。だけどその前に、僕の呪詛を邪魔したことを謝ってもらうよ。それから、あいつらに改めてあんたから呪詛をーーッ」
瞬間、トビーの握っていた鎖が弾け飛んだ。シェルは床に落とされ、なんとか意識が戻ってくる。
叫び声に目を向けると、トビーが片手を押さえていた。血がしたたり落ちている。
「わあああっ! 血が! 血があっ!」
もんどり打って倒れたトビーを後目に、ルーカスが近づいてくる。
ルーカスの身体には、マントとは違う黒い靄のようなものが纏わりついていた。シェルにも本能的にわかるほど、それは恐ろしい魔力だった。
言いつけを守らず、安っぽい嘘に騙されてまんまと捕まってしまったことを怒っているに違いない。仕置きを受けるどころか、捨てられても文句は言えない。合わせる顔がなかった。
前を隠すように膝を合わせていたシェルの下腹部に、ルーカスが着衣と下着を投げた。
シェルの傍に、ルーカスが膝を折る。
「大丈夫か?」
怒りに燃えていると思っていたルーカスの瞳が揺れている。首に巻き付いた鎖にルーカスが手を掛けた。
首元に触れる指先から体温とは違う何かを感じた。これが魔力なのかもしれない。
その手で、首にまとわりついていた鎖はいとも簡単に引きちぎられた。
「酷いな」
シェルの切り裂かれた傷口に、順に手を翳していく。暖かくピリピリとしたナニカが傷口を包み込んだ。
途端に滲んでいた血が止まり、脈打っていた痛みが消えていく。
「治癒魔法は専門じゃない。後でゼノに診せてやるから」
「んんっ」
ありがとうございます、と礼を言いたかったが言葉にならない。
気づいたルーカスが、シェルの口元にも手を翳した。縫いつけられていたようだった唇が解かれる。
「ご主人様!」
「シェル」
安堵したのか、ルーカスは一瞬だけ泣きそうに顔を歪めた。
しかしその後ろで、膝をついたトビーがこちらに掌を向けている。
「ご主人様! 危な――」
その先に、そびえ立つようなシルエットが見える。反射的に振り返ったトビーが、挑発的な笑みを浮かべた。
「なんだ、意外と早かったね。もっとあんたのペットと遊んでやろうと思ってたのに」
「こんだけ魔力ダダ漏れさせて、隠れる気もなかったんだろ。俺を誘き寄せるために、そいつまで拉致してご苦労なことだ」
黒いマントを羽織ったルーカスの、刺すような視線が向けられる。僅かに眉間に皺が寄っていた。
「う……ぐっ」
トビーに鎖を引き上げられ、シェルの首が絞まる。トビーが勝ち誇ったように顎を上げた。
「こいつのこと、随分可愛がってるみたいだね。でも、後ろを僕がいじってやったらヒイヒイ喜んでたよ。あんたに満足できなかったんじゃないの、ルーカス」
違うと頭を振りたかったが、首が絞められ続けてそれも叶わない。息が吸えず苦しい、目の前が白くなってくる。
「もちろん、大事なペットなんだから返してあげるよ。だけどその前に、僕の呪詛を邪魔したことを謝ってもらうよ。それから、あいつらに改めてあんたから呪詛をーーッ」
瞬間、トビーの握っていた鎖が弾け飛んだ。シェルは床に落とされ、なんとか意識が戻ってくる。
叫び声に目を向けると、トビーが片手を押さえていた。血がしたたり落ちている。
「わあああっ! 血が! 血があっ!」
もんどり打って倒れたトビーを後目に、ルーカスが近づいてくる。
ルーカスの身体には、マントとは違う黒い靄のようなものが纏わりついていた。シェルにも本能的にわかるほど、それは恐ろしい魔力だった。
言いつけを守らず、安っぽい嘘に騙されてまんまと捕まってしまったことを怒っているに違いない。仕置きを受けるどころか、捨てられても文句は言えない。合わせる顔がなかった。
前を隠すように膝を合わせていたシェルの下腹部に、ルーカスが着衣と下着を投げた。
シェルの傍に、ルーカスが膝を折る。
「大丈夫か?」
怒りに燃えていると思っていたルーカスの瞳が揺れている。首に巻き付いた鎖にルーカスが手を掛けた。
首元に触れる指先から体温とは違う何かを感じた。これが魔力なのかもしれない。
その手で、首にまとわりついていた鎖はいとも簡単に引きちぎられた。
「酷いな」
シェルの切り裂かれた傷口に、順に手を翳していく。暖かくピリピリとしたナニカが傷口を包み込んだ。
途端に滲んでいた血が止まり、脈打っていた痛みが消えていく。
「治癒魔法は専門じゃない。後でゼノに診せてやるから」
「んんっ」
ありがとうございます、と礼を言いたかったが言葉にならない。
気づいたルーカスが、シェルの口元にも手を翳した。縫いつけられていたようだった唇が解かれる。
「ご主人様!」
「シェル」
安堵したのか、ルーカスは一瞬だけ泣きそうに顔を歪めた。
しかしその後ろで、膝をついたトビーがこちらに掌を向けている。
「ご主人様! 危な――」
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