孤独な腐女子が異世界転生したので家族と幸せに暮らしたいです。

水都(みなと)

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第一章

第41話 パーティー

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 次の日、着替えようとするとお父さんがやって来た。

「アリシア、おはよう。今日はすごく良い天気だぞ。お日様もアリシアの誕生日をお祝いしてるみたいだ」
「えへへ、そうかな~?」

 お父さんがかわいいことを言うから、私もできる限りかわいくリアクション。

「さあ、お待ちかねの誕生日プレゼントがあるぞ」

 そう言ってお父さんが声を掛けると、マドレーヌさんがパールのたくさん付いた純白のドレスを持ってきた。まるでウェディングドレスだ。
 誕生日プレゼントはお父さんと一緒にいることだったのに、やっぱりモノのプレゼントも用意してくれたんだね。
 もちろん、嬉しいに決まってる。

「すごーい! ウェディングドレスみたいだね!」
「これはお母さんのウェディングドレスを仕立ててもらった店に頼んだんだ。だから、これはウェディングドレスと同じ……」

 そこまで言って、お父さんが固まった。口元に手を当てて、みるみる目が潤んでいく。

「お父さん、どうしたの!?」
「ア、アリシアが本当にウェディングドレスを着る日のことを思って……こんなかわいい子が他の男のものになるなんて! 嫌だ! 俺は絶対に誰にもアリシアを渡さない!」
「旦那様、落ち着いてくださいませ」

 勝手に想像して勝手に錯乱するお父さんを、マドレーヌさんがやれやれと宥める。いつものことだもんね。
 ここで気を利かせて「私、お父さんと結婚するー!」とか言ったら喜んでくれるのかもしれないけど、それは嘘でも言えない。お父さんと結婚するのは、サディさんなんだから。
 でも、そこまで思ってもらえるのは娘としてすごく嬉しい。その気持ちを最大限伝えるため、ピョンとお父さんに抱きついた。

「お父さん、だーいすき!」
「アリシアああああお父さんも大好きだぞおおおおお」

 私を抱き上げたお父さんが、ぐるぐるとまわる。

「おおおお父さんんん目がまわるううう」
「ふふっ、本当に仲がよろしいことですね」

 マドレーヌさん、これは止めてくれないのね。

 純白のドレスに着替え、前にお父さんに買ってもらったピンクのカギのペンダントをつけた。

「それもかわいいが、もっとドレスに似合うアクセサリーを買っておけばよかったな」
「でも私これがいいの。お父さんと初めて2人でお出掛けしたときに買ってもらったモノだから」
「アリシアああああ」

 あーあ、また泣かせちゃったよ。喜ばせるのもほどほどにしとかないと。

 お父さんは大広間へパーティーの準備に向かった。
 誕生日パーティーはお父さんがプロデュース、メイドさんやコックさんに指示を出すのに忙しいらしい。
 でも、お父さんがプロデュースとか……大丈夫かな。

 コンコン、とノックの音が聞こえた。
「はーい」と答えるとドアが開く。

「アリシアちゃん、お招きありがとう」
「サディさん!」

 待ってました!
 サディさんは真っ赤なバラの花束を抱えてる。お父さんへのプロポーズ……と、いつもなら妄想するとこだけど、今日は違う。

「ごめんね、お誕生日1日遅れちゃって」
「ううん。私ね、夜の11時半に生まれたんだって。だから昨日の夜から今日の夜までが私のお誕生日なの」

 そう話すと、サディさんが驚いたように笑った。

「よかった! それじゃ間に合ったんだね」

 サディさんが跪いて私に花束を差し出す。

「お誕生日おめでとう、アリシアちゃん。一緒に素敵な1日にしようね」
「ありがとう、サディさん」

 真っ赤なバラ越しのサディさん。王子様みたいじゃなく、完璧に王子様。
 受け取ったバラの花束は、マドレーヌさんが「大広間に飾りましょう」と持って行ってくれた。

「アリシアちゃん、すごくかわいいドレスだね」
「お父さんからのプレゼントなの」
「まるでウェディングドレスだね。アリシアちゃんがお嫁に行くところ想像して、アル泣いちゃうんじゃないの?」

 うん、泣いちゃってた。わかりやすいよね。
 なんて話してたら、お父さんが戻ってきた。

「サディ、来てたのか」
「お邪魔してるよ。アル、いいドレス選んだね。アリシアちゃんにすごく似合ってる」
「仕立て屋に『うちの娘に似合う1番良いのを頼む』とオーダーしたからな」

 むちゃぶりに応えてくれた仕立て屋さん、すごい。

「じゃあ、僕のプレゼントもちょうどいいかな」

 プレゼントは、さっきの花束だけじゃないらしい。
 サディさんは両手に乗るくらいの、白い箱を取り出した。薄い水色のリボンで可愛くラッピングされてる。

「開けてみて」

 目の前に差し出されたリボンをしゅるしゅると解く。箱を開けると、そこには金色のティアラが入っていた。
 サディさんがティアラを恭しく持ち上げる。

「僕からのプレゼント、受け取っていただけますか? お姫様」

 サディさんが私の頭にティアラを乗せてくれる。
 鏡を見ると、真っ白なドレスに似合うティアラが輝いていた。ピンクや紫の宝石が散りばめられているみたいで、動くたびにキラキラと煌めく。

「うわあ! 本物のお姫様みたい! ありがとう、サディさん!」
「喜んでもらえて良かったよ」
「俺がドレスを贈ること、サディに話してたか?」
「聞いてないよ。でも、そのドレスに似合って良かった」

 示し合わせたわけでもないのに、ピッタリのプレゼントを選んじゃうなんて! お父さんとサディさん、言葉なんてなくても2人は通じ合ってる!

「さあ、アリシア。パーティーの準備ができたぞ。広間に行こう」
「ケーキとご馳走がお待ちかねだよ~」
「うんっ!」

 お姫様にしてもらった私は、お父さんとサディさんと手を繋いで広間に向かった。
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