転生先がドッペルゲンガーだった俺。引継ぎないのに勇者の仕事なんて務まりませんよ!?

A

文字の大きさ
5 / 52
プロローグ

人前で全裸が許されるのは芸術関係だけ

しおりを挟む
 意識が少しづつはっきりしてくる。

 最初は完全に途切れていた五感も徐々に鮮明になりつつある。



 人が大勢目の前にいるけど何やってるんだろ。いやに声も大きいし祭りかなんかか?



 そう思っていると、以前より五感で把握できる情報が強くなっているようで、周囲の状況が理解できてきた。



 そこかしこから大きな声、剣戟の音が聞こえるうえに、鉄臭い血の香りが漂っている。やばい、完全に戦場じゃないか…………

 あの女神め、そりゃ生命体の多いところには違いないけどこれは手抜きにもほどがあるだろ!



 生命の危機を感じ、意識は既にはっきりしている。

 周りを見回すと目の前に神輿のようなもので運ばれるローブ姿の骸骨の化け物とその周辺を守る兵士達が見えた。

 すると、例の転生サポートの一つ『転生初日における周辺情報の開示』の影響なのか情報が頭に入り込んでくる。



●情報開示(固体情報)

名称:グライブス

種族:リッチー

概要:上位アンデッド。魔王軍四天王の一人

属性:闇

能力:膨大な魔力を持ち、屈指の魔法戦闘能力を誇る。







 おいおい、四天王とかいきなり大物過ぎるだろ。



 まだ相手には気づかれていないようだが、正直できる限り早く次の行動に移る必要がありそうだ。



 しかし、ここはどこらへんなんだ。あの警護具合だと総大将もしくはそれに準じる存在みたいだが、聞こえる範囲で剣戟の音が近づいているのは劣勢ってことか?



 それに、よく見ると四天王とやらは片腕、片足を失って運ばれているようだ。



 あと今気づいたが体が靄のかかったように真っ黒だ。鏡もないから全身は見れないが、あの骸骨と同じように俺も人間辞めてるぜこりゃ。





●情報開示(現在地)

名称:セントラル平原、魔王軍本陣付近の森林地帯

状態:戦闘(魔王軍VSヒューマンの連合軍)



●情報開示(固体情報)

名称:平たいら 和人かずと

種族:ドッペルゲンガー

概要:女神の力により発生したユニーク固体(唯一固体)

属性:闇

能力:変身

   ・別固体の情報をコピーし変身することができる

   ・本人しか装備できない道具等も使用可能

   ・固有能力による変身であるため魔法の無効化や解呪等では解除されない

   ・変身前の状態は実体を持たず聖・闇属性による攻撃以外は透過。ただしこちらの攻撃も透過

    ※変身には条件有

  条件①コピー先の固体を視界に入れていること

  条件②能力値は元の固体の半分程度となり、蓄積された記憶や技術のコピーもできない

     なお、変身前の初期能力値は全固体平均の半分程度に設定されている。

  条件③変身中はコピー能力使用不可、再度使用するには一度変身を解除する必要がある



その他能力

・『転生初日における周辺情報の開示』 制限:有(初日限り)

・『一度限りの死の回避』       制限:有(一度限り)

・『言語の自動翻訳』         制限:無







 しかし、思ってたより死ぬ可能性が減ったことで少し考える余裕がでてきた。

 というか、『何事も卒なくこなせる器用さ』ってのが思ってたのと違うんですけど!!

 まあ、とりあえず今は生き残ることを考えるか。

 属性ってのはよくわからんが、一部の攻撃以外透過かつ1回限定でも死を回避できるってのは助かるな。こっちは戦闘のど素人だし



●情報開示(属性一覧)

①風 特殊効果:速度強化  弱点:土

②土 特殊効果:防御強化  弱点:水

③水 特殊効果:回復    弱点:火

④火 特殊効果:攻撃強化  弱点:風

⑤聖 特殊効果:万能    弱点:闇 

⑥闇 特殊効果:弱体化   弱点:聖







 属性についての情報開示はされたけど正直実物見ないと何が何だかわからないな。



 一応の今後の方針としては、いったん戦場から距離をとり、安全を確保するって感じかな

 それと平均の半分って時点で能力値自体は強くなさそうだから、できる限り誰にも見つからないように避けつつ、見つかったら逃げ足の速そうなやつに変身、その後撤退にしよう



 とりあえず、今後の方針も決まったし逃げるためにジリジリ後退していると何か嫌な気配が近づいてきている感覚がある。



 直後、例の四天王の付近の兵士達の一部が吹き飛ぶのが見えた。大地を抉るほどの衝撃だったようで土ぼこりが舞っている。



 なんなんだあれは。やばいのだけはわかるが、迂闊に動けない。



 土ぼこりが晴れてくると。光り輝く剣を携えた鎧姿の若い男性が見えてきた。





●情報開示(固体情報)

名称:道木どうき 遊尽ゆうじん

種族:ヒューマン

概要:勇者。転生者であり、前の世界では大学2年生。

属性:聖

能力:全能力値が高い(同装備の騎士であれば百人以上を同時に相手取れる。)

   聖剣

    ・魔物に対して特攻ダメージを与える

    ・勇者以外の装備不可。また、勇者の身から離れた場合、自動で手元に移動する

    ・周囲の敵性固体の感知、また、それが無実体の魔物であれば消滅させる

    ・装備者が生命の危機に瀕した場合、能力を大幅に上昇させて体を操作、自動戦闘を行う



その他能力

・『転生初日における周辺情報の開示』 制限:有(初日限り)【効果消滅】

・『言語の自動翻訳』         制限:無





 あれが勇者か。というか同条件でも戦闘のプロ相手にこれまで大学生をやってた素人が百人以上を同時に相手できるとか強すぎる。



 その上逆境になったら更に強くなるのはジャンプ理論を体現してるな。

 それにもう少し近かったら俺は消し飛ばされていたわけか…………



 しかし、無実体の状態はそこそこ安全かと思っていたが、この状況だと逆に危ないか。とりあえずここは実体化するためにも一番強そうな勇者様に変身させてもらおう。



 勇者を視界に入れ、変身したいと考える。すると、黒い靄のかかった体が変化し、光りながら人の体を形作っていく。



 これが勇者の体。身体能力が高いからか全身が軽い。ただ、一つ問題があるとすれば……全裸だということだ……………………



 いや、よく考えたらそうなるわ!!そんな場合じゃないのはわかる!!だが、常識を持った成人男性としてこの変質者スタイルはきつい…………



 そう考えていると、何故か勇者が驚愕した顔でこちらを見ている。

 こちらが思案し、変身をしている間にいつの間にか移動していたらしい。既にかなり近い距離に立っており、そのそばには切り捨てられた四天王とその護衛が横たわっている。



 くそっ!しまった!もうこんなに近くにいたのか。変身の時の光で位置もばれてしまったみたいだし



 そう焦っていると、勇者の顔が憤怒に染まる。



「おい!なんだお前は!?俺の姿でそんなふざけた格好してただで済むと思うなよ」





 勇者が一瞬でこちらに駆けてくる。咄嗟に後ろに跳ぶが、速さが違い過ぎた。

 なんとか身を捩り聖剣から逃れようとするが、努力もむなしく聖剣は胸に吸い込まれていく。

 どこか他人事のように感じられながら、体を見ると聖剣は容易く体を貫通しており、奥深くまで突き立てられていた。



 ああ、さすがにこれは助からなそうだ。激痛とともに体から力が抜ける感覚がある。ああ…短すぎる異世界生活だったな…………



 無意識に剣を引き抜こうとしたのか、さまよう手が聖剣の柄に軽く触れた。その途端、急激に力が漲ってくる。



 何だこれ?力が溢れてくる

 そう思ったのも束の間、体が勝手に動き出す。



 勇者から剣を無理やり奪い去り、そのまま流れるような動きで回し蹴りを放った。勇者がものすごい勢いで吹っ飛んでいく。

 そして、右手に聖剣を持った状態で自分がその後を追いかけていく。



体の自由が効かない!?これは、もしかして聖剣の項目にあった自動戦闘ってやつなのか?



 あっという間に吹き飛んだ勇者に追いつく、瞬間、聖剣に強い光が集まるとともに剣が振り下ろされた。



 あっ…………



 凄まじい光の氾濫、そして轟音と共に、爆炎が巻き上がった。

 しばらく視界が黒煙で遮られていたが、煙が晴れると自分の立っているところを残すような形でクレーターが出来上がっていた。

 先ほどまでいたはずの勇者を示す痕跡は何も残っていない。ただ、聖剣の纏っていた光は徐々に弱くなっているようだ。



 なんなんだこれは。

 もしかして、勇者を殺してしまったということか?体が勝手に動いていたということもあり、正直実感が無い



 それに……不思議なほどに動揺は無いな。先に殺されたのが俺で正当防衛の部分があったことも関係しているのかもしれないが



 そこまで考えていると聖剣の光が完全に消えた。そしてそれとともにあれほど溢れるように感じていた力が抜けていき、立っていられないほどになった。

 とりあえず気になっていた胸の傷を見ると。綺麗にふさがっている。



 ああ、これが『一度限りの死の回避』の効果かな。しかし、眠気が凄い。目も開けていられないくらいだ。

 青空の下、真剣持った男が全裸でお昼寝とか……役満にもほどがあるぜ…………………
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  ブックマーク・評価、宜しくお願いします。

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...