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空 続章、終章

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 それから、生誕祭までは特に問題無く過ぎていった。



 たまに、公爵家の三人と話すこともあったが、別に色気のある話も無かったし。



 というより、王子と彼らの方が距離が近づいているかもしれない。何やら最近は四人で話し合うことが多いらしく、時たま王子の寮で話をしているらしい。



 どんな話なのかは教えてくれなかったが。まあ、将来の主と重臣になるのだし、そのコミュニケーションの一環かもしれない。





 まあ、それはいい。今日まで孤児院のお祝いの準備もしっかりやってきたし後はアリアちゃんの姿を王子が見れば完璧だろう。





 それに最近はアリアちゃんと王子が二人でいることも増えた。この二人も同じく王子の寮で話をしているようなので、盗聴ができず私は悶々とした日々を過ごしているのだが。





 だが、親密度が上がるのはいいことだろう。イベントに向かってひた走って欲しい。



 アリアちゃんから最近突然聞かれた王子のことが好きかという質問にも、特に好きじゃないと伝えたしもう王子ルートは確定だろう。





 私の夢がどんどん近づいてきているようで最近はとても楽しい。アリアちゃん自体とは孤児院の手伝いも一緒にしているから最近はマブダチレベルだし。既に敬語も取り払われいるくらいだ。



 そんな風に私は上機嫌に生徒会の仕事を片付けていき、今日ついに生誕祭の当日を迎えた。



















 孤児院ではいつもより豪勢な食事が出ている。豪勢とは言っても世間一般的には質素なレベルだろうが。



 子供達は手作りのプレゼントを交換し合っている。そして、私も子供達からもらったのでお返しをあげる。最近ではすっかり私にも懐いており、じゃれついてくるようになっている。





「コーネリアお姉ちゃん、これ僕が作ったんだよ!お姉ちゃんにあげる」





 石が綺麗に磨かれており、宝石のようになっている。ここまで丁寧に磨くのには時間がかかっただろう。

 頭を撫でながら褒める。





「凄いわね。これは世界にたった一つの宝石ね。ありがとう、大切にするわ」



「えへへー」





 その後もいろいろなものを貰った。

 そして、プレゼントをくれる子の中には鼻水が垂れていたり、食べ物を口の周りにくっつけている子がいるのでその世話をしていく。





「あーもう。口の周りにたくさんついているじゃない。この食いしん坊さん」



「だって美味しいんだもん。でも、ありがとう!」





 今日は子供達の笑顔がいつもより輝いている。お祭りはお金が無くて楽しめないが、それでもその雰囲気を味わっているのだろう。とても楽しそうだ。





 そんなことをしていると気づいたら夕方になっていた。



 今日の夕食は既に準備されているので特に準備することは無い。それぞれが置いてある食べ物を食べる形式になっているのでこのままお手伝い組も解散となる。





 王子はどこからか見ていたはずだが、このイベントでは会話パートは発生しない。



 アリアちゃんがちゃんと外から見える位置にいたのは把握していたし、恐らくどこからか見ていただろう。



 今回のイベントは見て楽しむタイプのものではないので、発生さえいしていればそれでいい。



 足りないところは妄想で補えるし。ふっふっふ。



















 そして、二日目のパーティの日、学院のダンスホールに王子と連れ立って入る。



 男性の位の低い者から順番に入っていくので私達は最後となる。中に入ると、拍手で出迎えられた。



 そして、一曲目が始まる。最初の曲は礼儀して、踊る必要があるので王子と踊っていく。





 ダンス自体はしっかり体に刷り込まされているので特に問題は無い。王子も涼しい顔で踊ってり、リードしくれる。



 曲が流れ始め少しすると、王子がこちらに話しかけてきた。



 ダンスの合間に断続的な言葉が投げかけられる。





「今日、前から話に聞いていた孤児院を見に行ったよ」



「そうなのですか?」



 知ってはいるが、知っているのはおかしな話なのでとぼける。





「君は子供達の前ではまた違う顔をしていた」



「そうかもしれないですね」



 いや、私じゃなくてアリアちゃんの情報を早う。





「私はこれまで、心惹かれるものがあまり無かった」



「そうなのですか?」



 おっと、そろそろ本題に入るのかな。





「だが、最近は気になるものができた」



「それはどういうものでしょうか?」 



 もうすぐ曲が終わる。会話が断続的になり過ぎてまどろっこしいな。





「君だ」





 そして、余韻を残しながら曲が終わる。同時に私も不自然な状態で動きを止める。





「皆、聞いてくれ」





 周りの注目が集まる。頭が真っ白になる。いや、待って、何をこの人は言おうとしている?





「コーネリア。今日、私は正式に君との婚約を拒否する。だが、これは君に誠実でいるためのことだ。わかってくれ」





 タイミングは全く違うが、最初のセリフは同じだ。





「君は、恐らく私に対して愛を抱いてはいないだろう。さすがに嫌われてはいないと思うが。

 今日まで、君を想う公爵家の皆やアリディアとたくさん話し合い、そして、君が一番幸せになれる道を見つけられるよう意見を出し合った。

 そしてこの答えに至った。一度全てを白紙に戻す。君が自分で選べるように」





「だが、勘違いしないで欲しい。私は君を手放したいわけじゃない。むしろ逆なんだ」





 私の頭が追い付く前に、王子は言葉を重ねてくる。

 そして、強い意志をその目に宿らせ、口を開く。







「コーネリア。最近は君から目が離せない。自分に正直で、色々な表情をする君を。まるで空のように様々な一面を見せてくれる君を」





「これまで私は、自分の感情を排して物事を考えてきた。だが、私も少し自分に正直に生きて見ようと思う」





「これが愛なのかはわからない、だから、君にもう少し近づいてみようと思う。覚悟しておいてくれ」











 どうやら、私は頭をもう一度悩まなくてはならないらしい。



 ハーレムルートがあるなんて聞いていない。































































【ゲームにおける本来のセリフ】





「コーネリア。今日、私は正式に君との婚約を拒否する。だが、これは君に誠実でいるためのことだ。わかってくれ」



 そして、アリディアに顔を向け王子は口を開く。





「アリディア。最近は君から目が離せない。自分に正直で、色々な表情をする君を。綺麗な心を持つ君を。」





「これまで私は、自分の感情を排して物事を考えてきた。だが、私も少し自分に正直に生きて見ようと思う」





「これが愛なのかはわからない、だから、君にもう少し近づいてみようと思う。

 覚悟しておいてくれ。」
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