婚約者を喪った私が、二度目の恋に落ちるまで。

緋田鞠

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 夜会までの日々に、大きな変化はなかった。
 私は相変わらず、定時に出仕して定時に帰宅していたし、レニが家庭教師やビンゲン夫人との勉学に励んでいた事も変わらない。
 バーデンホスト侯爵家からの接触も、特になかった。
 レニの妹であるリアーヌ嬢と、クリントヴォルト侯爵家の次男との婚約が王宮に申請された、と従兄上に聞いていたが、その婚約について、公にされる事もなかった。
 恐らくは、婚約式を執り行う為の準備に、時間が掛かっているのだろう。
 高位貴族である侯爵家と侯爵家の婚約となれば、招待客の数も多くなるものだし、盛大に執り行う必要がある。
 婚約式もないまま、ギュンター・ファルクにレニを嫁がせようとした事が、異例なのだ。
「旦那様、お待たせ致しました」
 夜会の準備を終え、共用の居間で寛いでいた私の元へ、アネットに誘われたレニが足を運ぶ。
 その姿を見て、思わず、息を飲んだ。
「…ジークムント様…?」
 少し不安気な、レニの細い声。
 アーベルバッハ家にやって来て、半年。
 体つきこそ、しっかりとして来たが、彼女の細い声は生来のものだったのか、大きくは変わらない。
「…とても、よくお似合いです」
 胸が一杯になって、振り絞るように、声を出した。
 掛け値なしの本音を、世辞とでも思ったのだろう。
 レニは、はにかむように微笑んだ。
「有難うございます。ジークムント様に見立てて頂いたお陰です」
 リラの淡い紫に染められたシルクシャンタンは、生地そのものに陰影が出来ている。
 胸元が大胆に開けられた中、右肩にあしらわれた立体的な布花がポイントだ。
 花からドレスの裾に向かって、蔦を模した濃紫の刺繍が、斜めに施されている。
 スカート部分のボリュームを控え、装飾も布花だけにしてあるので、既婚者らしい品があると同時に、シャンタンを選んだ事で、固くまとまり過ぎずに、若さも表現出来ているのではないだろうか。
 何よりも目を引くのが、花を象ったアメジストの一揃えだろう。
 蔦の刺繍と色合いが近いのもあり、ドレスに合わせて誂えたかのようだ。
 アメジストの髪飾りで、栗色の髪はゆったりとまとめ上げられ、細く白いうなじがさらされている。
 布花と干渉しないよう、短めに巻かれた首飾りが、鎖骨の窪みに添うように馴染んでいた。
 紫の濃淡だけで構成された姿は、想像以上にレニに合っている。
「いいえ、貴方が美しいからですよ」
 飾り立てずとも、レニは美しい。
 しかし、初めて、公爵夫人として人前に立つに辺り、着飾るのは必要な事だ。
 思えば。
 イルザは夜会に出る際、常に私の瞳に似た暗い紫を身に着けていたが、黒髪に深緑の瞳の彼女には、些か重たい色だった。
 紫は紫でも、もっと明るい色にしてみては。
 無理に、私の色を使う必要はない。
 君に最も似合う色を着て欲しいんだ。
 そう何度伝えても、
「私が、貴方の色を身に着けたいの。…ダメ?」
と、潤んだ瞳で言われてしまえば、断る事等、出来ない。
 愛する人に、『私の色』を纏いたいのだ、と言われて、独占欲が満たされたのも、事実だ。
 …だが。
 あれは、いつだったか。
 私がイルザの隣を離れ、飲み物を取りに行っている間の事だ。
 彼女が、周囲を取り巻く令嬢に問われて、こう答えたのを聞いた事がある。
「えぇ、そうよね。黒髪の私が着ると、少し重苦しいでしょう?でも、ジークが私に、どうしても彼の色を身に付けて欲しい、って言うのよ。愛する人の頼みですもの、叶えたいのですわ」
 誰、誰言った言葉なのか。
 主語が変われば、意味合いは異なってくる。
 周囲のご令嬢は、
「イルザ様は、ジークムント卿に愛されていらっしゃるのですね」
と、目をキラキラさせていて、イルザが喜ぶのならそれでいい、と流したけれど…真実は、違う。
 望んだのはイルザであって、私ではない。
 そうだ。
 当時も小さな引っ掛かりを覚えたのに、イルザが傍にいる幸福を優先して、目を背けていた。
 彼女は、私の色を纏う事で、恋人に愛されている自分を、演出していたのだろう。
 結果として、周囲の声が私達の婚約を後押ししてくれたから、それが、間違った事だとは思わない。
 けれど、それならば、そうと私に伝えて欲しかった、と思うのは、我儘なのだろうか。
 詮無い思いに、一つ、首を横に振る。
 緊張した様子のレニへと、目を向けた。
「大丈夫です。ビンゲン夫人の太鼓判を受けたでしょう?貴方は何処から見ても、麗しい公爵夫人ですよ」
「ジークムント様…」
 おずおずと顔を上げたレニは、教わった通りの淑女の微笑を頬に浮かべ、差し伸べた私の手に、小さな手を重ねる。
 初めて彼女をエスコートした時よりも、しっかりと重ねられた手に、何だか胸が一杯になった。
「参りましょうか」

 私は日頃、王宮で仕事をしているが、執務を執る為の棟と、夜会の開かれる棟は違う。
 レニがアーベルバッハ家に嫁いでから、私は一切、夜会に顔を出していない。
 だから、私にとっても半年以上振りの夜会だった。
 久し振りに顔を出した私が、女性をエスコートしている事に、人々の視線が集まる。
「流石に、今夜の夜会には顔を出すようだな、アーベルバッハ公爵」
 真っ先に声を掛けて来たのは、真っ白になった髪を丁寧に後ろに撫でつけた老齢の男性だった。
 ラーデンブルク公爵だ。
 太い眉にぎょろりとした目玉、私よりも三十は年上の筈だが、丸太のように太い腕にがっしりとした体躯が、威圧感を与える。
 そして、何よりも特徴的なのが、彼の顔右半分に刻まれた傷跡だ。
 縦方向に向かって、三本の傷跡が、引き攣るように盛り上がり、自己主張している。
 傷跡を隠す理由か頬髯を蓄えているが、傷跡には髯が生えない為、却って、彼の威容を強調しているように見える。
 この傷は、陛下が王太子だった時代、暗殺を企んだ者がけしかけた大型野獣から、体を張って守られた際に、つけられたものと聞いた。
 野獣の巨体に臆する事なく振るった剣は心臓を突いたものの、腕の長さの差は如何ともしがたく、顔、そして体に深い傷を負ったのだ。
 一時期は、命をも危うい状態に陥ったそうだ。
 当時、独身だったラーデンブルク公爵は、公爵家嫡男でありながら、怪我を負った事で縁談が激減。
 怪我から回復した後も、元々、魁偉な容貌だった事に加え、顔に負った傷に脅えたご令嬢達が縁談を辞退し、ご結婚が遅くなったと聞いた。
 最終的に、遠縁の子爵家令嬢だったご夫人と結婚。
 お二人の結婚は、家の存続の為に決められたものだったが、夫婦となってからは、睦まじく過ごしていらしたらしい。
 今、彼が一人なのは、元々、頑健な性質ではなかったご夫人が、数年前に儚くなられたからだ。
 今でも、話には聞いていても、実際にラーデンブルク公爵と対面すると、その威容に飲まれて怯え、膝が震えて、挨拶すらまともに出来ないご令嬢は多い。
「…ご無沙汰しております、ラーデンブルク公爵」
 私に倣い、レニもまた、美しい礼を執った。
 元騎士団長であるラーデンブルク公爵は、他家の事でありながら、私とイルザの婚約に異議を申し立てた一人だった。
 引退した今でも、騎士団への影響力は大きい。
「こちらのご夫人を、紹介して頂けるかな?」
 未婚のご令嬢は、髪を下ろしている。
 対して、既婚者は、髪をまとめ上げている。
 髪型を見れば、未婚者か既婚者かは一目瞭然だ。
「妻のレニです」
「お初にお目に掛かります、レニ・アーベルバッハでございます」
 私の視線を受けて、レニが名乗る。
 一見すると小心に見えるレニが、ラーデンブルク公爵の強面な容姿に怖気づいたり、怯えたりする事なく、挨拶した事に、彼は、僅かに片眉を上げた。
 貴族女性は内心を押し隠す術に長けているが、心中に脅えや恐れを抱いていれば、それは、視線やちょっとした仕草に表れるものだ。
 だが、レニには一切、その様子がなかった。
「…姿を見ぬ間に、ご結婚されていたか。失礼、ご夫人。わしは、フリードリヒ・ラーデンブルクと申す者。以前は騎士団を預かっておったが、今は、当主とは名ばかりの隠居の身よ」
 ラーデンブルク公爵は、名乗った後に、軽く首を傾げる。
「わしは職業柄、人の顔を覚えるのに長けている。だが、ご夫人とは真実、初対面のようだ。どちらの家のご出身か、尋ねてもよろしいかな?」
 レニに掛ける声が、私に掛けるものよりも柔らかいのは、レニの大人しやかな外見に合わせてだろうか。
 確か、亡くなられたラーデンブルク夫人も、穏やかな女性だった。
「…バーデンホスト侯爵が長女にございます」
 レニは、小さく、だが、はっきりと答えた。
 レニ・バーデンホスト。
 ギュンター・ファルクの件から半年以上経っているが、その名を、悪女の名として記憶している者は、少なくない筈だ。
「バーデンホスト侯爵の」
 ラーデンブルク公爵の言葉に、周囲の目が、一層集まる。
 元騎士団長だからか、彼の声は、太くてよく通る。
「と、言うと…婚約者を亡くした者同士が添うたと言うわけか」
 彼もまた、レニの噂を知っていたようだ。
「えぇ。…とは言え、妻に関しては、余りにも実情と異なっておりますが」
「…ほう?」
 関心は引けたようだが、これ以上、この場で言葉を重ねるのは良策とは言えない。
 私はただ、にこりと笑って、追及を躱した。
「この話は、此処までに致しましょう。今宵は、各国のお客人もお見えですから」
「あぁ、そうだな」
 だが、ラーデンブルク公爵は、すっと目を眇めて、レニを見ている。
「あぁ…ご夫人とお会いした事はないが、どうも既視感があると思ったら。お母上は、エアハルト家ご出身のマルグリット夫人かな?」
 レニは、動揺した様子も見せずに、貴族女性らしい完璧な笑みを浮かべた。
「はい。マルグリットは、母でございます」
「そうか、やはり。ふむ…そうか」
 何事かを考えている様子で、ラーデンブルク公爵はじっとレニを見つめていたが、ふ、と息を抜いて笑った。
「あぁ、すまないな。ちと、わしの中で腑に落ちただけだ。わしは、レオンハルト殿下が学院におられた際に、何度か護衛の確認で足を運んだ事があってな。在学中のお母上を見掛けた事があるのだよ」
 ――ラーデンブルク公爵は、私の期待した以上に動いて下さった。
 レニの母親は、ウルリーケ夫人ではない。
 二十年前に取り潰しになったエアハルト家の、マルグリット夫人だ。
 このキーワードがあれば、レニとギュンターの婚約騒動が、リアーヌ嬢の言った通りのものではない事位、聡い人々、特にこの場にいるような各家当主なら、気が付く。
 レニは、小柄で細身ではあるが見るからに病弱ではなく、貴族女性としての立ち居振る舞いに問題はなく、強面のラーデンブルク公爵相手に一歩も引かずにしっかりと応対しているのだ。
 学院に通わず、社交界デビューをしなかったを、彼等は勝手に推理してくれる事だろう。
 成人して直ぐにバーデンホスト家に嫁いだマルグリット夫人は、レニ同様、社交界に顔を出した事はない。
 何しろ、結婚後、屋敷から出る事がなかったのだから。
 だが、今夜の夜会にいる当主夫妻には、マルグリット夫人と同世代も多い。
 マルグリット夫人が、マティアスが言うように学院内で目立っていたのならば、彼女の名と顔に覚えのある者は少なくない筈だ。
 恋愛結婚とされながらも、バーデンホスト侯爵が正妻のマルグリット夫人ではなく、ウルリーケ夫人を社交界に伴っていた事。
 バーデンホスト家が、当時、多額の借財を抱えていた事。
 マルグリット夫人の実家であるエアハルト家は、裕福な家だった事。
 当時、バーデンホスト侯爵家にあった醜聞を、各自が思い出した事だろう。
「ところで、ご夫人。わしが耄碌しておらんのであれば、今宵の夜会が、初めての社交の場である筈。…わしを見て、怖いとは思わんのかね?」
 ラーデンブルク公爵らしい真っ向からの物言いに、レニは束の間、社交のマナーを忘れ、きょとんとした顔を見せた。
 そのような顔をすると、まだ十代の娘にしか見えない。
「…申し訳ございません、仰る意味がよく判りません。何故、公爵様を恐れるのでしょう?」
「わしの顔には、傷がある」
「はい。陛下をお守りされた際に、受傷なさったと伺っております」
「この傷跡は、醜いだろう?」
「いいえ。これ程の深傷を負われながら、騎士団長としてのお勤めを果たされ続けた事に、感服しております」
 言葉だけなら、幾らでも取り繕える。
 だが、レニの目には、真心しか映っていない。
 それは、多くの人を見て来たラーデンブルク公爵には、一目瞭然の筈だ。
「…そうか。アミアと…妻と同じ事を言うのだな」
 ラーデンブルク公爵が、珍しく淡い笑みを浮かべ、小さく呟いた。
「ご夫人。今宵はどうか、楽しんで欲しい。アーベルバッハ公爵、また、いずれ、な」
「はい、ラーデンブルク公爵」
「お言葉、有難うございます、公爵様」
 レニにそれとなく視線を向けていた人々も、何気ない様子で目を逸らす。
 レニが、社交界で受け入れられるかどうか。
 その第一関門は、これで、突破したと考えていいだろう。
 
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