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一章 屋敷編
第10話 三兄妹の涙と約束――失った絆をもう一度
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まぶたの裏を、淡い光がゆっくりと撫でていく。暗闇の底に沈んでいた意識が、少しずつ浮かび上がってきた。重たい身体の輪郭が戻ってきて、布団の柔らかさや、包帯の締めつけがはっきりと分かる。
(……ここは。)
ゆっくりとまぶたを開ける。視界が白く滲み、やがて焦点が合っていく。見慣れた天蓋付きの天井。窓辺のカーテン越しに差し込む、朝の光。自分の部屋だと分かった。息を少し深く吸った瞬間――
「……っ。」
脇腹に鋭い痛みが走り、思わず息を呑む。包帯の下が、じんじんと熱を持っている。顔を横に向けたとき、ベッドのすぐ隣に置かれた椅子が目に入った。椅子に座ったまま、布団の端に上半身を預けるようにして、少年が眠っている。アランだった。
腕を組んで、その上に額をつけ、前屈みになったまま。首も背中も痛くなりそうな、苦しそうな体勢だ。髪はぐしゃぐしゃで、制服には皺が寄っている。
(……そんな格好で寝てたのかよ、お前。)
苦笑めいた息が、胸の奥でかすかに漏れた。アランのまぶたのあたりは、うっすら赤く腫れている。きっと泣いたのだろう。そのとき、扉が開く小さな音がした。
「レオナール様、様子を――……えっ。」
「レオナール様……!? 目を……!」
控えめに入ってきたエマとルカスが、こちらを見て目を見開いた。
「……おはよう。」
掠れた声でそう言うと、二人ははっとしたように駆け寄ってくる。
「レ、レオナール様! 本当に、目を覚まされたんですね……!」
「よかった……本当によかった……」
エマの大きな瞳に、涙が一気にあふれた。ルカスも珍しく感情を隠しきれず、胸に手を当てて深く息を吐く。
「……ずいぶん心配かけたみたいだな。悪かった。」
俺がそう言うと、エマは慌てて首を横に振った。
「ち、違います……! レオナール様がご無事で……それだけで……!」
「そうです。何よりも、それが一番です。」
ルカスが、いつもの落ち着いた口調に戻りながら、静かに説明を続ける。
「レオナール様は、丸一日と半日……眠っておられました」
「……一日と、半日?」
想像していたより、ずっと長い。身体の重さと脇腹の痛みが、その時間の長さを物語っていた。
「屋敷中が大騒ぎでした。旦那様も奥様も、アラン様も……交代でずっと側を離れず……」
ルカスの視線が、椅子で眠るアランへと向かう。俺もつられてそちらを見て、苦笑を浮かべる。
「……見れば分かるよ。ありがとな。」
そう言うと、エマが涙を指でこすりながら言った。
「お、奥様と医師にお知らせしてきます! それから……」
「俺は旦那様に。すぐ戻ります。」
ルカスが丁寧に頭を下げ、エマと共に扉の方へ向かう。扉が開いた、その瞬間。
「あの……エマ、ルカス……レオナール兄様は……?」
控えめな声とともに、小さな影が廊下に立っていた。セリーヌだ。薄い寝間着の上にカーディガンを羽織り、胸元でぎゅっと布を握りしめながら、こちらを不安そうに覗きこんでいる。
「セリーヌ様……!」
エマとルカスが驚く間もなく、セリーヌは部屋の中へ一歩踏み出した。
「レオナール兄様は……?」
不安と期待が入り混じった視線が、ベッドの上の俺を捉える。その瞳が大きく見開かれた。
「……レオナール兄様……!」
すぐに飛び込んでこない。足が床を踏み締めたまま、まだそこで止まっている。怖かった記憶は、簡単には消えないらしい。
「セリーヌ。」
俺はできるだけ穏やかに呼びかけた。
「俺はちゃんとここにいるよ。……近くまで、おいで。」
セリーヌはびくりと肩を震わせ、小さく唇を噛んだ。それでも、ゆっくりと、一歩ずつ近づいてくる。ベッド脇まで来る頃には、目元に涙が溜まっていた。
「……レオナール兄様……本当に……目が覚めたの……?」
「ああ。心配かけたな。」
そう言って、そっと手を差し出す。セリーヌは一瞬ためらったが、意を決したように小さな手を伸ばし、俺の指先に、きゅっと触れた。その瞬間、堰を切ったように涙がこぼれ落ちる。
「よかったぁ……っ……! いなくなっちゃったかと……思ったの……!」
震える声でそう言いながら、セリーヌは肩を震わせた。
エマとルカスは、その光景をそっと見届けると、一礼して退室していった。部屋には俺とアランとセリーヌの三人だけが残る。
「……アラン。」
俺は、椅子に伏せたままの弟の肩に、そっと手を置いた。
「起きろ。いつまで寝てるんだ。」
「……ん……?」
アランが、ゆっくりと顔を上げる。寝ぼけた瞳がこちらを捉え、数拍の沈黙のあと――
「……兄上っ!?」
一気に目が覚めたらしい。椅子をきしませながら立ち上がり、今にも飛びつきそうな勢いで近づいてくる。
「兄上、起きたんですね……!? 」
「起きたよ。そんな大声出すな。痛い」
「す、すみません……!」
そう言いつつも、アランの目尻にはすでに涙が滲んでいる。セリーヌも隣でしゃくり上げていた。俺は二人の顔を順番に見て、小さく息を吸い込んだ。
「……アラン。セリーヌ。話したいことがあるんだ。」
二人は揃ってこちらを見る。
「まずは……お前から、かな。アラン。」
名を呼ぶと、アランはぎゅっと拳を握り、身を固くした。
「森の件もあるけど……その前から。お前、俺に言いたいことがあるだろ。」
促すと、アランは唇を強く噛み、やがて震える声で口を開いた。
「……僕……兄上が、怖かったです。」
絞り出すような言葉だった。
「使用人に怒鳴って、セリーヌを泣かせて……母上を困らせて……僕のことも、睨んで……」
記憶をなぞるように、ぽつりぽつりと言葉が零れる。
「兄上が変わってからも、正直……すぐには信じられませんでした。急に優しくなって……笑うようになって……どうしていいか分からなくて……」
涙が一筋、頬を伝う。
「森に迷い込んだのも、僕が愚かだったからです。兄上を巻き込んで……怪我させて……本当に……ごめんなさい……!」
その言葉は、ずっと胸の中に溜めていたものなのだろう。こらえきれない感情が涙と一緒に溢れていく。
「兄上が来てくれなかったら、僕……今ここにいないかもしれないって……思うと……怖くて……!」
アランは涙でぐしゃぐしゃになりながら、深く頭を下げた。
「謝っても足りないくらいです……! ごめんなさい……!そして……助けてくれて、ありがとうございました……!」
隣で聞いていたセリーヌも、耐えきれずに鼻をすすった。俺はしばらく黙って二人を見つめてから、静かに口を開いた。
「……アラン。セリーヌ。謝らなきゃいけないのは、俺の方だ。」
二人の肩がびくりと揺れる。
「前の俺は……兄だから、しっかりしないといけないって思ってた。」
自分の胸に意識を向けながら、言葉を探す。
「父上にも母上にも、うまく甘えられなかった。怒られたくないって気持ちばかり強くて……でも、本当は俺だって、褒めてほしくて、抱きしめてほしくて……」
子どもみたいな感情だと、自分で思う。それでも、今は隠さないと決めていた。
「お前たちが笑って抱きしめられてるのを見て、羨ましいって思ってた。俺もああしてほしいって思ってた。でも、兄だから我慢しないといけないって……勝手に自分で決めてた。」
アランが、はっとしたように顔を上げる。
「我慢し続けて……誰にも言えなくて……そんな気持ちが、どんどん苦しくなっていって……最後には、怒ることでしか感情が出せなくなった。」
使用人に当たり散らした日々。セリーヌを泣かせ、アランを睨みつけ、母の顔を曇らせた日々。
「……怖かったよな。嫌だったよな。ごめんなさい。二人に、ひどい兄で本当に申し訳ありませんでした。」
ベッドの上から頭を下げると、アランとセリーヌの瞳から、一斉に大粒の涙がこぼれた。
「兄上……!」
「あ、あたし、レオナール兄様……ずっと、こわくて……でも……っ!」
セリーヌは震えながら、必死に言葉を紡ぐ。
「最近のレオナール兄様は……優しくて……お菓子作ってくれたり……前と違って……どうしていいか分かんなくて……でも……」
しゃくり上げながら、ぎゅっと俺の手を握る。
「本当は……前から、好きだったの……!こわかったけど……ずっと……大好きで……!」
胸の奥が、強く締め付けられる。こんなに小さな妹に、どれほど我慢を強いていたのか。ようやく、その重さをきちんと受け止められる気がした。
「俺は……変わりたいと思ったんだ。」
二人の手を包み込みながら、静かに続ける。
「怖がらせる兄じゃなくて……頼ってもらえる兄になりたい。守れなかったって後悔を、もうしたくない。だから、お前たちとちゃんと向き合いたい。」
アランとセリーヌが、涙で濡れた瞳で俺を見つめる。
「これからは……嫌なことは、嫌だって言ってくれ。寂しいときは、寂しいって言ってくれ。俺も……ちゃんとそうするから。」
言葉を区切りながら、ひとつひとつ渡していくように話す。
「それでも……こんな兄の隣にいたいって思ってくれるなら……一緒に歩いてほしい。俺は……お前たちと一緒にいたい。」
少しの沈黙ののち――
「……いたいです!」
アランが、迷いのない声で叫んだ。
「僕、兄上の隣にいたいです!怖かったことも、嫌だったこともあります……。でも、森で助けてくれたの、忘れません……。今の兄上となら……僕、ちゃんと兄弟でいたいです!」
セリーヌも、涙を拭いながら頷いた。
「あ、あたしも……!こわいレオナール兄様は、もう嫌だけど……でも、今のレオナール兄様は……好き……!いっしょに、いたい……!」
その言葉に、胸の奥がじんと熱くなった。
「……ありがとう。」
絞り出すように呟く。
アランもセリーヌも、安心したのか、さらにわんわん泣き始めた。泣き疲れてきたのか、しばらくするうちにアランのまぶたが重たそうに落ち始める。長い間まともに眠っていなかったのだろう。あくびを噛み殺しながら、ふらりと椅子の背にもたれかかった。
「……アラン。無理するな。眠いなら、ちゃんと寝ろ。」
「で、でも……兄上のそばに……」
「ここで椅子の上で寝ても、また変な格好になるだけだろ。ベッド、空いてるんだから。ほら。」
ゆっくりと片手で布団の端を持ち上げ、スペースを作る。
アランは一瞬きょとんとして、それから迷うように視線をさまよわせた。
「で、でも……僕がベッドなんて……」
そのとき。
「あたし、入る!」
先に動いたのはセリーヌだった。ちょこんとベッドに腰を乗せると、遠慮がちに俺の足元の方へもそもそと潜り込んでくる。
「レオナール兄様といっしょがいい……!」
小さな手が、布団の上からきゅっと俺の服の裾をつまんだ。
「ほら。セリーヌもこう言ってるし。」
俺がアランを見ると、アランは少しだけ笑って、照れくさそうに視線を逸らした。
「……じゃあ、少しだけ。」
そう言って、恐る恐るベッドの端に腰を下ろす。横になると、途端に全身から力が抜けたのか、大きく息を吐いていた。セリーヌは満足そうに目を閉じ、俺の腕のあたりに頭を寄せる。
アランは反対側で、軽く背中を向けつつも、布団を握る手がほんの少しこちらに伸びてきていた。
(……あったかいな。)
心の中で誰にも聞こえない声が漏れる。俺自身も、起きたばかりなのにずいぶん喋ってしまった。脇腹の痛みがじんわりと熱に変わり、瞼が重くなる。
「……少しだけだぞ。」
誰にともなく呟いた言葉が、意識の底に沈んでいった。また暗闇に沈む感覚。けれど今度は、不思議と怖くなかった。左右に伝わる、弟と妹の体温が、静かに意識を撫でていた。
どれほど時間が経っただろうか。そっと扉が開く音がして、廊下から淡い光が差し込んだ。
「レオナール……?」
小さな囁き声。入ってきた母は、ベッドの様子を見て、目を丸くした。レオナールを真ん中に、左右にぴったり寄り添うアランとセリーヌ。三人とも穏やかな寝顔で、規則正しい寝息を立てている。母は口元に手を当て、ふっと微笑んだ。
「……ふふ。やっと……ね。」
涙がにじみそうになるのを、そっと瞬きで誤魔化す。起こしてしまわないように、足音を殺して近づき、ずれかけた布団をそっとかけ直した。
「いい夢を見てね、レオナール、アラン、セリーヌ。」
小さくそう呟き、三人の頭を一度優しく見つめてから、母は静かに部屋を後にした。
翌朝。
鳥の声と、窓の隙間から入り込む冷たい空気で、俺は目を覚ました。
(……ん。)
ゆっくりと身を起こす。脇腹はまだ痛むが、昨日より少し楽になった気がする。左右に視線を向けると、そこにはもう誰もいなかった。アランもセリーヌも、夜のうちに部屋に戻ったのだろう。まだかすかに残る温もりだけが、その名残を伝えている。扉がノックされる音がした。
「レオナール様、失礼いたします。」
医師と、母が入ってきた。
「おはようございます、レオナール様。本日は……いかがですか。」
「おはようございます。少し、楽になった気がします。」
医師は脇腹の包帯を慎重に確認し、頷いた。
「経過は良好です。ただし、まだ絶対安静です。起き上がるのも、今くらいの時間にとどめてください。」
「分かりました。」
母がそっと微笑み、ベッドのそばに腰を下ろす。
「昨日は……三人で仲良く眠っていたわね。」
少し意地悪くも優しい声音だった。
「……入らしてたんですね。」
「ええ。とても、いい顔で眠っていたわ」
母の瞳は柔らかく、どこか誇らしげに見えた。医師と母が「今日は本当に休むこと」と念を押して部屋を出ていき、少し時間を置いてから、再び扉が叩かれる。
「レオナール。」
低く落ち着いた声。父だ。
「どうぞ、父上。」
父が入ってきて、まっすぐこちらを見る。表情はいつも通り厳しく引き締まっているが、その目の奥にはどこか柔らかさも滲んでいた。
「体調はどうだ。」
「痛みはまだありますが……昨日よりは楽です。」
「そうか。」
短く答え、父は脇腹に巻かれた包帯に視線を落とす。
「アランから聞いた。森でのことだ。」
胸の奥が少しだけ強く鼓動した。
「迷い込んでいたアランを見つけ、守ったそうだな。」
「……はい。」
「よくやった。」
簡潔な言葉。それでも、その一言に込められた重さは大きかった。
「お前の判断と行動が、アランの命を救った。それは決して小さなことではない。」
思わず息を飲む。
「……ありがとうございます、父上。」
「だが。」
父の声が少しだけ低くなった。
「己の身も守れ。お前は長男だ。背負うものは多い。無茶をして倒れては、守れるものも守れん。」
「……はい。肝に銘じます。」
素直にそう答えると、父はわずかに目を細めた。
「……以前のお前とは違うな。」
ぽつり、と呟く。
「何があったかは……無理に聞かん。だが今の変化を、私は悪いものとは思っていない。」
そう言って背を向け、扉の前で一度だけ振り返った。
「よく、生きて戻った。……それで十分だ。」
心の奥が、じんわりと熱くなる。
「ありがとうございます、父上。」
深く頭を下げると、父は小さく頷き、静かに部屋を後にした。
それから一月が経った。
脇腹の傷はすでに塞がり、痛みもほとんど消えている。医師からも、軽い運動なら許可が出た。
庭園の一角。訓練用の広場に立ち、俺は木剣を握りしめる。冷たい空気が肺に流れ込んでいく。軽く足を開き、構えを取る。
(あの森で思い知った。俺はまだ弱い。)
弟も、妹も、領地も守りたい。父と母にも、胸を張れるようになりたい。
そのためには――
「もっと、強くならないとな。」
木剣を振り下ろす。空気を裂く音が耳に心地いい。何度も振り、足さばきと体重移動を確かめる。汗が額を伝い、脈が早くなる。
休憩がてら、今度は魔力を練る。掌の上に小さな光の球を灯し、弾けさせる。風を生み、弱い衝撃波を放ち、すぐに消す。以前より、魔力の流れが自分のものになっている感覚があった。
「兄上ー!」
元気な声が、庭に響く。振り向くと、訓練服姿のアランが駆けてきていた。手には、自分専用の模擬剣。
「やっぱりここにいた。……あの、兄上。」
「どうした。」
「僕も一緒に……いいですか。僕も、強くなりたいです。」
森での出来事を思い出しているのだろう。アランの瞳には、迷いよりも決意の色が強く浮かんでいた。
「……ああ。もちろんだ。」
口元が自然と笑みを形作る。
「じゃあ今日は、お前の相手をしてやるよ。」
「はいっ!」
アランは嬉しそうに返事をし、俺の向かいに立って構えを取る。二人で木剣を交えれば、まだまだアランの腕は拙い。けれど、真剣な眼差しと一歩一歩の踏み込みは、確かに前を向いていた。木剣がぶつかり合う音が、澄んだ空へと吸い込まれていく。
その音は、少し前までバラバラだった兄弟の心が、今は同じ方向を向いて並び立っているということを、静かに教えてくれているようだった。
(……ここは。)
ゆっくりとまぶたを開ける。視界が白く滲み、やがて焦点が合っていく。見慣れた天蓋付きの天井。窓辺のカーテン越しに差し込む、朝の光。自分の部屋だと分かった。息を少し深く吸った瞬間――
「……っ。」
脇腹に鋭い痛みが走り、思わず息を呑む。包帯の下が、じんじんと熱を持っている。顔を横に向けたとき、ベッドのすぐ隣に置かれた椅子が目に入った。椅子に座ったまま、布団の端に上半身を預けるようにして、少年が眠っている。アランだった。
腕を組んで、その上に額をつけ、前屈みになったまま。首も背中も痛くなりそうな、苦しそうな体勢だ。髪はぐしゃぐしゃで、制服には皺が寄っている。
(……そんな格好で寝てたのかよ、お前。)
苦笑めいた息が、胸の奥でかすかに漏れた。アランのまぶたのあたりは、うっすら赤く腫れている。きっと泣いたのだろう。そのとき、扉が開く小さな音がした。
「レオナール様、様子を――……えっ。」
「レオナール様……!? 目を……!」
控えめに入ってきたエマとルカスが、こちらを見て目を見開いた。
「……おはよう。」
掠れた声でそう言うと、二人ははっとしたように駆け寄ってくる。
「レ、レオナール様! 本当に、目を覚まされたんですね……!」
「よかった……本当によかった……」
エマの大きな瞳に、涙が一気にあふれた。ルカスも珍しく感情を隠しきれず、胸に手を当てて深く息を吐く。
「……ずいぶん心配かけたみたいだな。悪かった。」
俺がそう言うと、エマは慌てて首を横に振った。
「ち、違います……! レオナール様がご無事で……それだけで……!」
「そうです。何よりも、それが一番です。」
ルカスが、いつもの落ち着いた口調に戻りながら、静かに説明を続ける。
「レオナール様は、丸一日と半日……眠っておられました」
「……一日と、半日?」
想像していたより、ずっと長い。身体の重さと脇腹の痛みが、その時間の長さを物語っていた。
「屋敷中が大騒ぎでした。旦那様も奥様も、アラン様も……交代でずっと側を離れず……」
ルカスの視線が、椅子で眠るアランへと向かう。俺もつられてそちらを見て、苦笑を浮かべる。
「……見れば分かるよ。ありがとな。」
そう言うと、エマが涙を指でこすりながら言った。
「お、奥様と医師にお知らせしてきます! それから……」
「俺は旦那様に。すぐ戻ります。」
ルカスが丁寧に頭を下げ、エマと共に扉の方へ向かう。扉が開いた、その瞬間。
「あの……エマ、ルカス……レオナール兄様は……?」
控えめな声とともに、小さな影が廊下に立っていた。セリーヌだ。薄い寝間着の上にカーディガンを羽織り、胸元でぎゅっと布を握りしめながら、こちらを不安そうに覗きこんでいる。
「セリーヌ様……!」
エマとルカスが驚く間もなく、セリーヌは部屋の中へ一歩踏み出した。
「レオナール兄様は……?」
不安と期待が入り混じった視線が、ベッドの上の俺を捉える。その瞳が大きく見開かれた。
「……レオナール兄様……!」
すぐに飛び込んでこない。足が床を踏み締めたまま、まだそこで止まっている。怖かった記憶は、簡単には消えないらしい。
「セリーヌ。」
俺はできるだけ穏やかに呼びかけた。
「俺はちゃんとここにいるよ。……近くまで、おいで。」
セリーヌはびくりと肩を震わせ、小さく唇を噛んだ。それでも、ゆっくりと、一歩ずつ近づいてくる。ベッド脇まで来る頃には、目元に涙が溜まっていた。
「……レオナール兄様……本当に……目が覚めたの……?」
「ああ。心配かけたな。」
そう言って、そっと手を差し出す。セリーヌは一瞬ためらったが、意を決したように小さな手を伸ばし、俺の指先に、きゅっと触れた。その瞬間、堰を切ったように涙がこぼれ落ちる。
「よかったぁ……っ……! いなくなっちゃったかと……思ったの……!」
震える声でそう言いながら、セリーヌは肩を震わせた。
エマとルカスは、その光景をそっと見届けると、一礼して退室していった。部屋には俺とアランとセリーヌの三人だけが残る。
「……アラン。」
俺は、椅子に伏せたままの弟の肩に、そっと手を置いた。
「起きろ。いつまで寝てるんだ。」
「……ん……?」
アランが、ゆっくりと顔を上げる。寝ぼけた瞳がこちらを捉え、数拍の沈黙のあと――
「……兄上っ!?」
一気に目が覚めたらしい。椅子をきしませながら立ち上がり、今にも飛びつきそうな勢いで近づいてくる。
「兄上、起きたんですね……!? 」
「起きたよ。そんな大声出すな。痛い」
「す、すみません……!」
そう言いつつも、アランの目尻にはすでに涙が滲んでいる。セリーヌも隣でしゃくり上げていた。俺は二人の顔を順番に見て、小さく息を吸い込んだ。
「……アラン。セリーヌ。話したいことがあるんだ。」
二人は揃ってこちらを見る。
「まずは……お前から、かな。アラン。」
名を呼ぶと、アランはぎゅっと拳を握り、身を固くした。
「森の件もあるけど……その前から。お前、俺に言いたいことがあるだろ。」
促すと、アランは唇を強く噛み、やがて震える声で口を開いた。
「……僕……兄上が、怖かったです。」
絞り出すような言葉だった。
「使用人に怒鳴って、セリーヌを泣かせて……母上を困らせて……僕のことも、睨んで……」
記憶をなぞるように、ぽつりぽつりと言葉が零れる。
「兄上が変わってからも、正直……すぐには信じられませんでした。急に優しくなって……笑うようになって……どうしていいか分からなくて……」
涙が一筋、頬を伝う。
「森に迷い込んだのも、僕が愚かだったからです。兄上を巻き込んで……怪我させて……本当に……ごめんなさい……!」
その言葉は、ずっと胸の中に溜めていたものなのだろう。こらえきれない感情が涙と一緒に溢れていく。
「兄上が来てくれなかったら、僕……今ここにいないかもしれないって……思うと……怖くて……!」
アランは涙でぐしゃぐしゃになりながら、深く頭を下げた。
「謝っても足りないくらいです……! ごめんなさい……!そして……助けてくれて、ありがとうございました……!」
隣で聞いていたセリーヌも、耐えきれずに鼻をすすった。俺はしばらく黙って二人を見つめてから、静かに口を開いた。
「……アラン。セリーヌ。謝らなきゃいけないのは、俺の方だ。」
二人の肩がびくりと揺れる。
「前の俺は……兄だから、しっかりしないといけないって思ってた。」
自分の胸に意識を向けながら、言葉を探す。
「父上にも母上にも、うまく甘えられなかった。怒られたくないって気持ちばかり強くて……でも、本当は俺だって、褒めてほしくて、抱きしめてほしくて……」
子どもみたいな感情だと、自分で思う。それでも、今は隠さないと決めていた。
「お前たちが笑って抱きしめられてるのを見て、羨ましいって思ってた。俺もああしてほしいって思ってた。でも、兄だから我慢しないといけないって……勝手に自分で決めてた。」
アランが、はっとしたように顔を上げる。
「我慢し続けて……誰にも言えなくて……そんな気持ちが、どんどん苦しくなっていって……最後には、怒ることでしか感情が出せなくなった。」
使用人に当たり散らした日々。セリーヌを泣かせ、アランを睨みつけ、母の顔を曇らせた日々。
「……怖かったよな。嫌だったよな。ごめんなさい。二人に、ひどい兄で本当に申し訳ありませんでした。」
ベッドの上から頭を下げると、アランとセリーヌの瞳から、一斉に大粒の涙がこぼれた。
「兄上……!」
「あ、あたし、レオナール兄様……ずっと、こわくて……でも……っ!」
セリーヌは震えながら、必死に言葉を紡ぐ。
「最近のレオナール兄様は……優しくて……お菓子作ってくれたり……前と違って……どうしていいか分かんなくて……でも……」
しゃくり上げながら、ぎゅっと俺の手を握る。
「本当は……前から、好きだったの……!こわかったけど……ずっと……大好きで……!」
胸の奥が、強く締め付けられる。こんなに小さな妹に、どれほど我慢を強いていたのか。ようやく、その重さをきちんと受け止められる気がした。
「俺は……変わりたいと思ったんだ。」
二人の手を包み込みながら、静かに続ける。
「怖がらせる兄じゃなくて……頼ってもらえる兄になりたい。守れなかったって後悔を、もうしたくない。だから、お前たちとちゃんと向き合いたい。」
アランとセリーヌが、涙で濡れた瞳で俺を見つめる。
「これからは……嫌なことは、嫌だって言ってくれ。寂しいときは、寂しいって言ってくれ。俺も……ちゃんとそうするから。」
言葉を区切りながら、ひとつひとつ渡していくように話す。
「それでも……こんな兄の隣にいたいって思ってくれるなら……一緒に歩いてほしい。俺は……お前たちと一緒にいたい。」
少しの沈黙ののち――
「……いたいです!」
アランが、迷いのない声で叫んだ。
「僕、兄上の隣にいたいです!怖かったことも、嫌だったこともあります……。でも、森で助けてくれたの、忘れません……。今の兄上となら……僕、ちゃんと兄弟でいたいです!」
セリーヌも、涙を拭いながら頷いた。
「あ、あたしも……!こわいレオナール兄様は、もう嫌だけど……でも、今のレオナール兄様は……好き……!いっしょに、いたい……!」
その言葉に、胸の奥がじんと熱くなった。
「……ありがとう。」
絞り出すように呟く。
アランもセリーヌも、安心したのか、さらにわんわん泣き始めた。泣き疲れてきたのか、しばらくするうちにアランのまぶたが重たそうに落ち始める。長い間まともに眠っていなかったのだろう。あくびを噛み殺しながら、ふらりと椅子の背にもたれかかった。
「……アラン。無理するな。眠いなら、ちゃんと寝ろ。」
「で、でも……兄上のそばに……」
「ここで椅子の上で寝ても、また変な格好になるだけだろ。ベッド、空いてるんだから。ほら。」
ゆっくりと片手で布団の端を持ち上げ、スペースを作る。
アランは一瞬きょとんとして、それから迷うように視線をさまよわせた。
「で、でも……僕がベッドなんて……」
そのとき。
「あたし、入る!」
先に動いたのはセリーヌだった。ちょこんとベッドに腰を乗せると、遠慮がちに俺の足元の方へもそもそと潜り込んでくる。
「レオナール兄様といっしょがいい……!」
小さな手が、布団の上からきゅっと俺の服の裾をつまんだ。
「ほら。セリーヌもこう言ってるし。」
俺がアランを見ると、アランは少しだけ笑って、照れくさそうに視線を逸らした。
「……じゃあ、少しだけ。」
そう言って、恐る恐るベッドの端に腰を下ろす。横になると、途端に全身から力が抜けたのか、大きく息を吐いていた。セリーヌは満足そうに目を閉じ、俺の腕のあたりに頭を寄せる。
アランは反対側で、軽く背中を向けつつも、布団を握る手がほんの少しこちらに伸びてきていた。
(……あったかいな。)
心の中で誰にも聞こえない声が漏れる。俺自身も、起きたばかりなのにずいぶん喋ってしまった。脇腹の痛みがじんわりと熱に変わり、瞼が重くなる。
「……少しだけだぞ。」
誰にともなく呟いた言葉が、意識の底に沈んでいった。また暗闇に沈む感覚。けれど今度は、不思議と怖くなかった。左右に伝わる、弟と妹の体温が、静かに意識を撫でていた。
どれほど時間が経っただろうか。そっと扉が開く音がして、廊下から淡い光が差し込んだ。
「レオナール……?」
小さな囁き声。入ってきた母は、ベッドの様子を見て、目を丸くした。レオナールを真ん中に、左右にぴったり寄り添うアランとセリーヌ。三人とも穏やかな寝顔で、規則正しい寝息を立てている。母は口元に手を当て、ふっと微笑んだ。
「……ふふ。やっと……ね。」
涙がにじみそうになるのを、そっと瞬きで誤魔化す。起こしてしまわないように、足音を殺して近づき、ずれかけた布団をそっとかけ直した。
「いい夢を見てね、レオナール、アラン、セリーヌ。」
小さくそう呟き、三人の頭を一度優しく見つめてから、母は静かに部屋を後にした。
翌朝。
鳥の声と、窓の隙間から入り込む冷たい空気で、俺は目を覚ました。
(……ん。)
ゆっくりと身を起こす。脇腹はまだ痛むが、昨日より少し楽になった気がする。左右に視線を向けると、そこにはもう誰もいなかった。アランもセリーヌも、夜のうちに部屋に戻ったのだろう。まだかすかに残る温もりだけが、その名残を伝えている。扉がノックされる音がした。
「レオナール様、失礼いたします。」
医師と、母が入ってきた。
「おはようございます、レオナール様。本日は……いかがですか。」
「おはようございます。少し、楽になった気がします。」
医師は脇腹の包帯を慎重に確認し、頷いた。
「経過は良好です。ただし、まだ絶対安静です。起き上がるのも、今くらいの時間にとどめてください。」
「分かりました。」
母がそっと微笑み、ベッドのそばに腰を下ろす。
「昨日は……三人で仲良く眠っていたわね。」
少し意地悪くも優しい声音だった。
「……入らしてたんですね。」
「ええ。とても、いい顔で眠っていたわ」
母の瞳は柔らかく、どこか誇らしげに見えた。医師と母が「今日は本当に休むこと」と念を押して部屋を出ていき、少し時間を置いてから、再び扉が叩かれる。
「レオナール。」
低く落ち着いた声。父だ。
「どうぞ、父上。」
父が入ってきて、まっすぐこちらを見る。表情はいつも通り厳しく引き締まっているが、その目の奥にはどこか柔らかさも滲んでいた。
「体調はどうだ。」
「痛みはまだありますが……昨日よりは楽です。」
「そうか。」
短く答え、父は脇腹に巻かれた包帯に視線を落とす。
「アランから聞いた。森でのことだ。」
胸の奥が少しだけ強く鼓動した。
「迷い込んでいたアランを見つけ、守ったそうだな。」
「……はい。」
「よくやった。」
簡潔な言葉。それでも、その一言に込められた重さは大きかった。
「お前の判断と行動が、アランの命を救った。それは決して小さなことではない。」
思わず息を飲む。
「……ありがとうございます、父上。」
「だが。」
父の声が少しだけ低くなった。
「己の身も守れ。お前は長男だ。背負うものは多い。無茶をして倒れては、守れるものも守れん。」
「……はい。肝に銘じます。」
素直にそう答えると、父はわずかに目を細めた。
「……以前のお前とは違うな。」
ぽつり、と呟く。
「何があったかは……無理に聞かん。だが今の変化を、私は悪いものとは思っていない。」
そう言って背を向け、扉の前で一度だけ振り返った。
「よく、生きて戻った。……それで十分だ。」
心の奥が、じんわりと熱くなる。
「ありがとうございます、父上。」
深く頭を下げると、父は小さく頷き、静かに部屋を後にした。
それから一月が経った。
脇腹の傷はすでに塞がり、痛みもほとんど消えている。医師からも、軽い運動なら許可が出た。
庭園の一角。訓練用の広場に立ち、俺は木剣を握りしめる。冷たい空気が肺に流れ込んでいく。軽く足を開き、構えを取る。
(あの森で思い知った。俺はまだ弱い。)
弟も、妹も、領地も守りたい。父と母にも、胸を張れるようになりたい。
そのためには――
「もっと、強くならないとな。」
木剣を振り下ろす。空気を裂く音が耳に心地いい。何度も振り、足さばきと体重移動を確かめる。汗が額を伝い、脈が早くなる。
休憩がてら、今度は魔力を練る。掌の上に小さな光の球を灯し、弾けさせる。風を生み、弱い衝撃波を放ち、すぐに消す。以前より、魔力の流れが自分のものになっている感覚があった。
「兄上ー!」
元気な声が、庭に響く。振り向くと、訓練服姿のアランが駆けてきていた。手には、自分専用の模擬剣。
「やっぱりここにいた。……あの、兄上。」
「どうした。」
「僕も一緒に……いいですか。僕も、強くなりたいです。」
森での出来事を思い出しているのだろう。アランの瞳には、迷いよりも決意の色が強く浮かんでいた。
「……ああ。もちろんだ。」
口元が自然と笑みを形作る。
「じゃあ今日は、お前の相手をしてやるよ。」
「はいっ!」
アランは嬉しそうに返事をし、俺の向かいに立って構えを取る。二人で木剣を交えれば、まだまだアランの腕は拙い。けれど、真剣な眼差しと一歩一歩の踏み込みは、確かに前を向いていた。木剣がぶつかり合う音が、澄んだ空へと吸い込まれていく。
その音は、少し前までバラバラだった兄弟の心が、今は同じ方向を向いて並び立っているということを、静かに教えてくれているようだった。
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