転校初日、JKで女優で美少女な変わった女の子に『専属』にされましたが? この恋は本物ですか――。

猫板家工房

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「ふふ……アハハ――そうなんだぁ、ともちゃん本当に辛辣ぅ……っ、ふっ……ふふふ♥ だってあんまり迷惑かけてるもんね私、ごめんね~戸北くん、私のせいだよきっと、ごめ~~ん」
あはっ……あはははは♥

 笑う輪廻が苦しそうに過呼吸している。

 正直、あの灯火という圧にはほどほどにして欲しいが、輪廻はかなり気に入ってるらしいんだ。結構ムカつく、それはちょっとだけ可愛いだけの部類の女子なんだが。

「まぁなんかでもぉ……、ともちゃんは女優さんって気がするよねぇ、うんうん女優さんだよ~。ともちゃんの良い所だ~っ♥ フフフ」もう憧れだよね~~♥
「灯火が女優、か……。でも……少し聞きたいんだけど、女優の君のやり甲斐って、どこにあるのかって。キミのその女優さんはさ……、舞台に出た事すらも覚えてられないんだって聞いた」
 その言葉に輪廻は眉根を寄せる、止まった。

 だが……。

「確かにお金にはなるみたいだ、1ヵ月も2ヵ月も使って、その記憶は絶対安くはないと思うよっ、でもね……、キミは何を得ているの? 輪廻、そこを全て失って輪廻は幸せになれるのかな」
 その壮太の言葉にうなずくのだ、恐らく何度もそれを……「私の家系はね……、イタコだったの。結構本格的にファンタジーで、お婆ちゃんは稀代の天才だった。それで私も空っぽにするまでは上手かったんだけど……」

 その現場は、お客さんが泣いて幸せそうな時も多いが、怒って帰る人達もかなり多い。そもそもとしてだ、本当に死人に口寄せができるならば実入りの良い話がほとんどである。
 ダラダラだらだらと、イタコの体も考えずに株や口座や隠し金の話をする奴らの山やまやま――。

「でもどんなに疲れても苦しくても記憶がないよね……。その後訳が分からず怒られたり、涙を流して感謝されたり。でもどんな時も私のお婆ちゃんはそれで良いって言ってた、笑ってたもん」
それでね……、ここは絶対にオフレコだけど……うん――「私って天才だと思うんだ、本当に意味が分からない原作って、結構あるんだよ、本当なの」

 なんだか偉そうに俳優を評価する監督もいるが、実際からして作品はどうだ、古典ですら訳が分からないエンドに突入する物は多い。
 デウスエクスマキナ(物語を絶対に終焉させる者)とは、作者が創作を放棄した故の異形、無責任の闇に葬る為に作られたと言えるのだから。

「それでも女優は役になり切ってみせるって言うけど、それって絶対ウソなんだよ……。訳が分からない人間に、他人都合で歪んだ存在になり切るのは不可能だもん。だけど私は違う――」私の才能だけは違うよ――。
 例えおかしな言動になろうと、性格がしっかりと継承されてなくともグダらない、打ち切り最終回でもそういう人格を生み出せる才覚。

 彼女が抱える天賦の才能は原作すらも包み込むのだ、そして――。

「その先に私が見てるのってね……、やっぱり観てくれた人の姿だけだから。彼らの役に立てるなら良いって、立派だって……好きって言うよ――。誰かが欲しい演技をし続けます、誰かが……っ。どなたかが私を思い出してくれればそれで良いよ……っ。続けたいの、輝けてる、私に記憶はないけど、お客さんにはあんなに残るんだって……」

 その言葉に、ド素人でもうなずくしかなかった。自分を削るという行為に意味があるのなら、それは、それこそ恐らくは創作。
 それに何よりお金も非常に非常に儲かるしね……―。そう笑う彼女に笑い返す壮太。

「こんな子に嫌気がさしたらね、引いてくれて良いよ戸北くん。だってもうすぐだよ、この私もね……もうすぐ」
「あぁいや、輪廻、良いんだ。キミが嫌にならなければ良い、俺は全然楽しいよ、大丈夫! って、あぁ……そうか……」君自身はその言葉も……――。

 それでもやってくる日。

 もうすぐ彼女はこの記憶もパージし始める。
 この綺麗な夕日に描かれた、揺れる彼女の髪までも――。






 そして部室、体を動かしながらうなずく2人。
ふぅ……、ふぅ……「そりゃまぁそうだわ。演技の世界に生きてたら誰もが思う事です。テレビでも2世まみれ……、宝塚なんてOGの子々孫々、やまだかり。……さんのお孫さんって呼ばれるのが普通なんですって」
は、ふ……、はふぅ……「しかも事務所とかの力も大きいよ~? まるっと実力で選ばれるのは珍しいよぉ。私達は露出がほぼ無い状態でぇ、それでなんか……、あんなそこらのアイドルとかとも戦わなきゃだもん」
毎日講演ってあれヒドイよ~~。

 それがたかだか自分が演技しないから、だからなんだというのかと。悪いがそんなの聞いてやる理由がない世界だ、演技者なんていう職業はないのだと、その深みの1歩目で分からされる女達。

「そして……、あの子が特別だと思うのはそこですよ。アレは本当に奇跡だと思う。どんなにネジレてて感情や展開がおかしい、そんな原作とでも向き合えますからね、そこに人生までもを生成できるわ」
「うん……、そうだよねぇ。私もあの能力があったらきっと、絶対まるっと人生を捧げてると思うよ、絶対――」

 その眼になんとなくだが、色々な感情を見る戸北 壮太。

 そうして夕暮れ過ぎても練習を続ける2人、ドンドンとそれは近づいて来るのだ、何せ今日はもう……。

 がちゃっ!「はいは~い、2人共お待たせしました~っ。はぁ……はぁ……今日は衣小装合わせだったよ、現場に順調に行ってきましたから~っ」ふぅ~~♥
「それで……っ、 どうだったかしら、監督さんは、輪廻――――…ッ」「うん、まぁある程度って感じかなって。方向性はあんまりね、奇抜な物はなかったよ、原作重視みたいっ。でも聞いてきた所だけど監督さんとしては副題を~――」
 輪廻に走り寄り、親身に聞き入る2人。それはまるで自分が監督に指示を受けた様にうなずき……。


「うん……、うん。なるほど、分かったわ。十分よ、ありがとう輪廻」
「次次っ、次は私ぃっ、ねぇ……っリンちゃんこの役の事聞けたかなぁ? あと大丈夫だったぁ?あんまり変な顔されたら逃げてねぇ~?」ふふふ♥

 真剣に聞くのだが、しかし、その内容は正直ある程度というか……。あんまりほとんど、大した事はないと思った。ただそれでも2人が異様で鬼気迫る感じだったのが気になったが――。
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